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【新年号】天竜川水系健康診断10年のまとめ
「『澄んだ諏訪湖・泳げる天竜川』は、これからも私たちの合言葉です」竏秩B上下伊那の企業20社でつくるリサイクルシステム研究会(向山孝一会長)などによる、諏訪湖流入河川と天竜川の本・支流の水質調査「諏訪湖・天竜川水系健康診断」が当初計画した10年間の継続調査を終えた。
天竜川の環境基準項目の一つとしてBOD(生物化学的酸素要求量)が設定されている。BODはCOD(化学的酸素要求量)と同様、排水の汚水を評価するバロメーター。諏訪湖から流れ出る水は伊那市付近までに自然の浄化作用で浄化されていることが同調査で分かったが、10年前までの同川上流部の水質は環境基準値をクリアしておらず、全国の河川の中でも水質的に問題があった。
諏訪湖の水質改善とともに釜口水門(岡谷市)付近も4縲・年前から水質基準値をクリアするようになっている。しかし、新樋橋(辰野町)から下流の各測定地点については、ここ5年間のBODの推移を見ると、どの測定地点でも暫増傾向が認められている。天竜川中流域では早急に汚染源対策を見直すことが必要になるという。
諏訪湖・天竜川水系健康診断の目的は、身の回りの河川の水質が自分たちの生活とどのような関係にあるかを自分たちの目で確かめることにあった。97年から始まった診断には10年間で延べ約3500人が参加。毎年、河川の各個所の水質を2時間ごとに24時間連続で検査し、水系全体の汚染の種類や工業、生活排水などが時間的にどのような影響を及ぼすかを把握。その結果を昨年11月、「水系の仲間たちによる諏訪湖・天竜川水系健康診断10年の軌跡」と題した小冊子にまとめた。
結果を分析した沖野外輝夫信州大学名誉教授によると、天竜川支流の定点調査でまとめたCODの時間変化の積み上げ図などで、生活排水などにより汚染数値が変化していることが分かった。「水質を改善する鍵は生活の中にあった」
「玄関の前、窓の下の水を測ろう」から始まった同調査。沖野名誉教授は「これで天竜川の水質がよくなるわけではないが、生活の中で水の使い方を気にするなど一人ひとりが関心を高めること。生き物は水がなければ生きられないことを再確認してほしい」と訴えている。
向山会長は「人間の利便性や人間の産業活動の考え方が人間がコントロールできない臨界点に達し、数十年がたっていると感じる。このままの状況を継続するのか違った選択肢に挑戦するのか意識の大きな転換点にさしかかっている。私たちの果たす役割、責任は重大。このような取り組を一つひとつベースにしながら、生命の共存の意識の拡大ができる活動を地域のなかで継続していきたい」と話している。 -
記憶を伝える
屈託のない笑顔を見せる子どもたち。大人たちは果たしてこの子らに何を残してあげられるのか、何を伝えなければいけないのか。
嵐のように吹き抜けた“平成の市町村合併騒動”は、自分たちの住んでいる地域をあらためて見直す機会となった。これまであまり気にしなかった地域の素晴らしさを確認し、一方で軌道修正しなければならない部分も知った。大人たちは子や孫に伝えるべきもの、捨て去るものを見極めようとし始めている。
地域文化を語るときに欠かせないのが“記憶”。生活、風習などの記憶はもちろん“土地の記憶”もある。その土地の形状に即した“自然を征服しない”防災対策などにこの記憶が威力を発揮する。行政もようやくそこに着目し始めた。
これらの“地域の記憶”は知恵につながり課題の解決に生かされるが、進歩の妨げになる場合もある。それを見極めた上で、有効な記憶を子どもたちに伝えていく責任が大人にはある。真に“豊かな”笑顔あふれる上伊那にするために。 -
どうなる産科医療
駒ケ根市の昭和伊南総合病院(千葉茂俊院長)の産科診療と分娩(ぶんべん)は3月末で休止されることが決定的となっている。市内には開業医もない。まさかと思われていた、産科医師がゼロとなる事態が現実のものとなってしまったのだ。
千葉院長はじめ関係者は「診療再開に向けて、引き続き最大限の努力をしている」としているが、肝心の産科医師が全国的に不足している現状を考えると、医師の確保に向けた今後の見通しは極めて暗いと言わざるを得ない。
県の産科・小児科医療対策検討会が、医師は連携強化病院に重点配置する竏窒ニする方針を示したのを受け、信州大学は昨年、昭和病院に派遣している産婦人科の常勤医師2人を3月末までに引き揚げることを一方的に通告。引き揚げは信大でも深刻化が進む医師の絶対数不足からやむを得ない措置として決定され、信大に太いパイプを持つ千葉院長が、さまざまな機会をとらえて懇願してさえ、「交渉の余地はまったくない」(関係者)というほど強硬で、決定が覆る可能性は限りなくゼロに近い。
信大からの派遣のめどがつかないのであれば、病院が独自に医師を探すしか産科存続の道はない。千葉院長は「あらゆる方面に手段を尽くして医師を探している」というが、現在までのところ応じる医師は現れていない。地元出身の医師に対してもUターンを呼び掛けているが、これも望みは薄いようだ。
◇医師呼び込みへ組合が新制度導入
病院を運営する伊南行政組合(組合長・中原正純駒ケ根市長)は窮余の策として、医師を呼び込むための新たな制度を10月に導入した。県外から転入して3年以上勤務しようとする医師に500万円、2年以上勤務しようとする医師に300万円をそれぞれ貸与する竏窒ネどとする医師研究資金貸与制度がそれだ。対象の診療科は産婦人科のほか、整形外科など。貸与された資金は、それぞれの勤務期間を経過すれば返還の義務は免除されることになっている。
県が運用している同様の制度は3年勤務で300万円、2年勤務で200万円が貸与されるが、調整を図るため、適用者にはその差額(3年縲・00万円、2年縲・00万円)が貸与される。
私立を除く県内の病院では初の導入だが、県外では同様の制度がすでにあり、かなりの数の医師が適用を受けているという。だが、昭和病院への応募は今のところまだない。
◇院内助産院開設も…
「医師がいない状態でも、出産のプロとして助産師がいるじゃないか」という意見も、市民の間から多く出ている。実際に昭和病院は医師が確保できない場合の案として助産師が分娩をする「院内産院」の開設を模索している。だが、現段階では4月の開院は現実的に厳しい状況だ。なぜなら、法律により、助産師が扱うことができるのは正常な分娩に限られ、容態が急変した場合や帝王切開の必要が生じた時などに対応できる産科医師との契約が条件となっているからだ。
開設の見通しについて千葉院長は「医師がいないとリスクに対応できないから、助産師だけでの開設は現実的に無理。伊那中央病院(伊那市)の産科医師に応援を要請するという方法も考えられないことはないが、何か緊急事態が起きた場合、5分、10分を争う時に伊那まで行くのに30分もかかっていては難しい」と話している。
開設に向け、引き続き県や信大とともに検討を進めたいとしてはいるものの、院内助産院は県内でいまだ1カ所も開設に至っていない。県衛生部は「院内助産所が増えるよう支援していきたい」とする方針を示してはいるが、具体化するのは一体いつになることやら…。
◇なぜ医師不足?
そもそも、なぜ産科医師が全国的に不足しているのか竏秩B
原因の一つには医師の負担の大きさが挙げられる。出産はいつあるのか分からない。診療を求められれば医師は対応する義務があるから一日24時間、一年365日、まったく気の休まる暇もない。加えて陣痛から出産まで長時間にわたるケースも多いため、昼夜を問わないあまりの激務に耐えかねて退職する医師が後を絶たず、産科を希望する研修医も、この厳しい実態を目の当たりにしてほかの診療科を選択してしまうのだ。
二つ目には、医療が聖域ではなくなり、出産に当たって何か問題が起きた場合、医療事故としてすぐに裁判に訴えられるケースが増えたことがある。こうした要因によって医師の産科離れが進んでいるのだ。
それでも世のため、人のため竏窒ニ使命感に燃えて産科を選択してみても、その報酬は激務に見合ったものとはいえないことも多いようだ。くしの歯が欠けるように1人、2人と医師が減っていく結果となり、残った医師の負担はさらに重くなっていくという悪循環が起きている。
千葉院長は「昭和をどうするというより、上伊那全体の医療のあり方を真剣に検討しなければ地域医療は崩壊してしまう」として、伊那中病などに協力、連携を呼び掛けている。中原組合長も異口同音に「今の状態では地域医療は守れない。経営的なことも含め、将来は上伊那広域で、場合によっては、飯田との連携も視野に入れながらやっていくべきだ」として、広域連携の必要性を強調している。
目先の医師確保だけでなく、数年先を見越した中長期的な視点が求められている。
【伊那中央病院の対応】
昭和伊南総合病院の産科診療と分娩休止を受け、伊那中央病院は、地域医療を守るため、4月からの里帰り出産の自粛や施設改修などの対応を取る。
昨年8月、記者会見で、地域住民らに対し▽郡外からの里帰り出産は遠慮してほしい▽産婦人科の初診は紹介状を持参してほしい竏窒ニ理解を求めた。
上伊那の年間の分娩件数は1600件。内訳は伊那中病が千件、昭和病院が500件、民間・助産所が100件。
伊那中病の産婦人科医師は4人。来年度、1人増員の見込みだが、昭和病院分をそのまま受け入れることは厳しく、里帰り出産を制限して対応する。
里帰り出産は伊那中病で200件、昭和病院で160縲・70件が占める。
全体の分娩数から里帰り出産を除くと、伊那中病で800件、昭和病院で330縲・40件。年間1140件と計算上では受け入れ可能となる。
しかし、近隣の下伊那赤十字病院はすでに分娩を休止し、飯田市立病院も4月から医師の減員が見込まれ「里帰り出産と、飯田下伊那以外からの出産は予約枠に余裕がない限り原則として断る」とホームページなどで広報している。
中川村など上伊那から、下伊那の病院を利用する年間50縲・0件も引き受ける形となる。
医師確保に目途が立たず、分娩できる場所がなければ、里帰り出産は「断りきれない」。
伊那中病では年間1200件を見込み「何とか上伊那の需要にこたえたい」としている。
上伊那広域連合は昨年12月、県知事に対し、医師確保についての要望書を提出。
要望事項は▽産科医の増員についてあらゆる手段の検討・実施▽産科医以外の医師確保竏窒フ2点で、地域の実態を知って、地域医療への確保に配意してもらいたいと切実な思いを訴えた。
医師の増員が見込めない中、助産師の果たす役目も大きくなっている。
助産所は伊那市と駒ケ根市の3カ所にあり、来年度には4カ所に増える予定。2、3年後には6カ所を見込み、自宅出産を含めて年間100人くらいは対応できるのではないかという。
正常分娩のみを取り扱う助産所は、妊娠中の健康管理や不安解消など一人ひとりと向き合いながら、万全の状態で出産できるようにケアする。
日本助産師会長野県支部上伊那地区長の池上道子さんは「お母さんたちに、自分のお産について考えてもらいたい」と選択肢があることを伝える。 -
元旦配達へ 年賀状仕分けピーク
上伊那地方の日本郵便各支店では、年賀状の仕分け作業のピークを迎えている。伊那市坂下区の同伊那支店(曽田吉郎支店長)は、元旦の年賀配達に備え、職員やアルバイトら総出で作業に追われている。
28日現在、同支店分の年賀はがきの配達枚数は約25万枚。元旦は50万枚を配布する見込みだ。関係者によると、年賀の引き受けのペースは昨年より早いが、年賀の仕分け作業は例年同様30日をピークに31日夜まで続くという。
戦力となる学生アルバイトは、仕分け作業に携わる女子高校生を中心とした51人のほか、年賀状を配達する外務作業の地元高校野球部員ら38人の計89人。高校が休みとなった27日ごろから、アルバイトを本格的に導入した。
3年目という市内御園の女子高校生(18)は「裏方作業なので、やってみるまで知らなかったことばかりでおもしろい。でも、いい加減な仕事はできないので責任は重大」と作業を慎重に進めていた。 -
JA上伊那、高齢化農業者の労力低減と新たな担い手確保を目指しりんごの新わい化栽培向け台木約8400本を来年から導入
上伊那農業協同組合(JA上伊那)は来年から、リンゴの新わい化栽培の導入に向け、台木、約8400本を購入する。これまでのわい化では台木に接ぎ木を施し、そのまま畑に植えて生育してきたが、新わい化では接ぎ木をした苗木を1年間かけて枝数の多い「大苗」に育成。それを畑に植えると、従来よりも低い木で多くの収量を得ることができる。現在上伊那にある多くのりんご園では、25年以上前に植えられたわい化木が巨木化し、高齢化が進む果樹生産者の大きな負担となり、高所作業の事故も起こりやすくなっている。そのためJA上伊那では今後、新わい化技術により育てた木への改植を継続的に進め、労力はこれまでの半分に、収量はこれまでの2倍、確保できるようにしたいとしている。高齢化する果樹園農業者の支援と、新たな担い手確保を目指す狙いもある。
現在上伊那では、約830戸の販売農家が約230ヘクタールでリンゴを生産しているが、高齢化などの影響でその栽培から離れる農家が増加。10年前の約60%にまで落ち込み、大幅に減少している。
また、経営者の年齢も70歳代以上が約40%。それに続く60歳代が30%を占めており、今後も生産主体は高齢農業者が担っていくこととなる。一方、栽培品種は、8月下旬から9月下旬まで収穫できる早生種の「つがる」が25%、10月下旬から11月末まで収穫できる晩生種「ふじ」が56%、を占めており、その間を埋める有力品種の育成が課題だった。
そこで今回、新わい化栽培の導入により作業軽減を図るとともに、食味が良いとされる長野県オリジナル品種「シナノスイート」「シナノゴールド」を中心とした苗木への植え替えも実施。これらの品種は「つがる」と「ふじ」が収穫できない9月下旬から10月下旬ころまで収穫できるため、8月下旬から11月末まで一貫して収穫できる生産体制を整えられることになる。
新わい化木がほ場に植えられるのは09年。収量目標は移殖して2年後で10アール当たり1トン、木が安定する4年後には10アール当たり4トンとしている。 -
上伊那地域産業活性化計画まとまる
上伊那地域産業活性化協議会は、地域の産業の活性化を図るため、上伊那地域産業活性化計画案をまとめた。上伊那8市町村を集積区域とし、業種に「高度加工技術産業」「健康長寿関連産業」を基軸にすえた。国の同意を得て、計画策定となる。県内では第1号。
6月に「企業立地の促進等による地域における産業集積の形成および活性化に関する法律」が施行され、地域の主体的、計画的な企業立地促進の取り組みに対して国が支援するもの。支援措置として、立地企業への設備投資減税、自治体の立地企業に対する地方税減免額への普通交付税による補てんなどがあり、伊那市産業振興部では「企業にも、自治体にも、企業立地しやすい環境が整う」という。
計画は5年間で、地域の強みを生かし、企業立地や設備投資などを促し、地域産業活性化の実現を目指す。
幅広い業種を網羅する形で、精密機械関連、電気・電子機械関連などの集積を図る「高度加工技術産業」と、食品、飲料品など農工連携の推進による地域ブランド化の「健康長寿関連産業」に取り組む。
目標に向けた事業環境整備に▽空き工場建屋、遊休地の情報収集・活用▽人材育成支援(企業ニーズに対応した支援プログラムの検討)▽技術高度化による成長産業分野への進出促進支援竏窒ネどを盛った。
計画の成果目標は、06年度と比べて、12年度の新規立地件数を50件、製造業従業者数の増加を千人、製造品出荷額の増加額を700億円と見込む。
協議会は、上伊那8市町村、県、伊那・駒ケ根商工会議所、県商工会連合会上伊那支部、県テクノバレー財団伊那テクノバレー地域センターなど課長級職員15人で組織する。 -
小中学校で終業式
伊那市の伊那北小学校や富県小学校などで26日、終業式があった。児童たちは冬休みへの期待に胸を弾ませながら笑顔で帰途についた。
伊那北小学校(笠原富重校長)の終業式では、1年生と4年生の生徒3人が代表して「音楽会では大きな声で歌った」「2学期から図書館の本を借りられるようになった。本はおもしろい」「運動会や算数、体育でがんばった」と振り返った。
笠原校長は「新年を迎えみんなの笑顔に会えるを待っています」とあいさつを述べた。
今年最後となる校舎の掃除は、念入りに。児童たちは一生懸命、ぞうきんをかけ、掃き掃除に精を出した。冬休みにやりたいことは「雪合戦」「スキー」「カマクラを作って一日中、そこにいたい」「たくさん寝る」とのこと。
冬休みを思ってか、ぞうきんがけも、どこか楽しそうな様子だった。 -
産科医療の拠点に伊那中病を位置づけ、各医療機関が役割分担
第3回上伊那地域における医療検討会が25日、伊那合同庁舎であった。来年度からの産科医療の連携体制について、拠点病院に伊那中央病院(伊那市)を位置づけ、各医療機関で役割分担することを了承した。
産科医療の連携体制は、医療機関、住民、行政が協力し、安心して出産できる体制を確保するためのもの。
各医療機関は「妊婦健診」「妊婦健診・分娩(ぶんべん)」「妊婦健診からハイリスク分娩」の取り扱いをそれぞれ担う。「健診」は診療所5カ所(うち2カ所が初診のみ)で、公立病院(昭和伊南総合病院、辰野総合病院)は非常勤医師の確保、医師の派遣元である信大の協力が前提となる。「健診・分娩」は民間病院1カ所・助産院3カ所、「竏茶nイリスク分娩」は伊那中病の1カ所。
連携に当たり、妊婦の分娩にかかわる情報や血液検査の結果などを記した「産科共通連絡票」を作成。妊婦が健診を受けた病院から、出産する伊那中病に転院する際に連絡票を持参し、医師間で情報を共有する。
検討会内に設けた「上伊那地域産科連携体制研究会」で、連携体制の枠組みを検討。公立病院、上伊那医師会、日本助産師会長野県支部など専門家9人がまとめ、検討会に提言した。
会議では、公立病院の医師確保の見通しや病院での助産師外来の考え、住民への周知方法などに意見があった。 -
食改上伊那支部が在宅介護食講習会
県食生活改善推進協議会上伊那支部(会員約500人、六波羅弘美支部長)による「在宅介護食講習会」が21日、始まった。同地区で活動する会員約40人が集まり、高齢者に起こりやすい老年疾患と介護食を作る時に配慮すべきことなどを学んだ=写真。
同講習会は、高齢化社会の中、家庭で高齢者の介護を行う機会が増加していることを受けて県の協議会が9年前に開始した。全3回の講習で基本の単位全課程を修了した人に対し、「在宅介護食ボランティア認定証」とバッチを交付。講習会に参加した会員らに、講義で習得した知識を地域で普及してもらうことを目的としている。
1回目のこの日は、「家庭の食事から作る介護食」「在宅介護および高齢者の心理」などをテーマとして、福祉施設の管理栄養士や社会福祉協議会関係者などが講習を実施。
そのうち「高齢者の障害と疾病」がテーマの講習では、山崎宗広伊那保健所長が講師となり、高齢者の病気の特徴などを説明。介護を必要とする疾患が多いこと、食事の時の誤嚥が起こりやすくなることを示し「口腔内をきれいにしたり、食べやすいよう、食材を工夫することで、誤嚥を防ぐことが大切」と語った。
講習会は2月までにあと2回ある。 -
直播で雑草稲「赤米」の発生が増加
水田に直接もみをまく「直播(じかまき)栽培」は、労力軽減、低コスト化を目的として、県内各地で栽培規模を増やしている。中でも上伊那は、直播作付け面積が最も多く、本年度は239ヘクタール。県全体(440ヘクタール)の半分以上を占めている。そんな中、数年前から直播ほ場で雑草稲の「赤米(トウコン)」が発生するようになり、問題となっている。収穫した米に赤米が混入し、等級落ち、検査不合格となるケースもあり、現在県や関係機関が連携しながら研究、対策方法を模索しているが、赤米の発生したほ場では、当初目的としてきた低コスト化、労力軽減が相殺される現状にある。
「赤米」は、昔は全国的に栽培されていた品種。赤米に詳しい大場茂明さん(71)=中川村=によると「収量が少なく、品質が悪いなどの理由から、明治時代、大々的に栽培転換された。昭和40年代以降、田植え機による移殖栽培が普及したが、移殖栽培では普通の稲の生命力の方が強かったため、発生が抑制され、あまり問題とならなかった」。
長野県は農業者の高齢化、米価の下落などを受け、1990年ころから各地で直播の導入に着手。それと同時に、赤米の発生が徐々に顕著化してきた。
赤米は脱粒性のため、成熟すると自然に種子が水田に落下し、直播栽培の水田で同時発生するため、除草剤による防除が困難で、大場さんは「決定的な解決策がないのが現状」と話す。
現在は直接手で赤米を除去したり、出芽した赤米を耕起や代かきで埋没させる方法などで対応する研究を進めているが、あまりに発生が多い場合には一度移殖栽培に切り替え、発生を抑制することも必要となる。
上伊那での今年の収穫分は、上伊那農業協同組合(JA上伊那)が保有する玄米の色彩選別機で赤米を取り除くなどして対応。また、上伊那農業改良普及センターは、具体的な対策や赤米の発生しやすい場所などを示した「防除対策マニュアル」を作成中で、コンバインなどに付いた赤米の種子がほかのほ場に広がらないよう、農家らに促すようにしたいとしている。 -
JA上伊那伊那地区生活部会が「老人保健施設すずたけ」に衣類乾燥機を寄贈
上伊那農業協同組合(JA上伊那)伊那地区生活部会(伊東恵子会長)は19日、伊那市美篶の老人保健施設「すずたけ」に衣類乾燥機2台を寄贈した。
11月のJA上伊那まつりで行ったチャリティーバザーの収益金により購入したもので、2台で23万円相当(工賃含む)となる。JA伊那地区では、03年からこの取り組みを続けており、これまでにキーボード、車いす、徘徊防止センサーマットなどを寄贈している。
「みなさんで活用してください」と伊東会長。
同施設の上島麻紀子施設長は「冬場は洗濯物が乾きにくいので大変ありがたい」と礼を述べた。 -
伊那市新ごみ中間処理施設用地選定委員会、用地の評価方法を再検討
上伊那広域連合の新ごみ中間処理施設の建設地を検討する伊那市の用地選定委員会が21日、市役所であった。過去3回の中で候補地の適正を判断する評価方法について検討してきた小委員会の結論が示されたが、小委員会の結論は住宅群の定義をどう考えるかなど、具体的に踏み込んでいない部分も多かったことから、評価方法については小委員会が検討し直すこととなった。小委員会の再検討の前に、全体会を3グループに分けてグループ討論行い、今回の評価方法に関する意見を出し合う。それを小委員会に吸い上げ、再検討を進める。
小委員会では、点数評価する25項目、点数評価はしないが何らかの形で評価に組み込む6項目を決めたほか、その他9項目については評価する内容がほかと重複しているなどしたため、「評価不要」と判断。評価項目から削除する方針を固めた。こうした各評価項目の扱い方については、全体委員会でも了承した。
一方、その評価方法については、全委員に対して行ったアンケートを参考に、各評価項目の優先度を決定。点数評価する項目については、候補地の状況に応じて加点、減点することとした。しかし、「施設建設コスト」を評価する項目だけは例外的な扱いをしており、用地取得、造成などにかかる平均金額412万円を基準として、そこから2千万円について1点を加点、減点するようになっている。そのため、同項目だけで最大87点の差が開くようになっていた。
こうした状況を受け、全体会では「コストだけ違うやり方にするのは公正さにかける」などといった意見が出た。また、小委員会では重要部分の判断を具体化することを避け、全体の委員会に委ねることとしてきたため、「小委員会の議論がつくされたものをここへ提出してほしい」といった意見が挙がった。
こうした状況を受け、来年1月にグループ討論を行い、その意見を集約した上で再度小委員会が評価方法を検討することになった。 -
大地の恵みにありがとう
今年もあとわずか。この一年、どんな実りがあっただろうか。春から土を耕し、季節や日々の天候の折々に、作物の成長を感じながらの暮らしが当たり前だった頃には、秋の実りは、大地の恵みに感謝する実感として受け止めていただろう。しかし、暮らしが少しずつ土から離れ、大地の恵みを実感する機会は少なくなってきたようだ。
宮田村公民館が主催して、春から展開してきた「われら、かかし隊」は、そんな大地からの恵みを親子で実感しよう、昔の人たちの暮らしを実感してみよう竏窒ニ始まった。地元で農業を営む先達や、昔ながらの手作りを大切にしている先達の皆さんを「かかし協力隊」としてお願いして、親子で畑や田んぼの作業を体験し、季節と作物の成長を見守り、この秋、実りを迎えた。
今回の朝の学舎は、この「われら、かかし隊」の収穫の様子を中心に、親子で受け止めたさまざまな実りを追った。 -
上伊那高等学校美術展
伊那市の県伊那文化会館で19日、上伊那高等学校美術展が始まった。上伊那の8つの高校の美術クラブや授業で制作された作品171点が展示されている。22日まで。
同展は今回で47回目。美術クラブの生徒たちにとって、文化祭とともに作品を発表する大切な場となっている。
油絵やデザイン画、イラスト、ちぎり絵、陶芸など、どの作品からも生徒たちの情熱が伝わってくる。大きなものではF50号の作品もある。
展示時間は、午前9時縲恁゚後5時(最終日は午後3時まで)。入場無料。 -
上伊那広域連合ごみ処理基本計画推進委員会が検討結果を報告
上伊那広域連合の新ごみ中間処理施設の規模やごみ減量化などを検討してきたごみ処理基本計画推進委員会の小沢陽一委員長らは19日、伊那市役所を訪れ、小坂樫男連合長にこれまでの検討結果報告書を提出した=写真。
報告書にはごみの減量化、資源化への取り組み提案のほか、減量化、資源化推進後となる2013年度を試算年度とした一般ごみ量から算定した施設規模が1日当たり149トンとなることを報告。また、機種については広域連合があらかじめ機種を決めない入札方式を導入する方針を示したことに伴い、現時点で再評価を行わないこととした。
小沢委員長は「大変濃い内容となっている。ごみの問題は、行政、住民の連携が大切。市町村によって取り組みの温度差もあるが、広域で1施設をつくるなら、分別、収集などである程度統一した基準をつくることも必要」と語った。
小坂連合長は「多方面から検討していただいたということで、ぜひこれを19万市民にPRしていきたい」として、今計画を最大限尊重する意向を示した。
今後、同計画は各市町村の担当課などでつくるごみ処理広域化プロジェクトチームが各市町村に持ち帰り、次年度からの減量化施策を検討する。また、伊那市新ごみ中間処理用地選定委員会には同報告書を21日に示す。 -
ヤマウラ社長に山浦速夫氏復帰
ヤマウラ(本社・駒ケ根市)の定時株主総会、取締役会が18日にあり、代表取締役会長兼社長に山浦速夫氏(66)が選任された。
山浦氏は04年から社長を務めていたが、昨年12月の株主総会で取締役選任案が否決されたため、社長を退任して最高顧問会長の任に就いていた。
昨年12月から代表取締役社長を務めた沢田英明氏は代表権のない取締役副会長となり、首都圏不動産開発事業に専念する。
新たな取締役として保科茂雄、川田昌伸、山下良一の3氏が選任され、昨年の社長交代劇以前の体制にほぼ戻った形となった。
取締役の人数は新たに3人を加えて7人に。執行役員の若返りも図った。
同社では「迅速な意思決定と全社への経営意思の迅速な浸透、業務執行の強化を図るべく、執行役員体制の充実と執行役員会の機能強化を図った」としている。
関係者によると、今株主総会では取締役選任案について質問などはなかった。選任案にその意向が大きく影響すると見られている、個人筆頭株主で速夫氏の実兄義人氏(82)は欠席した。
昨年の突然の社長交代劇は業界、関係者のみならず市民らの大きな関心事にもなり、取締役選任が否決された理由などについてさまざまな憶測が飛び交った。
取締役・監査役・執行役員は次の通り。
◆取締役・監査役▽山浦速夫(代表取締役会長兼社長)▽沢田英明(取締役副会長)▽山浦恭民(取締役副社長)▽保科茂雄(専務取締役)▽中島光孝(常務取締役)▽川田昌伸(取締役)山下良一(同)▽関一重(常勤監査役)▽加藤正光(監査役)▽大和達之(同)
◆執行役員=保科茂雄、中島光孝、川田昌伸、山下良一、松沢勉、藤木公明、沢戸史樹、伊藤優一、清水元(新任)、小林寛勝、桜井豊、曽我明彦(新任)、宮島始、増沢信夫(新任)、吉池憲雄(新任)、熊谷英一(新任) -
中・大型風力発電施設に関する影響想定地域マップ「桑沢山周辺版」 県が公表
県は18日、中・大型風力発電施設に関する影響想定地域マップで、箕輪町と辰野町の「桑沢山周辺版」を公表した。
地域マップは、中・大型風力発電施設に関し、山地災害や自然・景観などへの影響が想定される地域などをあらかじめ地図に表し、地域住民、市町村、事業者などが計画の早い段階で活用できるようにしている。マップで対象とする施設は、定格出力が50キロワット以上、地上から風車中心までの高さが25メートル以上、風車直径が15メートル以上のいずれかに該当するもの。
桑沢山の尾根筋には、東京の建設会社が風力発電施設の建設を検討しているが、マップでは事業計画地の大半がレベル2(立地については慎重に検討すべき地域)と示されている。
レベル2の4要素のうち、要素1(保安林、砂防指定地、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域)、要素4(希少猛きん類の行動圏及びその推定域)と、要素1と4の重複の地域がある。
県は伊那市、諏訪郡富士見町などの「入笠山周辺版」、須坂市などの「峰の原周辺版」を既に公表。県内他地域(全県版)も本年度内を目途に公表する予定。 -
社会福祉施設などにおける感染症・食中毒などの発生防止及びまん延防止にかかる研修会
高齢者介護施設などにおけるインフルエンザや食中毒の集団感染防止を目的として伊那保健所は18日、社会福祉施設介護職員などを対象とした研修会を伊那市役所で開いた。約120人が集まり、インフルエンザやノロウイルスの感染予防対策などにつき、伊那保健所の保健師から指導を受けた=写真。
研修会はインフルエンザなどが発生しやすい季節に合わせて毎年開催している。
担当保健師は、感染対策としては(1)感染源の排除(2)感染経路の遮断(3)抵抗力向上竏窒ネどを挙げ、入所者の健康状態や栄養状態、食事の摂取量などに常に気を配り、異変があった場合に対応できるようにすることなどを呼びかけた。また、万が一インフルエンザなどが施設内で発生した場合、感染拡大を防ぐために、共同浴場での入浴を一時停止するなどといった措置を講じることを勧めた。
そのほかにも、長野県は人口当たりのエイズ感染者・エイズ患者の報告数の平均(04年から06年)が全国3位と、高いことから、今年はエイズの基礎知識に関する研修も実施。エイズは発症してから見つかるケースが多いことなどに触れ、伊那保健所でもエイズ検査の結果が当日にわかる「エイズ迅速検査」を実施していることなどを説明した。
伊那保健所によると、今年は11月から急激にインフルエンザが増えているという。また、ノロウイルスは例年1、2月がピークとなることから、今後の注意を呼びかている。 -
スピードスケート県高校総体 上農小林初優勝
スピードスケートの県高校総合体育大会は14、15日、松本市の浅間温泉国際スケートセンターで男女11種目が行われ、男子5千メートル、同1万メートルは小林成光(上伊那農)が初優勝した。このほか上伊那勢は、武井博史(上伊那農)が千メートルで2位、1500メートルで3位だった。
小林は初日の1万メートルで自己ベスト記録を約29秒縮める14分51秒13を記録するなど、今シーズンに向けた練習成果を結果に出し、笑顔を見せた。しかし、カーブでのスケーティングにまだ課題があるとし、「みんなで励まし合いながら頂点を目指したい」とインターハイを見据えた。
昨年のインターハイ1500メートル覇者の武井は調整不足により力を発揮できなかった。それでも最終日の千メートルは「今シーズン一番のスタートダッシュだった」と手答えを感じた様子。「あとは自分の滑りをどこまで取り戻せるか」と巻き返しを誓った。
各種目上位16人(リレーは上位8チーム)がインターハイ(来年1月21縲・4日・山梨県)の出場権を獲得。大会結果(上伊那関係分)は次の通り。
【男子】
▼500メートル (1)小林拓斗(岡谷南)1分16秒42(1回目(1)38秒11、2回目(1)38秒31)、唐沢郁弥(上伊那農)=失格▼千メートル (1)原宏彰(佐久長聖)1分15秒43(2)武井博史(上伊那農)1分15秒86(13)唐沢郁弥(上伊那農)1分31秒94▼1500メートル (1)原宏彰(佐久長聖)1分59秒49(3)武井博史(上伊那農)2分0秒82▼5千メートル (1)小林成光(上伊那農)7分12秒23(13)唐沢俊樹(箕輪工)8分41秒19▼1万メートル (1)小林成光(上伊那農)14分51秒13(7)唐沢俊樹(箕輪工)18分30秒2 -
上伊那地区労働組合会議が「一人一握り運動」で集めた支援米を発送
上伊那地区労働組合会議(22単組、宮島良夫議長)は14日、各組合から集めた国際支援米717キロを、長野市に向けて発送した=写真。
取り組みは同会議が毎年国際支援活動の一環として取り組んでいるもの。「一人一握り運動」と題して組合員一人ひとりが家にある米を少しずつ持ちより、食料不足に苦しむ海外の国へと発送している。
米は他地区から集まった米と一緒にアフリカのマリ共和国に送るため、この日は上伊那地区で集まった米を他地区からの米が集まる長野市に向けて発送。
上伊那地区では今年、昨年の倍近い米が集まった。
宮島議長は「こうした取り組みが本当の国際貢献につながると思う。日本が戦争をせず、こういう取り組みを続けていけば、世界は平和になるのではないか」と話していた。
支援米は来年1月にマリ共和国に発送する。 -
上伊那地区野生鳥獣保護管理対策協議会が伊那市長谷地区で一斉捕獲
上伊那地区野生鳥獣保護管理対策協議会は15日、伊那市長谷地区の三峰川上流でニホンジカの一斉捕獲を実施した。上伊那猟友会会員185人の協力のもと、73頭を捕獲。前回伊那市高遠町の入笠牧場で捕獲した頭数と合わせ、約100頭を捕獲したことになるが、現在のところ、目標捕獲頭数である200頭の約半分ほどに留まる。
今後は中川村でも上伊那猟友会の協力のもと、一斉捕獲を行う。 -
上伊那広域連合ごみ処理基本計画推進委員会、検討結果報告書まとまる
上伊那広域連合の新ごみ中間処理施設の施設規模などを検討してきたごみ処理基本計画推進委員会が15日、伊那市内であり、これまでの検討結果を事務局がまとめた報告書案を承認した。今後、今回指摘があった一部を修正した報告書を、19日に小坂樫男広域連合長に提出する。
報告書には、現状から試算した新施設の処理能力は一日当たり149トン。関係市町村が具体的に取り組むごみの減量化、資源化施策などを明文化した。施設規模については、施設建設時までに更なるごみ減量化、資源化を進め、実態に即した施設規模とすることを求める提言を盛り込んだ。また、同委員会では最終処分場の掘り起こし残さなど4品目を新施設の処理対象物とする方針もまとめたが、最終処分場として再利用する箕輪町のクリーンセンター八乙女の周辺住民に、十分な説明を行うことを、付帯意見に盛り込んだ。
これにより、同委員会の役割は一端終了するが、今後も年に数回委員会を開き、各市町村が実施するごみ減量化施策などを検証していく。
小沢陽一委員長は「今後も検討を重ねる中で、ごみ減量の具体的な数値目標も委員会として出し、各市町村統一して努力を図っていけるようにしたい」と語った。 -
JA上伊那あぐりスクール伊那校の修了式
上伊那農業協同組合(JA上伊那)が小学生への食農教育の一環として実施している「あぐりスクール伊那校」の修了式が15日、伊那市狐島の本所であった。修了式に合わせて行われた最後の授業には、今年の4月から米や野菜作りに取り組んできた小学生80人とその保護者らが集まり、しめ飾り作りやもち付きを体験した=写真。 正月を間近にひかえた最後の授業では、昔ながらの伝統文化に触れてもらおう竏窒ニ、しめ飾り作りともちつきを企画。飯島町在住の佐々木恒雄さん(75)を講師に迎え、子どもたちが収穫した稲わらをつかって親子でしめ飾りづくりに挑戦。しめ飾りを自宅で作る人も少ない中、子どもと一緒に参加した保護者も悪戦苦闘しながら、わらの綯い方を教わっていた。
4月からあぐりスクールに参加してきた久保村美公さん(12)=東春近=は「農業は初めてだったけど、いろいろな作物を作ったりできて楽しかった」と語った。また、ともに参加した母親の利子さん(42)は「家ではほとんど機械でやってしまうため、野菜が育っていく姿を見ることができないが、作物が育つ姿を見ることができて良かった」と話していた。
修了式では、児童全員に修了証書が授与された。 -
上伊那の芋焼酎「伊那八峰」発売
関係者や消費者で試飲会上伊那産サツマイモ原料の芋焼酎「伊那八峰」が14日、発売になった。市町村別10種類の芋焼酎で、同日夜に試飲会が伊那市駅前ビルいなっせであり、酒販売店、生産者、消費者ら約40人が07年の新酒を味わった。
地域の特産品開発の一環として、サツマイモの栽培から販売までを手がけようと賛同者が取り組み、2年目。今年は南箕輪村が新たな組織を作り「大芝の華」の名で販売する。
仕掛け人である飯島町の池上酒店店主の池上明さんは、「2年目で盛り上がりが出来てきた地域がたくさん出来た。今年の完成具合を飲みながら話してほしい」とあいさつ。参加者は「口当たりがやわらかく甘みもある。女性にも飲みやすいと思う」と話し、生産者は焼酎を飲み比べ、「自分たちで作ったから自分の子どものようで、自分の焼酎が一番おいしい」と自慢し合っていた。
喜久水酒造(飯田市)で醸造。アルコール分25度。1本720ミリリットルで1250円(外税)。専用の贈答箱(別売り)も作った。上伊那の酒販売店で1万5千本を販売。初回分は6460本。 -
廃棄物不法投棄防止を協議 不法投棄防止対策協議会
地方事務所や市町村、県産業廃棄物協会南信支部などによる上伊那地区不法投棄防止対策協議会は14日、フェンスやネットを張るなど対策を講じた宮田村と南箕輪村の不法投棄常習個所を訪れ状況を確認し、伊那市の県伊那合同庁舎で管内の不法投棄の現状や防災対策について話し合った。
上伊那地方事務所によると管内の不法投棄件数は、本年度10月までに302件(05年度同期326件、06年度同期282件)で前年に比べ増えている。道路、山林が多く、一般廃棄物が302件中293件と、ほとんどを占めている。
投棄者が判明したのは302件中22件。岡谷警察署は「時間が経つにつれて追跡が困難になる」と不法投棄の早期発見の重要性を訴えた。
協議会はこれまでに不法投棄監視連絡員による監視やヘリコプターによるパトロール、フリーダイヤルの不法投棄ホットライン(TEL0120・530・386)の設置などをしている。 -
「上伊那在住外国人共生ネットワーク」三者懇談会
国際交流ボランティアや各市町村の防災担当者などによる「上伊那在住外国人共生ネットワーク」は、外国人の防災について検討、学習するため、派遣請負業者などを交えた三者懇談会を13日、伊那市役所でした。
共生ネットワークは、昨年7月の集中豪雨の際、在住外国人が避難していなかった事例を踏まえ、災害時における在住外国人の安全確保のために、NPO法人伊那国際交流協会(若林敏明理事長)の呼び掛けで今年2月に結成した。
懇談会では行政の防災担当・国際交流担当、民間の国際交流団体、派遣請負業者らがそれぞれ意見を出し合い、情報を交換した。
また懇談会では同ネットワークが作成した「防災リーフレット」を、それぞれの代表者に渡し、在住外国人への配布を呼びかけた。
リーフレットには英語版・中国語版・ポルトガル語版・日本語版の4つがあり、地震についての説明や、身を守る方法、避難所への避難の呼びかけ、市町村の連絡先、防災のため事前にできることなどが記載されている。氏名や住所、最寄りの避難所、話せる言語、大使館の電話番号、国内の連絡先、国外の連絡先などを記載する欄もあり、事前に記載しておくことで災害時に身分を証明する手助けになる。
上伊那在住外国人共生ネットワークは、希望者にリーフレットを無料配布する。ぜひ知り合いの外国人へ配ってもらいたいという。
問い合わせは事務局(TEL72・7706)へ。 -
マリ共和国に援助米
南箕輪中生徒会の落ち穂拾い米など発送飢餓に苦しむ国に援助米を送る「国際協力田運動」の合同発送式が14日、活動に参加している南箕輪村立南箕輪中学校であった。アフリカのマリ共和国に送るため、運動に取り組むJA上伊那に寄せられた援助米をトラックに積み込んだ。
南箕輪中生徒会伝統の落ち穂拾いで集めた米は、94年から飢餓に苦しむ国に送っている。今年は10月12日に全校生徒が落ち穂を拾い、地域住民から寄せられた米も合わせ玄米で160キロになった。
JA上伊那の春日営農担当常務は「皆様のご協力で援助米を送れることは大変ありがたい」と感謝。南箕輪中地区生徒会長の岡部啓祐君が「自分たちの力がどこかの国で困っている人のためになるならと、全校の力を合わせて活動してきた。援助米が1人でも多くの方の役に立ち、喜んでいただけるといいなと思う」と発送メッセージを寄せた。
協力団体と援助米は南箕輪中のほか、赤穂東小学校5年生60キロ、青壮年部美篶支部300キロ、農団労上伊那360キロ、あぐりスクール生徒120キロ。米袋にバマラ語で「皆さんのために作りました」「いつか会えますように」などのメッセージを書き込んである。
全県では18JAが参加し7180キロ集まる見込みで、来年1月下旬に東京港に送り、マリ共和国に届ける。 -
上伊那水田農業推進協議会で08年産米の市町村別生産数量目標決定
県や市町村、農業団体などでつくる上伊那水田農業推進協議会が14日、伊那市内であり、08年産米の市町村別生産数量目標を決定した=表。県の協議会から上伊那地区に配分された08年度産米の生産目標数量は3万523トンに基づき、上伊那8市町村の当初数量目標を配分。しかし、上伊那としては今年の生産実績、3万1770トンの生産規模を維持する方針で、県の当初数量目標との間に生じる差量1247トンについては、加工用米などの非主食用米や地域間調整で対応していく。
県水田農業推進協議会から上伊那地域に配分された08年の当初数量目標は、今年より1・5%多い3万523トン。上伊那水田農業進行協議会はこの当初目標から自家消費分(1万6418トン)などを除く産地意向枠(1万4105トン)を算出し、県の算定ルールをベースとした上伊那独自の算定ルールにより、各市町村に当初生産目標を配分した。
08年当初数量目標に基づく各市町村の当初目標は▽伊那市1万3001トン▽駒ヶ根市5255トン▽辰野町1767トン▽箕輪町2581トン▽飯島町3198トン▽南箕輪村1697トン▽中川村1523トン▽宮田村1501トン竏秩B
しかし、加工用米や地域間調整などに取り組むことで、昨年の生産実績を維持する方針。また、これまで加工用米の出荷契約は特定の市町村に集積してきたが、08年度産からは各市町村に割り振り、契約する方針で今後調整を図る。 -
家畜用飼料稲、生産に向けた体制づくり検討へ
主食用米需要が減少する中、米の生産規模維持を目的として上伊那水田農業推進協議会は来年度、転作扱いとなる家畜の飼料用に生産した稲に、上伊那全域のとも補償から補てん金を拠出する体制づくりができないかを検討していく。現在上伊那では、生産調整のために生産した加工用米に対し、上伊那全域のとも補償制度で価格補てんを行い、加工用米でも主食用米と同等程度の価格になるようにしている。こうした体制を家畜飼料用稲についても整え、水田面積の維持と畜産飼料の自給率向上につなげたいと考えている。
家畜用飼料稲の生産には、国の助成制度もあり、県内でも転作の一環として取り組んでいる市町村もある。上伊那でも駒ヶ根市の一部でこうした取り組みを行っている。
一方、輸入飼料の高騰により、畜産農家の間では自給飼料へのニーズが顕著化。酪農が盛んな上伊那でも、飼料用稲の潜在的な需要があると見込まれる。
しかし、飼料用稲の栽培は助成を受けても主食用米より価格落ちするのが現状で、地域的に普及させるのが難しい。そのため、こうした飼料用稲の生産に対しても加工用米のようなとも補償が構築できないか模索し、転作田の核となる土地利用作物の可能性を検討する。
上伊那地方事務所によると、県内でも飼料用稲に対し、とも補償制度を用いている地域はないという。
まずは、同協議会で対象となる水稲生産農家の意向を確認するほか、上伊那農業協同組合(JA上伊那)が中心となって飼料を利用する畜産農家の調整を図っていく。 -
上伊那地域ふるさと市町村圏計画後期計画第2回審議会
上伊那地域ふるさと市町村圏計画後期計画を審議する2回目の会議が13日、伊那市であった。委員らの意見をもとにして、後期基本計画素案に追加する修正個所などを確認。最終の審議会で修正を加えた答申内容を確認し、来年1月15日に小坂樫男広域連合長へ答申することとなった。
事務局では、前回審議会などで各委員から出された73の意見をもとに、各項目を再度検討。委員から新たに提案された土地利用計画や市街地づくりなどの計画立案に際して、自然環境に配慮することや、森林機能の活用、観光面での資源開発、担い手育成などを推進することなどを新たに追加することを案を提示し、了承を得た。