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山ぶどうワイン4年連続で県原産地呼称に認定
宮田村の特産品山ぶどうワインの「紫輝」と「駒ケ原」の2006年産2銘柄が9日、高品質の県内産製品であることを証明する県の「原産地呼称管理制度」に認定された。東京都内で開かれた著名なソムリエらによる審査会で決定。4年連続の認定に、地元栽培者や醸造元の本坊酒造など関係者は「さらに良いワインにしたい」と喜んでいる。
同村では13戸の農家が山ぶどうの交配種ヤマソービニオンを栽培。村内の本坊酒造信州工場で醸造している。
新酒として昨年末に6千本余りで発売した「紫輝」は売れ行き好調で、ほぼ底をついている状態。
熟成タイプで3月発売予定の「駒ケ原」は今回審査にタンクが違う2種類を出品し、いずれも認定を受けた。
栽培の安定により、品質とともに年々収獲量も高まっていることから、今後は販路拡大が急務。
昨年はスーパー「ジャスコ」などを経営する大手流通業のイオンが、首都圏の店舗などで「駒ケ原」の取り扱いを開始するなど、作りのこだわりにも注目が集まってきている。
「ヤマソービニオンは宮田と定着しつつある。こだわりを着実に情報発信し、栽培、醸造技術ともさらに研究を深めたい。他製品への活用も必要」と同工場長の藤野公宏さん。
関係者でつくる推進会議などが連携し、さらなる飛躍を目指したいと話した。 -
箕輪町水田農業推進協議会
箕輪町水田農業推進協議会は9日、町役場で開き、07年産米の生産目標数量などを示した。
07年産米の生産は、売れる米づくりの促進のため、06年産の生産と同規模で、06年生産数量を目標値とする。町の数量目標は2700トン、作付け面積は436・74ヘクタール。
06年度の水稲生産実績も示した。限度面積は438・11ヘクタール、確定面積は426・64ヘクタール。目標達成率は97・38%だった。
協議会に引き続き開いた水田農業推進地区委員長会では、地区別の水田面積配分を示し、今後の事務手続きなどを説明した。 -
中川産大豆で試作した豆腐を試食販売、好評につき、ほぼ完売
中川村の地産地消による特産品づくりを進める村営農センターは、村内産大豆百%を使い、村内のすいれい豆腐の協力で試作した絹ごし豆腐の販売を8日、村内の生鮮食糧品店などで行なったほか、役場や関係機関で予約販売した。「大豆本来の味がする」「すごくおいしい」と好評でほぼ完売した。今後、意見、感想を聞き、商品開発に活かす考え。
大豆は片桐中央の松下保正さんが栽培した「ギンレイ」、120キロ用い、千丁つくった。
このうち、チャオ生鮮食品館では、発売と同時に、多くの主婦が豆腐コーナーに集まり、「賞味期間が長いから」と2丁、3丁、中には6丁もまとめ買いするなど好評だった。
試食した中田美津江さん(南陽)は「大豆の甘さ、香りの良さ、本当おいしい」と話していた。
また、9日は村内の福祉施設、宅幼老所、保育園など8カ所に計160丁無料配布した。 -
生産者と給食ともに交流深め
宮田村の宮田中学校で7日、地産地消を目的に上伊那農協が食材を無償提供した給食があり、生産者や農協理事らが生徒と一緒に食べて交流も深めた。
管内小中学校、養護学校52校に食材を提供する「農と食の給食交流事業」で、昨年に続き2回目。
ネギ、卵、シメジが寄せられ、この日の同校の給食ではすいとん汁や茶碗蒸しに。村内の農事組合法人「ひかり」が生産するシメジは、煮付けに調理された。
農協の新谷秀子理事、「ひかり」の小林壮之助組合長ら4人が同校を訪れ生徒と会食。
新谷さんは「生産者はみんなの体のことを考え、頑張って野菜や果樹をつくっている。安全安心な地元のものを食べてください」と呼びかけた。
美味しそうに給食を食べる生徒の姿に小林さんは「地元の農業を理解することにもつながり、良いことだと思う」と目を細めた。
宮田村ではこの日以外にも小中学校の給食に地元産の食材を積極的に活用しており、生産者との交流も定期的に深めている。 -
南箕輪村水田農業推進協議会
村水田農業ビジョン見直し案を承認南箕輪村水田農業推進協議会(唐木一直会長)は6日、村役場で開き、水田農業構造改革対策の「南箕輪村水田農業ビジョン」の見直し案を承認した。
水田農業ビジョンは04年度に作成。3年間経過したことや、06年11月に集落営農組織「南箕輪村まっくんファーム」を設立したことなどから今回見直した。
目標・施策の一つに、担い手の育成と支援を挙げ、具体策に「まっくんファーム」の育成と支援(法人化に向けての取り組み)、認定農業者への支援を盛り込んだ。このほか▼振興園芸作物の産地化▼水田農業の多様性の尊重(環境保全型農業への取り組み、観光・体験型農業に向けての検討)▼低コスト農業への取り組み-も掲げた。
会議では、07年度水稲生産目標数量配分計画も報告した。村の配分面積は約270ヘクタール。昨年度と同じ数量で、地域間調整をしながら作付けする計画で、事務手続きを説明した。直播栽培の積極的な取り組みへの理解も求めた。 -
自分たちの大豆を味噌に、宮田小5年2組が昔ながらに仕込みに挑戦
宮田村の宮田小学校5年2組は7日、自分たちで育てた大豆を使って、味噌の仕込みを行なった。農産物の加工に詳しい酒井昌子さん=大田切区=、村農業委員の有賀絹代さん=北割区=、樋屋喜代美さん=大田切区=らの指導で、昔ながらに手作業で挑戦。大地の恵みの奥深さにふれ、現代社会で希薄になりつつある・ス手づくりの尊さ・スを肌で感じた。
かつては村内の多くの家庭が自家製で味噌をつくったというが、大半の児童は初体験。
11月に収獲した110キロの大豆のうち、30キロを使って仕込んだ。
前日に水洗いして下準備しておき、この日は大きな釜で煮ること4、5時間。ようやくゆであがり、つぶした後に熱を冷ますためシャモジでかき混ぜた。
塩とこうじを混ぜて、今度は手で持ち上げるようにさらに根気良くかき混ぜる。「ねちゃねちゃして変な感触」「豆のいい匂いがする」と歓声をあげ、作業は順調に進んだ。
手の平大の団子状にかためて、たたきつけるように空気を抜き、木樽の中へ。手作りの大変さとともに、楽しさも体で感じた。
同学級は村農業委員会の協力で、春から大豆栽培に挑戦。収獲した豆は良質で、サラダなどで全校の給食に出したほか、先日は豆腐づくりにも挑戦した。
児童の充実した表情に「自分たちの大豆に愛着もあるはず。一粒も残さないと取り組む子どもたちの姿に感心した」と酒井さん。
味噌は6カ月ほど直射日光の当たらない所で寝かせ10月末には完成するが、「味噌汁にしたい」「餅につけたら美味しいかな」と児童の笑顔がはじけた。 -
県農村生活マイスターを取得
伊那市西春近
唐木みはるさん(51)1月は3日からネギむきを始める。そのうち花の出荷が始まり、2月はアスパラのビニールがけ、収穫をしながら水稲苗を育苗する。畑と田植えの時期が始まり、夏の草取りに追われているといつの間にか稲刈りの時期。それと同時にネギの出荷も始まり、年末まで続く竏秩B
「毎日仕事が『やってくれ』って言ってくる。でも、毎日お日様と向き合っているから、風邪も引かなくなりました」
◇ ◇
今年1月、県が取り組む「農村生活マイスター」に認定された。農村生活マイスターは、農家・農村社会の発展を目指し、地域農業の振興やむらづくりに積極的に取り組む女性農業者に贈られる称号。県内のほかの地域から集まってきた女性農業者9人と臨んだ1年間の研修では、互いの悩みを打ち明け合える仲間もできた。
「最初は内容もよく知らなかったのだけど、お父さんが『いいじゃんけ、骨休めにでも行ってこいや』って言ってくれて。地粉を使ってパン作りをしている人や野草レストランを立ち上げようとしている人なんかがいて、一生懸命農業と向き合う人たちとの交流が何より楽しかったです」
◇ ◇
兼業農家だったが、子どもが生まれ、「この地に根をはって生きていこう」と夫婦二人で考えた結果、専業になることを決意した。それから20年、毎年が試行錯誤の連続だった。アスパラから入り、「なんとか農業だけで生活していけるように」と工夫を重ね、現在は水稲を中心にアスパラ、シロネギなどを生産するようになった。 「大変でも自分たちで決めたことだから弱音も吐けないんです。もともと土を触ることは好きだったし、何より太陽の下で働くのは楽しい」と笑う。
作物は正直で手をかければそれに応えてくれ、手をぬけばその分のしっぺ返しがある。
毎年気候も土の状態も異なるため、その年ごとに新たな気持ちで臨まなければならない。そうやって迎える喜びの収穫を迎える。
最近はようやくネギが何をしてほしいかようやく分かるようになってきた。
数年前からは、自分たちが食べても安全なものを竏窒ニ、生ゴミから作る環境に優しい肥料を使っている。コストがかかる分、従来より価格は高くなったが、直売所のリピーターも増えた。
「農業をやっていると自然環境のことに目が向くようになって。今の肥料を使うと、野菜の甘味や柔らかさも増す気がします。ちょっと高いかなって思っても直売所で『取り置いてほしい』って言ってくれるお客さんもいる。そういう風に理解してもらえることは嬉しいしありがたい。今はどんどん高齢化が進み、農地を預けたいという人が増えている。基本は家族経営だと思うけど、その後に続く人がいないのはさびしい。何とかして青々とした農地を引き継いでいきたい」 -
美篶小学校で上伊那産のシメジを使った地産地消給食
上伊那の農畜産物を知ってもらおう竏窒ニ6日、伊那市の美篶小学校で上伊那農業協同組合(JA上伊那)が提供した上伊那産「やまびこしめじ」を使った給食が出され、児童と生産者が給食交流をした。
取り組みは地産地消を目的とする「農と食の給食事業」の一環で、上伊那農政対策委員会が共催している。
今年は管内にある52の小中学校(養護学校を含む)に食材を提供。各校のメニューに合わせ、やまびこしめじ280キロ、ネギ270キロ、卵10800個、約50万円相当を16日までの間に無償提供する予定で、酪農家が多い箕輪町地区ではJA上伊那が製造販売している「すずらん牛乳」も提供する。
また、期間中は生産者やJA上伊那の関係者などが各校を訪問。ともに給食を食べながら生産現場の声を伝えることで、地元農業への理解を深めてもらおうと考えている。
この日提供したやまびこしめじは、すまし汁となって登場。児童らは「もっとキノコちょうだい」「おいしい」などと話しながらその味を楽しんでいた。
07年度、JA上伊那は各支所単位で近くの小中学校と連携し、上伊那産の農産物を学校給食に供給していく。 -
宮田村の杉山さん、県農業担い手意見発表で最優秀賞
Iターンで就農し、宮田村でリンゴを栽培する杉山栄司さん(31)=南割区=が、「明日の長野県農業を担う若人の集い」(2日長野市、県など主催)意見発表で最優秀賞に輝いた。農業という新たな生活を踏み出すことによって得た、人と人とのつながりを発表。かけがえのない大切な絆(きずな)、感謝の想いが今の生活の・ス土台・スにあると伝えた。
意見発表には県内各地区の代表8人が出場。いずれも20、30代の若い担い手が、農業にかける夢、想いなどを語った。
杉山さんは「私のおもい」と題して発表。脱サラして大阪から単身で就農した経過を語り、2年間が過ぎた宮田での生活についてもふれた。
苦しい時も励ましてくれたり、困った時に支えてくれた周囲の笑顔。関わった全ての人に感謝しながら「これからも人とのつながりを大切にしていきたい」と8分間の発表を終えた。
「言いたいことがたくさん一杯ありすぎて」と杉山さん。昨年秋には結婚して大好きな宮田村に骨を埋める考えだが「農業をやれるのも人とのつながりが土台にあってこそ」と話す。 -
農地保全向上対策導入、組織発足へ
農家だけでなく地域全体で農地を守ろうと始まった国の「農地・水・環境保全向上対策」で、宮田村も導入し、区と農業農村支援センター、営農組合で組織を発足することになった。対象区域は村内一円450ヘクタールで、11区全てが参加。国、県などの助成を受けながら、農地、農業施設関連の管理、環境整備などを地域協力で進めていく。
助成は住民の共同作業による管理、整備事業が対象となり、雑草の駆除、施設周辺の花壇整備から用水路の井ざらいなどまで多岐に及ぶ。
村では「向上対策会議」を設け、3月をめどに規約や活動計画を作成。新年度から実施に向けて取り組む。 -
多彩な花色、咲き方で「はまる」面白さ
うつむき加減に咲く花はバラ(ローズ)というには余りにつつましく、そそと咲く風情はシャクヤク(和名寒シャクヤク)にも似ず、可れん。
耐寒性に優れた常緑宿根草で和風の庭にも洋風庭園にも合う。花の少ない冬から早春に咲き、5月まで楽しめる。
キンポウゲ科の多年草で、原産地はヨーロッパ、特にバルカン地方に多くの原種が見られる。
数種の原種同士の人為的交配により、オリエンタリス系が登場。以後、自然交雑や交配により、花色は白、桃、紅、黄色、緑から黒までと、無数の中間色がある。咲き方も一重から八重、セミダブル(アネモネ咲き)。花の模様も無地から、スポットのあるもの、固まってあるもの、編模様、覆輪と多彩。花色と花の模様、咲き方の組み合わせで花の種類は無限。1度栽培したら「はまる」面白さ。清楚な美しさに引かれ、5千鉢を育てる宮沢繁夫さん(飯島町鳥居原)、洋風庭園で百株余を咲かせる中城澄子さん(駒ケ根市北割1区)、地元産からメリクロンの最新品種までそろえるグリーンファーム(伊那市ますみケ原)で取材させていただいた(大口国江)
##(中見出し)
鑑賞期間が長く、自然交配で色々な花が出るのが魅力、宮沢繁夫さん
「花弁に見えるのは実はがくで、花弁は退化し、密腺となっている。がくは数カ月も散らないため、長く楽しめる」。
飯島町鳥居原の宮沢繁夫さんの140坪のハウスでは、純白から濃赤までオリエンタリス系のクリスマスローズ約5千鉢余が咲き始め、3、4個開いた鉢から、枯れ葉を取り、雑草を抜くなど、出荷作業に追われている。
宮沢さんは昨年末に出荷が終わるシクラメンの後作にと、10年前にオリエンタリス系を導入した。
11月初旬に自家採取の種を箱まき。翌年4月本葉2、3枚で9センチポットに移植。翌々年1月15センチの鉢に植え出荷する。3年がかりの時間の掛かる花だが「年末までは戸外で、シクラメンの出荷が終わった後、ハウスに取りこむ。燃料費も手間も余り掛からない」。耐寒性はあるが、夏の暑さに弱いとか。
「自然交配でいろいろな花が咲き、派手ではないが、魅力的な花。庭があれば、落葉樹の根元に植えておくと、大株になり、管理も楽」と話す。
##(中見出し)
オリエンタリス系や有茎種など百株余を育てる中城澄子さん
駒ケ根市北割の五十鈴神社近くで手づくりガーデン喫茶「プチ」を営む中城さんもクリスマスローズにはまっている1人。「高齢になって、手が掛かるバラが作れなくなったら、庭一面にクリスマスローズを植えたい」。
10数年前、庭を手作りした時に数株植えたた。繁殖力が旺盛で、日陰でもよく育ち、花弁が丸く、白から赤、緑、神秘的な黒まで色彩豊かなオリエンタリス系が早春から次々と咲く。
また、太い茎が50センチ以上伸び、緑色の小さな花が葉の上で群がって咲く有茎種(木立性)の「ファヌチス」も数株あり、雪の中でも元気、不思議な景色を作っている。
「ほかの花の邪魔にならず、ほっといても頑張っている。種が落ちてどんどん増える。花のない冬期間ずっと咲き続けている」とすっかり気に入っている。
##(中見だし)
花色豊富、咲き方も多彩、最新花も並ぶ、グリーンファーム
伊那市ますみケ丘の産直市場、グリーンファームでは、地元の農家が出荷したオリエンタリス系の多彩な花が並んでいる。白からピンク、濃い赤、グリーン系など様々な色、咲き方も一重やセミダブル、八重と多彩。
また、市場仕入れのメリクロンの最新花、真紅の「ペギーパラード」、オレンジ系の「テリックスミティーII」など大輪で鮮やかな花色の種類や、灰緑色の葉がシックな有茎種「アーグチフェリス」など珍しい種類も並び、目を楽しませてくれる。
◇◇
こぼれ話
クリスマスローズの名の由来はクリスマスの頃咲くバラのような花の意味、ノイガー(ニゲル)のように名前の通り、12月末ころ咲く原種もある。
古代ギリシャ時代には根は狂気を治す霊薬の1つと信じられ、花言葉は「私の不安を救いたまえ」。
また、「幼子イエスを祝福する花」とも呼ばれる。これは貧しい羊飼いの少女が、天使の助けで、雪の中に咲く、この花を摘み、神の子イエスに贈ったという伝説から。 -
【権兵衛開通1年~その後の地域~(農産物交流)】
伊那地域の人にも木曽の赤カブを知ってもらおう竏秩B昨年11月、木曽の赤かぶの継承と特産品の開発に取り組む「木曽赤かぶネット」のメンバーは、「木曽の赤かぶフェアin伊那」を伊那市内で開いた。トンネルの開通に合わせた初の試みだった。PR販売で伊那地域の消費者と触れ合った赤かぶネット代表の西尾礼子さん(66)は「互いの地域にない農産品や特産品が行き来するようになればいいですね」と期待を込めた。
実際、権兵衛トンネルを通じた農産物交流はすでに始まっている。
トンネル開通以降、木曽から足を運ぶ消費者が増えた伊那市ますみヶ丘の農畜産物直売所「グリーンファーム産直市場」には、農産物を持ち込む木曽地域の生産者も増えている。現在、直売所の利用者登録をしている生産者は3人。しかし、キノコや山菜の時期には飛び込みで持ってくる人も多いという。
小林史麿代表は「今は農産物がない時期だが、カブの時期には、生産者が毎週カブを持って来ていた。『こんなものが売れるかと思って持ってきた農産物がみんな売れてしまった』と話す生産者もいる。今年はこういう人がもっと増えると思う」と語る。
店頭には、木曽の特産品である赤かぶの漬物やすんき漬けも置いているが、売れ行きは上々だという。
◇ ◇
一方、上伊那の生産者にとっても、木曽地域は地元農産物をPRする新天地となり得る。
基本的に農地の少ない木曽地域では、一人当たりの耕作規模も小さく、出荷のために農産物を生産している農家が少ない。主要品目はハクサイ、スイートコーン、インゲンなどに限られているが、地場消費に充てる程度の農産物を生産する地元農家が多く、こうした生産者が農産物を販売する手段として直売所活動が活発化。ウメ、ブルーベリー、リンゴ、花きなど、さまざまな農産物が直売所を通じて販売されている。しかし、こうした農産物は絶対量が少ないのが実情。
木曽農林振興事務所の職員は「果樹関係については、一部で生産している人もいるがほとんどが贈答用。昨年は三岳の直売所が下伊那の果樹生産者と提携して果物を販売した経緯もある。こちらの地域で弱い果樹関係や、生産されていない品種の花などは、上伊那から持ってきても販売の余地があるのでは」と語る。
しかし、木曽町の「道の駅三岳」の農産物直売所を利用する生産者の一人、田上勘一さんは、木曽地域の直売所事情を踏まえて次のように話す。「農産物交流についてはぜひやってみたいという思いもある。しかし、その場合は流通コストに見合うような売上が必要。時期にはわざわざ名古屋方面などから足を運んでくれるお客さんもいるが、時期外れが問題」
◇ ◇
そんな中、上伊那農業協同組合(JA上伊那)は、今年から本格的に農産物出荷を始めようとしている。
トンネル開通以降、JA上伊那は果樹や花などを木曽福島町にある「Aコープきそ店」などで試験的に販売してきた。木曽農業協同組合(JA木曽)が企画した地元イベントでは、上伊那の特産品として売り出している「すずらんのむヨーグルト」の試飲会を実施。あっという間に売り切れて好評だったという。
JAでも互いの地域にない農産物に関してはニーズがあると見込んでおり、地域間連携で農畜産物をやりとりしていこうとしている。
現在、Aコープきそ店は、別の地域で生産しているヨーグルトを販売しているが、今後はJA上伊那のヨーグルトに切り替える予定だという。 -
Aコープ豆まき
宮田村のAコープ宮田店は3日、節分恒例の豆まき大会を同店駐車場で開いた。豪華商品や半額券などが当たる福豆がまかれ、家族連れなど多くの人たちで賑わった。
今年は週末とも重なり、村内の保育園児を迎えた豆まきは中止。その分、福豆を増やして、サケやズワイガニをはじめ豪華商品300本ほどを用意した。
例年よりも多い250人ほどが会場に。「鬼は外、福は内」のかけ声とともに農協理事らが、商品があたる引換券を豆とともに天高くばらまいた。
さっそく豆をつかみ「卵や生活用品の半額券もあり、大助かり」と喜ぶ家族の姿も。子どもたちには福豆やスケッチブックのプレゼントがあった。 -
第12回ウインター2007信州フラワーショー開催
県内の花き生産者が手塩にかけた秋冬期の切り花や花木が並ぶ「第12回ウインター2007信州フラワーショー」が1、2日、伊那市狐島のJA南信会館で開かれている。アルストロメリア、アネモネなど、今の季節に栽培されている代表的な花々356点が、来場者の目を楽しませている=写真。JA全農長野など主催。
花き生産物の技術改善と品質向上、花の消費拡大などを目的とする品評会。冬期に開催する花のイベントの中では県下最大の規模を誇る。
出展数は昨年より30点ほど多く、約8割が上伊那の生産者。県生産の90%を上伊那が占めるアルストロメリアの出展数が最も多く、花木ではサクラやレンギョウなどが並んでいる。また、今年はダリアの出展も多いという。
審査には、関東、中京方面の花き卸売業者や県の技術指導員などが参加し、一つひとつ品質や生育状況などを見比べた。
担当者は「今年も高品質のものが集まってきている。アルストロメリアは透明感のあるピンクや薄紫色、エンジ色などといった新品種も増えている」と話していた。
2日の一般公開は午前9時縲恁゚後1時。展示予約販売品の引き渡しは午後1時縲恁゚後2時。 -
なかざわ農業生産組合設立
駒ケ根市中沢区の農業者211人でつくる集落営農組織「なかざわ農業生産組合」の設立総会が30日夜、同区のJA駒ケ根東支所で開かれた。関係者約50人が出席し、規約、07年度事業計画・予算案、役員などを承認した。北澤満理事長は「1年間かけて準備を進めてきたが、集落営農のメリットは正直言ってまだ分からない。しかし10年後、20年後に、やって良かったと言えるような組織づくりを進めていきたい。問題があれば一緒に考えていこう」とあいさつした=写真。
同組合は5年後の12年をめどに法人化し、作付け面積を現在の82ヘクタールから186ヘクタールに、年間生産量も現在の米398トンから、米815トン、大豆6トン、ソバ30トンに増加する計画。
役員は次の皆さん。
▽理事長=北澤満▽副理事長=春日利一、五味明巳▽理事=北沢克彦、北原尚人、所河昌昭、林喜久男、宮下芳春、内城政利、池上哲衛、竹村務▽監事=菅沼幸弘、宮脇健介 -
梅公園で初のせん定作業
宮田村の有志でつくる村おこし事業実行委員会は27日、会員が中心となって整備管理し、開園3年目を迎える新田区の梅公園でせん定作業を行なった。園内に植えられた30本の梅を枝打ち。見事な花が咲き誇る春の開花に思いを寄せた。
園内の梅は箕輪町から移植してきたものが中心で、土に慣れてきたことからせん定を初めて本格的に実施。
木全体に日が当たるように余分な枝を取り払い、保護のために薬剤なども塗った。
駒ケ岳から吹き降ろす風は冷たさを増したが、会員は熱心に作業。田中一男会長は「春には今年も花見イベントなどを計画し、多くの人に来てもらいたい」と話した。 -
花の直売所「はなまるファーム」をオープン
伊那市西箕輪
加藤晴泰さん
加藤定子さん明るいハウスの中には、冬の寒さを忘れさせてくれるようなかわいらしい鉢植えの数々が並んでいる。「この時季は花も少なくなるけど、できるだけここの環境に合った花にしようって集めています。見てください。うちのかわいい子を」。定子さんはちょっと風変わなビオラを笑顔で差し出す。
昨年末、念願だった直売所をオープンした。互いに「直売所をやりたい」という思いを抱いていたが、二人で取り組める形を考えた結果、花の直売所にたどり着いた。
「ここならいつも作業をしているわけだし、来てくれたお客さんに生産者の目線からアドバイスすることもできる。もともと営業をやっていたから、人と話をしている方がいいのかな」と晴泰さん。
それぞれ別の場所で農業とは関係ない職に20年以上携わっていたが、都会での生活に疑問を感じてUターン。晴泰さんは父親の畑を継いでリンゴを、定子さんは以前から好きだった鉢花の生産に携わっていた。直売所に出荷する生産者同士として出会い、2年前に結婚。それを機に、二人で協力しながら互いの作物に取り組んできた。「父親が切り花をやっており、覚えることがたくさんあることも知っていたから『花だけはやるまい』と思っていた。今は毎日が勉強で大変。でも楽しいけど」と笑う。
◇ ◇
他人とはなるべくかかわらない竏秩Bそんな都会暮らしに疑問を感じるようになったのは年を重ねてからのこと。その一方で、人と人とのつながりが息づく田舎の良さを改めて実感。田舎での生活を考えるようになった。
定子さんは一念発起で原村にある八ヶ岳中央農業実践大学校の短期講習に参加。そこで鉢植えづくりの基礎を学ぶ。
切り花のような華やかさはない鉢花。しかし、つくる人が違うだけで同じ種類であってもさまざまな表情を見せる。その魅力に、どんどん引き込まれた。
その後は地元の飯島町の花き生産農家で1年の研修を重ね、ついに自分で作った鉢花を直売所へ出荷する日を迎えた。
初めて出荷したものはブラキカムや小町リンドウなど。数はそれほど多くなかったが、朝、出荷したものが夕方になくなっているのを見て「どんな人が買ってくれたのだろう」と思いをはせた。
「市場出荷だと大量に作らないとならないけど、直売所なら作りたいだけ作って売ることができる。こまめな気配りを積み重ねて、直売所だけで年収300万円を稼いでいるおばあさんの話を聞いたことがあるのだけど、その人は自分が楽しみながらやっていたことに、後からお金が付いてきただけ。違う面から見ると、そういう風に楽しみながらやっていけるんだって思ったんです」
◇ ◇
二人で取り組むようになってからは、一人の時より視野が広がり、気持ち的な余裕も出てきたという。
「一人だと無理をしてぜいぜいしちゃってたと思う。やっぱり、一人よりも二人。これからは、生産者がこだわって生産したものを、ちゃんとした価格で売っていけたらと思っています。『あそこに行ったら面白いものがあったよ』って言ってもらえるようになりたい」 -
「環境」と「食」を考えるフォーラム開催
農業関係者などを対象とした「環境と食を考えるフォーラム」が25日、伊那市狐島のJA上伊那本所であった。環境や食に関わる取り組みを実践している農業関係者の意見交換があり、参加者それぞれが身近なところからことについて考えた=写真。上伊那農業改良普及センターなど主催。
フォーラムは環境に優しい農業や地産地消、食の安全・安心を考えることを目的としたもの。パネリストとして参加した長野県農村文化協会常務の池田玲子さんは、生活改善普及員として活動してきた過去の経験を踏まえながら「食の安心・安全とは、日本で作られた農産物をずっと食べ続けられる関係だと思う。日本はもともと米と大根と豆の地だが、戦後の栄養指導の中で、食文化が変化してしまった。日本人の食をどうやって取り戻すかが食の安全につながるのではないか」と指摘。その上で、こうした過去を知る世代の人がもう一度立ち上がり、それぞれの地域にある食文化を伝えていくことなどが重要であることを訴えた。 -
山ぶどう今年の収量目標35トンに
ワインに製品化する宮田村の特産山ぶどうの本年収量目標が、過去最高だった昨年をさらに上回る35トンに設定された。25日に栽培組合、JA、農業改良普及センターなどが集まった会議で話し合い、さらなる技術の確立と販路の拡大も目指す。
生産開始から7年が経過し、木も順調に成長。栽培農家13戸の技術も上がり、安定的な収量確保もめどが立ってきた。
ただ、軸枯れや花ぶるいなど病害関係に改善の余地を残しており、土壌検査など対策を引き続き実施していく。
収量増加に伴い販路拡大も必要となってきており、関係者で構成する山ぶどうの里推進会議などで検討を深めていく。 -
浜松市農林水産まつりで箕輪町の農産物PR
箕輪町は、静岡県浜松市の可美公園総合センターで20、21日にあった第22回浜松市農林水産まつりに参加してリンゴやナシなどを販売し、箕輪の農産物をPRして盛況だった。
まつりには、浜松市庄内地区と町が友好交流提携を結んでいることから参加している。グリーンセンターみのわ、愛来里、留美庵、みのわ振興公社、野良っ娘の会が、リンゴ、ナシ、長いも、ゴボウ、ソバ、まつぶさワイン、いも焼酎、まんじゅうなどを町のブースで販売した。
リンゴとナシは、試食を用意して販売したが、1日目で完売。急きょ町に戻って追加販売した2日目も完売するほどの人気だった。
町のブースは会場入り口付近だったこともあり、常に人だかりができる盛況ぶりで、「昨日買っておいしかったから今日も来た」と話す人もいたという。 -
花ろまん(9)チューリップ
外は1面の銀世界、寒さは底、待ち遠しいのは赤、白、黄色とチューリップが咲く春。豪華さと愛らしさ、温かさを合わせ持つ、春の花の代表格。原産地は中央アジアから地中海沿岸、ヨーロッパで改良され、多種多様な品種が生まれ、日本には19世紀末に紹介された。上伊那でもオランダから球根が多量に輸入され、切り花や鉢花として栽培し、一足早く春の喜びを感じさせている。今回は切り花生産の所河昌昭さん(駒ケ根市中沢)、本郷農産サービスの小林雄一社長(飯島町本郷)、鉢花を手掛けるトーキーズの唐木隆裕さん(伊那市上牧)の3人に取材させていただいた(大口国江)
##(中見出し)
「花を呼ぶかわいい花」どんどん増やし、9万球を栽培する所河さん
天竜川河畔に展開する所河さんのハウスではチューリップの出荷作業が最盛期を迎えている。
寒さは厳しいが日一日と日ざしが濃くなり、チューリップはたちまち咲いてしまうので
、1日に何度もハウスを見回り、つぼみの色が出始めたものから順に収穫している。
球根はオランダから輸入されたクールチューリップ(低温処理)。ピンク系の「クリスマスドリーム」「ピンクダイヤモンド」ユリ咲きで香りのある「バレリーナ」、黄色の「ストロング」など6種類。現在、JAを通して、東京、大阪方面に出荷している。
昨年11月16日から12月31日まで、約9センチ四方に1球の割合で、ぎちぎちと植え付けた。植え付けから約50日後の元旦から咲き始め、ハウスの中は春一色。
所河さんは葉を痛めないように、1本1本丁寧に抜き取り、土を取り除き、長さをそろ
えて束ね、箱に詰める。
「切り終わって、振り向くと、もう次が咲き始めている。チューリップは時間との戦い。球根代は高く、燃料費が高騰し、採算の良い花ではないが、春を呼ぶかわいい花、これからも作り続けたい」と話す。
##(中見出し)低温で60日掛けて、ゆっくり育てる 本郷農産サービス
飯島町本郷の国道153号沿いに展開にするキュウリ団地の一角に、7万8千本が育つチューリップハウスがある。現在、早生系の「ホワイトフライト」が緑の葉の間から白いつぼみが見え始めた。 花の種類は20種類、ピンク系が6割、赤、白、黄色、紫、覆輪が各1割とか。
キュウリの裏作として15年前から栽培。11月20日から順次植え付け、比較的低温で管理し、60日掛けてゆっくりと育てた。「開いたら、売り物にならないため、作っていても、花が見られない。採算性は悪いが、球根が土壌に残った化学肥料を吸収し、キュウリ栽培の土壌改良ができるという利点もある」とか。
##(中見出し)「色彩の少ない冬を多彩に」トーキーズファーム
伊那市上牧のビニールハウスでピンクや赤、八重咲きなど25種類8千鉢を栽培する。今が早生、中生系の出荷の最盛期で、3月いっぱい続く。
昨年10月中旬から11月末まで、オランダから輸入された低温処理の球根、12個を6号鉢(直径18センチ)に植えつけ、約1週間で発芽。昨年末から、つぼみの先に花色が見え始めた鉢を選び、東京、関西方面にギフト用として出荷している。
約60日掛けて、じっくり生育させたトーキーズ・ファームのチューリップは「葉も茎もしっかりしている」と市場でも好評。ピンク系の「クリスマスドリーム」「ダイナスティー」、黄色の八重咲き「モンテカルロ」、ユリ咲きの「アラジン」などが人気とか。
唐木さんは「1鉢12本の成長をそろえることが1番難しい。色彩の乏しい冬に、多彩な花を咲かせるのが魅力。寒さに強いので、涼しい場所で管理すると、2カ月位咲き続ける」と話す。
◆こぼれ話
トルコ語でターパンを意味する「ツルバン」がチューリップの語源。300年前のヨーロッパでは、羽状、炎状模様(パロット系)の新品種は投機対象として、球根1つが豪邸1軒の価格で取引され、チューリップ投機で身を滅ぼす人も出た。後に「チューリップ狂乱時代」と呼ばれる波乱万丈の歴史を刻みながら、多種多様な品種が生まれた。 -
上伊那郡西天竜土地改良区の水路円筒分水工郡を土木遺産として認定
西天竜用水路の水を農地に分配するために用いられている「西天竜幹線水路円筒分水工群」がこのほど、社団法人土木学会(濱田政則会長)の「06年度土木遺産」に選奨され24日、同水路を管理する上伊那郡西天竜土地改良区(有賀正理事長)に認定書などが伝達された。有賀理事長は「分水工の中には先人の思いや熱意が込められている。貴重な遺産を守り、更に地域を発展させていくため、今後もご協力を願いたい」と語った。
今回認定を受けた分水工群は、農地へ水を流出する時、農地の大きさに応じて正確な比率で水が配分できるよう、流出させる水量を穴の数で調節している。1919年縲・939年に伊那市、南箕輪村、箕輪町、辰野町に約57基が設置され、うち約35基は、現在も活用されている。松本地区などでもこうした分水工が残っているが、これほど多くのものが現役で活用されているのは珍しいという。
土木遺産は、歴史的・文化的価値のある近代土木遺産を認定することを通じて、社会や土木技術者に向けたアピール、まちづくりへの活用を促すことを目的としており、県内では02年に木曽地域などにある五橋も認定を受けている。 -
アツアツの信濃路ライス召し上がれ、村内保育園給食で
宮田村3つの保育園の給食に24日、キノコをふんだんに使った「信濃路ライス」が出た。山の幸豊かな地元ならではの特別メニューに、園児たちは大喜びで舌鼓を打った。
数年前の上伊那地方の保育士研修会で、地域特産のキノコを使った同ライスが紹介されて以来、村内の保育園では年に2回ほど給食のメニューに取りいれている。
カレー粉で炊いた白米に、シメジ、エリンギ、エノキなどを具材にしたミルクシチューをたっぷりかける。
栄養満点のメニューに「美味しい」と園児たち。湯気が立ちあがるアツアツの出来立てをモリモリと食べ、寒さを吹き飛ばしていた。 -
山ぶどう栽培組合品質向上目指して技術講習会
宮田村特産の山ぶどう(ヤマソービニオン)の栽培組合(春日伊平組合長、14戸)は24日、せん定技術講習会と栽培検討会を開いた。より美味しいワインの原料をつくろうと、技術の基本などを確かめ合った。
06年産は31・6トンと生産開始から7年で最高の収量を記録。大半はワインとして醸造し、味も良質で昨年末に販売を開始した新酒「紫輝」も好評だ。
この日、春日組合長は「作り方にも自信がついてきた。責任はますます大きくなるが、今年も良い1年でありますように」とあいさつした。
さっそく農協や農業改良普及センターの職員から指導を受け、春日組合長のほ場でせん定の基本を再確認。
軸がれや花ぶるいなど、着果や品質に影響が出る問題への対策なども検討し、意見を交換した。 -
村内のリンゴ830本を「改植」
宮田村で、寿命や品質低下がみられるリンゴの木830本を新たな木に植えかえる「改植」事業が国の補助を受けて始まっている。シナノスイートなど改良が進む優良品種に更新するもの。今後も7割以上の木が改植が必要とされ、関係者は「品質維持、向上のために計画的に行っていきたい」と話す。
費用の約半分を助成する補助制度を活用し、今回は宮田村を中心に上伊那地方全域が事業対象。希望により全体の参加戸数は20戸で、約2千本、3ヘクタール分を植えかえる。
そのうち最も本数が多い宮田村では駒ケ原、大久保区、北割区にほ場を持つ7戸が参加した。
既に一部の木は伐採が始まっているが、3月末までには改植を完了する予定。
宮田村では1981年頃に植えた木が25年ほど経過して、一部に樹勢や品質に衰えも。
JA宮田支所は「ほ場全体の4分の1くらいは改植が済んでいるが、品質保持のためにも今後とも古い木は計画的に順次更新していきたい」と説明する。 -
駒ケ根土地改良区50周年
1956(昭和31)年に設立された駒ケ根市の駒ケ根土地改良区(堀内修身会長)は20日、同市下平の農村環境改善センター「一心館」で50周年記念式典と祝賀会を開いた。関係者約100人が出席し、設立半世紀の節目を祝った。
堀内会長は式辞で事業の概要などについて振り返った上で「温かい支援により、今日を迎えることができたことに感謝する。今後は地域農業のさらなる発展に期待したい」と述べた。
同改良区は同市下平の耕地拡大と区画整理を目的に設立され、3回にわたって大規模な事業を行なってきた。90年度から96年度にかけて行われた大区画ほ場整備事業では217ヘクタールのほ場のほか、パイプライン、用水路、道路などの整備を29億6500万円かけて行い、1区画1ヘクタール農地も実現した。 -
農道とJR立体交差で上下水道付け替え
宮田村議会は19日に臨時会を開き、大田切区で進む県単農道とJR飯田線の立体交差事業の進ちょくに伴う上下水道管の付け替え工費総額620万円を村の上下水道事業会計に追加する補正予算案を可決した。
立体交差の構造物「ボックスガルバート」に上下水道管を東西方向に埋め込むもので、上水道が延長90メートルで2百万円、下水道が82メートルで420万円の工費。
2005年11月に着工した「ボックス」の工事だが、現場事務所によると進ちょく率は85%でほぼ計画通り。
村は当初、新年度予算に付け替え工事費を計上する予定だったが、事業の順調な進行により前倒しした。
現在、交差前後から国道153号線に接続する260メートル区間を整備中。2008年度中の完成を目指しており、約2・4キロメートルの全線が開通する。
同農道は村の南部を東西に貫くもので、2000年度に着工。その後、計画地にオオタカの営巣などを確認して広域農道西側の331メートル区間を中止するなど事業変更があったが、立体交差部分は計画通りに2車線規格で進んでいる。
臨時会では7月豪雨の林道復旧工事が激甚災害の指定を受けたことなどにより、4100万円余りを補正する一般会計予算案も可決した。 -
JA上伊那の『上伊那の郷土料理』が発刊累計1万部を突破
上伊那農業協同組合(JA上伊那)が発刊している地元の郷土料理集『縲恤黷ゥら娘に伝えたい縲恟繹ノ那の郷土料理』がこのほど、発売開始から4年目にして発刊累計1万部を突破した=写真。
JA上伊那生活部会員などの協力で、2002年に作成したこの本は、地元の郷土料理約200点を季節ごとに取り上げ、作り方からゆえんまでを紹介している。発売から2カ月で6千部を完売。その後もコンスタントに売れ続け、6度目の増刷となった今年、累計1万部に到達した。
漬物シーズンとなる秋には販売数が増える傾向にあり、購入者の中には正月料理を作るの時に活用する例もあるという。
担当職員は「嫁いできた女性へのプレゼントには最適。今はおじいさんおばあさんと一緒に暮らさない家庭も増えているため、そういう家庭の主婦にも重宝されている」と話していた。
本は、上伊那のAコープ店、農産物直売所、主な書店で購入することができる。
A5判、192項。価格は1500円(税別)。 -
原木シイタケのパイオニア、水上鎮雄さん、平八郎さん(駒ケ根市北割)
駒ケ根市北割の中央アルプス山ろくで親子2代にわたり、原木シイタケを栽培する水上鎮雄さん(84)と平八郎さん(51)、シイタケ栽培のパイオニアである。
おがくずに多種類の養分を混ぜた菌床栽培のキノコや安価な輸入品が出回り、クヌギやナラなど原木からシイタケを栽培する人が減少する中で、里山の自然の光と、アルプスの地下水脈から涌き出る水を使って、最高の環境で、頑固に味と安全性を極めようと、原木シイタケ栽培に取り組む。
◇◇
1946年3月、敗戦で中国から復員した水上鎮雄さんは、稲作だけでは食べて行けないと、いろいろと副業を試みる中で、61年、シイタケの周年栽培に出会い「今まで春と秋しか収穫できなかったが、これは画期的な技術。10ヘクタールの森林資源も活かせる」と原木百本から栽培に着手した。徐々に数を増やし、2代目の平八郎さんが中学を卒業する頃には、年植3千本に増え、経営の部門比率は稲作6、シイタケ4となった。
77年、鳥取大学農学部を卒業した平八郎さんは「キノコの中で育ち、親父がバリバリやっているのを見て、農業は自分で考え、自分で組み立てられる」と迷わず農業を継いだ。「同じことをやっていたのでは価値がない。(自分が)入ったら入っただけの仕事をしなくては」という頼もしい平八郎さんの言葉に、「妻と2人では仕事の量に限界があり、息子が入ってくれた経営は根本的に違う(鎮雄さん)」と、機械化とビニールハウスによる規模拡大に踏みきった。原木の伐採はチェーンソーを用い、搬出や移動にはトラクターやフォークリフトを、最も手間の掛かる穴開け作業には、高速ドリルも導入した。現在では1日800本も開けることができる。種菌も金づちで打ちこむ方法から、押し込むだけの成形種菌に進化した。さらに、同年から始まった米の減反政策も規模拡大に拍車を掛け、現在では年植1万本余となった。
87年まで10年間、JAを通じて系統出荷してきたが、様々な課題もあり、仲間が集い「自分たちで販路を開拓しよう」と、近くのサラダコスモの多大な協力もあり、スーパーへの直販の道も拓いた。
85年には「規模拡大には、労力の均等化を図るしかない」と干しシイタケにも手を広げた。
しかし、最近は中国産の安価な輸入物や、おがくず、こぬかなどを培地にする菌床栽培も増え、キノコ類の価格低下が始まった。原木シイタケが駒打ちから収穫までに15カ月ほど掛かるのに対し、菌床栽培は7、8カ月で発生し、安上がりで回転が早い。「ゆっくりと苦労して成長したキノコは味がいい、人間と同じ。おいしくて、味のいいものを作ることで可能性を広げたい」と平八郎さん。
そのためには「無農薬、有機栽培。キノコはとてもデリケート。湿度、温度に細心の注意を払う。キノコの品質は培地と原木の種類、水、品種で決まる。この地の気候にあった物、味、香り、色、形、麟被やヒダの密度など、数百種類の種菌の中から品種を選定するのが1番難しい」。
今は一線を退いた鎮雄さんは「後継者により、維持され発展している。孫も後を継いでくれそうで、苦労した甲斐があった」と笑顔。 -
地産地消セミナー開催
身近な大豆の簡単な調理方法を学ぼう竏窒ニ20日、伊那市の農村女性グループ「農村女性ネットワークいな」(溝上かつ子会長)による地産地消セミナーが伊那市駅前ビル「いなっせ」であった。約15人が集まり、豆腐づくりに挑戦した=写真。
農業後継者の育成や農村の振興を目的とした活動を展開している同グループが、地元食材をテーマに毎年1回開催しているセミナー。今回は「豆を食べて豆に暮らそう豆は元気の源」をテーマとして、豆腐作りをメーンとした簡単な大豆料理3種を選んだ。
グループに分かれた参加者たちは、普通の大豆、黒豆、青大豆の豆腐づくりに挑戦。ミキサーですり潰した大豆をしばらく煮ると、大豆の良い香りが部屋の中に漂った。そのほか、簡単にできるナガイモのきな粉団子やおからサラダなど、さまざま大豆料理を学び、試食会でその味を楽しんでいた。
溝上会長は「若いお母さんの中には大豆がどういう風になっているかを知らない人もいる。今後は収穫体験なども提供していければ」と話していた。
上伊那は品種の一つ、ぎんれいを中心に大豆を作る農家も多いという。