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伊那谷地域社会システム研究所が支援先の活動報告を聞く
伊那谷地域社会システム研究所(理事長・向山孝一KOA社長)は5日、箕輪町の伊那プリンスホテルで第9回支援先活動報告会を開いた。過去に助成を受けた団体やKOAグループ各社などから約70人が出席し、05年度に助成した4団体・個人の報告を聞いた。
研究所は、環境保全や地域文化の伝承のために活動する団体や個人に助成金を交付し、支援する財団法人で、96年に設立。毎年、助成先を公募し、選考して決めている。
報告会で、南アルプス研究会の太田和利さんは、南アルプス仙丈ケ岳の環境保全に関する研究と登山者への啓もう・啓発活動について紹介。山岳環境が荒廃した要因に、過剰な利用、登山者のマナーの低下、設備の未整備などを挙げ、登山者を対象にした環境教育から「山岳環境に対する危機感が高まるなどの効果がある」と話した。
また「中正井のせせらぎに樹木や草花を植栽し、自然をよみがえらせるビオトープ空間をつくる」(伊那市東春近中正井の自然を愛する会)「諏訪湖流入河川の珪藻植生調査」(飯嶋敏雄さん)「天竜川水系水質調査と環境教育」(リサイクルシステム研究会)の報告もあった。 -
「伊那谷田んぼの生き物」全国書店で販売開始
伊那谷を中心に自然に近い形での水稲や野菜の栽培を進め、田んぼや畑に集まる虫や小動物の観察をしているグループ「ひと・むし・たんぼの会」(代表・小川文昭さん)。このグループが調査・作成した図鑑、「伊那谷田んぼの生き物」(飯田市美術博物館編)がこのほど、東京の築地書館から再出版され、全国の書店で販売が始まった。「百姓仕事がつくるフィールドガイド竏駐cんぼの生き物」と名称も変った。
04年夏に飯田市美術博物館で開いた同会の企画写真展に合わせて1500部印刷されたが、予想以上の好評で05年秋には完売、品切れ状態になっていた。再出版の道を探っていたところ、築地書館から話があり、再出版となった。
図鑑では、春の田起しから、代掻き、田植え……と1年の農作業の進展を追いながら、四季折々の水田環境の変化とそこに暮らす生き物を写真と文章で紹介している。田んぼに棲む、昆虫類・爬虫類・魚類を網羅した決定版。写真や文章は、会員が実際の農作業のただ中で撮影し、綴ったものであることが最大の特徴。
農に生きる人の視線で虫を見、虫の視線で人を見ている。
本紙でも毎週金曜日(変動有り)に「ひと・むし・たんぼの会」のリレーエッセーを連載している。
定価は2000円+税。飯田市美術博物館、全国書店、AMAZONなどのネットショップで購入できる。 -
第2回 森の座談会
子どもと読書を考える【下】児童・生徒の国語離れ・読書離れが指摘されている中、伊那谷の子どもの読書とそれを取り巻く状況について、さまざまな立場の人に語り合ってもらった。その2回目。
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第2回 森の座談会
子どもと読書を考える【上】国際的な学力調査で、日本の児童・生徒の国語離れ・読書離れが指摘されている。読書離れの傾向が、子どもの語彙力・読解力のみならず、感受性や論理的思考力、表現力の低下につながることは以前より指摘されており、調査の結果に各界各層から憂慮の念が表明され、その打開の手立てが探られている。
上伊那でも、朝の読書の時間を設けるなど学校現場での努力や、各種ボランティアなども活躍する。さらに04年からは上伊那に書店やスーパーを展開するニシザワが、創業80周年を記念して小中学生の読書感想文コンクールを開始。2回目の05年には、747作品の応募があるなど、読書の拡大に影響を与えている。
では、いったい上伊那の子どもの読書状況はどうなっているか?「本を読む」ことにはどのような魅力と力が秘められているか?竏虫qどもの読書に関係を持つ、さまざまな立場の人に語り合ってもらった。 -
特別企画 伊那谷森の座談会
農と食のあり方を考える 【下】
-団塊世代の大量退職時代を前にして-人々の「食と農」に対する関心のあり方が変りつつある中で、これまでの農業政策を振り返り、時代のニーズに見合った農業、特に地域農業のあり方を探ることが重要になっていている。
今回は、伝統的な食文化を現代的に発展させた食品製造業の立場、新たな農産物の流通形態を切り拓いた産直市場の立場、さらに県の視点から農業政策を遂行する立場の皆さんに集まっていただき、「農と食のあり方」をめぐって、自由に議論を交わしていただいた。その連載2回目。 -
特別企画
伊那谷 森の座談会
農と食のあり方を考える【上】
-団塊世代の大量退職時代を前にして-日本農業は大きな転換期を迎えている。農業生産物の国際競争力の低下は農業振興に深刻な影を落し、少子高齢社会の到来は既に深刻化している農業の後継者不足にさらに拍車をかけると予測される。
こうした中、国は近年、従来の減反政策を実質的に継承したまま、水稲一辺倒の姿勢を転換し多様な換金作物の栽培奨励に乗り出す一方、集落営農方式を中心とした農業集団化を進めようとしている。だが、こうした施策で、はたして地域の特色を生かした農業振興が図れるのか?-という疑問の声も多い。
また、敗戦直後に生まれたいわゆる団塊の世代が、まもなく一挙に定年退職を迎える社会状況も重要である。
長い社会経験を経て、食と農、自然と環境に関心が高いと言われるこの世代が、一定程度自由に時間を使えるシルバーライフを迎えることで、農業ならびにそれを取り巻く商業・観光業に少なからぬ影響が出るのではないかと推測する向きもある。「スローライフ・スローフーズ」「グリーンツーリズム」などに注目が集まっているのも、その兆しであるということもできよう。
こうした中で、これまでの農業政策を振り返り、時代のニーズに見合った農業、特に地域農業のあり方を探ることが重要になっていている。
今回は、伝統的な食文化を現代的に発展させた食品製造業の立場、新たな農産物の流通形態を切り拓いた産直市場の立場、さらに県の視点から農業政策を遂行する立場の皆さんに集まっていただき、「農と食のあり方」をめぐって、自由に議論を交わしていただいた。【上・下2回連載】 -
伊那谷地域社会システム研究所
伊那谷地域社会システム研究所(向山孝一理事長)が04年度に助成した7団体・個人による第8回支援先活動報告会は6日、箕輪町の伊那プリンスホテルであった。関係者ら約70人が参加し、7団体・個人の活動と成果報告を聞いた。
同研究所は、環境保全や地域文化の伝承のために活動する団体・個人を援助する財団法人。96年に設立し、毎年助成先を募って助成金を送っている。
「木祖村自然同好会」は、自然環境保護・保全活動に取り組み、池へのいかだ式湖沼浄化システムの設置などを紹介。「システムは水質浄化に一役買っているのでは。今年カワセミが来た。水がきれいになり、小魚が増え、それをねらって来たと思う」と報告した。
木曽川源流の生態系調査に取り組む「小さな自然の会」は、7月末から8月の1年で一番暑い時期に、ハコネサンショウウオが岩肌に集結するという調査結果を報告。サンショウウオではあまり例のない行動で、「もっと調査が必要」とし、「今後、全国でも数例しかない卵の発見と幼生がいつころ出てくるのか分かればいいなと思う」と話した。
このほか、日本聴導犬協会は補助犬育成の普及活動、南アルプス研究会は仙丈ケ岳環境保全研究と登山者への啓蒙・啓発活動、飯嶋敏雄さんは諏訪湖流入河川の珪藻植生調査、永沼治さんは水質と珪藻・水生昆虫調査、リサイクルシステム研究会は天竜川水系水質調査と環境教育について報告した。 -
「おーい、山へ行こうよ」
KOA森林塾10周年記念出版KOA(本社・伊那市、向山孝一社長)が主催するKOA森林塾が10周年を迎え、10年をふり返る記念書籍「おーい、山へ行こうよ」を出版。企画・KOA森林塾、編者・宮下武久、発行・伊那毎日新聞社。
KOA森林塾は、他に類例のない電子部品メーカーが主催する山造り教室として諸方面から注目され、開塾10年のうちに多士済済が塾生として修業。卒業生の中には、そのまま伊那谷などでの山仕事に就いたり、各地で山造りの催しを開催するなど活躍する人が多い。
本書は4章仕立て。1章は、同塾事務局が発行する「森林塾通信」に寄せられた塾生のエッセイをまとめたもの。どんな人物が、何をめざしてこの塾の門を叩いたかが興味深い。
2章は、KOA森林塾の看板講師の1人である島崎洋路元信州大学教授と、同塾に関わった山荘ミルクの向山美絵子さん、森林をテーマにした執筆活動を行う浜田久美子さん窶狽フ3人の鼎談。
3章は、卒業生が現在考え・活動していることの報告。KOA森林塾が日本の林業を取り巻く状況に何を投げかけたか、を卒業生が語る。
4章は、同塾のもう1人の看板講師、長谷村在住の林業家・保科孫恵さんが進めてきた長谷村での山造りのレポートである。
「10年をふり返る目的で編みましたが、時系列で10年の出来事を記述したものではないのいで、どこから読んでいただいてもかまいません」と、編者の宮下武久氏は述べている。
A5判 324頁 定価1800円+税。問い合わせは伊那毎日新聞社まで