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明るい選挙推進県大会
05年度明るい選挙推進県大会が1日、伊那市の県伊那文化会館でをあった。活動の推進状況などを確認したほか、啓発ポスターコンクールの入選者を表彰した。県選挙管理委員会など主催。
昨年9月にあった衆議院議員選挙の長野県の投票率は71・7%。前回を5・71ポイント上回り、全国7位だった。期日前投票は約25%におよび、県選挙管理委員会の松葉邦男委員長は「投票しやすい環境づくりのための諸制度が定着してきている」と振り返った。しかし、依然として投票率が低い若年層に対し、積極的な投票参加を促す必要がある竏窒ニした。
9月の衆院選で、選挙違反に伴う検挙はなかったが、警告は49件あり、個人の政治用ポスターを裏打ちしたり、法廷外宣伝物を管理者の許可なしで展示するなどしたものが多かった。全体としては、検挙・警告ともに低下した。
伊那市の唐木恵枝さんが、若い有権者を代表して大会宣言決議を読み上げ、積極的選挙参加と公平・公正な選挙の実現を訴えた。 -
山岳愛好団体ら12団体が風力発電事業計画中止を求める
上伊那や諏訪市、茅野市などの山岳、野鳥、環境などの12団体は2日、入笠山周辺に計画されている2つの風力発電事業計画に対し、上伊那地方事務所長らに中止要望書を提出した。
要望書に「先人たちが守り、愛してきた自然環境、広く人々に親しまれている山域を著しく壊す。未来世代へ負の遺産を残してしまうことは明らか」と記す。伊那谷での計画が認められれば、他地域でも追随すると懸念し、事業計画主体者に計画中止を指導するよう求めている。
上伊那地方事務所には、団体代表者ら5人が訪問。
「伊那山仲間」の北原功副会長が要望書を読み上げ、山岳地帯に大規模な風力発電が建設された場合、水源汚染や森林伐採、道路造成による土砂崩落など自然環境への影響が予想されるとした。
牛越徹所長は「県の関係部局に伝え、総合的に検討したい」と述べた。
要望したのは、山岳団体、日本野鳥の会伊那支部、県自然保護連盟など12団体。上伊那地方事務所のほか、伊那市、高遠町にも出向いた。近く、諏訪地方事務所にも同様の中止要望書を提出する。
団体の入手した資料によると、三峰川電力の入笠山縲恷ュ嶺高原の尾根上延長約11キロと、青木あすなろ建設=東京都=の入笠山縲恷ナ平峠縲恚熨サの尾根上延長約15キロに、高さ100メートルほどの風車を取り付ける計画。 -
3月下旬、産直・直売サミット開催へ
長野県内の産直市場・農産物直売所の関係者が一堂に会する、初めての「産直・直売サミット」開催の動きが進んでいる。3日午後1時30分から県伊那合同庁舎で実行委員会の設立総会を開く。
産直・直売運動の直面する問題とその果たすべき役割を考え、経験と情報を交換してネットワークを作り出すことが目的。
伊那市ますみヶ丘のグリーンファーム(小林史麿代表)を中心に南信の産直・直売関係者が呼びかけ、農業団体や加工品を製造する団体をはじめ、信州大学農学部、JA上伊那、上伊那農業改良普及センター、上伊那地方事務所農政課、県農政部、伊那市、南箕輪村も協力する。
詳細は、3日に決まるが、開催期日は農作業が始まる前の3月25竏・6日を予定。趣旨に賛同する信大農学部が会場を提供するという。交流会・宿泊は、近くの南箕輪村大芝荘。県内各地から関係者の参加を募る。
農産物直売所の運動は約20年前から始まったが、消費者の食の安全への関心の高まりの影響もあり、近年、社会的注目が集まっている。各地の直売所が売上げを延ばす一方、直売所間の競争が激しくなり、「品質保持」の名目で生産者を少数に限定する動きも始まっているという。
呼びかけた一人、グリーンファームの小林さんは「先進地ともいえる上伊那から、現在の産直・直売運動のあり方を考える流れを作り出したい」と話す。
詳しくは上伊那農業改良普及センター(電話76竏・841)まで。 -
伊南地区認定農業者組織交流会に90人
伊南地区認定農業者交流会が30日、飯島町のJA飯島支所であった。伊南地区の認定農業者や女性グループなど約90人が参加、各市町村認定農業者組織の活動発表や講演会で、情報を交換し、会員相互の交流を深めた=写真。飯島町農業経営者会議など主催。
活動発表の中で、駒ケ根市農業者の会は、「会員の減少、会員の営農類型が多様で、共通的な研修が難しい」と課題を挙げ、中川村農業経営会議は「会員の拡大に積極的に取り組み、来年度新規就農者2人が加入予定」と報告した。
飯島町農業経営者会議は道の駅イベントや農業委員との意見交換、営農組合との地区懇談会、いいじまむら夢楽塾参加など多彩な活動を紹介した。
引き続き、おやきや総本家社長の市川武邦さんが「『飽食の時代に思う』豊かさの次に来るのは:」と題して講演。素朴な伝統食、おやきに魅せられ、地産地消の優等生として、世に出し、そのノウハウを生かし、各地にある伝統食の発掘による地域おこしについて、体験を交えて楽しく語った。 -
【特集 権兵衛開通】広域観光発展の道は?(1)交通
「近くて遠かった木曽路」。2月4日の伊那と木曽を結ぶ権兵衛トンネル開通を控え、伊那バス=本社伊那市=に「路線バスはいつから運行するのか」と問い合わせの電話が入る。
伊那竏猪リ曽間の路線バス運行について、昨年夏から伊那バス、おんたけ交通、JRバス関東が検討したが、木曽の人口などを考え、採算が合わないと判断した。
伊那バスは「これまで伊那竏猪リ曽間の交流がなく、利用者がどれくらいいるのかわからない。バス会社だけで運行し、赤字で会社がつぶれてしまうようでは困る」としながら「地域住民のトンネル開通への期待感は大きい」と地元のバス会社として責任も感じている。
昨年12月、伊那市に対し、行政が補助してくれるなら運行したいと意向を伝えた。
市は、伊那・木曽の8市町村や観光協会、交通機関などで構成する権兵衛街道活性化協議会に議題として上げ、地域の実情などを踏まえて路線バスの方向性を探る。「伊那側に興味を持つ高校生などがいると聞く。通学や通勤だけでないメリットもある」と話すが「市単独では無理。他地域にもかかわることで、全体で考えたい」。
伊那バスは、市からの回答を待って再度検討する。
木曽町のおんたけ交通にも路線バス運行の問い合わせがあるものの「開通後すぐの運行は無理。行政の補助があれば検討したい」と答えている。
伊那バスは2月の土・日曜日、日帰りの「サンキュー木曽路ツアー竏猪リ曽馬の里縲恁茆ヤ明神温泉」を企画したところ、予想以上の反響があった。「観光バスや自家用車などかなり入り込むが、開通1年後くらいには落ち着くのではないか」と話す。
伊那バス観光も3月、木曽路の奈良井宿やくらしの工芸館などを回る日帰りのツアーを企画。「開通後は関心が高いと思うが、いつまで続くか。反響をみていきたい」と話しつつ、行楽候補地の一つになりうる題材とみる。
また「これまで地元というと伊那谷だったが、開通で木曽も入り、売り込みも考えられる」と視野に入れる。
高速バスの利用者について、伊那バスは木曽から伊那に流れてくると予想。東京行きの場合、木曽からは1日2便。伊那は16便で、およそ1時間に1本のペースで運行されている。そのため、伊那で乗車する木曽の利用者の増加が考えられる。
一方、伊那市の白川タクシーは「開通してみないと分からないが、自家用車の行き来で、タクシーにそれほど影響がないのでは」とみている。
木曽から伊那の飲み屋街に来るための乗り合い運行は「飲みに来るのに、片道5千円も6千円も払ってくるのか」と期待度は低い。 -
「独立」をテーマにそれぞれの感性を表現
上伊那や諏訪地域の高校生有志によるファッションショーが29日、伊那市駅前ビル・いなっせであった=写真。「In‐dependence(独立)」をテーマに、それぞれの感性を表現。スポットライトを浴びた個性的な衣装が次々と披露され、約200人の観客を魅了した。
昨年に続き2回目で、伊那北、赤穂、諏訪実業、諏訪二葉に加え辰野、伊那西高校が新たに参加。計6校の生徒12人が約50点をデザイン・制作し、本人や友人、母親らがモデルを務めた。
服職関係の大学進学が決まっている、伊那北校3年の笠原瑠依子さん(伊那市)は「自慢の母親にプレゼントを」と、自分と母親、母親の友人の3着をデザイン。母親は「上京する前の最後の思い出になった」と白いドレスを着て、娘の独立を喜んでいた。 -
高校改革プラン推進委員会(16)
第3通学区高校改革プラン推進委員会(池上昭雄委員長)が30日、南箕輪村民センターであり、諏訪、上伊那、下伊那の高校再編に関する最終報告書をまとめた。報告書は数日中に正副委員長が答申する予定で、それを受けた県教育委員会が、本年度末までに実施計画を策定する。県教委は、07年度実施を基本的には変えていないが、どの地区も統合は時間をかけて進めたいとする姿勢があり、一律07年度に実施することはできそうにない。
最終報告書は(1)岡谷東と岡谷南の統合(2)箕輪工業の全日制募集停止(3)飯田長姫飯田工業の統合竏窒フ全日制案と▽上伊那農業と箕輪工業の定時制を多部制・単位制高校に統合する▽飯田長姫と飯田工業の定時制を統合する竏窒ニする定時制案を結論とした。総合学科は、具体的校名での結論は得られなかったが、1校設置を結論とし、位置付けは県教委に委ねられた。
実施や計画策定の過程については、岡庭一雄・阿智村長が「実施は地域と相談しながら進めてほしい。地元との協議はあるのか」と質問。県教委は「学校関係者の意向など、反映できる部分は反映させる。関係者の意見を聞いたり、住民の理解を得た上で、実施していきたい」とした。
統合時期への配慮を強く求めてきた諏訪だけではなく、上伊那には、上農定時制の統合時期を見合わせてほしいとする動きがあるほか、飯田長姫と飯田工業を統合する下伊那も、それぞれの校地を維持したまま統合する“ジョイント”で当面は様子をみたいとして、校舎を1つに統合するまでには時間をかけたいとする思いが強い。県教委は、報告書に示されたことを重視して統合を進めたいとしているが、地域の声と統合方法や時期をどのように調整していくのかは、今後の課題となる。 -
【特集 権兵衛開通】木曽高速は山を越えるか?(3)
権兵衛トンネル工事が始まった直後の2000年、伊那市は、県道与地竏鋳C野線とは別に、西箕輪に市が開設した体験型農業観光施設みはらしファームに抜ける道路開設を計画していた。権兵衛トンネルを利用する観光客を、市が観光の目玉とする施設に誘うことが目的だった。
だが、この計画は経ヶ岳周辺の自然環境・生活環境の保全を主張する地元住民の反対に合い、棚に上がった。・ス幻の道・スとなったのだ。
地元住民に説明しないまま、林道「みはらし線」などと名称までつけて県に要請、長野県地域森林計画に盛り込ませるなどしたことが、住民の反発に油を注いだ。経ヶ岳山ろくには絶滅危惧種のオオタカが営巣し、ハチクマやクマタカなど貴重な猛きん類の姿も確認され、「観光客誘致よりも豊かな自然を守ろう」との気運が高まった。
この住民の動きは、その後も権兵衛開通にともなう乱開発に歯止めをかけるための、西箕輪地区の景観保護条例の締結や、自己用広告物ガイドライン制定へと引き継がれた。
では、みはらしファームへの誘客方法・誘導ルート計画は、その後どのように見直しが掛けられてきたのか?そもそもトンネル開通による観光客の増加をあてこんで西箕輪の地に作られた施設。トンネルと結ぶ道路計画を変更した以上、その位置付けにまで戻って再考するべきとの声も上がったが、そうした議論はどこまで煮詰まったのだろうか?
伊那市は06年1月の臨時議会で、県道与地辰野線以東の権兵衛道路沿いに、8億円以上をかけた「伊那市の出入り口にふさわしい地域情報発信交流施設」を建設するのが適当とする、コンサルタント会社に依頼した調査結果を報告した。そこには「観光情報の発信」という視点から「既存観光地」との関係が触れられているが、車でわずか5分の地に立つみはらしファームとの共存の方法などには言及されていない。
権兵衛開通にともなう地域振興と、自然・生活環境の保全のあり方は、今後もますます重要な意味を持つだろう。・ス幻の道・スをめぐる2000年当時の市と住民との議論は、その先駆的な位置を占めるものとなろうが、その議論の道筋は、まだ定かではない。
=毛賀沢明宏= -
焼肉「木曽の権兵衛」が特別セール
権兵衛トンネルの開通を心の底から喜んでいるのは伊那市日影の焼肉店「木曽の権兵衛」。開通に合わせて焼肉注文の客に限り、ドリンクすべて半額の記念特別セールをする。2月3縲・0日。
経営者の岩原集さんは、店名の通り木曽の出身(木祖村)。伊那市のほか箕輪町にも店を持つが、実弟が同じ名前で木曽側権兵衛トンネルアクセス近くの国道19号沿いで店を開く。
木曽の店が元祖で、新店舗を開く際、店の名前が知られていない経済圏の違うところに出そうと、あえて伊那を選んだ。
「トンネルが開くと事情が一変。一つの経済圏になりますからね。時代の変化を実感します。ふるさとが近くなってうれしい」と話す。
伊那店内には62インチと120インチの大型画面を設置し、客が自由にビデオ・DVD・パソコンをつないで利用できる。「木曽に行った人がビデオとか流して楽しんでくれないかな」と楽しみにしている。 -
日本一の桜のまちづくりへ
「日本一の桜のまちづくり」に向け、三峰川みらい会議は3月上旬、三峰川沿いに桜を植える。3月31日の伊那市・高遠町・長谷村の合併をとらえ、全国に誇れる桜のまちづくりを実現する。
「日本一の竏秩vは三峰川みらい会議の桜チームがまとめたもので、28日、三峰川行政地域懇談会で提言した。
基本方針は、地域住民と協働しながら、三峰川の自然を保全し、地域の活性化につなげること。具体的に、桜の名所・高遠城址公園へのアプローチとして、三峰川と天竜川の合流点から三峰川沿いを中心に桜を植栽。コヒガンザクラ、ソメイヨシノなど樹種を変え、長期間、花を楽しめる場を提供する。
また、桜の名所を結びつけるマップ作り、写生会や写真撮影会などを通した全国発信などを考え、交流人口を増やす。信州大学農学部の協力も得て、施肥など学習しながら、地域住民が「桜守」となるように進めたいとする。
懇談会では、参加者が植栽する桜のオーナー制を提案。子どもの誕生、入学、卒業など記念樹にすることで、三峰川沿いに植える桜1本1本に愛情が入り、人も集まると考える。07年度から導入する方向。
三峰川みらい会議は「新市全体を桜の名所にする息の長い活動」とし、継続して植栽・保全に取り組んでいく。
◇ ◇
第6回三峰川地域行政懇談会が28日、伊那市役所であった。三峰川流域の市町村や住民ら約80人が出席し、三峰川を中心とした協働のまちづくりを考えた。
三峰川みらい会議の織井秀夫代表は、伊那市・高遠町・長谷村の合併によって三峰川の源流から天竜川の合流点までが1つとなることに触れ「民間と行政が一緒になり、幅広く新しい三峰川の姿ができれば」とあいさつ。
そのあと、ワークショップで、三峰川みらい計画の基本方針「環境」「治水」「利用」の部門ごとに意見を交わした。
「利用」では、参加者から▽源流域の探訪▽三峰川流域の食材を楽しむ▽お勧めスポット情報をまとめる▽三峰川の魅力のPR竏窒ネどが挙がった。
そのほか、ヤマトイワナの保護・育成、自然環境を保全するための三峰川憲章づくり、子どもが遊べる川づくりなどもあった。
これらは、地域住民と行政の協働のまちづくりの第一歩にしたいとした。 -
【特集 権兵衛開通】木曽高速は山を越えるか?(2)
権兵衛トンネル開通後の通過台数について、国土交通省飯田国道事務所は上り下り合わせて1日6000台と予測している。これは姥神トンネルから木曽町福島に抜ける道路が完全に整備された約20年後を想定したものだ。
一方、県伊那建設事務所は、05年春の時点で「開通直後は合計約2500台ぐらいでは?」との数字も示していた(加藤光彦管理計画課長=当時=)。国の予測よりもかなり少なかったのは、当時、開通後の交通量増加に危惧を表明する市町村関係者が県の整備の遅れを指摘していたことも背景にあると見られた。実際には、「空いて見なければ分からない」というのが実状だろう。
では、現状で、伊那側出口付近の交通量はどれくらいか?
04年7月に行った一斉調査(午前7時縲恁゚後7時)では、インターアクセスと広域農道が交わる大萱交差点の総通過数1万6362台。同じくアクセスと春日街道が交わる駒美で1万9091台。国道361号と春日街道への分岐になる伊那市川北の交差点で1万3576台。
道路ごとに見ると、広域農道が約8900台。春日街道が約9500台。アクセス道路が約8300台。川北交差点縲怦ノ那市街が7800台だった。
これに最大予測の6000台が増加すれば、かなりの混雑になるのは明らかだ。トンネルと北方を結ぶ通過車輌ルート(前号参照)はもちろん、伊那市街から東につながるルート整備も急務となる。
特に、伊那市駅前のスクランブル交差点は、現状でも朝夕は、信号1回で待機車輌が通過できない「渋滞」状況にあり、東につなげる迂回ルートに誘導しなければ混雑増加は必死。
伊那建は沢尻バイパスから北に向かわせ、アクセスを東に誘導しようとしているが、アクセス道路を御園から国道153号まで延ばす環状北線「御園橋」は07年度内供用開始予定で、間に合わない。07年度内にこれが開通しても、竜東に抜けるには市街地に入るしかなく、今度は国道153号の山寺、入舟の交差点で混雑は激しくなると予測される。
生活・通学道路の安全確保、道路網の整備を求める声は高まっているが、一方で、懸案の国道153号伊那バイパスを含め、「道路整備を急ぐと高遠・伊那は単なる通過点になる」と指摘する声もあり、交通網の整備が地域のあり方を左右する、重要な局面を迎えそうだ。(続く)=毛賀沢明宏= -
【特集 権兵衛開通】木曽高速は山を越えるか?(1)
伊那市沢尻地区で、国道361号から火葬場下交差点に抜ける沢尻バイパスの建設が急ピッチで進んでいる。権兵衛トンネル開通にともなう木曽からの流入車輌に対応したものだ。だが、当初は05年度末と言われていた権兵衛道路開通が2ヵ月余り早まったため、バイパス工事の方が遅れている。
管轄する伊那建設事務所が、このバイパスを重視して来たのは、開通にともない、木曽の国道19号を通過する大型車輌が伊那に流入するとの予測のもとに、トンネルから北に向かうルートを整備するためだ。
国道19号は「木曽高速」と呼ばれ、中央道塩尻インターと中京方面に行き交う車。さらに関東北部から佐久平・和田峠を経由して木曽を通り抜ける車など特に大型の通過車輌が多い。このうち東京方面に行き交う車が、伊那インターから中央道を利用したり、さらには辰野町の平出から有賀峠を利用することになるのではないかと想定している。
伊那建が考える誘導コースは、トンネル出口から農道・中の原交差点を直進、現在工事中の沢尻バイパスを経て、火葬場下から春日街道に流すルートだ。春日街道の西には広域農道があり、これを経由した方が短距離だが、農道は県ではなく市町村の管轄で、構造的にも多量の大型車輌の通過による影響が大きいと言われており、県としては、県道である春日街道に誘導することをメインに考えてきた。
だが、地元南箕輪村などのからは「実際は農道通過が最も多くなるのでは」との懸念の声も上がっている。この声を受けて一定個所の拡幅や歩道の整備も進められてきたが、現在でも交通量の多い広域農道がどこまで、流車輌を受け入れ可能かは未知数だ。
トンネルと北方向をつなぐルートには、さらに、春日街道・広域農道が国道153号と合流する伊北インター付近の混雑、辰野町内の狭い幅員、竜東への車の誘導方法など、解決するべき課題は多い。
権兵衛トンネルの開通は、伊那と木曽に新しい時代をもたらすだろう。だが、それは同時に、木曽の住民が何10年にもわたって直面してきた大型通過車輌の交通問題を、伊那側でも共有することを求めている。(続く)
=毛賀沢明宏= -
【特集 権兵衛開通】15万7千人の苦闘(3)
水抜き坑着工から2年10カ月が経た03年1月。貫通まで残り数百メートルになった所で、再び中央アルプスから大量の水が噴き出した。
被害が大きかったのは木曽側。木曽側坑口から約1キロは登り勾配だが、貫通地点までの残り約470メートルは下り勾配の工事だった。噴出した大量の泥水は、流れずに溜まり、切り羽を水没させた。
「地質も大変だったが、水の量も並大抵のものではなかった」
飯田国道事務所の石原幸宏建設監督官は振り返る。
噴出する水の量は、伊那側が毎分3・6立方メートル。200リットル入りのドラム缶18本分だ。木曽側はその3倍以上の毎分11・6立法メートル。同じドラム缶58本分。
通常、このような出水量の多いトンネル工事では「拝み勾配」といって、両方の坑口から登り勾配ばかりで掘り進み、一番高いところで双方が交わるのが最適といわれる。登りばかりで掘れば、出てくる水は自然に坑口に向かって流れていくからだ。
しかし、権兵衛トンネルでは、双方の坑口の標高差と工期の関係からそうはいかず、木曽側工区では下り勾配の工事もあったのだった。これが貫通直前の切り羽の水没をもたらした。ポンプで汲み出して、現状に戻すまでに2ヵ月を要した。
崩れやすい地質と大量の出水。4度にわたる切り羽の崩落。このため工事の進捗速度は伊那側で1日平均2・1メートル、木曽側では同じく1・2メートルだった。
権兵衛トンネルの全長は4・5キロ。施工中のものを含めて、全国で23番目の長さだ。この長さのトンネルは通常3年間で貫通できるといわれ、それに5年間が費やされたことじたいに工事の難しさが示される。のべ15万7千人が汗を流し、300年前に木曽の農民権兵衛が切り拓いた峠道を、高規格道路に生まれ変らせたのだ。
03年5月31日、水抜き坑が貫通した。最後に残された岩盤を取り除いた時、伊那谷から木曽谷に向けて、風がサーっと吹き抜けたという。(終わり)=毛賀沢明宏= -
権兵衛トンネル通行証明書を発行
国道361号権兵衛峠・姥神峠トンネル開削促進規制同盟会は2月4日、木曽と伊那を結ぶ権兵衛トンネルの開通に合わせ、通行証明書を発行する。木曽側・伊那側で各20人で、配布方法は調整中。
証明書はB5サイズ。「伊那地域と木曽地域の新たな夜明けとなる権兵衛トンネルを通行したことを証します」と記される。通行した順に1縲・0の番号がふられ、それぞれトンネル出入り口の写真を載せた。
伊那側は、記念品として市のイメージキャラクター「イーナちゃん」グッズも渡す。 -
丸水・伊那営業所など7カ所 刑事責任の追及で家宅捜索
食品卸の丸水長野県水(長野市)の畜産事業部伊那営業所(伊那市・閉鎖済み)で昨年、社員が豪州産牛肉を県産と偽って出荷していた問題で、県警生活安全部と伊那署は25日、不正競争防止違反(虚偽表示、譲渡)の疑いで、伊那営業所や長野市の本社、松本畜産センター(塩尻市)などの関係7カ所を家宅捜索した。
県警は、県が提出した調査結果を参考にするなどして家宅捜索を検討。卸先の小売店や飲食店らに産地を誤って認識させたのは違法行為に当たる可能性があると判断、刑事責任を追及するための強制捜査に踏み切った。
この日は、捜査員約100人が午前8時から9時にかけて、家宅捜索をはじめ、売り上げ伝票や関係帳簿などを押収したとみられる。
問題は農水省の抜き打ち検査で、店頭で買った肉をDNA鑑定したところ、昨年12月に発覚。県農政部によると、伊那営業所の担当者(副長)が04年12月ごろから、パック加工した豪州産牛肉を県産と偽表示して、少なくとも約516キロを販売していた。
これまでの調べで、伊那営業所は豪州産と山梨県産の牛肉を、県産と偽装した疑いが持たれている。担当者は県の調べに対して、「国産牛の細切れ肉の脂身が多いとの小売店からのクレームを受け、脂身の少ない豪州産を県産と偽って卸した」と説明している。
県警は、社員の単独犯行なのか、他の事業所でも偽装していたのか、本社からの指示があったのかなどの可能性を追及。関係書類や、関係者の事情聴取などの捜査を進める。 -
【特集 権兵衛開通】15万7千人の苦闘(2)
98年10月着工した伊那側からの工事は、1年後の99年10月、トンネル掘削の最先端である切り羽の大崩落に見舞われた。砕けた粘板岩が水とともに噴出した。幸い人身事故にはならなかったが、2カ月半の間、工事停止に追い込まれた。
「坑口からわずか310メートルの所。全長4・5キロのトンネルは普通3年位で掘れる。1年間でこれしか進めなかったことが工事の難しさを示している」と石原幸宏飯田国道事務所建設監督官は語る。
事態は深刻だった。粘板岩の硬い地層で地下水も多くないという予測の下に、トンネル本坑を直接掘り進む工事を始めたが、これでは手も足も出ないことが厳然と突きつけられたのだ。
急きょ、トンネル施工法検討委員会が設立され、水抜き坑掘削を先導させる方式に、工事計画自体を変えた。異例の事態だった。
水抜き坑とは、本坑に並行して、常に少し前を掘り進める径の小さな水抜き用トンネルのこと。先に水抜き坑を掘れば、出水地帯では水の流れが変り、本坑が掘りやすくなるという。
本坑の掘削方法自体も変えた。本坑は、掘削機ジャンボドリルで掘り進めたら、1メートル間隔でH鋼をはめ込み、その間に金網をかぶせてコンクリートを吹き付けるナトム工法で掘り進められていた。
だが、掘削工事の最先端部分の壁面が崩れやすいことから、フォアパイという支えになるような特殊の資材を、掘り進む岩盤の前方上部に先に埋め込んでいく補助工法も取り入れた。
一般にトンネル工事では、鏡ボルトという崩落防止用資材を先に埋め込んで、それごと岩盤を掘削する工法が用いられている。掘り進んだらH鋼をはめ込み、そのH鋼から放射状にロックボルトという岩盤強化のための資材が埋め込まれる。だが、あまりに崩れやすい地質だったがゆえに、さらにフォアパイ工法を付加したというわけだ。
だが、中央アルプスは、人々の前になお立ちはだかった。(続く)=毛賀沢明宏= -
長野縲恃ム田の高速バス 金曜、増便へ
中央道・長野道を利用して上下伊那と長野を結ぶ「みすずハイウェイバス」が3月から5月毎週金曜日に増便される。23日、県企画局交通政策課が発表した。
増便されるのは現行の最終便の1時間後で、長野行きが駒ヶ根IC19時25分、伊那IC19時38分発で、長野県庁着21時42分。飯田行きが長野県庁発19時35分で、伊那IC21時44分、駒ヶ根IC21時57分着。運行には伊那バスなど県内5社があたる。停留所・運賃などは現行と同じ。
05年10月に県補助事業の「公共交通機関による南北交流促進事業」による増便実験で大幅な利用者の増加が見られたため。
8月にバスの車内で行ったアンケートで、最終便の後の増便を求める声が多かった。それに基いて10月に土日を除く20日間、現行の最終便の1時間後に実験的に増便したところ、合計で長野行きで125人、飯田行きで165人が利用。1日の全便合計でも、対前年同月比、対前月比でも大幅な利用者の増加が見られた。利用は上り下りとも金曜の夜に集中しており、当面金曜日の夜だけの増便となった。
6月以降については3縲・月の利用状況を調査して判断するとしている。
南北の高速交通網の整備については、地元の声を受けた県議が超党派で協議会を作り鉄道・バスともに増便などを要請。田中知事もそれに積極的に応える姿勢を示し、増便実験などを行ってきた経緯がある。
利用状況に踏まえた、更なる整備を求める声は多い。 -
【特集 権兵衛開通】15万7千人の苦闘(1)
2月4日、権兵衛トンネル道路が開通する。着工以来7年半の歳月と、のべ15万7千人の労力を費やして、中央アルプスを穿(うが)つ高規格道路が完成する。
特集第1弾は、困難を極めたトンネル工事の苦労を聞いた。
◇ ◇ ◇
「着工時には難工事とは思っていませんでした。しかし、掘り出したとたんに、想定していた地質とはまったく違うことが判明したんです」
権兵衛トンネル工事の現場責任者を務める国土交通省飯田国道事務所の建設監督官石原幸宏さんは振り返った。
98年秋のトンネル工事着工まで、地質調査は何度も行われた。当初は粘板岩主体の硬い岩盤で、比較的掘りやすい地質と想定されていた。
だが、実際に掘り出してみると、粘板岩が細かく割れた破砕帯がいたるところにあり、断層や地下水系が複雑に入り組んだメランジュ層(「混沌とした」の仏語)であることが分かった。
だが、なぜ、それほど想定が違ったのか?
「調査地点の岩盤が偶然硬かったのかも知れませんが、ボーリング調査の限界だったとも言えます」
ボーリング調査は88ミリの直径のサンプルを掘り出す形で行われた。調査する位置にもよるが、この直径では、地質に入った割れは見つけにくい。地圧で岩盤が押し付けられている状況で採取するからなおさらだという。
ところが、実際にトンネル本坑を掘るとなると、穴の断面の面積は約80平方メートル。しかも、片面は何の圧力もかからない開放した断面になるため、地中の圧力を受けて調査時には予想しなかった崩壊が始まる。「掘ったとたんにザザーと、あるいはゴロゴロっと崩れてくる。時には直径1縲・メートルの岩が圧力で飛び出してくる、そういう地層だったのです」。
断層も想定以上だった。トンネル工事現場は、奈良井川に沿って境峠断層が走っている。大きな断層の近くには、ちょうど魚の骨のように大きな断層に交わって縦に走る断層が存在するが、その規模と量が、通常をはるかに超える地質だったそうだ。
「断層と地下水、それに崩れた粘板岩が混沌として最初から最後まで続いたトンネル工事だったのです」
石原さんは前任地の安房トンネルと比べて「規模はかなり小さいが、労苦はほぼ同じ程の難工事」だったと評する。(続く)
=毛賀沢明宏= -
権兵衛開通 救急医療体制一覧を作成
権兵衛開通後の救急医療体制を確認する調整会議の2回目が24日、県木曽合同庁舎であり、伊那・木曽両圏域の広域消防本部・病院などの関係者が集まった。前回議論を踏まえ、伊那中央・昭和伊南・県立木曽の各病院で実施可能な処置・検査項目、救急時の連絡体制などをまとめた一覧を作成し、開通に備えた。
木曽地域の救急医療機関はこれまで木曽病院しかなく、患者の症状によって他の病院への救急搬送が必要でも、約60キロ離れた松本の信大病院か相澤病院に1時間かけて運ぶしかなかった。
トンネル開通後は伊那中央病院までが32キロで38分、昭和伊南病院までが47キロで49分で搬送が可能になることから、懸案だった木曽地域の救急医療体制の整備が進むことになる。
トンネル内の防災設備などについても、改めて確認された。 -
くらしのガイドを全戸配布
伊那市・高遠町・長谷村合併協議会は、住民向けの「新しい伊那市 くらしのガイド」=写真=を2万5700部作った。3月31日の新市発足に伴い、庁舎位置や組織体制、必要な手続きなどを案内する手引書。各市町村は近く、広報2月号などと一緒に全戸へ配布する。
ガイド=A4判、65ページ=は合併後、手続きが混乱しないように▽庁舎内の配置図▽事務組織図▽各庁舎の主な業務▽地域自治組織▽住所表示変更竏窒ネどをまとめた。右ページ端に項目を記し、わかりやすく引けるようにした。
住所表示の変更手続きが必要なものは、普通貯金通帳・定期預金証書、生命保険証書・損害保険証書、特許・実用新案・意匠・商標登録、工場立地法による特定工場の届け出など。「合併後、ただちに手続きをしなければならないというものはほとんどない」という。住民票、戸籍、印鑑登録証、パスポート、自動車運転免許証、国民年金などは不要。
23日にあった伊那市議会の勉強会で報告された。 -
大学入試センター試験
志望校合格を目指す多くの受験生の最初の関門、06年度大学入試センター試験が21日、全国で一斉にあった。上伊那会場の南箕輪村の信州大学農学部と駒ヶ根市の県看護大学でも、大勢が臨んだ。
降雪の影響も心配されたが、幸い交通の妨げとなるような天候とはならなかった。信大農学部には、試験開始の約1時間前から、バスや車などで、上伊那や下伊那の受験生が駆けつけた。
会場の外にある案内板を緊張した面持ちで確認していた受験生も、友人や知り合いの顔を見ると緊張が緩み、励まし合いながら試験に臨んだ。
志願者は信大農学部会場898人、看護大会場が385人。看護大の志願者が昨年より若干上回り、両校の合計も18人上回った。全県の志願者数は1万2人で、昨年より80人減少した。
本年度は英語で初めてリスニングが導入され、受験者は「ICプレーヤー」を使用する。約180人が英語を受験した伊那弥生ヶ丘高校は、受験者が手にとって実物を扱えるよう、サンプルを置くなどして試験に備えた。 -
「コーディネーション運動」学ぶ
スポーツ指導者の育成と資質向上を目的とした講習会が19日、伊那市の県伊那勤労者福祉センター体育館などであった。上・下伊那や諏訪地区から、小中学校職員や保育士など約70人が集まり、順天堂大学大学院助教授の東根明人氏の実技講習などを受講した。伊那教育事務所などの主催。
東根氏は、運動・脳神経の基礎体力を促進させる「コーディネーション運動」について指導した。同運動はヨーロッパを中心に学校体育やスポーツ現場で成果を挙げ、日本でも広まりつつある。同氏による指導は中南信地方では初となり、県内でも2回目となった。
実技講習は、床の上に落ちる寸前のテニスボールを掴み取ったり、ジャンプしながら体を左右に回転して進む運動などを体験。東根氏は「指導者は教える時に、運動のコツを掴んでいなければならない」と、参加者に呼びかけていた。
「コーディネーショントレーニングの魅力と効果」と題した講義もあった。
茅野市の中大塩保育園の保育士・矢島奈緒さん(27)は「遊びながらできる運動を保育園でも取り入れていきたい」と話していた。 -
劇映画「村歌舞伎一代」で子役を募集
伊那市出身で飯島町在住の後藤俊夫監督は19日記者会見し、長編劇映画「村歌舞伎一代」に出演する子役約50人の募集を呼びかけた。締め切りは2月28日で、3月下旬にオールキャストを発表する。
映画は、信州の小さな村を舞台に、主人公の木地師半次が地芝居を通して友情をはぐくむ青春時代、シベリア抑留の過酷な戦争体験、親友の死などを経て地芝居を再興、継承していく物語。
役柄は、主人公半次(子ども時代)のほか、クラスメート、芝居見学者などで、対象は小学校4年生縲恍・w校1年生くらい。やる気があって明るく元気のいい子を求めている。演技は後藤監督らが指導するため、経験がなくても可。土・日曜日や夏休みを利用し、上・下伊那を中心に撮影するため、地元から募るが、希望があれば他地域でも受け付ける。
上伊那での面接は3月12日、伊那市生涯学習センターである。
99年、伊那谷を舞台にした映画「こむぎいろの天使竏窒キがれ追い」を手がけた後藤監督は「芸術文化の向上や、ふるさとのよさを再発見する機会として、地元の子どもたちに演技を体験してもらいたい」と話した。
06年中に撮影を終え、07年度中の全国公開を目指す。
応募先は、往復はがきに住所、氏名、電話番号など必要事項を記入して事務局(〒399竏・502大鹿村大河原391竏・ 大鹿村教育委員会「村歌舞伎一代」係・TEL0265・39・2100)に送る。
上伊那の問い合わせは、長谷村教育委員会の穴沢さん(TEL98・2009)へ。 -
【寄稿】豪雪災害現地視察を終えて(下)
長野県議会土木住宅委員長 向山公人飯山市の千曲川近くの視察(前号参照)に続いて、農業施設の状況ということで、大規模農業経営をされている花卉ハウスや畜産団地を視察したが、除雪作業に追われている現況では、被害状況など掌握できない状況であった。
黒岩地籍に従来あったスキー場の跡地は、過去雪崩を数回起こし下段の集落に犠牲者が出ていることから、県では防止施設を昨年設置したが、将来的には植樹していく必要を感じた。
国・県道は除雪により車の通行は確保されてきているが、脇道や町村道については通行の確保が進んでおらず、土木部として、11日から排雪作業の応援にロータリー車、バックホー、ダンプカーなどをオペレーター付きで4グループ、各市町村に出すことを決定した。
北信地方事務所管内の5市町村において、弱者世帯といわれている世帯は約700世帯あるようだが、早急に屋根などの除雪作業に着手するよう要望すると同時に除雪支援を求めることを約束した。
飯山市から栄村へは、「1里1尺」という昔からの言い伝えがあり、4キロ行くと30センチ雪が増えると言われるが、屋根の雪や道路脇の雪の高さがそのことを物語っていた。
毎年これから本格的な雪のシーズンを迎える時期なので、除雪作業計画は気を許せない日々がまだ続いており、地域の人たちの大変さが身に染みて理解できた現地調査であった。
それ以前に知事が飯山市を訪れたが、たった10分ほどいただけで栄村に向かったことについて、住民の一人は「あんな短時間で的確な状況判断ができるのだろうか」と不満を漏らしていたが、いかにもパフォーマンス知事を表わしている一面と感じられた。
毎日の除雪作業に励む人々が「地域の中でお互いに助け合う信頼感や団結が強まるのはうれしいですけどね……」と語った言葉が特に印象的だった。
災害など緊急を要することは現地の状況を的確に捉えた対策が重要と改めて感じて帰路に着いた。
視察前日17時現在の被害状況は、死者が飯山市1人、栄村で1人。重傷者が中野市、飯山市、など5市町村で11人。視察当日、体育館が倒壊した。
視察後の13日、県議会正副議長と土木住宅委員長の3人で、19日に国土交通省に除雪作業への支援の要請に赴くことが決まった。 -
高校改革プラン推進委員会(15)
第3通学区高校改革プラン推進委員会(池上明雄委員長)が18日、南箕輪村民センターであり、各委員から募った考えを池上委員長らがまとめた最終報告書素案が示された。委員は20日までに、素案にそれぞれ検討を加えて事務局に提出する。それを考慮し、改めて報告書をまとめ、30日の最終委員会で正式な了承を得る。県教育委員会への答申は今月中に行う構えだ。
池上委員長は冒頭、統廃合案が確定していなかった諏訪につき「岡谷東と岡谷南の統合」という過去に諏訪からでた案を改めて提示。諏訪の委員は、地域での合意形成の時間を設けるなど、なんらかの配慮を付記することを条件としながらも、案の決定を受け入れた。
最終報告書の素案は▼25校から22校にすること▼岡谷東、岡谷南の統合▼箕輪工業の全日制廃止▼飯田長姫と飯田工業の統合竏窒軏{とし、多部制・単位制の設置や、定時制高校の統廃合を示している。
「削減ありき」という結論が強調され、魅力論の言及が希薄化している竏窒ニ考える委員も多く、具体的な魅力論に踏み込むことを求める声もあり、付記事項で各委員が考える魅力論を充実させることとなった。
一部の委員からは、20人学級や教員の加配などで定時制と同等の環境を多部制・単位制に確保してほしい竏窒ニの要望もあったが、県教委は「あくまでも40人学級の枠で充実を図りたい」とした。 -
高遠町・長谷村・西春近商工会 06年度から合併に向けた連携
高遠町・長谷村・伊那市西春近の商工会は年度内に、合併・統合に向けて06年度から連携するための調印を交わす。西春近商工会新年祝賀会の席上、野溝和男会長が明らかにした。
県は商工団体への補助金を抑制する点から、1市町村に1商工団体を原則としている。「補助金を受けての商工会。減額されると運営できない」(野溝会長)と今後の方向性を検討。3月31日の新市発足に伴い、1商工会議所3商工会を1つするのは容易でないことから、まず3商工会が広域的に連携することとし、各商工会の理事会で決定した。
連携によって、税務や経営などの経営改善普及事業を1本化。各商工会が中心となっているイベントなど地域振興事業はそれぞれで取り組む。06年度は高遠町商工会が監事を務める。
各部会の事業内容などが異なるため、連携を取りながらまとめ、07年度の3商工会合併に向ける。さらに助走期間を置き、09年度に伊那商工会議所と統合したいとする。
06年度は補助金や職員数に変動はない。07年度に合併すると、補助金は06年度までの80%を確保できるという。
西春近商工会によると、会員から合併・統合を望む一方、経営指導体制などきめ細かなサービスが行き届かなくなると危ぐする声もある。
伊那商工会議所の向山公人会頭は「会議所として即統合ということは決めていない。会員の合意を取り、成果が上がるように論じることが大切」と述べ「商工会と共通事業があれば、力を合わせて取り組みたい。一つの生活圏、経済圏で、同じ目的を持つものがまとまるのが望ましい」と西春近商工会と話し合いの場を作りたいとした。 -
【寄稿】豪雪災害現地視察を終えて(上)
県議会土木住宅委員長 向山公人長野県北部に降り続く大雪は栄村を孤立化させたのをはじめ、飯山市、野沢温泉村などにおいても日常生活に影響が出ている。県議会としても議長と相談の結果、土木住宅、農政、生活環境の各委員長で現地視察を行い国への要望など取り組むことを決定した。
1月10日(火)午前8時過ぎ県庁を出発、県の北信地方事務所において管内の概況説明を受けた後、地方事務所と飯山建設事務所の案内で、飯山市の豪雪による危険箇所並びに除雪作業等を視察した。はじめに、静間地区で道路や家屋の除雪作業をしている自衛隊第13普通連隊20人の現場(写真(1))を訪れ、作業のお礼と激励をした。 -
合併協議会(16)
伊那市・高遠町・長谷村合併協議会の第16回会議が13日、市役所であった。特別職の身分の取り扱い1項目を了承。高遠町・長谷村に置く地域自治区長(総合支所長)の職務権限は助役に準じると報告し、提案項目から外した地域協議会委員を含む報酬額は助役会に一任した。次回(2月下旬)、報告される。
「地域自治区長の職務権限は助役に準じ、報酬額は一般職最高の部長級と助役の中間」(小坂市長)。総合支所の事務を総括管理し、所属する職員の指揮監督するのが主な業務。専決事項は総合支所業務の調整、総合支所にかかわる重要な申請や願書などの処理方法の決定など。財務関係では、報酬費や委託料、工事請負費など2千万円以上5千万円未満など助役と同等の決裁とした。
予算執行は原則として本庁の課と連携した統一管理方式で、総合支所は担当者竏忠ロ長竏虫汳キ竏虫ゥ治区長から市長に上げる。
入札の執行は本庁で一括。
総合支所の職員配置(課長・係長除く)は、総合支所次長以上となる。
第15回会議で、町村委員から「地域自治区長の権限を早急に決めるべき」と意見が挙がり、合併協幹事会や助役会などで協議した内容が示された。
委員から異議はなかった。
常勤特別職の報酬は県内の人口類似規模の安曇野市・塩尻市に準じ、非常勤特別職は現伊那市にとどめる提案の通りとし、地域自治区長、地域協議会委員の報酬は助役会に一任することを加えた。
町村委員から、地域協議会委員の報酬は「年額でなく日額にしてほしい」とする要望があった。
年度内に集約する方向で、助役会の協議後、合併協正副会長会に諮り、合併協に報告する。
合併協議会長の小坂市長は「おおまかな協議が終了した。うらやましがられる新市に努力していかなければならない」と述べ、3月31日の新市発足に向け、協力を求めた。
会議では、新市の事務組織図、市章候補の選定経過なども報告。今月末に、住民の窓口手続きなどをまとめた「くらしのガイド」を全戸配布する。 -
【記者室】湯たんぽの根強い人気に納得
日が長くなったとはいえ、厳しい寒さが続く。これまで冷え切った部屋を暖房器具で温めてから寝ていたが、湯たんぽに切り替えた。周囲から「いいよ」と聞いてはいたが、予想以上に温まることに驚いた▼熱い湯が入った湯たんぽを袋に入れ、寝床で暖を取る。寝る前に、ふとんの中心に置き、寝るときに足元へずらす。手足が冷えても集中的に温めることができるし、自由に場所を動かすこともできる。湯はだんだんぬるくなるが、満杯にすれば翌日の朝まで持つ▼伊那市内のある店では「使っていたのがだめになった」など年配者が買い求めていくそうだ。相変わらず根強い人気というもうなずける。寒さに耐えられない人にはお勧め。冬シーズンは手放せそうにない。(湯沢記者)
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高校改革プラン推進委員会(14)
第3通学区高校改革プラン推進委員会(池上昭雄委員長)が12日、南箕輪村民センターであった。諏訪地域は、次回委員会で具体案を提示することを了承。また、残された時間で“魅力ある高校論”を詰めるため、委員それぞれが一定の形式に沿った魅力づくり案を提出し、委員長がそれを次回までに集約する。上伊那では今後、多部制・単位制に統合される上伊那農業定時制のPTAなどを対象とした説明会を実施する予定。
地域コンセンサスの形成が難航し、統廃合対象校が絞りきれない諏訪地域は、プラン導入の先送りを求め、今回も具体案を示さなかった。しかし「地域の完全なコンセンサスを得るのは不可能」「上下伊那でも07年度実施を目途に検討してきているのに、諏訪だけ遅らせれば地域の理解が得られない」とする意見が相次ぎ、諏訪も次回の冒頭で具体案を提出することとなった。
箕輪工業の多部制・単位制へ統合する形で廃止となる上農定時制については、07年度廃止に強い懸念を示す委員もいた。岡谷工業高校教諭の藤本功委員は「時間的拘束が緩やかな多部制・単位制は、定時制の生徒だけでなく、これまで全日制を希望していた生徒の入学も増える可能性がある。定時制生徒の締め出しにつながるのでは」と示唆。多部制・単位制の方向性が見えるまでは上農定時を廃止しないことを提案した。しかし第3推進委は、実施時期を答申案に盛り込む予定はしておらず、県教育委員会の実施計画に委ねる。
第3推進委は、上農定時制PTAから多部制・単位制についての説明会開催の要望も受けており、現在は実施日の調整をしている。 池上委員長は「今は他部制・単位制に対する十分な理解が広がっていない。説明会の実施は必要」と話していた。