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天竜川上流河川事務所が上下伊那8市町村、県と連携して「天竜川流域防災GIS」(仮称)を導入
天竜川上流河川事務所は、災害時の被害発生場所やその状況などを関係行政機関が速やかに共有することを目的とした「天竜川流域防災GIS」(仮称)を導入する。同事務所のほか市町村や県などがパソコン上で地図情報を共有し、災害の発生を確認した場合、関係者それぞれが把握している情報をその地図上へ速やかにアップし、情報共有を図る。対象地区は同所の直轄砂防がある伊那市、駒ケ根市、飯島町、宮田村の上伊那4市町村と下伊那4市町村。システムの運用は各市町村と県、伊那建設事務所、飯田建設事務所と連携しながら行っていく。テスト運用の開始は3月末を目指す。
災害時、被害が発生した時間や場所、規模などに関する情報を早急に把握することが的確な措置を講じていくためには必要不可欠となるが、関係行政機関の把握する情報をやり取りするには同一の地図が用意されていなかったり、同様の地図があっても作成年や縮尺が異なるなどといった理由から、情報共有が困難な状況にあった。
そんな中、同事務所では、この「防災GIS」に着目し、05年から検討を重ねてきた。
ベースとなる地図データは、学識経験者の見解を聞きながら同事務所が作成。県の土砂災害地図の情報や市町村の防災計画の情報、道路交通網の状況などを掲載し、災害時に関係者が被害を確認した場合、その地図上へ災害情報を書き込んでいくようになる。
当面は行政関係機関が速やかに情報共有を図るために運用する予定で、今後は災害情報をアップするためのルール作りなどを進めていく。 -
第5回明日に翔け!上伊那ファーマーズの集いで食害、ジビエ料理について考える
上伊那の農業者が一堂に会し、これからの農業について考える「
第5回明日に翔け!上伊那ファーマーズの集い」が5日、伊那市狐島のJA上伊那本所であった。農業関係者など約250人が集まり、深刻化する有害鳥獣対策について考えるとともに、駆除した野生鳥獣をジビエ料理として活用する方法を模索した。
獣害防除対策に着目した今回、農業者のほか、猟友会関係者にも参加を呼びかけた。
第2部では、伊那市長谷地域の事例紹介に続き、信州大学農学部の竹田謙一助教が「集落ぐるみの獣害防除対策」をテーマに講演。竹田助教は耕作放棄地が野生動物のえさ場となっていることに触れ「集落の中で一つでもこうした場所を作らないことが大切」と説明した。また、駆除したニホンジカの肉などをジビエ料理などに有効利用することで、地域の資源としてこれらの野生動物をとらえていくことを提唱した。
ジビエ料理について学ぶ第3部では、飯田市南信濃にある山肉料理専門店「星野屋」の4代目店主・片町元彦さん(32)を迎え、実際に片町さんが作ったシカ肉を使ったステーキやメンチカツなど料理3品を試食=写真。星野さんは「これまでのジビエというと、一部の人がワインを片手に食べるなどといったイメージが強いが、女性や子どもにもすんなり受け入れられるメニューにした」と語り、これまであまり用いられなかったアキレス腱などの部位を使ったコストが比較的安いメニューなども紹介した。
実際試食した参加者は「シカ肉と分からないくらいおいしい」と話し、3つの料理に次々とはしを伸ばしていた。
また、上伊那農業委員会協議会による功労者表彰と感謝状授与もあり、後世に残したい技術などの伝達者を認定する農業名人には、新たに3人を認定した。
表彰などは次の通り。
◇農業功績者=平沢明彦(伊那市)原伊一(伊那市)堺沢政江(駒ケ根市)一ノ瀬博(辰野町)柴正人(箕輪町)久保田明美(飯島町)征矢寛美(南箕輪村)横前アップルランド(中川村)田中宮男(宮田村)
◇農業功績者感謝状=平沢信助(伊那市)北條富男(辰野町)
◇農業名人認定者▼新鉄砲百合栽培名人=井上修一(伊那市)▼アルストロメリア名人=宮崎国治(中川村)▼農業機械改良名人=保科治男(宮田村) -
上伊那でも冷凍ギョーザに関連した健康被害の届け出
伊那保健所に4日午後、中国産冷凍ギョーザが原因と疑われる健康被害に関する相談が寄せられた。相談に訪れたのは上伊那管内在住の男性。上伊那で健康被害届けが出されたのは今回が初めてで、伊那保健所では「対象商品が自宅に残っている場合は食べないようにし、万が一、これらの商品を食べて健康への影響があった場合は、伊那保健所へ速やかに連絡してほしい」と呼びかけている。
伊那保健所によると、男性が食べた冷凍食品は今回自主回収の対象となっている中国の天洋食品が製造した冷凍食品「CO・OP手作り餃子」。男性は1カ月ほど前、このギョーザを食べたところ、めまいなどを感じたため、近くの医療機関を訪れた。今回の事件を受け、不安を感じたため、対象製品の残品を持って同保健所に健康被害の相談に訪れた。
これを受けて保健所では、残品を長野市にある環境保全研究所へ送付。この冷凍ギョーザと健康被害の関係性を調査している。
4日の午後2時現在、県内では消費者、営業者合わせて92人からの相談が寄せられている。 -
節分演歌まつり開催
新春の訪れを歌とともに楽しもう竏窒ニいな歌謡祭実行委員会などによる「節分演歌まつり」が3日、伊那市の生涯学習センターであった。上伊那地区のカラオケ愛好者ら約35人が出場し、自慢ののどを披露=写真。訪れた来場者を楽しませた。
歌謡Academyを主催する今井ひろしさんらが企画する演歌ショーで、今回は節分に合わせて「節分演歌まつり」として開催した。
衣装やメークなどに趣向を凝らした出演者は、北島三郎の「北の漁場」や吉幾三の「雪国」など、一般にもなじみの曲全46曲を披露。最後には節分に合わせて鬼も登場し、来場者も一緒になって豆まきを実施。舞台を楽しむとともに、この1年の安全や健康を祈願した。
主催者の今井さんは「来場者の方にも一緒に楽しんでいただければ」と話していた。
3月30日には「第4回いな歌謡祭」を開催する予定。
問い合わせは(TEL090・5491・4772)今井さんへ。 -
08年度公立高校前期選抜試験入学志願者数発表 上伊那の倍率は1・63倍
県教育委員会は4日、08年度公立高校前期選抜入学試験の志願者数を発表した。上伊那の全日制7校の志願者総数は839人で倍率は1・63倍。県平均と比較すると0・18ポイント下回っている。志願者倍率が最も高いは、上伊那農業の園芸学科で2・20倍。普通科では、伊那北、赤穂の1・92倍が最も高くなっている。
上伊那の全日制前期選抜では、定員割れとなった高校はなかった。最も志願者数が多かったのは伊那弥生ヶ丘の普通科で131人。また、倍率では上伊那農業の園芸学科と生活環境がともに2倍を超えている。
また、4月開始となる多部制の箕輪進修は、募集定員80人に対し志願者数は143人となり、倍率も1・79倍となったが、夜間部となる普通III部は定員割れし、0・3倍にとどまった。
前期選抜は7日(一部の学校では8日にも実施)に実施する予定で、合格発表は15日となる。
また、私立・伊那西高校では、08年度総募集定員は180人。第1回願書受付け期間が5日まで、第2回願書受付期間が22縲・9日となっている。 -
中央アルプス千畳敷カールにおけるサルを考える集い開催
中央アルプス、南アルプスの自然環境保全などを目的とした活動を展開するNPO法人・アルプスAyudaによる「中央アルプス千畳敷カールにおけるさるを考える集い」が2日、南箕輪村にある信州大学農学部の「食と緑の科学資料館」であった。行政関係者や高山植物の保護活動に従事する人など約50人が集まり、中ア千畳敷カールまで行動範囲を拡大しているニホンザルの現状を学ぶとともに、今後、観光客とどのような関係づくりをしていくべきかを考えた=写真。
ニホンザルの群れが近年、標高2600メートルに位置する千畳敷カールで高山植物などを採食していることが確認され、観光客が近づいても逃げないといった状況が生じている。今回の集いはこうした現状を把握するとともに、今後、どのような影響、対策が必要かを考えるために開催した。
1980年代から中アのニホンザルの生態について調査してきた駒ケ根市博物館学芸員の吉田保晴さんは、過去から現在までのニホンザルの行動域の変化を報告。近年千畳敷まで上がるようになった群れがどこから上がってきているのかいまだ確認できていないものの、春の芽吹きを追って6月ころから千畳敷へ入り、一昨年は千畳敷の樹林帯でねぐらを形成しているのを確認した。また、昨年はフンの中から人間が食べ残した残飯が出てきたことから今後、味を覚えたサルが、観光客に接近する危険性があることを指摘した。
パネルディスカッションでは、人や高山植物への被害を回避するためには今後、どのような取り組みが必要かを討論。信州大学農学部アルプス圏フィールド科学教育研究センターの泉山茂之准教授は「一番大切なのは人とサルが餌を介した関係にならないこと。餌付けされたサルは人に危害を与えるようになる」と説明。観光客への意識付けの重要性を指摘した。また、ニホンザルはニホンジカと異なり、植物の植生を破壊するまで食べ尽くす動物ではないため「ニホンジカとは分けて考えるべき」とした。
一方、来場者からは「現実的にどうするかが問題。行政サイドで予算付けをして、早期の対策をとり、高山植物を守ってほしい」とする意見も出された。 -
バレンタイン商戦
上伊那の大型店などで14日のバレンタインデーに向けて、チョコレート商戦が展開されている。
ベルシャイン伊那店では1月18日より時計台広場にバレンタインコーナーを設け、さまざまなチョコレートを販売している。
店員によると、ここ数年は、ベルギーのチョコレートメーカー「GODIVA」などの高級チョコレートや、手作りチョコレートを作るための板チョコやブロックタイプのものなどが人気を集めているとのこと。
変わったものではお守りなどを模した「合格祈願チョコ」や塩の入った「塩チョコ」など。またアルコール入りのチョコレートでは、定番だったブランデーのほかにも、日本酒や梅酒なども店頭に並んでいる。
客層は子どもから高齢者までと幅広く、自分で食べるために買っていく客も多いとのこと。 -
【記者室】毒ギョーザか地産地消か
毒ギョーザ事件で日本中が大騒ぎだ。問題の製品は意外に多く流通していて、上伊那にも出回っているというのだから人ごとではない。毒入り食品が家の冷蔵庫にあるかもしれないとなれば誰だって血の気が引く▼原因は今だ特定できないので製造会社を非難することは控えるが、中国の生産品にさまざまな問題があることは世界周知の事実。検査で発見されないまま市場に出ることが防げないなら、消費者自身が考えて選択するしかない▼今や世界中の食品を手軽に購入できる時代だが反面、誰がどんなふうに作った物かはまったく分からない。昔ながらの地産地消であれば心配は少ないとはいえ、ぜいたくに慣れた日本人がそんな素朴な食生活に戻ることは無理だろう。(白鳥文男)
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県校長会が県立高校再編にかかる意見書の最終まとめを県教委に提出
長野県教育委員会の要請を受けて県立高校の再編についての意見を取りまとめてきた県校長会が31日、最終まとめを県教委に提出した。上伊那が含まれる第3通学区については「総合学科の設置が課題」としたほか、上伊那を対象とする旧8通学区については「1学年5学級規模以下の学校が4校あり、交通の利便性を考慮した再編統合や新たなシステムを導入した学校づくりも考えていく必要がある」とした。
この最終まとめは昨年6月に決定した「高等学校改革プランの今後の進め方について」に基づき検討してきた。
それによると、高校再編に対する基本的な考え方としては、少子化に伴なう高校の小規模化が進む中、「早期に高校再編を進め、適正規模を確保することが必要」とし、2013年ころを一区切りとして現時点で中学校卒業者数を見通すことができる平成30年代を見据え、高校再編計画を策定するように提案。再編、募集停止などに進む場合には、地域における高校教育の保障に配慮して、慎重に検討することを求めている。
また、専門学科の小規模化が進んでいる現状から「専門学科の適正規模と適正配置を改めて考えるべき」としたほか、総合学科、多部制・単位制高校といった新しいタイプの学校については「各通学区に1校以上の設置が望ましい」とした。 -
冷凍ギョーザ、上伊那管内でも3卸売り業者が取り扱い
健康被害が発生したジェイティフーズ(東京都)が輸入した中国産冷凍ギョーザが県内でも販売されていたことを受けて県は31日、県内の各保健所ごと、このギョーザの流通状況の把握を始めた。伊那保健所では、上伊那管内でも3卸業者がこの冷凍ギョーザを仕入れていたことから、店頭で販売されないよう、業者の早期回収を促すとともに、各小売店での販売状況について調査を進めている。今のところ、健康被害に関する報告はないという。
伊那保健所によると、上伊那では2業者が家庭用として、1業者が業務用として各小売店に卸していたが、当該製品以外で回収対象品となっている23品目については、管内での取り扱いはなかった。
伊那保健所では、各家庭で保存している冷凍ギョーザが該当するギョーザだった場合、速やかに販売店へ返品するとともに当該品を食べて具合が悪くなった場合は、同保健所へ連絡するように呼びかけている。
今後、管内でどれくらい流通していたかの集計を取りまとめる。 -
自主防災アドバイザーの委嘱式
県や市町村との連携のもと、地域における自主防災組織づくりを促進する「自主防災アドバイザー」の委嘱式が31日、伊那市の県伊那合同庁舎であった。上下伊那、木曽地域でこのアドバイザーとして活動することになる20人に対し、宮坂正巳上伊那地方事務所長から委嘱状が手渡され=写真=、自主防災技術の向上やアドバイザーの役割に関する研修が行われた。
近年、地域住民同士による自助、共助などの助け合いが被害の軽減、迅速な救助に重要な役割を果たすことが分かってきた。そんな中、県は今年、こうした自助、共助の母体となる各地域の自助組織の形成を促すとともに、自主防災活動の活発化、地域防災訓練の支援、助言などを行っていくアドバイザーを各地域に配置することにした。
アドバイザーの任期は3年。区長経験者や消防、警察署OBなどが中心で、上伊那からは8人が委嘱を受けた。
上伊那地域における、全世帯に占める自主防災組織加入世帯の割合を見ると、伊那市、飯島町、南箕輪村、中川村の4市町村は組織率100%、次いで駒ケ根市が99・9%、8市町村の平均も87・5%と比較的高い水準にある。そんな中、箕輪町の組織率は他市町村と比較して最も低い10・5%。辰野町、宮田村も90%まで届かない状況にある。組織数では、300の自主防災組織が上伊那に存在している。 -
第13回ウィンター2008信州フラワーショーが伊那市で開催
県内各地で生産されている秋冬期の切花、花木を一堂に展示する「第13回ウィンター2008信州フラワーショー」が1月31日、伊那市狐島のJA南信会館で始まった。冬花を代表するアルストロメリアをはじめ、アネモネ、ダリアなど約20種類335点の花々が会場を彩り、芳しい香りとともに訪れた人の目を楽しませている。
花き園芸の発展や生産技術向上などを目的として毎年開催している取り組みで、特に長野県が全国一の出荷量を誇り、その約85%が上伊那で生産されているアルストロメリアについては200点以上が出そろう。
今年は、次世代を担う子どもたちにも小さい時から花と親しみ、花き園芸の将来を支えて欲しいとの願いを込め、地元の竜東保育園の年長園児58人を一般公開に招待=写真。鮮やかに咲きそろった花々を前に、園児らは「きれいだね」とそれぞれの花に見入っていた。
今年は、燃料費の高騰に加え、秋に高温期が続いたり、暖冬傾向だったことなど、生産者にとっては生産費面、品質管理面ともに厳しい年だったが、出品された花はいずれも発色が良く、茎、葉、花のバランスも良いなど、例年に劣らない品質だという。また、生産量が増えているダリアの新品種なども並んでいるが、審査の結果、最高賞には伊那市の中原睦男さんのアルストロメリア「アバランジェ」が選ばれた。
一般公開は2月1日の午前9時縲恁゚後1時にも行われる。 -
第13回ウインター2008信州フラワーショー開催
県内各地で生産されている秋冬期の切花、花木を一堂に展示する「第13回ウィンター2008信州フラワーショー」が1月31日、伊那市狐島のJA南信会館で始まった。冬花を代表するアルストロメリアをはじめ、アネモネ、ダリアなど約20種類335点の花々が会場を彩り、芳しい香りとともに訪れた人の目を楽しませている。
花き園芸の発展や生産技術向上などを目的として毎年開催している取り組みで、特に長野県が全国一の出荷量を誇り、その約85%が上伊那で生産されているアルストロメリアについては200点以上が出そろう。
今年は、次世代を担う子どもたちにも小さい時から花と親しみ、花き園芸の将来を支えて欲しいとの願いを込め、地元の竜東保育園の年長園児58人を一般公開に招待=写真。鮮やかに咲きそろった花々を前に、園児らは「きれいだね」とそれぞれの花に見入っていた。
今年は、燃料費の高騰に加え、秋に高温期が続いたり、暖冬傾向だったことなど、生産者にとっては生産費面、品質管理面ともに厳しい年だったが、出品された花はいずれも発色が良く、茎、葉、花のバランスも良いなど、例年に劣らない品質だという。また、生産量が増えているダリアの新品種なども並んでいるが、審査の結果、最高賞には伊那市の中原睦男さんのアルストロメリア「アバランジェ」が選ばれた。
一般公開は2月1日の午前9時縲恁゚後1時にも行われる。 -
「井月句の心を書で描く」展 伊那図書館で
伊那市山寺区の書家向山修(雅号=竹修)さん(74)が代表を務める「井月句の心を書で描く」研究会は2月3日まで、同市立伊那図書館広域情報コーナーで作品展を開いている。漂泊の俳人井上井月(1822縲・7年)が詠んだ句を、会員それぞれが井月の気持ちになって書で表現した。
向山さんは2年ほど前から・ス井月句の心を書で描く・スことに試みている。作品展は向山さん主宰の上伊那の書道愛好家でつくる「竹葉会」有志で研究会を結成し、初めて開いた。秋、冬を題材とした、井月が詠んだ句をテーマに会員9人が作品25点を並べた。
「落栗の座を定めるや窪溜り」の句を6通りの表現で6枚の作品にした向山さん。「この句は、井月が落ちぶれた自分の姿を栗に当てはめて詠んでいるもの。栗が落ちていく様子を『落栗』の文字を紙の上にどう配置するかで表現してみた」という。
午前10時縲恁゚後6時30分(最終日は午後4時まで)。
「井月句の心を書で描く」展で作品を紹介している向山さん -
観光事業関係者を対象とした観光講演会開催
伊那市のふるさと大使で旅行案内書「ブルーガイド」の編集などに長年携わってきた森田芳夫氏=写真=を迎えた「観光講演会」が29日、伊那市内であった。市町村、観光協会の担当者など約40人が参加。森田氏の話を聞きながら、上伊那地域の観光振興について考えた。
上伊那広域連合、上伊那観光連合が企画した講演会で、森田氏は観光パンフレットの編集、公共の宿泊施設のあり方の2点について各地の事例を参考にしながら提言。現在上伊那広域連合が作成している観光パンフレット「上伊那」については、「上伊那というマイナーな地名を用いていては、全国でどう響くかが問題」とし、より、知名度の高い“伊那路”“伊那谷”などといった言葉に置き換えることなどを提案した。また「パンフレットの主たる役割はいかにして人を誘うかだと思う」とし、見る人にインパクトを与え、行ってみたいと思わせるような表紙とするには、よりシンプルな素材で、「上伊那」という地域を出していくことが重要であることを指摘した。
また、公共の宿泊施設の役割については、長年宿泊施設についての編集に携わってきた仲間の意見を参考に「宿のマネージャーや従業員が現地のことを熟知し、訪れた人に積極的に地域の情報提供をしたり、丁寧な対応をしている宿ほど、客は好感を感じている」と説明。一方、電話やフロント対応の悪さなど、ちょっとした対応の悪さからほとんどのクレームが発生している事実も紹介し、「設備の不備などでクレームが始まる訳ではなく、対応がしっかりしていればクレームは避けられる」とした。 -
住まいづくりシンポジウム
伊那市で26日、「あったか住まいづくりシンポジウム竏衷Zむこと、あたためること」があった。定員70人を上回る約150人が集まり、住まいや燃料として使われる木材を暮らしに生かす視点から森林とのかかわり方を考えた。伊那谷流域林業活性化上伊那地区協議会、上伊那山林協会主催。
岩手県の薪(まき)割りクラブ世話人・深沢光さんの講演「薪のある暮らし方」に続き、伊那市内外の建築士や林業士ら4人が地域材を活用した家造りなどについて意見を交わした。
深沢さんは「建築用材だけでなく、燃料として木材を使うことを忘れたために森が荒れた」と指摘。
林業士の原薫さんらは「全国各地で地域材を使おうと呼びかけても広がらない。実際に、木の良さを肌で感じてもらうことが大事。家造りを通して山が整備され、地域の地場産業も元気になる。上伊那は、そういった循環できる可能性を秘めている」と話した。
伊那市のますみケ丘平地林利活用実施計画策定委員長を務めた作家・浜田久美子さんは「上伊那は、地域材で家を建てやすい状況にある。全国でも薪ストーブ導入率が高い」としながら、山に行ったことのない親世代が多い現状に「市民の森林(もり)」として整備を進める平地林での活動を紹介した。
会場の一角には、地域材を積極的に活用する建設業の展示ブースが設けられた。 -
上伊那郷土館専門委員研究発表会
上伊那教育会(保科勇会長)は26日、伊那市駅前ビルいなっせで「第29回上伊那郷土館専門委員研究発表会」を開いた。小中学校教諭らでつくる同館専門委員11人が自然の部、人文の部に分かれ、それぞれの研究を発表した=写真。
研究発表は「経ヶ岳自然園の野草」「上伊那地方の局地気象の研究」「伊那市東春近における中世城館跡の研究」「山岸主計の創作版画とその人生」などがテーマ。自然の部と人文の部の2会場に合わせて約70人の教職員らが集まり、研究成果に耳を傾けた。
このなかで、星野正明教諭(伊那養護学校)は「上伊那のえびす講」と題して研究。上伊那の小中学校4校の児童、生徒にアンケートした、「えびす講の時期に合わせ、お焼きを食べる風習は現在、どのくらい残るのか」などについて発表した。
結果は124人中5人が「家庭でお焼きを作っている」。星野教諭は「ほとんど食べていないと言ってもよい結果に少しびっくりした。お焼きを食べる風習は廃れてきている。いつごろまでかなりの家庭で作っていたかを追跡調査する必要があると思う」と話していた。 -
JA上伊那あぐりスクール伊那校1組が作った壁新聞が子どもファーム活動コンクールで入賞
実体験を通じて子どもたちに食と農のあり方を感じてもらう上伊那農業協同組合(JA上伊那)のあぐりスクール伊那校1組の児童11人が作成した壁新聞がこのほど、農業体験などをテーマとした壁新聞を募る「07年度子どもファーム活動コンクール」で見事入賞を果たした=写真。
同コンクールは子どもたちに、体験した農業、農村体験を一枚の模造紙の壁新聞としてまとめてもらおう竏窒ニ、全国子どもファーム・ネット推進協議会、全国農業協同組合中央会が一昨年から始めたもの。JA上伊那が昨年から取り組んでいる「あぐりスクール」でも、自分たちの活動を地域の人に知ってもらうことを目的として壁新聞を作成し、昨年11月に開かれた「JA上伊那まつり」で展示したが、その新聞を同コンクールにも応募した。伊那校、駒ヶ根校合わせて15作品を応募したところ、全国から集まった161点の中から伊那校1組の作品が入選47作品の一点に選ばれた。
1組の作品には4月の開講式から種まき、田植え、収穫の時の体験などの時に感じた体験談が写真とともにまとめられており、「田植えでは思うように足が動かなくて大変でした」「落花生は土の中にあったからびっくりしました」など、実体験を通して感じた喜び驚きが子どもらしい言葉でまとめられている。
この入賞作品は、JA上伊那のホームページで見ることができる。 -
アルプス中央信用金庫アンケート、08年経営見通し
アルプス中央信用金庫はこのほど、上伊那の中小企業を中心に今年の経営見通しについてのアンケートを取った。
「08年の貴社の業況(景気)をどのように見通しているか」という問いには、「やや悪い」との回答が41%(小数点以下四捨五入以下同じ)で最も多かった。
業種別では製造業や卸売業で「普通」「やや良い」が6割近くととなったが、ほかの業種は「やや悪い」「悪い」「非常に悪い」の回答が半数を上回った。
「08年の貴社の売上高の伸び率は、07年に比べどのくらいになると見通しているか」との問では、「変わらない」が最も多く、次いで「10%未満の減少」、「10%未満の増加」の順となった。
業種別では増加の見通しを立てているのは製造業(42%)が最も多く、20%以上の増加を見通しているのも製造業のみとなった。減少の回答はサービス業が半数を上回り、小売業は4割に達した。
「自社の業況が上向く転換点をいつごろになると見通しているか」との問では、「業況改善の見通しは立たない」(34%)との回答が最も多かった。対して「すでに上向いている」との回答は16%となった。
業種別では製造業は「すでに上向き」19%、「見通し立たない」16%。改善の見通しを立てている企業の中では(すでに上向き・見通しが立たないと回答した企業を除いた企業)、「1年後」の回答が最も多い。
建設業は「すでに上向き」22%、「見通し立たない」36%。改善の見通しは、「6カ月以内」と「2年後」がともに11%で多い。
卸売業は「すでに上向き」8%、「見通し立たない」42%。改善の見通しは、「1年後」と「2年後」がともに17%で多い。
小売業は「すでに上向き」が4%。「見通し立たない」は6割近くを占めている。改善の見通しは「1年後」が最も多い。
サービス業は「すでに上向き」が15%。「見通し立たない」は6割を占めている。改善の見通しは「3年超」が最も多い。
不動産業は「すでに上向き」17%、「見通し立たない」が33%。改善の見通しは「2年後」までに業況が上向きになると見ている。
「構造改革の政策により、どのような変化が生じると思うか」の問では、ほとんどの企業が企業規模や業種、地域間での格差が拡大したと回答している。 -
宗維潔老師による太極拳講習会
伊那市狐島の三沢カルチャーセンターは26、27日の両日、同センター講堂などで、全中国武術太極拳大会を6連覇した北京体育大学の講師女性、宗維潔(そういっけつ)老師(38)による講習会を開いた。上伊那などでつくる信州太極拳気功協会の会員らが2日間で延べ180人参加し、本場の技を学んだ。
三沢カルチャーセンターで宗老師を招いた講習会を開くのは初。講堂で開いた初日は、約60人の受講者が老師の指導の下、太極拳の基礎となる「24式」を中心に学習した。参加した同市内の50代女性は「丁寧に教えてくれるので、この機会に一つでも多く学びたい」と講習に取り組んでいた。
三沢カルチャーセンター校長で信州太極拳気功協会の三沢清美会長は「本場の技を見る機会は少ないので、実際に見ることが一番の勉強になる」と話していた。
本場の技を伝授する宗維潔老師(左) -
南信労政事務所が07年労働組合基礎調査結果上伊那概況を公表
南信労政事務所はこのほど、07年労働組合基礎調査結果上伊那概況を公表した。
同調査は労働組合数、組合員数、加盟組織系統などの状況を明らかにすることを目的とするもの。上伊那地区の全労働組合を対象に昨年6月30日に調査を実施した。
それによると、昨年6月30日現在の上伊那の労働組合数は前年より1組合少ない122組合。組合員数も前年より57人少ない1万5779人で、いずれも減少傾向が続いている。推定組織率は前年差0・7ポイント減の20・3%。県全体の21・6ポイントを下回っている。
適用法規別組合数では、労組法74組合(1万824人)、特労法3組合(373人)、地公労法1組合(4人)、国公法6組合(123人)、地公法38組合(4455人)。県全体と比べると、労組法適用の組合員の構成比が若干低く、地公法適用の組合員の構成比が若干高い。
上部団体への加盟状況を見ると、日本労働組合総連合会長野県連合会(連合長野)への加盟率が68・9%と最も高く、84組合、1万1064人が加盟している。継いで長野県労働組合連合会(県労連)が8・2%で10組合、638人が加盟。23%は無加盟かその他となっている。
市郡別、組合・組合員数では、伊那市で前年比3組合210人増の62組合、7819人となったほか、駒ヶ根市で前年と同数の18組合となったが、町村では前年比4組合282人減の42組合5713人となっている。 -
伊那養護学校高等部「どんぐり販売」
伊那市の伊那養護学校高等部は26日、「どんぐり販売」を同市の(JA上伊那)本所と駒ケ根市のJA上伊那駒ケ根支所で行った。72人の生徒が参加し、作業学習で作った机や椅子、コーヒーカップや皿、竹炭、エプロン、ボカシ、焼きいもなどを販売した。
作業学習の成果を発表する場であるとともに、販売学習を通して金銭の扱い方などを身につけるのが目的。
JA上伊那本所では建物前に長机を並べ、「どんぐり販売」ののぼりを立て、頭に赤いバンダナをつけて、元気に接客していた。 -
「上伊那地域産業活性化計画」が国から同意を受ける
県と上伊那8市町村が連名で申請していた「上伊那地域産業活性化計画」がこのほど、国の同意を受け、2月1日に甘利経済産業大臣から村井知事に同意書が交付されることになった。
同計画は企業立地の促進等による地域の産業集積形成及び活性化に関する法律(企業立地促進法)に基づき、今月22日付けで申請を行ったもので、計画には上伊那8市町村と県、産業支援関連機関などが一体となって、同地域における産業活性化を図ることや、具体的ビジョンを明確化している。
計画では、トップクラスの精密機械関連、電気・電子機械関連などの産業の更なる集積を実現する「高度加工技術産業」と、食品、飲料品、医療品、大学・各種研究機関などとの「農工連携」「医工連携」の推進による「健康長寿関連産業」の地域ブランド化を目指す「健康長寿関連産業」を同地域の産業活性化と持続的かつ自律的な発展を可能とする基盤形成をするための基軸とし、この2つの産業に関する既存企業の高度化や新たな企業の誘致などを集積区域内において5年間にわたり積極的に進める。
集積区域は伊那市、駒ケ根市、辰野町、箕輪町、飯島町、南箕輪村、中川村、宮田村の上伊那8市町村。
5年後の成果目標としては▽粗付加価値額増加額300億円▽製造品出荷増加額700億円▽新規立地件数50件▽製造業従事者数増加数千人竏秩B
目標達成に向け、工場用地の整備、人材の育成と確保、技術支援、推進体制の強化などといった事業環境整備を行う。 -
ミニバスケットボール全国選抜県大会
ミニバスケットボールの第19回全国選抜県大会は26、27日、長野市運動公園総合体育館であり、女子の決勝リーグを伊那ミニ(伊那市)が制した。優勝は7年ぶり3度目。上伊那勢としては、女子の箕輪北以来2年ぶりとなる全国大会(3月28竏・0日、東京)への出場権を手にした。
伊那ミニは初日、決勝リーグ進出決定戦を勝ち上がると川中島と対戦した決勝リーグ初戦を33竏・1で勝利。最終日は、試合終了間際に勝ち越す接戦で松本南部を32竏・0で下し、最終戦のTOSC(伊那市)を36竏・1で快勝し、全勝優勝した。
上伊那勢はこのほか、TOSCが初めて決勝リーグへ進んだが4位。県選手権(昨年11月)で優勝した男子の箕輪(箕輪町)は、決勝リーグで川中島に33竏・3で負け、2勝1敗の2位。男子の優勝は全勝の川中島だった。
大会は県選手権の上位男子8チーム、女子7チームが出場し、それぞれで決勝リーグ進出決定戦、4チームずつの決勝リーグを展開した。 -
上伊那獣医師会60周年記念式典
上伊那の獣医師でつくる上伊那獣医師会(田中勝会長、54人)が創立60周年を迎え、25日に伊那市のマリエール伊那で記念式典を開いた。
田中会長は「獣医師の業務と責務は社会の中で多様化してきている。獣医師は社会のニーズに対応し、その重責をはたしていかなくてはならない。獣医師会も地域社会の要請に応えていきたい」と式辞を述べた。
来賓として出席した小坂樫男伊那市長は祝辞で「公衆衛生の面、食品衛生の面で先生方の役割が非常に大切になってくるだろうと思う」と述べた。
功績賞の表彰では会長表彰状を7人が、特別感謝状を1人が田中会長から受け取った。 -
JA上伊那が金融窓口ロールプレイング大会を実施
窓口対応の能力向上を図ろう竏窒ニ、上伊那農業協同組合(JA上伊那)は23日夜、「金融窓口ロールプレイング大会」を、伊那市狐島の本所で開いた。各支所で金融窓口業務を担当する職員16人が、4人一組となり、さまざまな課題が盛り込まれた日常の一場面で、実際の窓口対応を披露=写真。特別審査員12人のほか、約100人の職員が審査員となり、各班の対応方法を見守った。
顧客のニーズに応じた適切・的確な窓口対応の重要性が高まる中、JA上伊那ではテラーインストラクターの大鷹小百合さんを迎え、窓口接遇、応対、事務リスクなどの研修を重ねてきた。
同大会その一環として今回初めて企画。
高齢の母親に代わり、母親名義の口座から貯金を引き出しにきた会社員への対応などといった課題に対し、どのような対応が求められるかなどをチームごと考え、制限時間である12分以内に実演。各班とも、本人確認の時、相手に不快な思いをさせないよう、最善の配慮をしたり、終始笑顔を心掛け、相手への気の利いた会話を持ち出すなどして、これまでの研修の成果を発揮していた。
会場からは「さわやかな対応で好感がもてた」「基本のルールプラスその職員の気遣いなどといった味付けが必要だと感じた」などといったコメントが寄せられた。 -
この冬一番の冷え込み 伊那市で氷点下11・4度
上伊那地方は26日朝、冬型の気圧配置と放射冷却現象で前日に続いて厳しい冷え込みとなり、伊那市は最低気温が氷点下11・4度を記録し、この冬一番の寒さとなった。
25日は上伊那各地で今冬一の最低気温を記録。伊那市も初めて氷点下10度を下回る10・3度だったが、26日はさらに1度以上も下がった。伊那市長谷では小川も凍りつき寒々しい景色となった。
長野地方気象台によると、27日朝も放射冷却現象で厳しい冷え込みになるという。 -
07年長野県市町村広報コンクール町村の部で箕輪町、広報写真の部で飯島町、広報映像の部で駒ヶ根市が最優秀賞を受賞
県は25日、23日に開催した「07年長野県市町村広報コンクール」の入賞作品を発表した。上伊那では広報紙、町村の部で箕輪町が、広報写真の部(組写真)で飯島町が、広報映像の部で駒ヶ根市が、それぞれ最優秀賞を受賞した。
同コンクールは市町村の広報活動の向上を目的として県、県広報協会が開催したもので、広報紙の市の部、町村の部、広報写真(広報紙に掲載された写真)の1枚写真の部、組写真の部、広報映像の部の5部門で、07年1月から12月の間に発行、発表された作品を募集。審査会では、それぞれ上位3作品を選出した。
応募作品数は広報紙、市の部が13作品、町村の部が14作品、広報写真、1枚写真の部が26作品、組写真の部が12作品、広報映像の部が7作品。
最優秀賞のほかでは、町村の部で飯島町が優秀賞に入賞。また、1枚写真の部で駒ヶ根市が奨励賞を受賞している。
広報紙、広報写真のの部の入選作品は合わせて上位2点を全国広報コンクールへ推薦するほか、広報映像は上位1点を日本広報協会が主催する平成20年全国広報コンクールに推薦する。 -
社会保険職員を装った不審電話に注意
長野社会保険事務局伊那事務所は、社会保険庁や社会保険事務所の職員を名乗り、個人情報を聞き出す不審電話が多発していると注意を促している。「不審と思われる電話や訪問者があった場合は、その場で対応せずに相手の所属と名前、連絡先を確認し、社会保険事務所などに問い合わせてほしい」と呼びかけている。
不審電話があったと同事務所に対し、25日午後3時までに伊那市内から11件の問い合わせがあった。
不審電話の内容は「医療費の還付金がある。昨年はがきを送ってあるが、まだ提出がないため電話した。キャッシュカードを持って、大至急、ATM(現金自動預払機)まで行き、フリーダイヤルに電話してほしい」「保険料の払い過ぎがあったので、銀行などのATMへ行って手続きをするように」竏窒ネど。
関係者は「社会保険庁、社会保険事務局、社会保険事務所では、一方的な電話で預金口座などの個人情報を聞くことはない。医療費や還付金などを支払う場合、電話で銀行などへ出向かせ、ATMの操作をさせることはない」と話している。 -
天竜川上流を訪ねて
天竜川の源流諏訪湖。ここには、冬になると遠くシベリアからコハクチョウが越冬のために飛来する。コハクチョウは、春、5月頃から産卵し、一ヶ月ほどでヒナが孵化。9月の末頃、シベリアが厳しい寒さの季節を迎えると、沼や川が凍りつき、エサを探したり、泳いだりできなくなるため、日本を目指して約4千キロの空の旅が始まるのだ。 こうして、北海道の湖などで羽を休めながら、その一部のコハクチョウたちが諏訪湖にやってくる。
諏訪市在住の珪藻研究者飯島敏雄さんによれば、コハクチョウたちが暮らす北シベリアの湖と諏訪湖には、同じ種類の珪藻が存在することが確認されており、「コハクチョウのエサの中に含まれていた珪藻が、糞などを介して運ばれたもの」(飯島さん)と推測されるという。
天竜川源流の水は、コハクチョウといういきものを通して、世界の水環境とつながっていると言えるだろう。
また、天竜川が太平洋に注ぐ河口の砂浜には、絶滅危惧種アカウミガメが産卵に訪れることが知られている。アカウミガメたちは、天竜川が運んだ砂に新しい命を託し、孵化したアカウミガメたちは、遠く赤道直下まで太平洋を移動し、やがて20年後に再び同じ砂浜に産卵にやってくると言われている。ここでも、アカウミガメといういきものを通して、世界にその環境がつながっている。
伊那市新山小学校では、約1年前、珪藻研究者飯島敏雄さんを迎えて、学校近くにあるハッチョウトンボが生息する湿地の水を調べる授業を開いた。その授業の中で、新山には貴重な水環境があり、日本でも珍しい珪藻が存在していることを確認している。そこで、新山小学校では昨年夏、その湿地の水がやがてたどりつく天竜川河口へ、アカウミガメの卵に出会う旅に出かけ、その貴重ないきものたちの存在と自分たちのふるさとがつながっていることを知った。
そして、この冬、自分たちのふるさと新山から天竜川を上流にたどり、諏訪湖の鳥たちに出会う旅に出かけた。