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木のアウトレット市
上伊那森林組合中部支所の「木のアウトレット市」が26日、伊那市高遠町上山田の同支所で始まった。27日まで。
間伐など森林整備で出た木を有効に使うため開き3年目。毎年春と秋に開いている。
需要のある薪の掘り出し市、銘木の板材や端材のアウトレット市などで、サクラ、ケヤキ、カキ、クルミ、ニセアカシア、カラマツ、スギなどがある。第2回巨木・銘木オークションもしている。
市内はもとより下伊那から訪れた人もいて、軽トラックに購入する薪を積み込んだり、丸太は木彫や家具作り、板材は屋外テーブルや部屋の花台などにするため木の種類や木目などじっくりと品定めする人でにぎわっていた。
時間は午前10時から午後3時まで。 -
アマランサス栽培講習会
栄養価の高さなどで注目されている雑穀アマランサスの魅力を知ってもらおうと伊那地域アマランサス研究会(登内英雄会長)と伊那商工会議所は24日夜、「雑穀アマランサス栽培講習会」を伊那商工会館で開いた。栽培に興味のある一般住民のほか、レストランや菓子店などの食品関係者約80人が上伊那各地から集まり、研究会の役員の講義を聴いた=写真。参加者にはアマランサスの種子1袋がもれなくプレゼントされ「帰ったら早速まいてみようか」などの声が上がっていた。
信州大大学院農学研究科助教で研究部会長の根本和洋さんは「アマランサスの魅力について」、栽培部会長の北原康弘さんは「アマランサスの栽培について」それぞれスライド写真を交えながら分かりやすく講義した。
アマランサスは紀元前数世紀ごろにはすでに南米アンデス地方などで食用として栽培されていたといい、たんぱく質、脂質、繊維、カルシウムなどの栄養成分が多く含まれている。研究会は将来性のある作物として栽培の普及に努める一方、利用方法の研究などにも取り組んでいる。07年度の伊那、高遠地域での作付け面積は1・75ヘクタールで、約1トンの実を収穫した。実や葉がそばや菓子などに利用されているほか、小中学校の給食にも取り入れられている。 -
国有林・有害獣ワナ捕獲チーム設置
南信森林管理署は08年度、南信地区で近年深刻化するニホンジカ被害の対策強化の一環として、新たに「国有林・有害獣ワナ捕獲チーム」を設置した。従来は保護柵などの防除を主体とした対策だったが、森林事務所職員の連携・協力体制の強化を図り、職員自らがワナを使用したニホンジカの捕獲に取り組む。
08年2月から3月にかけ諏訪、上伊那、下伊那の各地区の国有林で森林官による有害獣のワナによる捕獲をモデル的に実施。伊那市長谷では2月18日から3月7日までの間に個体数調整でニホンジカ8頭(許可頭数30頭)、有害獣捕獲でイノシシ2頭(許可頭数5頭)を捕獲。富士見町でニホンジカ13頭、大鹿村でニホンジカ5頭で、全体でニホンジカ26頭、イノシシ2頭を捕獲した。
モデル実施の結果を踏まえ、管内の森林事務所を諏訪、上伊那、下伊那の3地区に分けチームを設置。関係職員は約30人。
長野県策定の第2期特定鳥獣保護管理計画に基づく個体数調整の目標達成に向け、チームごとに具体的な捕獲計画を作成し、被害を発見し駆除が必要な場合に関係市町村や猟友会と連携しつつ、職員がワナの設置から点検、見回りなどの捕獲作業に共同で取り組む。 -
中央アルプス農業実践塾の第1期生として農業を学ぶ
駒ケ根市下平
秋山香織さん(33)小さい時は田んぼも畑もたくさんあって、おじいちゃん、おばあちゃんはいつもそこを耕していた。それがずっと頭の中にあったんだよね竏秩B
この春、東京都の職員を退職し、志を同じくする6人の研修生とともに駒ケ根市のNPO法人「中央アルプス農業実践塾」で農業の基本を学んでいる。
「昨日はサトイモの苗を植えて腰が痛くなりました。それでも外で汗をかくのは気持ちがいい。ここは景色もいいから、たまに景色を見て、おじいちゃん、おばあちゃんの姿を思い出しながら『こうだったかな』ってやっています」と笑顔を見せる。
これから12月までの間、さまざまな作物の作り方を現場で学びながら、農業の基礎を身に付け、最終的には自分で作物が作れるようになることを目指す。
◇ ◇
東京都八王子市上川町出身。実家は奥多摩の雄大な自然を望める町にあり、先祖代々が耕してきた農地もあった。自分自身は高校卒業後、東京都の職員に。都立高校の事務職員から始まり、最後は都庁の事務職員として約15年間を勤めた。傍(はた)から見ればうらやましがられる職場。しかし、自分にとっては毎日の通勤、人ごみの雑踏に疲れ果てていた。
「毎年2月に異動の希望をとるんです。でも、私は最後、どこも行きたくなくなっていました」と振り返る。
◇ ◇
自分はどうしたいのだろう竏秩Bそんなことを考えていた時、ふと頭に浮かんだのが、実家の農地のことだった。祖父母が昔耕していた畑や田んぼ。生まれ育ったここが大好きだった。しかし、後継ぎがいないという現実。
「ここもいつかなくなってしまうのだろうか」
そう考えると寂しさがこみ上げた。
「だったら、自分がここを耕したらどうだろう」
もちろん、それだけで食べていくのが難しいことは知っている。しかし、自分にとって心を安らげる場所は、都会の雑踏ではなく、田舎の自然だった。
その後、父母にその思いを打ち明けた。これまで農地を継いでほしいと言われたことはなかったが、父母もその気持ちを後押ししてくれた。 -
JA上伊那あぐりスクール伊那校開校
JA上伊那あぐりスクール伊那校が19日、65人が参加して開校した。初回は畑でジャガイモやトウモロコシなどの種まきをし、皆で20メートルもの長い太巻きずし作りを楽しんだ。
あぐりスクールは3年目。小学2年生から6年生までが参加した。駒ヶ根校は27日開校で51人が参加する。12月まで毎月1回、稲作、野菜栽培、リンゴ栽培を体験するほか、イチゴ狩りやブルーベリー狩り、川遊びなどのお楽しみもある。今年は新たに畜産農家の協力で牛の見学も計画に入れ、伊那校と駒ヶ根校の交流会、農産物の対面販売も体験する。
伊那校は、東春近榛原の農業・伊東千元さんの協力で農業体験をする。
参加した親子は、JA上伊那本所で初回のお楽しみ、長い太巻きずしに挑戦した。材料は上伊那産コシヒカリ30キロ、キュウリ60本、玉子焼き1・4キロ、かんぴょう4キロ、でんぶ460グラム、のり350枚。子どもたちがキュウリと玉子焼きを切って具を用意し、2班に分かれ親子が一列に並んで酢飯の上に具をのせ、声をそろえてすしを巻いた。巻き簾を外し長さ20メートルもある太巻きが姿を見せると「わぁーっ」「大成功!」と大歓声。皆で太巻きを持ち上げ記念撮影し、昼食に味わった。
第1期から毎年参加している伊那東小学校5年の井沢くるみさんは、「違う学校の友達ができて楽しい。太巻きは皆で持つのが大変だったけどよくできた」と話していた。 -
新組合長に小田切さん、山ぶどう栽培組合
特産赤ワインの原料ヤマソービニオンを生産する宮田村の山ぶどう栽培組合は21日、定期総会をJA宮田支所で開いた。役員を改選して新たな組合長に小田切敏明さん=南割区=、副組合長に小林通泰さん=新田区=を選任。目標収量を25トンに設定し、安全で高品質なワイン原料の生産に取り組む。
同組合は高齢化による担い手が課題となっているが、今季新たに大田切区の40代男性が加入した。
技術検討会を時期ごとに開くほか、品質安定対策を実施。先進地視察なども行って、栽培管理の底上げを図る。 -
新規就農実践塾開講
上伊那農業改良普及センターの08年度新規就農実践塾の開講式が18日、伊那市の伊那合同庁舎であった。農業経営者を目指す新規就農者ら20組が参加し、1年間で栽培や経営などの技術を学ぶ。
塾は2コース制で、里親研修修了者と認定就農者を対象とした「農業経営者養成コース」に12組、就農希望者や新規就農前から就農5年目の人を対象とした「共通技術研修コース」に8組が参加。共通技術研修コースは農業経営者養成コースの人も受講できる。
受講者はIターン、Uターン、農家子弟、定年帰農などで、品目は野菜、水稲、果樹、酪農など。開講式には11人が出席し、「専業農家として軌道に乗るよう勉強したい」「この機会を活用し、いろんな技術を身に付けたい」と自己紹介した。
農業改良普及センターの佐藤光吉所長は、「センターの重点事項の一つに掲げる新規就農者の確保・育成の一環で塾がある。目標を持ち充実した塾になるよう最後まで受講いただきたい」とあいさつした。
農業経営者養成コースは、栽培技術や農業経営、農村での生活術など自立した農業経営者になるため、農業改良普及員が毎月1回以上個別相談に応じる。
共通技術研修コースは農業の基礎を習得する集団学習会が主で、病害虫の生態・防除法、土づくり・肥培管理・省エネ対策、経営管理能力などを学ぶ。
2コース共通で新規就農者激励会・交流会、若い女性農業者交流会も計画している。 -
長野県農林統計協会上伊那支部解散総会
上伊那の市町村や上伊那農業協同組合などでつくる長野県農林統計協会上伊那支部は18日、解散総会を箕輪町役場で開いた。07年度の事業報告と収支決算報告を承認し、同支部は解散した。
長野県農林統計協会上伊那支部は長野県農林統計協会が農林水産省の統計データなどをもとに発行していた機関紙「農林統計ながの」や長野県農林業市町村別データなど農林統計資料を、会員に配布し情報の共有を図ることを目的に活動してきた。
しかし、長野県農林統計協会が農林水産省の組織の改変や地方統計業務の見直しにより、5月に解散予定。県内の全支部もそれに伴い解散となった。
同支部長の平沢豊満町長は「市町村での長年の変化がわかる統計が無くなるが、ほかのもので補完していきたい」と話していた。 -
伊那市小中学校アマランサス使用アンケート
栄養価の高い雑穀として伊那市が普及に取り組んでいるアマランサスについて研究している大阪市立大大学院工学研究科講師の伊與田(いよた)浩志工学博士と同研究室に所属する管理栄養士山形純子さんが3月、伊那市内17小中学校の栄養職員を対象に行ったアンケート調査の結果が17日までに分かった。
回答した6小学校、3中学校、その他1(無記入のため不明)の計10校のうち、給食でアマランサスを使ったことがあるのは全体の60%に当たる6校で、使ったことがない4校でも3校が「使用する」「機会があれば使用する」と回答するなど、導入に前向きな意見が大多数を占めた。
利点として「扱いやすい」「葉、茎は青物の代替食品として利用価値がある」「栄養価が高い」などが上がった一方、これまでに使用しなかった理由として「取り入れたいと思っているが、アマランサス紹介PRの資料を集める時間がない」「必要性を感じない」などがあった。使用した児童、生徒の反応は「良い」が2校(33%)、「普通」が4校(67%)で、「悪い」はゼロ。
栄養職員としての意見では「栄養価の高い食品で、取り入れたいと思っている。写真などの資料が不足で、できれば学校の庭のすみにまきたい」「葉や茎の使い方や味を知らないので、機会があれば講習会などに参加して学びたい」などの回答があった。
伊那地域アマランサス研究会の事務局がある伊那商工会議所の向山公人会頭はアンケート結果を聞き「食品偽装問題が多い今、食の安全のためにも地産地消は大変良い取り組みだ。導入がもっと進むようであれば、安定して供給できるように生産者を増やす必要もある」と話した。 -
菜の花、サクラ、モクレンが競演、宮田観音近くで
「宮田観音」で有名な宮田村北割区真慶寺近くで、一面の菜の花が咲き始めた。満開となった同寺のサクラなど一帯の花々と咲き競うかのように見事で、訪れた人たちの目を楽しませている。
近くの春日甲子雄さんと春日好章さんの2軒が、6年ほど前から鑑賞用に栽培。
今年は例年より2、3日早い開花。甲子雄さん宅ではハナモクレンも満開となっており、付近は黄、白、ピンクと鮮やかな花々に囲まれている。
菜の花は今月いっぱい楽しめそうだ。 -
大地とのふれあい3年目に、われらかかし隊
親子が一緒に農産物の栽培を通じてさまざまな体験をする宮田村公民館「われら、かかし隊」は12日、今年度最初の講座を町三区斎藤診療所横の畑で開いた。3年目を迎えた・ス大地・スとのふれあい。さっそく野菜の種をまき、土に親しんだ。
かかし隊協力隊の後藤寛さん=新田区=の指導で、カレーの具材になるジャガイモ、ニンジンと、ミニ大根2種類の種を植えた。
本年度は新たに4組が加わり19組の親子でにぎやかに再出発。
慣れている子どもたちは率先して土にふれ、新たに入った親子も大地のあたたかな感触を味わった。
娘の結月ちゃん(2)と参加した間瀬令理さんは「このような機会でもないと、なかなか体験できない。これからが楽しみ」と話した。
5月には田植して稲作も開始。そばやリンゴ栽培も行うほか、新たに宿泊体験も予定し、昔ながらの生活も味わう計画だ。 -
環境見つめ稲作の活性化を、水田農業経営研究会が総会
農家43戸でつくる宮田村水田農業経営研究会は8日夜、通常総会をJA宮田支所で開いた。役員改選で新たな会長に小松芳美さん=大久保区=、副会長に小田切武雄さんを選任。環境にやさしい農業をさらに推進しようと、「エコファーマー」の研修会も開いた。
水田農業のあるべき姿を模索しながら、環境配慮の研究も推進する同研究会。水稲の直播栽培、減農薬コシヒカリ栽培の検討も行ってきた。
新年度はさらに担い手育成や営農組織体制への課題提起も行い、効率的で低コストの稲作を中心とした安全安心な農産物づくりに取り組む。
8月には先進事例の研修視察なども予定。会員相互の理解も図りながら研究を進める。
この日は上伊那農業改良普及センターの技師を招いて「エコファーマー」の研修会も開いた。
土づくりと、化学肥料、化学合成農薬それぞれの低減技術について理解を深めた。
新役員は次の皆さん。任期は3年。
▽会長=小松芳美(大久保区)▽副会長=小田切武雄(町一区)▽委員=小田切英雄(北割区)小林久人(南割区)浦野敬三(新田区)田中徳長(大田切区)加藤健男(中越区)▽監事=田中数雄(大田切区)小田切武人(中越区) -
片桐正勝さん(68)中川村葛島
リンゴの花咲く果樹園で、伊那谷の澄み切った空気、眼下に流れる天竜川、広がる田園風景を眺めながらの青空コンサート『りんご畑deコンサート』を5月4日に計画。開催日まで1カ月を切り、春の農作業の傍ら、準備に追われている。
昨年10月、中川文化センターで開いた「出会いコンサート」で演奏したForestサックス奏者高橋宣成さんが「中川村に来れば、いつもお世話になっている片桐農園のリンゴ畑で、リンゴの花の咲くころ演奏したい」と提案。高橋さんは同園が営む農家民宿「ゆまに亀屋」の常連客。夏のどんちゃん祭りにもみこしを担ぐほどの中川村ファンでもある。話はとんとん拍子に進み、内容の詰めも進んでいる。
◇◇
会場となる片桐農園は、1・3ヘクタールにふじを中心にシナノスイート、シナノゴールド、さんさ、紅玉など10種類を栽培する。父が開園し2代目、30代に後を継いだ。果樹栽培の傍ら、26年間エノキ茸栽培もしたが、両親が病気になったため、果樹と水田にした。片桐農園はもぎ取り、個人客の贈答宅配が中心。日当たりがよく、糖度が高い片桐さんが作るリンゴは「1番うまい!」と評判とか。県外からリンゴを買いに来る顧客の「泊まる所がほしい」という要望を受け、2年前から始めたのが農家民宿「やまに亀屋」。妻のたせ子さん(65)が切り盛りしている。
母屋を開放し、春・夏を中心に営業。イノシシやシカを解体し、シシ鍋、シカ肉ステーキで提供する。春はノビルやカンゾウ、ウド、ワラビと山菜料理、五平もちが並ぶ。豆腐やコンニャク、味噌も手作り。「「ここでしか食べられる田舎料理を食べて頂いている」とか。
「民宿は人と人とのつながりが楽しい。リンゴも買ってくれる」と笑顔。ちなみに料金は1泊2食付5千円。
リンゴ畑の1番高く、最も見晴らしの良い場所で予定する「りんご畑deコンサート」は5月4日午後2時開演。出演者は高橋さんのほか、ピアノの大橋祐子さん、ヴィイオリンの飯田梨良さん、ゲストの橋枝紗知子さん。オリジナル曲、なじみの曲、一緒に歌える曲などを織り交ぜる。 チケット当日券のみ大人千円、中学生以下無料、セラードコーヒー、同園自慢のリンゴジュースのサービスもあるとか。
野外会場にはシートを敷いてあるが、必要な人はマイ座布団、マイいすを持参する。
詳細は片桐農園(TEL88・3781) -
田中組合長再任、大田切営農組合
宮田村大田切営農組合は5日、通常総会を大田切区集落センターで開いた。田中賢一組合長を再任。取り巻く環境は厳しいが、村内の地区営農組合の先駆けとして、環境にも配慮しながら集落営農の確立を目指す。
同組合は大田切区の77戸が加入。総会席上、田中組合長は「米価低迷による意欲の問題など課題は多い。それだけに営農組合の担う役割は大きい」とあいさつした。
村内の営農組合で最も早く発足したのが同地区。担い手育成とともに地域活性化にも取り組んでいるが、本年度も収獲祭の開催や研修視察、女性グループとの連携なども盛り込んで、地域営農の発展を図る。新役員は次の皆さん。
▽組合長=田中賢一▽副組合長=新谷好弘(機械利用担当)、田中正泰(会計担当)▽監事=湯沢好夫、湯沢道男 -
天竜川漁協がイワナ650キロを放流
天竜川漁業協同組合(上條純敬組合長)は7日、上伊那の主要渓流にイワナの成魚650キロを放流した。
イワナ1匹の平均体長は22縲・3センチ、重さ80グラム。来年になれば、体長30センチを超えるという。
伊那市内では、組合員3人が小沢川、小黒川、藤沢川、三峰川など13カ所を回り、1カ所にイワナを10キロずつ放した。
釣果は、寒さの影響でえさの食いつきが悪かったが、4月に入ってから駒ケ根市の河川で体長34センチの大物が釣れるなど水温が上がれば良くなるという。
天竜川漁協は5月連休前にも、イワナ650キロを放流する。
遊漁料は1日券千円、中学生300円、小学生以下無料。 -
林野火災予防パレード実施
山火事予防意識の啓発を目的とする「林野火災予防パレード」が3日、上伊那伊北4市町村であった。同地区を管轄する関係行政機関の各担当者が集まり、広報車などで各地区を巡回=写真。山火事予防を呼びかけた。
パレードは例年、農繁期を前にしたたき火や山菜採りで山に入る人が増えることで、山火事の発生する危険が増えるこの時期に合わせて実施している。
出発に先立ち、上伊那地方事務所の宮坂正巳所長は「この時期は風などが強くなる気象条件に加え、山へ入る人が増えるなどといったことから火事が発生しやすくなる。本日のパレードを通じて、地域のみなさんに山火事予防に努めてもらい、森林を守る意識を高めていただきたい」と語った。
上伊那地区で昨年発生した林野火災の件数は9件で、焼失面積は39アール。たき火を原因とするものが全体の56%を占めており、前年比5件増となった。また、08年に入ってからもすでに3件の林野火災が発生している。
4日は伊南4市町村で同様のパレードをする。 -
花ろまん34蘭ミュージアム
ラン科植物は最も遅く地球上に登場し、今も盛んに種分化している。その種類はざっと750属2万5千種類といわれ、その花は千変万化、一つ一つに顔があり、強烈な個性がある。豪華さ、華麗さ、高貴さは花の女王にふさわしい。されど、この女王は巧妙な手口で、虫をダマし、あの手、この手で誘い、花粉を運ばせる。だから、ランは面白い、不思議がいっぱい、その魅力は、人をとりこにしてやまない。
今回は高森町の蘭ミュージアムで取材、同園の研究員、谷亀高広
さん(理学博士)からお聞きしたランの魅力、不思議の一端を紹介する。(大口国江)
【ランの花をモチーフに、蘭ミュージアム】
天竜川西岸、標高750メートルの高台に位置し、夏涼し、冬は日射量が多い。段丘が続く広い伊那谷と南アルプスの雄大な景観が眺望できる。ランの花をモチーフにした六角形の本館には展示棟、研修棟、研究開発棟などが放射状に配置されているた。2階には休憩展望室があり、伊那谷や南アルプス連峰の大パノラマが楽しめる。
【熱帯樹林を植栽した鑑賞温室】
700平方メートルの鑑賞温室に一歩足を踏み入れると、息を飲むほど美しいランたちの競演が目に飛びこんでくる。ファレノプシスやカトレア、シンビジューム、デンドロビューム、バンダなど多種多彩。
温室には熱帯樹林を植栽し、ランを自然に近い状況で栽培されているほか、パパイヤやバナナ、コーヒーなど珍しい熱帯果樹が実り、美しい熱帯花木、観葉植物も鑑賞できる。
【世界の野生ランコーナー】
鑑賞温室の一角に、日本随一の展示、内容を誇る世界の野生ランコーナーがあり、日本ではここでしか見られない貴重なランが数多く展示されている。
カトレアやシンビジューム、パフィオ、ファレノプシスの原種など、形がユニークなもの、色が奇抜なものなど野生ランは驚くほど個性的だ。
谷亀さんは「虫媒花であるランは、効率よく、確実に花粉媒介されるように、巧妙な作りになっている。しかもランの花の多くは、昆虫に蜜など報酬を与えることなく、おびき寄せ、巧みに利用している。便所のような悪臭を放って虫を呼び寄せるムギランの仲間、メス蜂のような擬態で雄蜂をダマし、花粉を運ばせるランもある」と話している。
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【入園の案内】
開園時間・午前9時縲恁゚後5時(入園は午後4時30分まで)。休園日・毎週木曜日。入園料大人(高校生以上)500円、子供(小・中学生)百円。
詳細は同園(TEL0265・34・3130) -
箕輪町酪農振興協議会総会
箕輪町酪農振興協議会(根橋英夫会長)は28日、第48回総会を町産業会館で開き、畜産飼料生産組織のコントラクター設立や消費拡大に向けた取り組みなどを盛り込んだ08年度事業計画などを承認した。
新年度事業計画は、酪農近代化の推進で乳牛事故防止対策、環境保全型農業の推進、農作業事故防止対策、コントラクター設立についての取り組み。畜産農政対策、研修視察、消費拡大の取り組み、認定農業者加入促進など。
コントラクター設立に向けた取り組みについては、2月の協議会の役員会と青年部の合同会議で、役員と青年部にコントラクターへの移行希望者を含めて準備を進めること、生産する飼料はトウモロコシと飼料用イネの2種類で検討することを決めている。
乳牛事故防止対策協議会の予算では、農家負担金の消毒代金を各50円値下げし成牛は200円、育成牛などは150円とし、農家の負担を軽減する。 -
箕輪町北部営農組合総会
箕輪町北部営農組合(唐沢誠組合長)は26日夜、07年度総会を大出ふれあいホールで開き、ジャガイモのオーナー制など新事業を盛り込んだ08年度事業計画案や収支予算案などを承認した。
98年7月に発足し10周年になる同組合。07年度は地域農業活性化事業で新規にサツマイモのオーナー制、大根の掘り取りなどに取り組んだ。
08年度は新たにジャガイモのオーナー制と学校給食対応に取り組む。ジャガイモはサツマイモと同様に一般向けのオーナー制で、4月下旬に播種、7月下旬に収穫を予定する。学校給食対応は、現在給食対応している町内の直売所「愛来里」の依頼を受け、食育と農業の活性化のため組合として携わっていこうと、取り組みを決めた。サツマイモのオーナー制、大根・白菜の掘り取りイベントも継続。これら3事業を組合の3地区で分担して実施する。
水稲育苗事業、視察研修、稲刈り体験学習の補助、収穫祭の実施なども計画する。 -
箕輪町林業振興地域推進協議会
松くい虫被害対策実施計画案など承認箕輪町林業振興地域推進協議会は27日、町役場で開き、今年1月に町内で松くい虫被害が確認されたことを受け、松くい虫被害対策実施計画・自主事業計画案を承認した。今後、計画を県に提出する。
町内の被害は、福与地区で1月22日に2本、2月12日に1本の計3本を確認。3月26日までに被害木の伐倒駆除を終えている。林野調査員が巡視した結果、松の枯損木は95本で、全て伐倒を予定する。
計画は、現段階では被害拡大地域や樹種転換の設定はできないため、町内の標高800メートル以下の赤松林89ヘクタールを地区保全森林に指定。被害が確認された場合は伐倒駆除する。
08年度の事業計画では、被害の拡大防止のため林野調査員による巡視回数を増やし、年5回実施。枯損木の伐倒や、被害木が発見された場合に早期の伐倒駆除の実施などを盛り込んだ。
協議会は森林組合役員、知識経験者、森林組合職員ら12人で、平沢豊満箕輪町長が委嘱。任期は09年5月11日まで。会長は林廣さん=下古田。 -
南割営農組合長に加藤さん
宮田村の南割営農組合は23日に総会を開き、新たな組合長に加藤隆司さんを選任するなど役員を改選した。
任期は2年。新役員は次ぎの皆さん。
▽組合長=加藤隆司▽副組合長(土地利用)=小林定義▽同(機械調整)=小田切康夫▽同(会計)=浦野和広▽営農企画土地利用副部長=小林正信▽監事=加藤清人、小林宏美 -
中越営農組合長に小田切さん
宮田村中越営農組合は23日に総会を開き、新たな組合長に小田切暢明さんを選ぶなど役員を改選した。
任期は2年。新役員は次の皆さん。
▽組合長=小田切暢明▽副組合長=吉沢和男、橋倉貞人▽会計=日向一男▽監事=近藤健一、新谷清人▽農政部長=酒井靖浩▽農政班長=新谷和彦(1班)伊藤恵三(2班)原田博安(3班)山本達男(4班)▽連絡員=小田切唯男▽トラクター係長=久保田秀男▽田植機係長=吉光孝男▽コンバイン係長=酒井重彦▽水稲部会長=片桐美義▽果樹部会長=新谷和美▽畜産部会長=原田博安▽中越担い手会=池上寛 -
村民参加のワインセミナー開講、名実ともに山ぶどうの里に
名実ともにワインの里に‐。村内農家が栽培する山ぶどう(ヤマソービニオン)を原料にワインの特産地化が進む宮田村で4月から、地域文化としてさらに定着させようと、一般村民対象の「ワインセミナー(仮称)」が通年で始まる。村公民館と村産業建設課の共催で、栽培者や醸造する本坊酒造など生産関係者も協力。年間12回の講座でワインの様々な知識を学ぶほか、ほ場での体験実習も取り入れて、地元への普及啓もうを充実させる考えだ。
気軽に関心を深めてもらい地元ワインのファン拡大を図るのが当初の目的だが、将来的にはソムリエの養成など普及活動の推進役となる人材育成も目指したい考え。
長期的な構想も視野に入れており、村産業建設課は「文化として定着させていくためには、住民に関心を高めてもらうことが最も重要に思う」と説明。
特産ワイン「紫輝」が醸造開始から10年目を迎え、村の山ぶどうの里づくり構想は新たな段階を迎える。
セミナーでは山ぶどうの栽培、収獲、仕込み体験を交え、ワインの概論、鑑賞と表現法、管理方法や料理との相性など幅広く学ぶ。
テイスティングなどもあるため成人が対象。毎月1回午後7時からを予定し、初回は4月21日。
28日から参加者の募集を開始し、20人の定員になり次第締め切る。問い合わせは村公民館85・2314へ。 -
認定農業者、集落営農組織合同研修会
駒ケ根市担い手育成総合支援協議会(市営農センター)は18日、認定農業者、集落営農組織を対象にした合同研修会を駒ケ根市のJA上伊那南部グリーンセンターで開いた。農業関係者など約50人が参加し、経営改善、法人化などについて学んだ。
経営改善研修では、県担い手育成総合支援協議会専門アドバイザーの鈴木皓平さんを講師に迎え、経営計画の立て方と改善への生かし方などを聴いた=写真。鈴木さんは「決算書を作成できる知識がないと現状の分析ができない。貸借対照表と損益計算書の意味と作り方を十分理解した上で、計画的な改善に取り組んでほしい」と話した。参加者は資料に並んだ数字に頭をひねりながら、真剣な表情で講義に耳を傾けていた。
法人化研修では飯島町の農事法人「田切農産」の紫芝勉さんが同社の経営について説明した。 -
箕輪町農業女性ネットワーク野良っ娘の会総会
箕輪町農業女性ネットワーク野良っ娘の会は14日夜、07年度総会を町産業会館で開いた。08年度事業計画などを承認し、新役員を選出した。
08年度は加工品作りで、07年度に好評だったトマトジャム、トマトケチャップ作りに引き続き取り組む計画。新年度は材料となる加工用トマトの栽培から行う。
例年通り、みのわ祭り、もみじ湖まつり、マナビィランド野菜市、浜松市庄内公民館祭りにも参加する。
新役員は次の皆さん。任期は08、09年度の2年間。
▽会長=関幹子▽副会長=井口勝子、三井すえ子▽会計=宮島光子 -
花ろまん33弥生3月花贈り
弥生3月は花贈りの月、卒業式や送別会、入学式、別れと出会いのシーンに、心のこもったメッセージを花で伝える。卒業する先輩に贈る花はエレガントで淡い色調のスイートピー、花言葉は「わたしを覚えていてください」「微妙な悲しみ」。送別会は豪華な花束、色とりどりの花たちが喜びや悲しみのエピソードを語りかける。入学式は何といっても桜。思い出に咲く花はいつも桜。今回は花贈りのテクニックを中川村の「さくらびと」の松沢広さんと、飯島町の道の駅の花の里いいじまのフラワーコーディネーターの中原菜採さんからお聞きした。(大口国江)
◇入学式のアレンジ
花材・東海桜、アネモネ、ラナンキュラス、ゼンマイ、ピット(葉)ゲーラック(葉)
受け皿に、吸水し、面取りしたオアシスを入れ、周りに水苔を張り、U字形の曲げた針金で固定する。器の3、4倍の長さに切った桜を中央より後に挿す。つぼみは上の方に、開いている花は中心に。アネモネは短く、つぼみのラナンキュラスは高めに入れる。バックにゼンマイ、ピットとゲーラックで根元を整える。
「花をスイセン、ポンポン菊、麦の穂に替えると卒業式に向く。パラレル型(垂直)は横に出さないようにするのがポイント。器の中に自然を再現するように生ける」。
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◇ちょっと豪華なアレンジフラワー(中原さん)
花材・日向ミズキ、バロット咲きチューリップ、コデマリ、バラ「アリーロイヤル」、ダリア「ミレン」、白のスイートピー、赤のカラー、ドラセナ、コデマリ、モンステラ
日向ミズキで季節感を出し、バロット咲きのチューリップで華やかさと個性を強調。ダリアの存在感を生かし、コデマリで動きを演出、モンステラで全体を引き締めた作品。
中原さんは「若い女性にはチューリップやスイートピーなどかわいらしく、早春らしい花を。送別会は豪華な花束が喜ばれるが、持ち帰ることも考えて贈るといい」と話している。 -
伊那市で遊休農地対策プロジェクトが発足
伊那市内の遊休農地解消に向け、具体的な活動を展開する「遊休農地対策プロジェクト」(有賀芳雄会長)が17日、発足した。農業委員会の正副会長と、農業振興部会の役員、市内の各地区から選出された農業委員9人がメンバーとなり、昨年秋に調査した市内にある遊休農地の現状把握と、今後の取り組みを議論。1年目は、比較的面積規模、筆数の少ない水田の耕作放棄地の解消を目指し、地区ごとの対策を講じていくこととなった。
国の遊休農地解消重点地区の指定を受けた伊那市では昨年秋、農業委員の協力で、市内にある遊休農地の状況を把握。具体的対策を講じていくため、今回のプロジェクトを発足することとなった。
市内にある遊休農地の全面積は約356ヘクタール。うち、現在のままでも耕作可能な休耕地、多年草や雑草が繁茂しているものの、トラクターなどで起こせば容易に復元できる農地「耕作放棄地」が111ヘクタールあることから、各地区ごと、この耕作放棄地の解消に重点を置いて取り組む。
現状報告では各地区とも共通して「山つきの条件の悪い場所が荒廃している」という状況にあることが分かったほか、田畑合わせて最も多い耕作放棄地(約24ヘクタール)がある高遠地区では「農地を売りたいという人はいるが、担い手がいないというのが問題」などといった声もあり、担い手の確保、有害鳥獣対策が重要であることを認識した。また「ボランティアでは続かない。ある程度のメリットは必要」とする意見もあった。
今後、具体的な対策としては▽担い手、集落営農組織への農用地を集積する▽地区全体で「耕作する日」などを設ける竏窒ネどといった取り組みを地域ごとに展開し、一歩ずつ耕作放棄地を解消していく方針で、おおむね5年間、プロジェクトを継続し、成果をあげていきたいとしている。
また、遊休農地の中にはすでに原野化し、大規模な基盤整備を必要とする農地や農地として利用するより山林などとして活用すべき農地(244ヘクタール)含まれているが、これらの利用用途については今後、国が農地転用に関する一定の方針を示すこととなっているためそれを待って対策を考える。
次回の会議は6月に開く。 -
イチゴ栽培の廃液活用、一定の成果
伊那市と信州大学が連携事業として06年から伊那市西箕輪の「みはらしいちご園」に設置した研究用ハウスで試験研究をしている「イチゴ栽培の廃液活用」。イチゴは液肥で栽培するが、苗はすべての液肥を吸収しきれないため、約20%がそのまま垂れ流しとなり、環境負荷がかかっている。その負荷を減らす目的で廃液を再利用したトマト栽培ができないか研究しているが、2年目も終わりに近づき、ほぼ、廃液を出さないで再利用する方法が確立しつつある。
研究を担当する農学部の大井美知男教授は「イチゴの廃液をほとんど出さないで栽培できるようになり、見通しがついた。トマトが出来ることは分かったので、今後はトマトの品質を上げるよう、溶液を改良していきたいとしている」と語る。
研究は3カ年事業。2年目の本年度は、イチゴ栽培で出る廃液にトマトが生長するよう一部養分を補い、ハウスの中のトマト苗に施肥。根の部分は人工培土を入れた袋で覆われているため、再利用した液肥もすべてこの人工培土の中に吸収され、トマトの養分に変わる。
しかし、イチゴ栽培は冬から春にかけてで、トマトを栽培するハウスの温度を維持するにはコストがかかるため、実用化に向けてはこうした課題の解消も必要となる。 -
村農業者クラブが生産行程管理「GAP」の学習会
宮田村の30縲・0代の若手農業者を中心に構成する「村農業者クラブ」は13日夜、食の安全性を守るため今後導入が進むとみられるGAP(農業生産行程管理)についての学習会を開いた。農家にとっても信頼性は今後一層求められるとも考えられ、参加した約10人のメンバーは理解を深めた。
現段階ではあまり農家に浸透していないGAPの取り組みが始まっていることを知った同クラブ代表の杉山栄司さんが、今後を見据えて紹介しておこうと今回の学習内容に選んだ。
事業所などが取得するISOシリーズの農業版とも言えるGAPの考え方は、消費者に安全な農産物を届けるなかで経営の効率化、環境対策なども含めて農作業の行程管理をチェックするもの。鹿児島県では茶栽培農家全4000戸に導入する計画もあるという。
杉山さんや県農業改良普及センターの職員が説明。「徐々に市場関係者の間にも浸透している。これからも進む方向にあるのでは」と話し、関心を高めた。 -
農業を志す若者を支援するNPO法人中央アルプス農業実践塾理事長
駒ケ根市下平
大沼昌弘さん(66)ここにくる研修生は娘や孫と同じ。自分の教えた子が嫁いでいくのはうれしいね竏秩B
農業をやってみたいと考える学生や若者に、より実践に近い農業を学んでもらう「中央アルプス農業実践塾」を発足させたのは昨年9月。この3月から、実際に研修生が集まり、研修を開始する。これまでも、農事組合法人「大盛堂生産農場」として、述べ200人の研修生を受け入れ、送り出してきた。その体制を強化するため、NPO法人として再スタートを切った。
「『昔田舎のおじいちゃんがくれたトマトがおいしかった』『おばあちゃんの家で食べたお米を自分でも作ってみたい』っていう子も多いに」と話す。
◇ ◇
農業を継いだのは28歳の時。祖先が開墾して残してくれた広大な農地で最初に作ったのは大豆だった。
「そりゃ、最初は『こんなに広い畑嫌だな』と思ったけどね」と笑う。
しかし、丹精込めて育てた大豆は、愛情をかけた分だけ実りとなって応えてくれた。その瞬間、それまでの苦労など一気に吹き飛んだ。
「よく『米や野菜と話せるようになる』っていうけど、作物は自分の息子や娘と同じようにかわいい」
◇ ◇
そんな農業に40年近く励んできたが、取り巻く環境は年々厳しくなっている。中でも、地域の農業者が高齢化し、先人が培ってきた農地を耕す担い手がいなくなるという問題は深刻化している。しかし、農業大学で農業を学んだ学生すら、農業を継ぐことがほとんどない矛盾。見えない壁を感じた。
そんな中、都会の若者と農村とのパイプを作ろう竏窒ニ、10年ほど前から都会で農業に関心を持つ若者の就農や研修を支援する「新・農業人フェア」を、東京、大阪で開始。農業に関心のある若者と直接話し、研修に来てもらおうと考えた。
年々そのニーズは高まり、農業を学ぶ若者だけでなく、農業とはまったく関係のない分野で働いていた若者が、飛び込んでくることも少なくなくなった。
「それこそ、最初は『今年もだめだった』って肩を落として帰ることもしばしばだったけど、今じゃ1会場に千人を超える人が集まるようになった」
◇ ◇
しかし、訪れる研修生は農業について何も知らないというのがほとんど。そのため、一つひとつ丁寧に、一から教えていく。
土づくり、病害虫の防除などの基本から始まり、市場流通や消費者対応まで。時には、生き物との向き合い方、農村での生活の仕方、生命の重みなど、座学では学べない“生きる力”そのものを伝えることもある。
「研修生が『大切なことを教えてくれた』って話してくれた時は『本当に良かったな』とうれしかった」と振り返る。
◇ ◇
研修を終え、若者たちは独立する。この地で就農した人、別の県の山奥で農業を続けている人、大学の講師となった人などさまざまだが、ここでしか得られないことを学び、今を生きている。
「田舎では農業を始める若者への見方がシビア。『すぐに嫌になるんじゃないか』って考える人も多いけど、一番大切なのはそうやって若者が田舎に入ってきてくれた時、その子たちを支えてあげる周囲の環境があるかどうかだと思う。何にせよ、農業を続けていることはうれしいし、研修生は自分の娘や孫と同じでかわいい。そうした若者が、農村に定着してくれればというのが、ぼくらの願い」