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南アルプス開拓者をしのび、安全登山誓う
南アルプスの開拓者、竹沢長衛翁をしのび、安全な登山を誓う第49回長衛祭(実行委員会主催)が30日、北沢駒仙小屋横であった。
碑前祭の祭文で、小坂市長は、山小屋の新設や遭難救助などに当たった長衛翁の業績を思い起こし、南ア世界自然遺産登録に向けた運動に触れ「国家的資源である南アルプスを幅広い視野で安全確保、自然保護に努めなければならない」と述べ、登山客の安全を祈った。
アトラクションで、アルペンダンスや弦楽四重奏の演奏があった。
アルペンダンスでは、民族衣装を着た長野市のアルペンダンス愛好会メンバー22人がチロル地方の踊りを披露。参加者も輪に加わり「アルプス一万尺」を楽しんだ。
30日は、日帰り希望者5人が仙水峠(標高2264メートル)へ登り、1日は日本百名山の一つ、東駒ケ岳(標高2967メートル)への記念登山がある。市境を歩く「平成の大検地」を兼ね、地元を中心に、長野市や東京都など82人が参加する予定。 -
中病に生け花飾る
華道家元池坊伊那支部青年部中部ブロックは29日夜、伊那中央病院に季節の花を生け込んだ。
青年部は活動の一環として、03年の開院当初から年1回、入院患者らの安らぎになればと取り組んでいる。
部員12人が1点ずつ生け花を持ち寄り、3・5・6階ラウンジの一角に展示。季節を感じてもらおうとアジサイ、テッセン、カラー、ドクダミなど庭先にある花を選んだ。赤、白、青…と色鮮やか。
中部ブロック運営委員の唐沢裕美さんは「患者さんから『きれい』『花の香りがする』と言われると、うれしいですね」と話した。
生け花は1日まで飾る。 -
楠洲流竜東支部 35周年祝う
詩吟の楠洲流聖楠会竜東吟詠会竜東支部は7月18日、伊那市狐島のJA上伊那本所「フラワーパレス」で、発足35周年の記念式典を開く。発足当初約50人いた会員は現在、当時からいる2人を含む60縲・0歳代の7人で、詩吟が好きな熱心な人ばかりが集まる。
発足は72(昭和47)年1月17日、楠洲流の中では活動が古い支部。伊那公民館の文化団体に所属し、毎週水曜日、同公民館で植田勝衛さん(70)=南箕輪村田畑=の指導を受けている。同流派内の大会や公民館の文化祭発表などで詩吟の腕前を披露している。
漢詩を題材に詠う詩吟に必要なことは「詩の内容を把握し、意味を詩吟に生かすこと」と植田さん。日本文化と言われる詩吟には、心を豊かにする力があるという。メンバーは、一節ずつを噛み締めながら、想いを込めて吟じている。
詩吟をたしなむ人が高齢化しているのが課題だと訴える。発足当時からの会員、小池清永支部長(77)=伊那市中央区=は、35年間付け続けた出欠表を手に「懐かしい名前があり、昔の思い出がよみがえる。この出欠表を支部の宝物として、次の世代に引き継ぐことができれば」と話している。
支部の歴史が詰った出欠表 -
伊那小6年剛組 通り町商店街に風鈴
伊那市の通り町商店街の活性化を願い活動を続ける、伊那小学校6年剛組(大沼聡教諭、31人)は、同商店街にガラス製の手作り風鈴を飾った=写真。通りに響く涼しげな夏の音が、買い物客らを和ませている。飾り付けは8月中旬まで。
「通り町の人はやさしいです」などの想いを書き込んだ短冊付の風鈴33個を一丁目、二丁目に設置。一丁目には、商店街との協力で葦簾(よしず)を4箇所設け、風鈴に加えて児童たちが詠んだ俳句も並べた。
5月中旬の修学旅行で東京を訪れた際、ガラスが特徴の「江戸風鈴」を製作した。これらの商店街活性化を目指した活動は4年生の時から始まり、8月、10月には、恒例のサルビアや菊のプランターをアーケードに設置する予定だ。 -
貿易陶磁逸品展 ベル伊那・2日まで
「貿易陶磁逸品展竏苧「帰り陶磁を一同に竏秩vは7月2日まで、伊那市日影のベルシャイン伊那店2階文化ホールで開いている=写真。幕末から明治にかけて欧米諸国に輸出された陶磁器約30点を展示販売している。
薩摩焼、平戸焼、九谷焼などの「染付鯉水草文皿」「松竹梅文大皿」などを出品。関係者は「日本が世界に発信してきた貿易陶磁の技術の高さをうかがわせる作品ばかり」と来場を呼び掛けている。
そのほか、現代陶芸家の初代徳田八十吉の「深厚釉鶴首瓶」、朝蔵五十吉の「青九谷手八角瓢形瓶」などの名品が並ぶ。
午前10時縲恁゚後6時(最終日は午後4時まで)。 -
30、7月1日に木のキッチン展開催
県伊那技術専門校の卒業生などでつくる南信州木の会は30、1日、「木のキッチン展」を伊那市美篶の南信州木の情報館で開く。国産材や地域材でつくるキッチンやテーブルセット、食器棚など約10点が並ぶ予定で、出展工房の一つ、伊那市高遠町「木のすず」の鈴木正巳さん(49)は「キッチンというと名だたる外材が使われるのが一般的だが、地元の木や国産材でも十分作れるという所を見てほしい」と来場を呼びかけている。
同会はイベントや企画などを通じて、木に関する情報を発信したり、購入者と製作者をダイレクトにつなごう竏窒ニ、木の情報館を拠点として取り組みを展開している。
今回は「キッチン」をテーマに「木のすず」と伊那市西箕輪の「家具工房木槌」が作品を出展。クリやナラの木でつくったミニキッチンもあり、食器洗浄器などもコンパクトに収納できるようになっている。また、大きさから一つひとつのパーツまで、フルオーダーで製作することもできるため、思い通りのキッチンがほしい人の相談にも応じている。
入場無料。午前10時縲恁゚後4時。 -
第1回伊那市新ごみ中間施設建設用地選定委員会
上伊那広域連合の新ごみ処理施設の用地選定を行う第1回伊那市新ごみ中間施設建設用地選定委員会が29日、伊那市役所であった。市議会や市民団体、学識経験者などから選ばれた25人が顔合わせし、評価項目を設けて伊那市内で用地選定を進めることを確認。検討対象とする場所は、市が候補地として明らかにした4カ所のほか、広域連合が03年に候補地として選定した伊那市内の4カ所、その後、広域連合に寄せられた情報などから候補地になり得ると見込んでいる4カ所を加え、委員会内で具体的提案があった場合、その場所も検討対象として現地調査などをしていくこととなった。
この日は、用地選定に関するこれまでの経過と今後の基本的な進め方を確認。用地を選ぶ評価項目は、広域連合が過去の用地選定で用いた項目や先進地の例などを参考にして委員会独自の基準を設け、評価項目に含まれない外的要因も加味しながら最終候補地1カ所を絞り込んでいくこととなった。市への最終報告は12月を目標とする。
次回委員会では評価項目の具体例や検討対象となる用地の情報を明らかにし、今後のスケジュールなどを検討する。
また、委員長には信州大学名誉教授の伊藤精晤委員を、副委員長に伊那市女性団体連絡協議会の有賀喜志子委員を選出した。 -
新山小たなばたコンサート
伊那市の新山小学校(山岡清孝校長、55人)は29日、同校体育館で、学習発表会「たなばたコンサート」を開いた。保護者ら約50人が出席し、児童らは合唱、合奏のほか、朗読などを交えた演目で学習成果を披露した。
年度中に2回ある学習発表会のうちの一つで、今回は音楽をテーマにそれぞれの学年などが発表。低・高学年に分かれた斉唱や合奏、PTAによる2部合唱など、13プログラムがあった。
全学年の中で最も児童数が少ない2年生4人は、国語の教科で学んだ「がんばれスイミー」を歌と朗読を劇仕立てで披露。人数が少ないながらも一人数役を演じ、観客から大きな拍手を浴びた。
高学年32人と担任教師の大所帯で挑んだ合奏「カルメン前奏曲」は、鍵盤ハーモニカやリコーダーなどで気迫のこもった演奏を見せた。
会場に集まった保護者らは、わが子の活躍を記録に残そうと、片手にビデオカメラを構えて発表を見守った。 -
富県子育て支援センターで地元女性らによる郷土料理講習会
昔ながらの地元の味を若い母親に学んでもらおう竏窒ニ伊那市の富県子育て支援センター(伊藤ちと世センター長)で28日、季節の郷土料理講座があった。乳幼児を持つ母親ら10人が参加。地元の女性グループ「富県味の研究会」の6人を講師に迎え、柏もちと五平もちづくりに挑戦した=写真。
同センターは、統合に伴ない閉園した富県北部保育園のあと地を利用して今年4月にオープン。ほかの支援センターとは異なり、保育園の時の調理室がそのまま残っているため、これを活用した取り組みができないかを模索する中、定期的に開催している子育て講座の一環として、離乳食や郷土料理づくりの講座を開催しようと考えた。
講師に迎えた「富県味の研究会」は、富県グリーンツーリズム構想の一環として郷土料理づくりを学び合っており、会としてもこれまで掘り起こしてきたレシピを次の世代に伝えていきたいという願いから、今回の講座に参加。これまで女性たちが掘り起こしてきたレシピなどを基に、2種類の柏もちと五平もちづくりを若い母親らに伝授。講座に参加した母親の一人、池田幸枝さんは「やっているのを見ると簡単そうだが、意外に大変。家でも作ってみたい」と話していた。 -
北福地の休耕田でハッチョウトンボ発生
伊那市富県北福地区北荒井にある北沢徳栄さん(52)が管理する休耕田で、日本最小のトンボ「ハッチョウトンボ」が発生している=写真。
たかずやスカイライン近くにあるこの水田の広さは約1・2アール。山に面し米を作るにはあまり条件も良くない場所だったため、北沢さん宅では数年来、休耕田として管理してきた。
ハッチョウトンボの姿が見られるようになったのは03年ころから。それ以降は、トンボが生息する水田際の湿地部分は極力手をつけないようにして保護してきた。
昨年は寒さや大雨の影響でハッチョウトンボの姿を確認することができなかったが、今年はすでに10匹以上の羽化を確認。
北沢さんは「もっと数が増えれば、地元の子どもたちに見せてあげたいと考えている」と話す。
そのほかにも、今ではあまり姿を見かけなくなり、環境省のレッドデータブックの准絶滅危惧種に指定されている「コオイムシ」の姿なども見られる。 -
巣立ちを間近にひかえた子ツバメたち
もうお家が小さいよ竏秩B大きく成長したツバメのヒナたちが巣立ちの季節を間近にひかえている。
この巣では、6月初旬に5匹のヒナが誕生し、体つきは親ツバメと同じ程度まで成長。狭い巣に収まりきらず、巣の横に出てえさを運ぶ親鳥を待つヒナの姿も竏秩B
ツバメのヒナが巣立つまでの期間は約3週間。ほかの鳥と比べると異例の長さだが、この間に巣立ちに必要な体力を養う。ひとたび巣立つともとの巣には戻らないが、その後もしばらくは親からエサをもらう生活を続け、その中で実践訓練も行っていく。 -
DLDが地元住民と協力して間伐材まきの配達事業を開始
まきストーブの輸入販売会社「DLD」(本社・伊那市高遠町、三ツ井陽一郎社長)は今年の冬から、地域住民と連携しながら地域の山の間伐材で作ったまきを、地元の家庭に供給する「まきの配達」事業を始める。地産地消を通じた放置間伐材解消を狙った取り組み。希望家庭には10日分ほどストックできるラックを設置し、定期的にまきを配達。安定的にまきの供給を受けることができるほか、まきをストックするための幅広いスペースがいらないことも利点となっている。本年度は伊那市、南箕輪村の家庭を対象とするが、来年度以降は範囲を拡大していきたいとしている。
化石燃料の高騰などの影響を受けて上伊那でもまきストーブの需要は増加しつつあるが、燃料となるまきについては、ナラなどの広葉樹などが好まれ、県外や県内の別の地域から調達しているのが現状。一方地元の山林では、利用目途のない間伐材がそのまま放置されている。こうした事情を受け同社では、まきについても「地元で調達したものを地元で消費する」というサイクルをつくることで、環境保全の一端を担えるのではないか竏窒ニ、今回の事業を開始することとなった。
伊那市では、富県貝沼地区の山守会が取り組みに協力。グリーンツーリズム構想の一環として04年から里山の整備に取り組んでいる同会も、放置間伐材の処理方法を模索していた。同会は材の供給に加え、地元の家庭へのまきの配達も行っていく。
シーズン中に設置するまき用ラックサイズは縦1・5メートル、横1・3メートル、奥行き50センチ。家の中に設置することも可能となっており、まきの出し入れが負担となる高齢者宅にも有効だと考えている。
1シーズンにかかる費用は基本料金は4千円、まきラックの設置料2千円に加え、まき料金(11・5円/リットル)となる(毎日使用した場合の一冬の使用量は6千縲・千リットルほど)。樹種はカラマツや針葉樹が中心。太割りかつ乾燥長まきなため、火持ちも悪くないという。
まきの供給開始は10月中の予定。
申し込み・問い合わせはDLD(TEL94・6133)へ。 -
伊那図書館で七夕イベント・クイズなど
伊那市の市立伊那図書館は、七夕に向けたさまざまなイベントを展開、同館1階ホールには恒例の笹を設置し、利用者が願いごとを書いた短冊をつるしている=写真。新企画として、七夕に関係した問題を図書館の本で調べるクイズも設けている。
笹は3縲・メートルの5本を6月中旬から同所に設置した。願いごとは「皆がずっと仲良くいられますように」「サッカーがうまくなりますように」など心温まるものばかり。関係者によると、幼児や小中学生、高校生のほか高齢者も願いごとを認めているという。
七夕クイズは、「『天の川』は英語ではなんていう」など7問を用意。7月8日までの実施で、小学生を対象とし、全問正解した参加者の中から抽選で一人に本をプレゼントする。当選者は同14日、図書館に名前を張り出す。 -
西箕輪「わんぱくおやこ塾」 森林浴
伊那市の西箕輪公民館の子育てサークル「わんぱくおやこ塾」は27日、同地区にある経ヶ岳自然植物園で森林浴を楽しんだ。市内の16組約40人の親子が参加し、小鳥のさえずりを聞きながら公園内を散策した。
子どもたちは公園の広場に咲く、シロツメグサやウツボグサ、アザミなどの花を摘むなどして満喫した。中には、母親に花の冠や首飾りを作ってもらい、喜んでいる子もいた。
散策後は、お待ちかねの「おやつタイム」。お菓子を食べながら「お花畑で食べるとおいしいね」などと会話しながら、親子や保護者同士の交流の輪を広げていた。
わんぱくおやこ塾は、川遊びやクリスマス会などの年間12回の集まりを計画。本年は初めて、地域の高齢者との交流会を開く予定だ。
広場に咲くシロツメグサなどを摘んで楽しむ親子 -
向山和秋さんの油絵展
箕輪町長岡の瓦製造業向山和秋さん(58)の油絵展「おお、偉大なり我が故郷」は21日、伊那市中央区の中部電力伊那営業所ギャラリーで始まった。中央、南アルプスなどの風景や人物画など、力強いタッチと躍動感あふれる・ス生・スへのこだわりを表現した展示になっている=写真。7月5日まで。
作品は10号から100号サイズまでの新作12点が並ぶ。これまでは裸婦画を中心に制作してきたが昨年の秋から風景画に再挑戦した向山さん。女性の優しさ、力強さを線で画いてきた経験は、風景が作り出す、柔らかい曲線を表現するのに生かされているという。
南アルプスと自分が住んでいる「長岡」の町を描いた100号サイズの力作「おお、偉大なり我が故郷」などの作品を出品。向山さんは「大自然と、そこに住む人間の生き様を表現してみたいと取り組んだ作品の数々を見て」と来場を呼びかけている。
向山さんが画家になろうと思ったのは50歳の時で、その年の高遠の四季展に入選するほどの実力。個展は同ギャラリーで年に一回のペースで開き、今回で6回目となる。
休館日は土、日曜。午前8時30分縲恁゚後5時10分。 -
国交省・天上 激特事業の起工式7月1日
国土交通省天竜川上流河川事務所(伊藤仁志所長)は7月1日、天竜川直轄河川激甚災害対策特別緊急事業の本格着工を祈願した起工式を箕輪町松島の同河川沿いで開く。同事業は昨年7月の豪雨災害の再度災害防止を目的に2010年度までの5カ年度計画。出水期外の10月から同所管内各箇所で本格工事が始まる予定だ。
同事業は、諏訪湖の水位上昇による浸水被害を防ぐため、天竜川の流下能力を高め、釜口水門の最大放流量をこれまでの毎秒400トンから同430トンへ引き上げる。諏訪湖流入河川と天竜川で、河道掘削や護岸強化などを施す。
管内の激特事業は、横川川合流点(辰野町)から三峰川合流点(伊那市)までの対象区間約20キロ。河道掘削、護岸強化工事や天竜橋(南箕輪村、伊那市の境)、明神橋、水神橋、中央橋(以上同市)など6個所の橋梁補強を実施する。採択事業費は84億円。
関係者は「将来とも天竜川周辺が安全であり、工事事業が順調に進むことを願いたい」と話している。 -
高遠高校、校名募集の集計まとまる
現在の学校名を継続するか変更するかを検討をしている伊那市の高遠高校は27日までに、一般から公募した学校名の集計をまとめた。「高遠高校」という現在の校名を含め307件53種の応募があり、「高遠」「進徳」「桜」「伊那」などといった言葉を含む名前が大半を占めた。
新カリキュラムの導入など、魅力ある高校づくりに力を入れる同校は、その一環として校名の検討を進めたいとする思いを「将来の高遠高校を考える会」(会長・小坂樫男伊那市長)などではかり、今月22日まで校名に関する意見を募ってきた。
応募に先立って同校生徒や保護者、同窓生には応募用紙を送付し、ホームページ上でも募集。伊那市内を中心に北海道や神奈川県、東京都などからも応募があった。
今後は、7月中に開く校内検討組織、学校改革推進調整委員会(百瀬仁志委員長)である程度絞り込みを行い、選考委員会に報告する予定で、報告は9月を目指したいとしている。
丸山富永教頭は「一つひとつ慎重に見ながら理解を得ていきたい」と話していた。 -
花ろまん(18)バラ(下)
かつて16世紀のフランスのバラの詩人、ロンサールは「恋びとよ、見にゆかん 花薔薇(そうび)けさ紅に 陽に解きし その衣 くれないの 重なりも」と歌い、ボードレールはバラは「美しくあれ、そして悲しくあれ」と言った。アイルランドのトマス・モアが生と滅びを表現した「夏の終りの薔薇」の哀愁を帯びたメロディーは、日本では「庭の千草」で知られている。蕾から開ききるまで、刻々と姿を変え、絢爛豪華に咲けば、咲くほどに、文学に登場するバラは、悲哀と滅びを内包し、見る者のロマンをかき立てる。今回は高地に咲くバラの特集、伊那市の高遠しんわの丘ローズガーデン、長谷のみらい塾、山荘ミルクを取材させていただいた。(大口国江)
##(中見出し)
「アンネのバラ」から修景バラまで108種類、4380本が咲き競うしんわの丘ローズガーデン
花の丘公園西側、標高800メートルに位置し、6月1日にグランドオープンした。直立性や株立などの大輪、土手を利用した這性のバラ、修景バラなど。花びらが幾重にも重なるロゼット咲き、包みこむカップ咲き、剣弁高芯咲き、半八重咲き、一重咲きと様々な花が見られ、さながらバラの見本園のようだ。
明日への希望を抱きながら、非業の死を遂げた、少女、アンネ・フランクのために作られたバラ「スヴニール・ドゥ・アンネ・フランク」。上品な雰囲気の「プリンセス・ド・モナコ」。花びらの重なるフリルがかわいい「ほのか」。
房状で花色は白から次第に淡緑色に変わる「緑光」。輝く黄色「サプライズ」、ピンク色で裏白の花が波のような「ケアフリーワンダー」。
真紅の大輪、存在感のある「オクラホマ」。黄色から赤色に変わる「栄光」-など色々楽しめる。
##(中見出し)
有機堆肥「あきら」で1・5倍の大輪に、珍しい咲き分けもある長谷蔵の宿、みらい塾(市ノ羽幸子さん経営)
伊那市長谷黒河内にある蔵の宿みらい塾は標高900メートルに位置し、今、数10種類400本のバラが見頃を迎えている。
市ノ羽さんが1番好きな花というアンネ・フランクのバラは40本植えて、小道を作る。花色は赤から黄色と変化しつつ、晩秋まで咲き続ける。
花弁数50枚、下向きに咲く、上品で優雅なピエール・ド・ロンサールもお気に入り。
個性的なのは、白地に濃いローズの縞が入る、カップ咲きからロゼット咲きに変化するボローニャ。今年は咲き分けで濃いローズ1色の珍しい花が咲いた。「昨年、新品種として発表されたばかり」とか。
レモンのような香り、剣弁高芯咲きの「ブルームーン」゜壁面いっぱいに鮮やかな花をつける「カクテル」などのほか、色とりどりの木立性大輪や、垣根に這わせた修景バラもあるが、いずれも、花の大きさが通常の1・5倍ほどある。その秘密は、幸子さんの夫で、アルストロメリア栽培の晧さんが開発した有機堆肥「あきら」にあるとか。
「バラは早朝から夜まで、1日中見ていても飽きない。バラの香りに包まれてティータイムを」と喫茶も営業する。
このほか予約で食事も提供、蔵で宿泊もできる。詳細は(TEL98・2168、email miraijuku1038@yahoo.co.jp)
##(中見出し)
自然と融合するバラたち 横山山荘ミルク向山美絵子さん。
標高千メートル、緑の里山をバックに1万平方メートルの広々としたフィールドに立つ、山荘ミルク。サルの食害に遭い、野菜からバラに切り替えた。前庭はモダンローズ、畑側はオールドローズ、山際はイングリッシュローズとエリアを決めて植栽した。ホールから庭、玄関前、庭の入口など効果的にアーチを配し、スタンダード仕立てで高低差をつけた。
淡いピンク、クラシカルな花形の「シーザー2005」のアーチ。青みを帯びたピンクの花びら、わずかな風にも揺らぐ「ディンティー・ベス」。紫系の一重、和のテイストを持つ「たそがれ」。真紅で存在感のある「ウィンショッテンアンティーク」など。
四季折々色とりどりの花をつける宿根草、明るいグリーンから深緑、美しい斑入りなど百種類余のギボシがバラを引きたてている。「標高が高いため、朝夕の寒暖の差が大きく、花色が冴えている。葉の色がいいとお客様にほめられる」と笑顔を向けた。
山荘ミルクは月、火曜日定休。営業時間午前11時縲恁゚後5時(夜、休日は予約のみ)(TEL72・9990) -
深妙寺のアジサイ色付き始め
伊那市西春近の感應山深妙寺(重盛快典住職)で200種2500株のアジサイが色付き始めた=写真。色とりどりの花が咲き誇り、訪れた人の目を楽しませている=写真。
「アジサイ寺」の異名を持ち、例年この季節には各地から多くの観光客が訪れる同寺。25年ほど前に重盛住職の母が挿し木をしたことがきっかけとなり、アジサイの株を増やしてきた。花の種類は日本アジサイが中心。毎年美しく咲かせるために、花の終わる時期を見計らって花摘み作業を檀家の協力を得ながら行っている。
涼しい日が続いた影響で、花の時期は例年より1週間ほど遅めだ。咲き具合は例年並みだという。今週末に見ごろを迎えると見込んでおり、30日縲・月10日には無料の茶菓を振舞う「アジサイ祭り」を予定している。
アジサイ祭りは午前10時縲恁゚後3寺。 -
伊那地域の公共交通再編の方向性を了承
「第4回伊那地域における新たな交通ネットワークシステム構築のための検討会」が26日、伊那市役所であった。市、交通事業者、公共交通機関利用者ら約20人が出席。新市の総合的な公共交通再編の方向性を了承した。
再編では、統合可能路線の整理・効率化、地域間バランスの調整、現行体系の踏襲、バス輸送から個別対応へのシフトなど8つを柱に、効率が悪いところを見直し、住民サービスを落とさないことを基本とする。
市内を走る路線ごとに、利用が低調で経費負担が重い、運行密度が地域間で格差があるなど課題を掲げた。方向性に基づき、事務局は▽平均乗車人数が3人以下の路線廃止を視野に、デマンドタクシー(ワゴン車などを利用した乗合型タクシー)の代替措置の検討▽コース延伸による路線の整理・統合竏窒ネどの具体策が考えられるとした。
次回(8月28日)、具体案を示す予定で、年度中に交通の見直し案を打ち出す。運行準備を整え、08年度から試行運行する。
伊那竏猪リ曽連絡バスの検討については、両地域の連携強化、新たな観光ルート構築を目指して取り組む。再度、権兵衛トンネルを利用したバス利用のニーズなどを把握するアンケートを取る。 -
伊那消防組合 規律訓練
伊那、高遠、辰野、箕輪消防署でつくる伊那消防組合は26日、伊那市の市民体育館、県伊那勤労者福祉センター体育館で規律訓練をした。訓練は26、27日の両日、組合署員約120人が実施。各署員らは、日ごろの消防業務に生かすため規律の保持と迅速的確な行動を訓練で学んだ。
初日は、組合署員66人が参加。30人ずつの小隊編成・隊列整とんとして、行進間、停止間の動作や敬礼方法などを指揮者の指示に従がって訓練した。署員らは真剣な表情で取り組み、律心の向上を目指した。
あいさつに立った伊那消防組合消防本部の登内正史次長は「それぞれの動作を確認しながら、年一回の訓練で大きな声と汗をかいてもらいたい」と呼び掛けた。
小隊編成の訓練に取り組む組合署員ら -
伊那図書館 「キッズ・テラス」の名前募集
伊那市の市立伊那図書館は7月4日、児童室外の広場に親子のための活動スペース「キッズ・テラス」を設置、開放する。図書館では、この新スペースの名称を募集。応募期限は7月1日まで。
「キッズ・テラス」の開放期間は、春から秋の午前10時縲恁゚後3時。利用方法として、弁当や飲み物を持ちより交流したり、図書館内の本を持ち出して読んだりできる。
応募方法は、児童室カウンターで応募用紙に記入する。名付け親には、ブックスタート推薦本10冊のうち1冊とブックパスポート「ブックスタート編」をプレゼントする。
問い合わせは、伊那市立伊那図書館(TEL73・2222)へ。 -
小沢花の会がサルビアなど植える
伊那市の小沢花の会(池田清和会長)は25日、広域農道沿いにある「花の公園」周辺で、夏から秋に咲く、サルビアなどの花の苗1万2千本を植えた=写真。関係者によると、サルビアは、7月から10月ごろまで楽しめるという。
恒例の作業は、春にあった「芝桜まつり」の時に駐車場として使った、公園の北、西側の土地3カ所、合計約20アールで実施。市振興公社や会員それぞれが育てた苗などを使い本年は、広域農道と国道361号が交差する付近の土地にも初めて苗を植えた。
池田会長は「道路を利用する人たちなどに眺めてもらうことを期待する。配色にもこだわったので、花がきれいに咲くことを願う」と話している。
同会では、この日以外にも、マリーゴールド、ベコニア、ナデシコ、キンレン花などの苗を植えていて、本年度は、30アールの土地に2万5千本の苗を予定している。 -
伊沢修二の留学先 ブリッジウォーター大教授らが来伊
高遠が生んだ偉人、伊沢修二(1851縲・917年)が留学した米国ブリッジウォーター州立大学のウィンカイ・トゥー教授ら6人が24、25日の日程で来伊し、伊沢修二の生家や高遠藩校進徳館などを回った。
トゥー教授(43)は、日本や中国の教育、文化などを研究しており、伊沢修二の故郷を訪ねたいと足を運んだ。
元高遠町図書館長の森下正夫さんが「伊沢修二は文化の宝石みたいな人」と表現し「進徳館教育を受け、大学で近代教育を身につけ、音楽教育、障害児教育などに業績を上げた」と説明。
トゥー教授は「アメリカと日本の関係に大切な人。伊沢先生が育った環境がわかり、感銘を受けている」と話した。
大学には、伊沢修二の渡航記録や写真などの資料が残っているそうで「また来日して資料を詳しく調べたい。10月に町内で開く伊沢修二の偉業を顕彰する記念音楽祭も見たい」とした。
25日は、酒井副市長らを表敬訪問。
酒井副市長らは、民間レベルで幅広い交流が深まることに期待し、中学生海外研修事業を「マサチューセッツ州でできれば」と検討課題とした。
伊沢修二は東京音楽大学(現東京芸術大学)の初代校長で、1875年から2年間、当時のブリッジウォーター師範学校に留学した。 -
大萱保育園、親子で手打ちうどんづくり
伊那市の大萱保育園(山岸加代子園長)は23日、親子クッキングを西箕輪支所で開いた。年長園児親子14組が参加し、手打ちうどん作りに挑戦した=写真。
親子クッキングは調理体験を通じて食に対する理解を親子一緒に深めてもらおうと、昨年から行っている取り組み。昨年はバングラデシュ出身家族が同園園児の保護者だったため、同国の料理にも挑戦。異文化料理への関心も深めた。
今年は、親子一緒に取り組める「手打ちうどん作り」を企画。そば打ちの道具を活用しながら、粘土遊びの要領で粉と水を混ぜ合わせ。うどんの場合、中力粉を使うのが一般的だが、今回は寝かせる手間がかからない薄力粉を用いた。
初めて体験する親子もおり、親子で小麦を練る感触を楽しみながら励んでいた。 -
酒米の水田で草取り
清酒「信濃錦」の蔵元・宮島酒店(宮島宏一郎社長)が呼び掛けてつくる「草取り援農の会」は24日、同店が契約して酒米を栽培する飯島町田切の水田で田の草取りを行った。酒作りに興味を持って参加した15人の会員が、遠くは東京、神奈川、愛知、岐阜などの各都県や安曇野市から、近くは飯田市や伊那市などから集合して作業開始。折悪しく小雨がぱらつく天気となったが、参加者は田植え長靴をはいたり、はだしになったりし、腰にびくを下げたいでたちで談笑しながら笑顔で作業に精を出していた=写真。
イネの品種は美山錦で、完全無農薬栽培。雑草取りの作業で人が田に入ることにより、泥のガス抜きの効果もあるという。 -
伊那北高校でまちづくりワークショップ
池の活用を考えよう竏窒ニ、伊那市の伊那北高校で24日、まちづくりワークショップ「大改造!!伊那北ビフォーアフター」があった。伊那小学校の小学生や地域住民、行政関係者など約70人が参加。維持費の問題で今後の運用方法を模索している伊那北駅前にある池をテーマに、駅前の活用を語り合った=写真。
同校の生徒らが文化祭に合わせて今年初めて企画した試み。さまざまな年代の人に文化祭を訪れてもらうとともに、まちづくりについて考えるきっかけにしてもらおうと考えた。
参加者は8班に分かれ、池とその周辺の利用方法について検討。みんが行きたいと思える場所にしよう竏窒ニ、公園や足湯、コンサート場などを設置しようと考えた班があったほか、「古くからある池をそのまま残したい」と、地下水を引き上げてイワナを放すとした班もあった。また、伊那北高校まで続くエスカレーターを設置するというユニークなアイディアも飛び出した。
ワークショップに参加した伊那市の白鳥孝副市長は「これまでさまざまなワークショップに参加してきたが、小学生から大人まで集まったワークショップは初めて。池を通して、まちづくりなどといったいろんなことが見えてきたと思う」と語った。
また、ワークショップを企画した宮沢俊太郎君(18)は「お金がなかったらアルミ缶を集めたり太陽光を利用すればいいなどといったアイディアが小学生から出たりして面白かった。今回の活用アイディアはレポートにして市と地元住民らに提出するが、なんらかの回答があったらできるかぎり協力していきたい」と話していた。 -
わくわくトンボ観察会
世界最小(体長約2センチ)といわれるハッチョウトンボの生息地、伊那市富県新山の「とんぼの楽園」で24日、「わくわくトンボ観察会」があった。早朝から市内を中心に多くの人が訪れ、湿原でトンボを探した。地元住民でつくる「新山山野草等保護育成会」(中山智会長代行)の主催。2年目。
この日は悪天候のため、トンボが飛び交う姿は見れなかったが葉の下でじっとしている様子を観察した。講師の枝重夫日本蜻蛉学会会長(松本市)は「雨をしのぐ姿を見るのもよいこと。雄と雌とではまったく違う体の色を持っている特徴を見て」などと紹介した。
ハッチョウトンボのほか同楽園には、絶滅危惧種を含む30種類以上のトンボが生息。会と市は、遊歩道整備などを進め保護、観察の両立に努めてきた。本年は、観察会に向け、簡易トイレの設置や駐車場整備をした。
ハッチョウトンボの見ごろは8月中旬まで。 -
高遠の歴史と文化財の講座・開講
伊那市の高遠町公民館は22日夜、町総合福祉センターやますそで、恒例の公民館講座「高遠の歴史と文化財の講座」を開講した。初回は市内から34人が参加し、町歴史博物館の北原紀孝館長が「高遠城の変遷竏苧jの城主をたどる竏秩vと題して話した=写真。
北原館長は、武田信玄が攻め入るまで高遠を治めていた・ス諏訪の一族・スをはじめとする、室町時代から江戸時代までの約500年の間に城主を務めた26人を紹介。特に地元でNHK大河ドラマ化を目指す「保科正之(1611竏・3年)」について、その功績などを説明した。
正之公は徳川家康の孫。高遠で26歳まで住んだ後、会津藩主を務める。その後は、江戸で20年間暮らし、幼かった4代将軍を支えた。江戸では「殉死の制度」「人質の制度」を廃止し、都市計画や福祉政策に携わった経歴がある竏窒ニした。
北原さんは「正之は青春時代を高遠で過し、人道的制度をこの地で学んだといえる。これらの哲学を生み出した、この風土がそうさせた」と話した。
同講座は、郷土の歴史と文化財について学習する目的で開き、13年目を向かえる人気講座。本年は、「高遠城の歴史を知る」をテーマに、7月13日までの計4回を計画。高遠城の構造や特徴、城内の桜などについて3人の講師から学ぶ。 -
「パパ,s絵本プロジェクト伊那」 奨励賞受賞
伊那市の父親5人でつくる読み聞かせグループ「パパ,s絵本プロジェクト伊那」は、社会貢献支援財団(東京)主催の「第5回こども読書推進賞」で奨励賞を受賞した。24日、同市富県の新山コミュニティーセンターで受賞式・記念ライブを開き、同財団の横山道雄常務から賞状を受け取った。
「こども読書推進賞」は、子どもたちの読書習慣の定着に貢献した団体などを表彰する賞で、本年は全国から181件の応募の中から推進賞1、奨励賞4団体の計5団体が受賞。県内の団体が賞を受けるのは初めてとなった。
横山専務は「数ある読み聞かせボランティアの中でも父親が活動しているのはユニーク。読み聞かせの手法も優れている」などと評価。グループ代表の北原文徳さん(48)は「父親が楽しそうに読み聞かせをしている様子を見てもらいたい。肩に力を入れず、父親ならではの活動を続けたい」と話した。
記念ライブは、メンバーの一人と親しい新山地区の子育て支援サークルの例会に合わせて実施。地元の児童や保護者ら約60人を、絵本を読むだけではなく、フォークギターなどの演奏に歌を交えた演出で魅了した。
「パパ,s絵本プロジェクト伊那」は04年4月に結成。上伊那地域を主な活動場所とし、月1回の「絵本ライブ」を開催している。