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風土がはぐくむ地場産業
木曽屋社長 熊谷和寛さん澄んだ空気、清らかな水、広がる田園風景…。環境に恵まれた、伊那市高遠町の三峰川沿いに、麺(めん)類総合メーカー「木曽屋」は建つ。
県内で契約栽培したソバを石うすでひき、南アルプスからの伏流水を使う。自動製麺機を使用しながらも手打ちの味を生かした手法から生み出される商品は、信州そば品評会で農林水産大臣賞、食糧庁長官賞、農林水産省総合食料局長賞、県知事賞などを連続受賞する。1969年には皇太子殿下へそばを献上している。
機械製麺を手がける企業はコスト面などから外国産そば粉を使うところが多く、地元産にこだわるのは全国でも数少ない。
また、地域振興を目指して取り組む雑穀アマランサスなども積極的に活用する。
ただもうければいいではなく、地域振興を考えながら歩んできた。地場産業として、30年をかけて確立した「木曽屋のブランド」に迫る。
株式会社木曽屋
■本社/伊那市高遠町上山田78■創業/1955(昭和30)年9月■資本金/2000万円■従業員/43人■TEL/0265・94・2323■FAX/0265・94・2330 -
輝く!経営者 その後
六九堂はりきゅう指圧院・六九堂接骨院
伊藤直樹院長(43)六九堂はりきゅう指圧院・六九堂接骨院
◆伊那市高遠町西高遠683
◆1998年6月9日開業、2000年10月10日移転
◆TEL0265・94・5069
◆URL http://www.h3.dion.ne.jp/^rokkudou
◆本紙の長期連載企画「上伊那・輝く!経営者」で03年12月に紹介
上伊那地域の東洋医療の拠点として、六九堂はりきゅう指圧院・六九堂接骨院の2つの看板を掲げる「六九堂」。鍼(はり)師、灸(きゅう)師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師の国家資格を有し、毎週発行の「六九堂新聞」で情報提供を続けながら、患者とのより強い信頼関係を構築。開業時から変わらぬ、地域の皆さんのお役に立ちたい-という思いで研究を重ね、新しい治療にも取り組んでいる。 -
【輝く!経営者 その後 ネクストエナジー・アンド・リソース 伊藤敦社長】
ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社
◆駒ケ根市中沢4753竏・
◆2003年12月設立
◆資本金4000万円
◆従業員9人
◆TEL0265・87・2070
◆FAX0265・87・2071
◆URL www.nextenergy.jp/
◆本紙の長期連載企画「上伊那・輝く!経営者」で04年7月に紹介。
「このまま環境破壊が続いたら地球はどうなってしまうんだ。自分にはいったい何ができるんだ」。熱帯雨林の乱伐の実態を知ったことがきっかけで高まった地球環境保護への思いから、居ても立ってもいられずに03年、会社を設立。ビジョンに「自然エネルギーにより、2031年までに原子力発電所1基分に当たる電力量約100万キロワットを供給する設備を普及させる」を掲げ、自然エネルギーのパイオニアとしてさまざまな事業に挑戦してきた。
この間の4年半、環境問題に対する社会の意識は大きく様変わりし、同社の事業の柱も設立当時の風力発電と小水力発電から太陽光発電へと大きくシフトしてきた。環境保護が国際社会の最優先課題となりつつある現代にあって、時代の最先端を走る企業の取り組みはどんなものか。そして、伊藤社長が見据えるこの地球の未来とは竏秩B -
オザワ燃料
小澤陽一社長(57)澄んだ空気を突き抜けてさんさんと降り注ぐ太陽の光、2つのアルプスから途切れることなく流れ出る豊富な水、どこまでも続く緑の森林…、そんな豊かな地域資源を有する伊那谷で、それらを有効活用した自然(エコ)エネルギーの普及に積極的に取り組む会社がある。伊那市のオザワ燃料。社長の小澤陽一さんは、ガス、灯油等の化石燃料及びその関連機器を販売する一方で、木質ペレットや小水力発電など自然エネルギーの普及に努める。「自分のおやじたちが炭やまきを供給してきて、やがて燃料革命で固体から液体、液体からガスになり、また元に戻ってペレットや炭が注目されている。考えさせられるものがある」。しみじみ語る言葉の裏には、信州の山を愛する小澤さんの環境負荷への危惧、地球の自然への熱い思いがある。(竹村浩一)
◆有限会社オザワ燃料
◆本社/伊那市境東1687番地1
◆創業/1951年10月
◆資本金/300万円
◆従業員/12人(パート含む)
◆TEL/0265・72・2921
◆FAX/0265・78・4403
◆主な業務は、各種燃料の販売と、暖房器具・風呂・ガステーブルの販売・設置・管理。それに、本社の一角を利用して開催しているパン教室に関連した器具・食材の販売や「小型エコ発電」が加わる。扱う燃料はガスが6割、灯油が2割を占めるが、木炭や木質ペレット(成形固形燃料)の売上も少しずつ伸びてきている。「小型エコ発電」は、最近各地で注目を集めている小水力発電装置の販売。小澤社長は「まだ、商売としては考えていない」と言うが、民間、行政からの問い合わせなども徐々に増えてきている。 -
【輝く!経営者 その後】ヨウホク 北林友和社長
株式会社ヨウホク
◆駒ケ根市赤穂11678竏・9
◆1951年創業、1959年設立
◆資本金3000万円
◆従業員33人
◆TEL0265・82・5238
◆FAX0265・83・6346
◆URL www.youhoku.jp
金属加工の分野で長年培った確かな技術で上伊那の地域工業発展に貢献している一方、近年では自社製品の開発と製品化にも力を入れる。中でも県内で数社が取り組んでいるだけというペレットストーブの開発では数年がかりの研究、開発の苦労が実り、業界の先端を走るまでになった。 -
その後、輝く経営者ヤマサン宝飾小林雄五郎会長宮脇三広社長
ゆったりとしたスペースに夢のジュエリー、優しい色彩の一流ブランドのメガネフレーム、インポートウォッチが時の流れを刻む、1ランク上のぜい沢空間-。
ヤマサン宝飾の本店、駒ケ根市上穂北町の四季彩館「ヤマサン」はこのほど、リニューアルオープンし、25日までオープン記念セール第2弾を行っている。
96年11月、広小路の旧店舗から移転してから12年が経過。大規模改装はよりグレードアップし、新しい時代にあった商品構成と、それに伴う陳列、より明るく、楽しく見られるように、内装を一新し、ライトも増設した。
◇セット品から高級ブランドまで、メガネコーナーを充実
お手ごろ価格のメガネセットから最新高性能レンズやダックス、バレンチノ、ニナリッチのニューフレームなど、メガネ売り場を広げ、品そろえも充実した。
日本眼鏡協会の眼鏡認定士でもある宮脇社長は「度数やフレームのデザイン、フィッテングなどひとり一人の状況にあったメガネをかけないと、目を悪くする」と、最新の検査機器、視力測定器を備える。
また、04年5月には駐車場の一角に眼鏡観音像を建立。毎年、役目を終えたメガネを供養し、発展途上国に送り、現地の人々に喜ばれている。
◇補聴器サロンを開設 補聴器選びは実際に試すことが1番。最新設備を備えた聴力測定室を新設し、無料で聴力測定を実施している。
各メーカーの最新型補聴器を取りそろえ、購入後の調整も無料で行っている。
◇世界の一流品を腕に オリンピックの公式時計に通算21回採用された伝統の「オメガ」。「いつかは」とだれでもあこがれる「ロレックス」。「コンコード」「ロンジン」「オリス」など一流品がずらり。
ヤマサンの前身は「山三時計屋」とあって、同社は社員の時計修理の技能習得に熱心だ。会長、社長は1級時計技能士、社員全員が3級の資格を持つ。「技術こそ最高のサービス」という。
◇5大宝石を中心に貴石などさん然と
ダイヤやルビー、エメラルド、サフォイア、パールなど5大宝石をはじめ、オパール、トパーズ、トルマリンなど貴石類の指輪、ネックレス、ペンダントなどがさん然と輝いている。
長野県出身の宝石デザイナー、桐山勇三さんのコーナーもある。
「宝石は自然界で創造され、身につけると、不思議なパワーを与えてくれる」と宮脇社長。同店では4人の宝石コーディーネーターが顧客ひとり一人のオンリーワンを選ぶ手助けをしている。
また、金やプラチナの価格高騰を受け、高価買取のほか、宝飾リフォームにも力を入れる。手持ちの指輪でデザインが古くなったり、形見などで頂いた指輪を自分好みにリフォームするなど、相談に応じている。
◇地域の人々に愛されて創業51年
1957年、小林会長は間口1間の「山三時計店」で創業、以来半世紀余。小林会長の「お客様を裏切らない高い技術力を持ち、堅実な経営で、信用ある店を継続的に発展させることが地域への最大の貢献」という創業精神は、確実に宮脇社長に受け継がれ、社員ひとり一人に浸透している。
◇会社概要・ヤマサン宝飾株式会社■本店・駒ケ根市上穂北1414■57年創業■資本金1000万円■TEL0265-81-1234FAX0265-81-1235
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伊那ケーブルテレビジョン
向山公人社長伊那ケーブルテレビジョン株式会社
◆ 本社/伊那市伊那4983番地1
◆ 設立/1984(昭和59)年6月
◆ 資本金/2億円
◆ 従業員/26人
◆ TEL/0265・73・2020(代)
◆ FAX/0265・76・3934
◆ サービスエリア/伊那市、箕輪町、南箕輪村の全域
◆ 08年3月末現在のケーブルテレビ加入世帯は26229戸(加入率63・8%)。年間千縲・500戸平均で増加し続けている。インターネット加入4729件。デジタル切り替え(導入)7003戸。 -
輝く!経営者~新たな挑戦~ 菓匠Shimizu 清水紀光社長
菓匠Shimizu
◆本社/伊那市
◆資本金/1千万円
◆従業員/30人
◆TEL/0265・72・2915
◆FAX/0265・76・8622
「上伊那・輝く!経営者キャンペーン」で紹介したのは、04年7月。当時、山寺区に店舗を構えていたが、ちゅう房が手狭になり、05年秋、上牧区へ移転新築した。07年の創業60周年を機に、社名を「菓匠しみず」から、新店舗のイメージに合わせて「菓匠Shimizu」に変更。
商品に込めた思いを直接、お客さまに伝えたいと委託販売はせず、一店集中主義で商売を続けている。 -
輝く!経営者~新たな挑戦~ 日本創健 舘内修一社長
株式会社日本創健
◆本社/駒ケ根市赤穂8754
◆創業/1990年
◆資本金/1000万円
◆従業員/10人
◆TEL/0265・82・3600 FAX/0265・82・5177
《組織の若返り》
肌トラブルなどを改善する馬油(ばあゆ)商品と・ス中国に伝わる長寿の神果・ス羅漢果(らかんか)から作る健康飲料水を製造販売する日本創健を本紙・ス輝く経営者・スシリーズで紹介したのが05年2月。その後、組織は大きく変わった。
創業者として異彩を放った舘内宗雄氏は07年7月に会長になり、長男で専務兼製造部長だった修一氏(38)が社長に就任。その8カ月前の06年11月には、宗雄氏の長女で日本創健企画部長の希美子氏(40)を社長とする新会社エヌエス・プランニングが立ち上がった。若返った日本創健と、ペット向け馬油商品を製造販売するエヌエス・プランニングの新たな挑戦が始まっている。
《馬油の需要は冬がピーク》
古くから家庭常備薬としても愛用されてきた馬油。アトピー性皮膚炎などの肌トラブルを改善することで知られる。日本創健の人気商品「ナチュラル馬油」の原料は放牧馬のたてがみ下部(こうね)の脂肪だけを使う。1頭からわずかしか取れない。この馬油には皮下組織の血行を促進し、新陳代謝を活発にする「α竏茶潟mレン酸」が豊富に含まれる。
冬季は肌トラブルが増え、馬油の需要も増加。この時期の売上が年間の業績に大きく影響する。社員の動きもきびきびしたものになり、新社長自ら午前5時に製造現場に立つ時もある。
新社長は製造と並行して新商品の研究・実験もする。「温度調整をちゃんとしないと違う商品になってしまう。気候の影響も受けるので、実験中は目が離せない。とにかく時間の勝負」
馬油のほか、馬油を加工したローション・クリーム・せっけんや、馬油関連商品など、アイテムは確実に増え続けている。同社製品の利用者は固定客がほとんど。それら多くの愛用者の意見を聞きながら「こういうのを作ろうか」と研究する。
自社ブランドのほか、PB(プライベート・ブランド=流通業者が企画した製品を外部の製造業者に生産させるブランド)商品の製造も行う。依頼主の仕様書に沿って改良実験を繰り返し、1縲・年かけてようやく完成するものもある。だが、依頼主がそれを気に入って商品化してくれるとは限らない、厳しい世界だ。
《社長の重責を担って》
社長の重責を引き受けたが、「何が変わったということは、特にない。肩書きは代わったが、やっていることは同じ」と、淡々と語る新社長は、原料管理のため、できるだけ現地視察に行くことを心掛けている。昨年6月にはハーブ仕入れ先のオーストラリアを訪れ、11月末にも、馬油と並んで同社の主力商品になっている「羅漢果」の栽培地・中国桂林を視察。「自分の目で確かめて仕入れたい」と強調する。
「会社をそんなに大きくするつもりはない。能力もないし、目も届かなくなってしまう。大量生産はしないし、出来ない。身の丈の経営をしていく」
「企業の信用は今の売上ではない、何年続いているかだ竏窒ニ、ある人に教えてもらい納得した。長く続けられる会社にしたい」
父親の宗雄氏と共通した経営の姿勢が言葉の随所にうかがえる。
一方で「商品あっての日本創健。あまり合理性は求めず、商品の良さを追求していく。会長が作り上げた良いものは壊さず、時代のニーズに合った形でそれを発展させたい」との思いも強い。「やりたいことはいっぱいある。今後・ス共同・スの方向も考えている」 -
輝く!経営者~新たな挑戦~ 共進住建 松沢一弘社長(63)
有限会社 共進住建
◆箕輪町中箕輪7892-1
◆創立1976(昭和51)年
◆資本金300万円
◆従業員3人
◆TEL0265・79・8774、FAX0265・79・8875
◆シックハウス無料相談室0120・79・8774
◆URL http://www.kyousin-j.com/
[抗酸化工法普及へ]
シックハウス対策の一つとして「いきいき健康・環境回復住宅・抗酸化工法」を取り入れた抗酸化工法代理店で、シックハウス対策室を設けている共進住建。松沢一弘社長は07年6月から、長野抗酸化工法Gハウス会の会長を務めている。
GハウスのGは英語のグッドの頭文字。地球環境保全や、抗酸化溶液の利活用法を研究し、抗酸化工法による「いきいき健康回復 環境回復 運動」に取り組む事業所18社で組織する。長野Gハウス会の本部が共進住建に移り、併せて抗酸化溶液を活用した万能粉石けんなどの抗酸化溶液活用製品を取り扱う長野県の総代理店にもなっている。
抗酸化工法は、抗酸化溶液を使い活性酸素と化学物質を抑制するシックハウス対策の工法をいう。抗酸化溶液は北海道在住の一級建築士・会田伸一さんが開発した発酵型微生物を培養して作る特殊酵素(液体)。建材に噴霧するなどの処理を施すが、特別な工具や技術を必要とせず、建築後の施工も対応できる。効果として、化学物質の分解除去、調湿・悪臭分解、帯電防止・ハウスダスト抑制、害虫忌避、省エネルギー、メンテナンスコスト半減などがあるという。
「抗酸化工法は目に見えないナノテクの世界。家族にアトピーや喘息に苦しむ人がいると真剣に考えるが、家中が健康なお客さんは勧めても難しい」。一般住宅だけでなく公共施設も手がけてきた共進住建だが、「引き合いはあるけど、まだまだ浸透まではいかない」のが現実で、広告で宣伝したり講演会を開くなど地道な取り組みを続ける。
03年の本紙登場以降、SBCラジオの番組にも出演し抗酸化工法を紹介。今月19日は5回目のラジオ出演で、番組「武田徹のつれづれ散歩道」の中で「いきいき健康回復住宅」について話す予定という。
抗酸化工法は、「何かわからないけど何かある。面白い。そこに魅力がある。とにかく1部屋でも抗酸化工法を試してほしい。ほかの部屋と比べてもらえばその効果がわかる」と松沢社長。「化学物質過敏症の人も住める住宅を提供したい」との強い信念で、顧客拡大に努めている。
[抗酸化溶液活用製品取り扱い]
抗酸化溶液活用製品は、抗酸化溶液を開発した会田伸一さんが代表取締役会長を務める会田総合研究所の設立(07年8月1日)に伴い、新しくなった。旧製品を全面的に見直し、抗酸化溶液の培養法もより精度が高まり純化したという。製品名も新しくなり、パッケージも黄色を基調にするなど変わった。
製品の一例を挙げると、万能粉石けん「えみな」、化粧石けん「ぽぽ」、ボディクリーム「痛快」、化粧水「光のしずく」、不思議なバケツ「いきいきペール」、インソール「元気」、ベッドパッド「もこもこパッド」などがある。
県内だけでも顧客は220件あり、共進住建には地元の人が直接購入に訪れる。「まず試していただきたい。楽しみながら、あぁ効果があったというようにユーザーさんが関心を持ってもらえればと思う」。製品から抗酸化工法の住宅施工へと結びつけていくため、製品販売にも力を注ぐ。
[陶板浴施設を建設]
05年10月、会社敷地内に建設した還元復活低温陶板浴施設「虎杖(こじょう)」は、口コミで評判が広まり、体験に訪れる人が増えている。
北海道で研究開発された還元復活低温陶板浴。「虎杖」は木造建築で、床に特殊な抗酸化のセラミックタイルを敷き詰めている。室温38縲・2度、湿度5縲・0%、床の温度49縲・1度。完全予約制で1回の利用は1時間20分。パジャマなどの浴衣を着用し、床に敷いたバスタオルの上に仰向けに寝る。
低温なので幼児から高齢者まで利用できるのが特徴。「還元エネルギーを受け取ることで健康な体を維持できる」という。
「木の香りと抗酸化工法によるきれいな空気。マイホームに癒しの空間を造れば毎日が楽しく快適に過ごすことができる」と、陶板浴施設の注文も受け付けている。 -
輝く!経営者~新たな挑戦~ キャリコ 小林正信社長
有限会社キャリコ
◆駒ケ根市上穂南4竏・
◆創立2001年6月
◆資本金300万円
◆従業員4人
◆TEL0265・81・5707
◆URL www.calico.jp
地元のユーザーの実情に即したコンピューター情報サービスを提供するキャリコ。ネットワークソフトウェア開発、システム構築、ホームページ制作、プログラム開発など、そのフィールドは幅広い。先見性と確かな技術で日々躍進するキャリコの新たな挑戦とは竏秩B
社名のキャリコは英語で「更紗」「まだら」などの意味だ。
「いろんな色が混ざり合っている。雑多なものが融合しているイメージからこれを社名にしました。創業から6年余りたち、主力の業務もネットワークやインターネット用サーバーの構築から、ネットワークソフトウェア開発へと広がってきたが、目指していることはまったく変わっていない。むしろ、周りの社会環境が変わってきて、自分が考えていた方向に少しずつ近づいてきたような印象も受けています。面白いと思った技術に取り組んでおくと、2、3年して実際に使えることが多い。点がつながって線になるような感じですね。技術や開発というのは、幹になるバックボーンがあって、いろんな局面に合わせていろんな切り口でやっていくことが重要だと思います。自分はただ好きでやっているだけですけどね」 -
輝く!経営者~新たな挑戦~ ミカドテクノス 伊藤英敏社長
ミカドテクノス株式会社
◆ 本社・工場/上伊那郡箕輪町大字中箕輪9745
◆ 創業/1953年
◆ 資本金/1200万円
◆ 従業員/25人
◆ TEL/0265・79・2323(代)
◆ FAX/0265・79・2190
◆ 創業以来のプレス加工とともに、省力化専用機や真空ヒータープレスなどの自社ブランド専用機の製造・販売で知られる。取得特許が110件を超える数が示すように同社の独創的アイデアには業界も注目している。
《あれから4年》
発想力、開発力に長じた伊藤社長を本紙経営者キャンペーンで紹介したのが03年12月。その後も社長のアイデアは尽きることなく、しかも着実にミカドテクノスの製品に反映されてきた。注目を集めた「瞬時真空ヒータープレス装置」は改良を重ね、ヒーター温度が当初の200度から430度にまで高められるなどさらに性能がアップした。さらに、独自の真空技術を生かして画期的な「真空高圧含浸装置」を開発。ダイカスト製品などの封孔処理をはじめとする工業製品への応用だけでなく、食品の機能性処理などにも活用できる同装置への関心は、11月の発表と同時にいやおうなく高まっている。
この間、同社は、経済産業省中小企業庁から「元気なモノ作り中小企業300社」に選ばれ、さらに、関東経済局推薦により中小企業研究センターの「グッドカンパニー大賞」特別賞も受賞。「ミカドテクノス」の名をあらためて全国に知らしめた。
伊藤社長の発想力、技術開発力は広範囲に知れわたり、大学、商工団体などから講演を依頼されることも多い。学生や商工業者を前に伊藤社長は発想のキーワードを「遊び心」「余裕」として「ものづくりの原点は面白いものをつくって楽しませること」「心に余裕のない中で仕事をしていると良い考えは決して浮かばない」などと訴えている。
今回の「その後」では真空高圧含浸装置を中心に「新たな挑戦」を紹介する。
《真空高圧含浸装置を開発》
上伊那農協箕輪町支所でこのほど開いた農協祭の会場で、一風変わったコーナーが注目を集めていた。
そこには「真空高圧含浸装置」と書かれた機械が設置され、その前にはリンゴ、花梨、キャベツ、ナスなどが置いてある。機械に関心を示した客に楽しそうに説明している男性がいた。この装置を開発したミカドテクノスの伊藤社長本人だ。同装置が、工業製品だけでなく、食品にも広く応用できることを実演で証明していた。
「真空高圧含浸装置」。2年前に特許を申請し、間もなく許可が下りる。11月上旬に東京で開かれた中小企業総合展で発表したばかりの同社自慢の新製品だ。
同装置は、ダイカスト、鋳物などの防錆処理、封孔処理、焼結軸受けのオイル充填、セラミック溶射体のはがれ防止、潤滑性・導電性処理などのほか、食品添加への機能性処理にも対応できる。いずれも短時間で出来ることが強みになっている。
仕組みは、封孔を必要とするダイカストや鋳物、潤滑性を求めるセラミックなどの対象物に樹脂ポリマー液やオイルなどを浸透しやすくするため、まず、対象物を入れた処理スペースを真空にして・ス内部空気・スを取り除いてから、そのまま真空スペース内でオイルなどの「含浸液」に漬ける。
そこに圧縮空気を送り込み高圧加圧すると、従来の真空含浸装置より短時間ではるかに多い量の液を充填できる。
伊藤社長は「樹脂ポリマー液にナノカーボンを入れると静電気を除去することもできるのでは…」などとして、新機能を付加したいくつもの素材が同装置によって作り出されることに期待する。
この仕組みは、工業関連だけでなく、食品関連にも応用できるところがいかにも伊藤社長のアイデアらしい。
農協祭での実演では、リンゴ、花梨、キャベツ、ナスにワインや一夜漬けのもとなどを注入して短時間真空、高圧加圧の威力を見せつけた。伊藤社長は「リンゴでもナスでも、一瞬真空にすると中の水分が細胞膜を破って飛び出る。細胞に微小な穴が開いた状態でワインなどの液に入れる。真空を解除して高圧エアを吹き込むと液全体が締まり、短時間で液が注入される」と説明。嬉しそうに「ダイコンの中へビタミンCを入れて・スビタミンダイコン・スってのはどう?」「キャベツの芯まで食べられるってのがいいだろう」「ナスの生はうまい」…。仕事を楽しんでいることが誰の目にも分かる。
農協祭での実演は、新製品開発の話を耳にした町内関係者から依頼された。
会場には、情報をキャッチした県内の有名食品加工業者などがさっそく訪れ、「新製品の開発に使えそうだ」などと話していた。
《アイデアは尽きない》
「学生に言ったんだ」。伊藤社長は信大などで学生らに講義する機会も多い。
「ブランドにするためにオンリーワンの商品の特許を取る。3、4年たてば陳腐化するからまた、新しいものを考える。そうやって50年以上も会社が生きてきた」
「特許がなくても経営はできるが、ものづくりの会社の原点は面白いものをつくって楽しませること。それで世の中も進歩していく。会社が大きくなることは二の次」
「求められるものを待って開発しようとすれば、大企業がさっとさらっていく。中小企業は分相応のものをつくることが必要。評論家は、市場のニーズを探して作れ、と言うが、そうではない。自分が考えたものを発信して、自分で市場を開拓するほうが中小企業らしい仕事になる。たくさんは出ないがウチしかできない高級品だ」
伊藤社長の口からぽんぽん飛び出すこんな考えが、学生たちには新鮮に思えたに違いない。
同社の名刺は、社名の肩に「ファインスタンピング&ニューテクノロジー」の文字が入っている。「プレス」でなく「スタンピング」。多種の素材や分野に挑戦していこうとする同社の姿勢の表れだ。最近は、有機ELの発光電極膜や燃料電池のイオン交換膜なども手がけ、「スタンピング」は無限の広がりを感じさせる。
さらに同社はいま、「瞬時真空ヒータープレス」「真空高圧含浸装置」に続く「第3弾」の設計に入っている。来年1月には完成し、3月には発表できそうだという。「そういう風にやっていかないと、人を楽します企業にはなれない」。伊藤社長の挑戦は続く。 -
輝く!経営者~新たな挑戦~ 泰成電機工業 堀内一治専務
有限会社泰成電機工業
◆ 本社工場/駒ケ根市飯坂2竏・竏・4
◆ 創業/1962(昭和37)年7月
◆ 資本金3000万円
◆ 従業員/28人
◆ TEL/0265・83・1138
◆ FAX/0265・83・9663
◆ マンション、個人住宅、商業施設、体育館などの構造床システムで業界トップシェア45%を誇る。
「上伊那・輝く!経営者」シリーズで堀内一治代表取締役専務と泰成電機工業を紹介したのが05年3月。あれから2年半以上が経過し、この間に、丸山光也新社長が就任し、平栗伸好前社長が会長になった。(本年7月)。
多忙の新社長に代わって、前回(05年)同様、同社の業務を牽引している堀内専務にその後の取り組みや方針などを聞いた。
《社宅を活用して画期的実験》
「この結果は世界的にも貴重なデータになる」と堀内専務が胸を張る実験が昨年8月から、泰成電機工業の社宅で続けられている。
昨年7月に完成した地上3階地下1階の社宅をまるごと研究棟にして、「外断熱」の効果を詳細に調べ、コンクリート集合住宅でも無暖房・無冷房の・ス快適、かつ、地球環境にやさしい生活・スを送れることを証明するための壮大な実験だ。測定項目は253点。建物の各所にセンサーを埋め込み、1分ごとのデータを蓄積している。
社宅には、実験への協力を申し出た4家族が実際に暮らしているため、電気製品の使用や煮炊きなど毎日の生活で発生する室内の熱を想定した上での断熱効果が正確に把握できるところが、大学などが設けた研究棟とは異なる。さらに、同じコンクリート建物の中に外断熱をしてある部分とそうでない部分が設定してあり、効果をデータ比較できる点なども注目されている。
堀内専務によると、「外断熱」と「外張り断熱」は異なる。建物の外側を断熱材で囲む手法は同じだが、「外断熱」は、外気と接する部分すべてに断熱材が巻かれていて、例えば樋の固定器具など、わずかな個所(ヒートブリッジ=熱橋)からも熱が伝わることがあってはならない竏窒ニされる。
堀内専務は「外断熱は木造住宅よりコンクリート住宅で効果を発揮する。しかし、木造外断熱のデータはあってもコンクリート住宅のデータはまだない」と同実験に期待する。
この実験は、泰成電機工業と山下恭弘・信大工学部教授(工学博士)が共同で取り組む。
同社は社宅建設にあたり、床材システムの音響(遮音性)などの実験をする試験室を新社宅に設けたいと考え、古くからつきあいのある山下教授にアドバイスを依頼。すると、山下教授側からも研究協力を依頼され、同教授の提唱する「地球環境にやさしい無暖房の住宅で快適な生活」の実現のために新社宅を・ス実験棟・スとして提供することになった。
《山下研究室とのきずな》
泰成電機工業と山下教授との出会いは今から十数年前。当時、県住宅供給公社が建設する教職員住宅などの床は、性能試験に合格したものだけが採用されていたが、その測定を担当していたのが山下教授だった。
泰成電機工業も試験に応募したが、そのころ同社がすでに扱っていた二重床は非常に珍しく、マンションに使用している例は全国でも1割未満だったため、測定方法も確立されていなかった。そんなことから測定値に疑問を抱いた堀内専務は、直接山下教授に会いに行った。そこで2人が情報提供しているうちに共同研究の話がまとまった。
共同研究が始まると、山下研究室の学生と同社との交流も日々深まり、山下教授の教え子が泰成電機工業に入社するようになった。これまでに3人の大学院卒業生が社員になり、2人は同社で研究を続けて博士号を取得、もう1人も博士論文を執筆中だ。
堀内専務は「私は建築のプロではない。山下先生と知り合って、理論的裏付けをしてもらえるようになった。技術的な信頼度はすごく上がっている」と喜ぶ。
《地球温暖化防止は社会的使命》
社宅を利用した画期的実験への協力を決断した背景には、堀内専務の地球温暖化防止に対する強い思いもあった。
「車や工場のCO2削減対策は行われているが、住宅はその意識すらない状況。住宅から出るCO2の量はすごいのに。住宅関連の仕事をしている者として何かできないか」との「社会的使命」が常に頭にある。
今回の実験でも、「研究だけで終わらず、実用化を目指す」とする山下教授の姿勢に共鳴している。「暖房を使わなければ当然CO2の削減につながるが、寒冷地でも快適な生活をしながら無理なく削減できなければ実用的でない。仮に外断熱で削減することが出来たとしても、建築コストを暖房費でまかなえるようでなければ」。温暖化防止への・ス信念・スがのぞく。
堀内専務は「この実験に協力することで儲けようという気はない」と強調。外断熱システムへの事業参入などは否定している。その意図とは別に、実験を見学するために社宅を訪れる関係者は多く、結果として建築業界へのアピールと二重床システムのPRにつながっていることも確かなようだ。
同専務は「これまでの実験の結果から、断熱のためのドアの課題なども明らかになりつつあり、データを基にしたメーカーへの提案などは今後考えられる」とする。
同社は、二重床の制振材として、廃プラスチックと木粉を混合した再生複合材の活用を来年3月から始める。「廃プラスチックは海外で燃料になっている。リサイクルになっていない。簡単に燃やしてほしくない」。堀内専務の地球環境への思いが強い語調になって表れる。当面はメーカーから扱って販売するが、将来的には同社で製造する可能性もあるそうだ。
《新製造ラインを導入》
二重床を支えるボルトの製造ラインを更新し、生産性の向上と製造コスト削減を図る。1年半前、実験的に3ラインのうちの1ラインに新方式を導入。十分な成果を確認したことから、残り2ラインも来年2月までに同方式に変える。
旧生産方式では1分間60個のボルト製造能力が、新ラインでは2倍の120個になる。特殊ボルトの材料になる鉄パイプの補給も、従来は30分に1回供給しなければならなかったが、新ラインでは供給するパイプが棒状でなくコイル状になっているため、一度セットすれば半日は無人で供給し続ける。
同社の二重床支柱ボルトは鉄パイプを加工したもので、「パイプボルト」と呼ばれている。中空の鉄パイプをつぶさないように加圧してボルトに加工する技術は同社が試行錯誤の末に生み出した。「専門家などに無理だと言われてもやってしまう。前社長の代から・ス実験・研究に金を惜しむな・ス・スやってから無理と言え・スが当社のモットー」と堀内専務。
常識を覆すことで成功させてきた画期的な加工技術は、新製造ラインの導入でさらに磨きがかかり、二重床最大手の同社をさらに大きく成長させようとしている。 -
輝く!経営者~新たな挑戦~ 三洋グラビア 原敬明社長
大きな反響を呼んだ「上伊那・輝く!経営者」キャンペーン(2003年4月縲・005年3月)が終了してから2年半が経過しました。
同キャンペーンは、商工会議所、信州大学、県などの産学官でつくる推進委員会が地域産業の振興を目的に、上伊那の元気な中小企業・商店経営者を伊那毎日新聞の紙面やCATV番組、あるいはシンポジウムなどで紹介。「収益性」「技術力」「地域社会への貢献」「環境対応」などさまざまな面から地域や業界で高く評価されているそれぞれの優れた事業内容を・ス経営者・スに焦点をあてた取材を通じて浮き彫りにしました。
取り上げた経営者の数は約100人。伊那毎日新聞社はそれらすべてを単行本「信州伊那谷からの挑戦」にもまとめました(好評販売中)。
地元中小企業経営者からは「とても参考になった」「経営のヒントと元気をもらった」などの声が続々と寄せられ、推進委員を喜ばせました。
また、同キャンペーンは、身近にある郷土の事業所が、実は業界・関係筋で非常に高く評価され、全国、世界を相手にしても決して引けを取らない実力を持っていることを地域に広く知らせる結果ともなり、若者の郷土定着やIターンなどにも影響を及ぼそうとしています。
そのキャンペーンが終了してから2年半が経過し、最近になって「あの・ス輝く経営者・スたちはその後、どんな活躍をしているのか」「あの元気をどのように持続しているのか」という声を耳にするようになりました。
そこで今回、キャンペーンで紹介した約100人の・ス輝く経営者・スの「その後」の状況を伝える連載「上伊那・輝く!経営者・その後縲恊Vたな挑戦縲怐vを企画し、読者や関係者のみなさんの要望にこたえることに致しました。上伊那の産業がもっと・ス元気に・スなることを願って。