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「篁」日本画展
伊那市、箕輪町、辰野町の日本画愛好家らでつくる「日本画 篁(たかむら)」(吉沢芳男会長、8人)は第15回作品展を伊那市生涯学習センター「いなっせ」2階の展示ギャラリーで19日まで開いている。花、風景、鳥や動物など、会員が思い思いに描いた作品27点を展示。訪れた人たちは日本画ならではの繊細な描写に感心しながら作品に見入っている。
吉沢会長は「篁は竹の群生を意味する。真っすぐ伸びて、地下ではしっかり根を張る竹にあやかろうと名付けた」という。
「篁」は日本画家の故・三堀舜董さんの指導を受けた愛好家らが集まって30年前に発足した。現在は指導者を置かず、週1回の例会で仲間同士が楽しく作品を制作している。作品展は2年に1回開いている。
入場無料。午前10時縲恁゚後6時(19日は午後4時)。 -
新茶を手摘み
中川村の中川西小学校で16日、恒例の全校児童の茶摘みを行った。児童らは正面玄関前など3カ所のお茶の木、約130本で1番茶の手摘みをした。今年も保護者や祖父母、地域の人々約20人が手伝い、隣接の片桐保育園園児も飛び入り参加した。
同校の茶畑は86年に、村道拡張に合わせ、道路沿いから学校敷地内に移植され、翌年、玄関に幼木を植栽。さらに、03、07年にも苗を植えた。
今年は20日の予定だったが、新芽の伸びが良く、4日早めた。
作業に先だって、用務員の西永真八郎さんが、黄緑色の新芽の全体、茎ごと摘む「普通摘み」を指導した。
この後、児童らは唱歌「茶摘み」を口ずさみながら摘み始めた。
6年生は初体験の1年生と並び、摘み方を丁寧に教えながら、作業を進め、たちまち、金属性のボールは新緑の茶葉でいっぱいになった。
この日、摘んだ葉は、阿南町の製茶工場に持ちこみ、煎茶に加工され、祖父母参観日で味わったり、福祉施設、教育委員会などに贈られる。
西永さんは「今年は遅霜の被害もなく、収量も多く、良いお茶になりそう」と期待していた。 -
町民手作りの「ふるさとの昔話第2集」発刊
民話の聞き取りから執筆、挿絵まで、飯島町民手作りの「ふるさとの昔話第2集」が完成。12日夜、町文化館で、飯島町郷土研究会の桃沢匡行会長から聞き取りや執筆、挿絵制作などの協力者に手渡された。
「ふるさとの昔話」は全230ページ、B5判、飯島町に伝わる「美しく心あたたまる昔話」47編57話を掲載し、全編にカラーで挿絵を入れ、小学生でも読みやすくした。
第1章は歴史的な事実を踏まえた物語、第2章は民話的な話、第3章で町の歴史を分りやすく記した。
第1章の中には高遠原に実際にあったマムシの毒を抜くために首だけだして埋められた「首だけ男」。「抜け参り」で伊勢神宮に向った勘太郎、家では大騒ぎ、葬式の相談をしている時、天狗にさらわれたことにして杉の梢から飛び降りた「空から降ってきた男」など、未発表の物語もある。
第2章には「あんころ餅を食べた本尊様」「おかねさま」など、楽しい民話を掲載。
第3章には「羊満水」「製糸落とし」「水戸浪士の通行」「満蒙開拓団」まで、江戸時代から戦後までの町の歴史の中から特筆すべき事柄を並べた。
挿絵は町内の6人が
担当、漫画チックな楽しい絵から、芸術性の高い切り絵、水彩画までそれぞれの作者の特徴が出ている。
郷土研究会は1978年に「ふるさとの昔話第1集」を発刊。以来「第2集」をと、約30年間構想を温めてきた。県の「ふるさと支援金」を受け、昨年7月に、同会が呼び掛け、町内で昔話や読み聞かせに関心のある人、趣味で絵や漫画を描いている人など公募し、編纂会を立ち上げ、制作を開始した。20人が分担し、お年寄りからの聞き取りや執筆、物語に合わせて約50枚の挿絵も制作した。
桃沢会長は「昔話を通じて、地域の歴史に関心を持ってほしいと願い発刊した。祖父母から孫に伝えられた昔話が、核家族化に伴い、伝承の手立てが失われつつある今、本書が少しでもその役割を果たすことができれば」と期待する。
また、挿絵を描いた横田克年さんは「内容に合った絵を作ることが大変だった」。松村澄人さんは「人物の動きを表現するのが難しかった」と振り返る。 販売は飯島文化館、飯島陣屋、頒布価格2000円、300部限定。
なお、挿絵原画展を6月1日まで文化館で開かれている。 -
FBC春花壇 長谷中が特別賞受賞
学校花壇の美を競う、春の「フラワー・ブラボー・コンクール」中央審査結果は15日発表があり、県下16校から、伊那市の長谷中学校が2位の特別賞「文部科学大臣奨励賞」に輝いた。同中の特別賞受賞は05年度秋以来で、ここ数年は2季連続で優秀賞(3位)を手にしていた。
花壇は「Freedom(自由)」をテーマに、黄、赤、水色など5色のパンジーやヴィオラ計千株で鳥のつばさを表現。造園委員会(6人)の内山勇輝委員長(14)は「先輩や全生徒の協力があったから。この花壇を多くの人に見てもらいたい」と話している。
今季は県下76校が参加し、地方審査で推薦を受けた16校が中央審査へ進んだ。上伊那からは長谷中のほか、南箕輪中と中川中が優秀賞を受賞した。
特別賞を手にした長谷中の春花壇と造園委員会のみなさん -
保育園春の遠足
宮田村の3保育園は15日、春の遠足を行った。年長園児はバスで松本市のアルプス公園、年中、年少園児は村内を散策。絶好の晴天に恵まれて、楽しむ子どもたちの歓声がこだました。
東保育園の年中、年少園児は元気に歩いて、町三区の斉藤診療所へ。さっそく所内にある公園でお弁当を広げた。
ハート型の卵焼きに、顔をかたどったおにぎりなど見た目にも凝っていて、保育士もびっくり。
心がこもった味に「おいしいよ」と子どもたちは満面の笑顔を広げた。
滑り台やシーソーなど公園遊びも心ゆくまで。思い出をみやげに帰路についた。 -
「みやだの古木・名木」出版祝賀会
宮田村の宮田郷土研究会(小田切須賀雄会長)は、5年の歳月をかけて調査、編集した「くらしの中で育つみやだの古木・名木」の出版記念祝賀会をJA宮田支所で開いた。昨年秋の村文化祭などで販売して好評。「村の歴史遺産にふれてもらう契機になれば」と、会員相互に長年の労苦をねぎらった。
村内の200本以上を一本づつ丁寧に調査し、149本を収録。
住民の視点もふんだんに盛り込んで、地域や暮らしと木の関係を見つめた貴重な一冊として完成した。
祝賀会で小田切会長は「皆さんにご努力頂き、この喜びはひとしお。この本によって古木に対する認識も新たにして、守っていきたい」とあいさつ。
来賓の新井洋一教育長は「村民にとって保存、伝承のきっかけになる大変意義のある事業」と語り、村の文化財保護に住民パワーで取り組む同会の活動に賛辞を送った。
「みやだの古木・名木」に関する問い合わせは、村民会館85・2314まで。 -
県看護大大学生らの保育園での実習始まる
駒ケ根市にある長野県看護大学(深山智代学長)に通う4年生の保育園実習が13日、市内の保育園で始まった。そのうち赤穂保育園(高見洋子園長)には、鹿島舞さん(21)と酒井史江さん(31)が訪問。園児らとの交流を楽しみながら、この時期の子どもたちの特性などについて理解を深めた。
保育園実習は乳幼児期の子どもの成長発達や日常生活の行動の特徴を理解するとともに、子どもとのコミュニケーション、日常生活ケアの技術を習得することなどを目的として実施しているもので、今年は6月26日までの間、4年生42人が駒ケ根市内の5園の実習に臨む。
赤穂保育園では、酒井さんが未満児クラスの「さくら組」で、鹿島さんが年少クラスの「こすもす組」で3日間を過ごすこととなっており、未満児クラスに入った酒井さんはこの日、少し戸惑いながら、子どもたちの着替えを手伝うなどした=写真。
鹿島さんは「やっぱり子どもたちはかわいい。教科書でそれぞれの年齢に応じた発達段階などを習ったが、それにも個人差がある。そういうことをこの3日間の中で学べれば」と話していた。 -
箕輪中学校で強歩大会
箕輪中学校で13日、強歩大会があった。青空の下、男子は15キロ、女子は12キロの校外のコースを走った。
同校の強歩大会は今年で15回目。仲間と走り抜くことで、生徒たちに充実感を感じてもらうとともに、体力の向上を図る。
コースは同校から西へ向い箕輪西小学校へ(男女共通)。男子はそこから北へ向かい下古田介護予防拠点施設で折り返す。女子は箕輪西小学校から南へ向かい富田グラウンドで折り返す。
3年生男子からスタート。校庭から階段を駆け上がり、校門を抜けて校外へ。
PTAや箕輪町交通安全協会員がコースに立ち、生徒たちが安全に走れるよう配慮。
家の前で生徒たちが走る姿を応援する地域住民の姿も見られた。 -
箕輪中学校で強歩大会
箕輪中学校で13日、強歩大会があった。青空の下、男子は15キロ、女子は12キロの校外のコースを走った。
同校の強歩大会は今年で15回目。仲間と走り抜くことで、生徒たちに充実感を感じてもらうとともに、体力の向上を図る。
コースは同校から西へ向い箕輪西小学校へ(男女共通)。男子はそこから北へ向かい下古田介護予防拠点施設で折り返す。女子は箕輪西小学校から南へ向かい富田グラウンドで折り返す。
3年生男子からスタート。校庭から階段を駆け上がり、校門を抜けて校外へ。
PTAや箕輪町交通安全協会員がコースに立ち、生徒たちが安全に走れるよう配慮。
家の前で生徒たちが走る姿を応援する地域住民の姿も見られた。 -
村誌を読み学ぶ会が開講
中川村公民館の「村誌を読み学ぶ会」が10日、中川文化センターで28人が参加し開講した=写真。
学ぶ会は村誌の完成を受け、3年前から、古代縲恣゙良平安、中・近世と読み進め、今年度は自然編、民俗編を学習する。
初回は開講式に続き、自然編を執筆した林芳人さんが、自然編の特徴や苦労話などを披露した。
この中で、林さんは「村にある植物を網羅し、村の植物図鑑に代わるものとした。調査に140日費やし、走行距離は1万4千キロにもなった。花の写真や咲く時期、植物の分布など掲載し、主な植物について、いつどこへ行けば見られるか記した」と話した。
また、具体的に村指定文化財の「中西の桜」を挙げ、樹高や幹の周囲の測り方、樹齢の算出法などについて解説した。
この後、雨の中バスで移動し、寺平宏さんの説明を聞きながら、竹の上の河岸段丘、横前北部の田切断層を観察した。 -
板山啓三回顧展
伊那市出身で35歳の若さで他界した板山啓三さん(1910縲・5年)の回顧展は18日まで、伊那市西春近のかんてんぱぱホールで開いている。
板山さんは伊那市富県北福地に生まれ、東京美術学校図画師範科(現東京芸術大学)を卒業。北海道網走高等女学校、静岡清水高等女学校で教諭、山梨師範学校(現山梨大学)教授を務めたが、結核のため宮田村で亡くなった。
「早くに亡くなり、地元にもいなかったので、作品を皆さんに見てもらえなかった。富県の生家や宮田の家に残るたくさんの作品を、どこかで皆さんに見てほしい」と、遺族や親族が3年がかりで回顧展を計画した。
小品から50号までの油彩画が中心で、妻を描いた「喜志子像」など50号は4点。「父」「母」など身内を描いた作品や風景、北海道で描いた「女学生たち」などのほか、スケッチ集の「芸大卒業記念スケッチの旅」、デッサン、掛け軸など約40点を展示している。
会場で来場者を迎えていた妻の喜志子さん(95)は、「大変ですけど開いてよかった。本人が喜んでいると思う」と目を細めた。親族も「これだけたくさんの絵が埋もれていた。開催できて感激している」と話している。
午前9時縲恁゚後6時。入場無料。 -
協働のまちづくりの拠点として設置を目指す「市民活動センター」について杉本市長「公設民営で」運営を進めたい考えを明示
協働のまちづくりの拠点として「市民活動支援センター」の設置を目指す発起人会(鈴木明代表)が12日、駒ケ根市役所であった。来月発足する設立準備会の規約やメンバーなどを確認。杉本幸治市長との懇談もあり、センターの設置に対し杉本市長は「協働のまちづくりを進めていくには拠点が必要。また、センターの設置は公設民営で施設は市がつくり、運営はみなさんにお願いした方が活発になると思っている」と語り、公設民営のセンター設置を考えていることを示した。
杉本市長は懇談の中で「協働のまちづくり条例」を6月議会に提案する方針であることを伝え、その中にも拠点となる場が必要であることを明示していることを説明。センターの設置は公設民営で進めたいとしたが、「今すぐに大きな施設をつくるのは難しいため、既存施設を使ってと考えている。設置場所については中心市街地の活性化なども含め、みなさんにいろんな意見を出してもらい、できるだけ早く拠点をつくりたい」とした。
また、設立準備会については、発起人会のメンバーがそのまま準備会へと移行するほか、発起人一人ひとりから適任者を2人まで推薦してもらい、おおむね33人程度で運営していく。
センターの設置については、昨年提言書をまとめた市民団体「こまがね市民活動推進会議」(鈴木明座長)の提言にも「公設民営で」という文言が含まれていた。 -
井月俳句大会
江戸時代末期から明治にかけて伊那地方に住んだ漂泊の俳人井月をしのぶ「第17回信州伊那井月俳句大会」が11日、伊那市高遠町の高遠城址公園内、高遠閣で開かれた。上伊那の俳句愛好家らでつくる実行委員会(城取信平実行委員長)主催。大会に向けて寄せられた投句や当日句の表彰のほか、記念講演などが行われた。
投句は一般の部に1553句、小中学生の部に過去最高の9853句が寄せられ、大賞に福田喜美子さん=松本市=の「ものの芽のみんなそはそはしてをりぬ」が選ばれた。ほか10人の入選者に伊那毎日新聞社賞などが贈られた。選者の一人、古田紀一さんは「『そはそは』の言葉に面白さがある。いつ開こうかという落ち着かない気候の状況をよくとらえている」と講評した。小中学生の部特選に選ばれた60人の表彰も行われた。
小雨の降る中行われた当日句の吟行には約30人が参加し、高遠城址公園に咲くヤエザクラなど、季節の題材を選んで思い思いに句を詠んだ。
俳句に造詣の深い俳優の小倉一郎さんも特別参加し、当日句の選者を務めた。
一般入選者は次の皆さん。
▼大賞=福田喜美子(松本市)▼伊那市長賞=井原茂雄(箕輪町)▼長岡市長賞=宮坂恒子(茅野市)▼伊那市教育委員会賞=吉田長久(木祖村)▼県俳人協会賞=近藤梓(駒ケ根市)▼上伊那俳壇賞=倉科繁登(塩尻市)▼伊那毎日新聞社賞=木原登(長野市)▼信濃毎日新聞社賞=林啓子(岡谷市)▼中日新聞社賞=原徳子(松本市)▼長野日報社賞=伊藤悦子(愛知県)▼伊那市有線放送賞=北原ふみゑ(岡谷市) -
母の日に贈る 第9回元気に育て親と子の音楽会
NPO法人クラシックワールド主催の「母の日に贈る 第9回元気に育て親と子の音楽会」は10日、伊那市生涯学習センターホールで開いた。親子連れ約150人が歌やピアノ、バイオリンなどの演奏をのんびりと楽しんだ。
親子で楽しめるほのぼのコンサートで、アルパの演奏にのせた歌「いつも何度でも」、コーラスグループによる「銀河鉄道999」、ピアノやアルパの独奏、オカリナやフルートなど多彩な12プログラムを繰り広げた。西箕輪小学校3年生の小木曽碧さんはバイオリンでバッハの「メヌエット」を披露し、大きな拍手を浴びた。
会場には就学前の小さな子どもたちも多く、お母さんやお父さんと一緒に演奏者を見つめ音楽会を楽しんでいた。 -
県の民間活用委託訓練事業 開校
離転職者の早期再就職を目的とした、県の民間活用委託訓練事業の一環として、8日、宮田村の宮田ビジネス学院で「IT事務エキスパート養成科」、伊那市の伊那ビジネス専門学校で「ビジネス基礎マスター科」の計2講座が開校した。上伊那から計28人が受講し、再就職に向け、第一歩を踏み出した。
事業は単年度で、本年度の委託先は上伊那では両校のみ。「IT事務エキスパート養成科」はパソコン経験者を対象に、「ビジネス基礎マスター科」は同初心者を対象にパソコン・ビジネス実務、簿記などのスキル習得と資格取得を行い、早期就職を目指す。講座期間は3縲・カ月。
伊那ビジネス専門学校の開校式には受講生15人が出席。式で伊那技術専門校の遠藤昌之校長は「多くの資格を取得し、これからのいしずえにしてほしい」。同専門学校の三沢清美高校は「今の不安な顔が卒業時に自信の顔に変わることを期待する」とあいさつした。
受講生代表の丸山斉子さん=伊那市=は「現代社会が複雑な情報社会となったことを、みんな実感しながら生活している。今の社会のニーズに対応するため、それぞれが学べることに感謝し、これから努力していきたい」と話した。
県の委託事業で開校した「ビジネス基礎マスター科」の開校式(伊那ビジネス専門学校) -
【日本美術家連盟会員 洋画家 須澤重雄さん】
画壇に確固たる地位を占めて半世紀。内外の美術展で数々の賞を受賞する一方、美術界の発展と後進の指導にも力を尽くしてきた。古希を過ぎても創作意欲はいまだ衰えを見せず、重鎮としての圧倒的な存在感は健在だ。
◇ ◇
自然豊かな豊科町(現安曇野市)に生まれ育った。水墨画、南画、彫刻などの美術家を多く輩出した家系だったことから、幼少時から芸術に親しんだ。画家を志して武蔵野美術大に進学し、3年の時には早くも第31回国展に初入選を果たす。翌年には読売アンデパンダン展に参加。卒業後も造形賞展コンクールに入選するなど、若くして才能を開花させ、第一線の抽象画家として活躍した。
転機が訪れたのは30歳の時。日仏現代美術展に入選したことで欧州に渡る機会を得た。フランス、ポルトガル、イタリア、オランダなどを歴訪したが、中でもスペインのプラド美術館収蔵の古典作品には、それまで経験したことのない強い衝撃を受けた。
「油絵の本質を見た思いがした。数百年前の作品なのに、あたかもつい昨日描いたように絵の具が光り輝いていてね。絵というものはこういうふうに描かなければならないのだと思い知らされた」
帰国後は抽象画にこだわることなく、詩情豊かなロマンを表現しようと具象絵画の追求に心血を注いだ。
40歳ごろから馬をモチーフとした作品にも取り組み始めた。
「馬を描こうと思ったのはね…。特に意識はしなかったが、少年期を過ごした安曇野の心象風景が潜在意識にあったせいかもしれない。当時の農村ののどかな風景や温かい日常生活が心の内から自然にわいてくるんだ。そういうものを自分でも知らず知らずに表現したかったのかな」
絵画の基本はデッサン竏窒ニ言い切る。デッサンを追求し、結果として抽象、具象と表現が違っても、根本的には心象を通して造形の本質を追求することに変わりはないのだと。
「絵は人生の証し。若い時は形ばかり追っていたような気もするが、一つの生き方として今日までずっと描き続けてきた。なぜ描くのか竏秩Bそれは分からないが、絵を見てくれる人がたとえ1人でもいるのなら描き続けたい。心は今も画学生のままだよ」
(白鳥文男) -
【記者室】真の闇
・ス真の闇・スを知っている子どもはどれくらいいるだろう。目を見開いてもまったく何も見えず、目を閉じているのと何ら変わらない闇を。ほんの数十年前まで、夜の農村はどこもそうだった。だが現代ではよほどの山中にでも踏み込まない限り体験することはない。
現在の国立信州高遠青少年自然の家の所長を4年間務めた野外教育文化研究家の森田勇造さんは「今の子どもたちは暗ければ電気をつければいいと思っている。電気のない所を知らないんだ」と言う。
真の闇を経験すると、人間の力ではどうにもならないものがあると体が理解する。それは自然への畏敬の念を持つことにほかならない。子どもにありのままの自然を体験させることは何より大切な人間教育だ。(白鳥文男) -
母の日にてづくりの良さを、町一区の加藤さんが教室、販売
宮田村福祉作業所「シンフォニー」に通う加藤昌利さん=町一区=が、近くの商店街にオープンした梅が里ギャラリー「手づくり屋」でビーズアクセサリーの教室を開いている。製品も販売しており「母の日にぜひ。てづくりして印象に残るプレゼントにしてもらえれば」と話している。
加藤さんはビーズを使って各種アクセサリーを自作。近年は、地元の人に教える機会も多く、活動の場を広げてきた。
教室は花をモチーフにしたリングを製作し、初心者でも1時間程度で完成できる。
また、加藤さんがつくった製品も同ギャラリーで販売しており、一個数百円とお手ごろだ。
問い合わせは手づくり屋三浦さん090・3142・3691へ。 -
水野敬子作陶展
伊那市旭町のはら美術で8日、黄瀬戸焼ひとすじ38年の美濃陶芸協会理事・水野敬子さん=岐阜県土岐市=の作陶展が始まった。温かみのある日常の食器から茶道具まで100種類を展示、販売している。
伊那で1年おきに作陶展を開き今回3回目。水野さんは土岐市で最も古くから窯を構えていた家に生まれ、1970年に井之口古窯跡に窯を築き、陶芸家の故・加藤唐九郎から黄瀬戸の極意を授かった。
茶道具のほか花びん、酒器、香炉、急須、湯のみ、皿類などがあり、「自分の台所の器も全て黄瀬戸。女性だから自分で使い、感じながら作っている」という優しさ、温かさにあふれた作品。万葉の人を題材にした人形、黒い土に絵を描いた「陶額」などもある。
水野さんは、「生活の中で使える器が種類豊富にそろっているので、一度足を運んでください」と話している。
会期は13日まで。午前11時縲恁゚後6時。入場無料。 -
竹内義浩 漆芸の旅
駒ヶ根市在住の漆芸家・竹内義浩さん(35)の初の個展「竹内義浩 漆芸の旅」が8日、伊那市西春近のかんてんぱぱホールで始まった。平面作品の漆画、日常使いの器をはじめ、昨年から始めた漆掻き(漆液採取)の様子を紹介するパネルなどを展示している。
「和紙の表情の上に漆と自然の色との調和をひとつの形として表す」ことをテーマに漆で絵を描いた漆画は、今年になって制作した最新作「温む土」をはじめ美術展出品作など8点。椀や皿、盆など約80点、こたつ天板、ついたてなどがある。
竹内さんは東京都日野市出身。香川県漆芸研究所で学び、会社勤めをして漆塗装や和紙壁紙などの製作に携わった後、05年に駒ヶ根市に竹内工芸研究所を開設し独立した。伊那美術協会会員、日本文化財漆協会会員、日本漆掻き保存会準会員。
「漆を自分で木から採るところから塗るところまでやることで、漆の知らないことを発見して物作りにつなげたい」と言い、「器は昔から使われているオーソドックスな形が一番使いやすい。いい仕事をして長く使えるものを作りたい」と話している。
会期は12日まで。午前9時縲恁゚後6時(最終日午後3時)。 -
小林恵子さんちぎり絵展
伊那市西春近のちぎり絵講師小林恵子さん(58)は自身初のちぎり絵個展「魅せられて今日まで」を伊那市中央区の中部電力伊那営業所ギャラリー「ふれあい」で20日まで開いている=写真。風景、静物、花など、和紙の風合いを生かした水彩画のように繊細なタッチの作品33点を展示している。大作『水車と花しょうぶ』は伊那市役所南の「せせらぎの小径」にある水車をモチーフに制作した作品。色鮮やかな花しょうぶが咲く中でゆっくりと水車が回っているのどかな情景を表現している。師の中村早恵子さんの作品1点も併せて展示している。
小林さんは「ちぎり絵は難しいが楽しい。和紙の持つぬくもり、毛羽の透明感ある味わい、色合いや濃淡などから、柔らかさや風の流れなどを感じてくれたらうれしい」と話している。
入場無料。午前8時30分縲恁゚後5時10分。土日、祝日休館。 -
地球を救えエコレンジャー、西保育園年長、年中全園児で発隊
環境への関心を高めながら、人やものを大切にするやさしい心を育もうと宮田村西保育園は7日、年長、年中全園児が日替りで隊員となる「エコレンジャー」を結成した。ゴミの分別や再利用、整理整頓のパトロールなど率先して活動。困っている仲間の良き相談相手となる役割も担い、地球にもやさしい・スニューヒーロー・スが誕生した。
年長、年中の各組1人計3人がレンジャーに変身。水色帽子と黄色のビブスのコスチュームに身を包み、当番制で全員が体験する。
「環境にしても仲間のことを考えるにしても、全てがやさしさにつながる。子どもたちが取り組めば、その意識は大人へも広がるはず」と吉川美幸園長。
結成式では「まだ使えるものを捨てたり、食べ残したりしてませんか?・スもったいない・スという気持ちも大切にして、地球をみんなで救いましょう」と全園児に呼びかけた。
さっそく、レンジャーの活動を開始。園内を歩いて点検し「トイレのスリッパが散らかっていたよ」など、仲間に報告して改善していた。
同村では環境基本計画を策定し、住民レベルから意識を高めようと取り組みを始めているが、園児たちのエコレンジャーは大きな味方になりそうだ。s -
リンゴ畑でコンサート
中川村葛島の片桐農園のリンゴ畑で4日、サックス奏者の高橋宣成さんら東京のミュージシャンによるコンサートがあった。葛北の高校一年生、橋枝紗知子さんもピアノでゲスト参加。豊かな自然と軽快なリズムのセッションに、約150人が酔いしれた。
「リンゴ畑deコンサート」と銘打ち、天竜川を望む段丘上の農園で屋外ライブ。
オリジナルのジャズ感漂う心地良いナンバーから、「涙そうそう」など耳なじみの曲まで10曲ほどを演奏した。
高橋さんから音楽を教わる橋枝さんもセッションに参加。師弟共演を実現し、会場からは大きな声援が飛んだ。
「こんなに多くのお客さんが来てくれるとは」と園主で農家民宿を経営する片桐正勝さん(68)。
高橋さんが常宿にしている関係から意気投合して初開催にこぎつけたが、会場の熱気に目を細めていた。 -
【登場】
東伊那小学校校長
今村貴美子校長(54)最初に子どもたちと顔を合わせた時も「学校のお母さんだから、安心して学校に来てね」って話したんです。そんな家族のような温かな学校をつくっていければ竏秩B
豊丘村出身。旧南信濃村(現在は飯田市)の木沢小学校を皮切りに、上下伊那の小学校や県飯田養護学校で教員として勤務した。上伊那でも飯島小、中川小、伊那西小などで計12年間を勤めたが、駒ケ根市の小学校は初めて。
着任して1カ月。
「やっと落ち着きました」と笑顔を見せる。
東伊那小は全校でも約120人の小規模校だが、保護者や地域の人たちが学校に寄せる温かな思いをひしひしと感じている。
「保護者や地域の方も学校にすごく協力的で『地域で子どもを育てる』という思いも強く感じます。学校としても、その思いに応えていきたい」
今後は、前任の校長が力を入れてきた体験学習や食育、読書などを引き継ぎながら、「心と体を育む学校」にしたいと考えている。
「とにかく子どもたちが本当に素直。自分としてはやっぱり、子どもと離れないようにして、子どもたちの今の姿をとらえながらやっていきたいです」
豊丘村在住。現在は約40分近くかけて通勤している。趣味は舞台鑑賞にJリーグ観戦。しばらく離れていた書道や茶道も、再開しようと考えている。家族は夫、長男、長女、次女の5人。子どもたちは県内外の大学へ進学中のため、今は夫との二人暮し。 -
伊那で連句会
数人が集まり、五、七、五の長句と七、七の短句を交互につないでゆく連句の会が4日、京都市の連句愛好会「連の会」会長久保田堅市(雅号・夜虹)さん(79)=京都市=方の伊那市西箕輪にある山荘で開かれた。久保田さんと、連句仲間で大阪府や兵庫県、滋賀県などから集まった同好の士7人が南アルプスを眺めながらのんびりと風流の世界に浸った=写真。
最初に詠む「発句」は通常の俳句と同様の五、七、五。客を代表して小池正博さんが「井月の句碑を巡りて夏来たる」と、午前中に皆で巡った井上井月の句碑と季語を詠み込み、2番目の「脇句」は亭主の久保田さんが「まずはビールで歓迎の杯」と明るく受けた。第3句以降は全員がそれぞれ1句ずつ詠み、最もふさわしいものをまとめ役の「さばき手」が選んでつなぐ形で進められた。36句で完成だが、参加者は時間を気にせず、月、花なども織り込みながら和気あいあいで句作を楽しんだ。
久保田さんは景色の良さなどにひかれて約40年前に山荘を建て、毎年数十日間滞在している。「連句は展開の面白さが魅力だ。この顔ぶれでここで連句会を開くのは6年ぶり2回目。今後は春夏秋冬の季節ごとに開ければいいね」と話した。 -
伊那西小学校で防犯訓練
伊那市の伊那西小学校は2日、不審者が校内に侵入したことを想定した防犯訓練をした。
スクールサポーターの倉田富夫さんが不審者役となり、偽の包丁やナイフを持って校内に侵入。
校内では放送により職員たちが児童たちを教室のひとつに避難させ、入口に机や椅子でバリケードを築いた。
さすまたを持って不審者のもとへ駆けつけた職員たちは、不審者を包囲し、制圧。
訓練終了後、学校職員は倉田さんや伊那警察署員からさすまたの使い方やバリケードの築き方について、指導を受けた。
伊那署員は「一番は子どもたちの安全。次に自分たちの安全。犯人を取り押さえるのは二の次、三の次です」と不審者への対応を学校職員に話していた。 -
「絵手紙で伊那市をPR」展
東京都中野区の中野ブロードウェイ商店街で23日から1カ月間、伊那市の魅力を発信する絵手紙展を開く「伊那谷絵手紙の会」(倉科照子会長)は、展示する作品を伊那市民にも見てもらおうと「絵手紙で伊那市をPR」展を伊那市役所1階ロビーで17日まで開いている。
日本絵手紙協会公認講師らでつくる「伊那谷絵手紙の会」会員の作品、会員が指導する講座生らの作品のほか、伊那市民から寄せられた作品など大小約270点を展示。仙丈ケ岳、西駒ケ岳などの自然や、五平もち、高遠まんじゅう、ローメン、そばなど、伊那市の名物をテーマに描いた作品など、温かく、ほのぼのとした作品の数々が並ぶ。訪れた人たちは「伊那の良いところがアピールできればいいね」などと話しながら、1枚1枚じっくりと鑑賞している=写真。
中野の住民がサクラをテーマに描いた作品約230点も併せて展示している。
中野での絵手紙展は、同商店街の管理組合理事長で伊那市荒井出身の伊那市ふるさと大使、久保村昭衛さんとのつながりから実現の運びとなった。商店街では現在、伊那市を紹介するパネル展も開かれている。倉科会長は「この絵手紙展を機会にさらに交流が深まってくれればうれしい」と話している。 -
地域と子どもたち、歌とお手玉でコラボ17日に
宮田村の音楽指導者らでつくる宮田ミュージックサークル(MMC、瀧澤智恵子代表)は17日午後2時から、おしゃべりミュージックコンサートを飯島町文化館で開く。MMCが教える地域の子どもたちが、伊那谷お手玉の会と共演。当日は交流を深めている地元施設の高齢者らも招待し、昔懐かしいわらべうたを楽しく披露する。
子どもたちは宮田村の「サタデーシンガーズ」と、飯島町の「音のカーニバル」。小学生から高校生までの16人が本番に向けて練習を積んでいる。
伊那谷お手玉の会も15人ほどが出演予定。亀山福治会長は「このような機会を設けて頂き本当に楽しみ。ぜひとも子どもたちと一緒に成功させたい」と意気込む。
先日は合同の練習もあり、高校2年の長坂朋美さんと宮田中1年の小田切めぐみさんは「会場に来てもらう人と一緒に、本番は自分たちも楽しみたい」と話した。
コンサートは3部構成で」、子どもたちとお手玉の共演は2部。
1部は唱歌など日本の四季をイメージした編成、3部はクラシックが中心で、MMCのメンバーが歌や楽器で多彩に披露する。
チケットは大人800円、中学生以下は500円(未就園児は無料)。問い合わせは飯島町文化館86・5877へ。 -
宮田小でクラブ発足会
宮田村宮田小学校は2日、クラブ発足会を開いた。今年度は「創作小説・マンガ」を新たに加え、文化系12、運動系6の計18クラブ。4年生以上の全員でにぎやかに年間12回の活動をスタートさせた。
「創作小説・マンガ」は6年3組の日野綾香さん、篠田師季さん、林悠衣さんの強い希望で発足。5年の田中哲平君、4年の町田笑子さんも加わった。
さっそく好きな作家を発表し、お気に入りのキャラクターをイラストに。
「みんなで楽しく自由に書こう」と目標を決めて、小人数で和気あいあいと活動を始めた。 -
南箕輪中学校でインターネット防犯講習
南箕輪村の南箕輪中学校は1日、インターネット防犯講習会を同校で開いた。全校生徒450人は防犯啓発ビデオの上映や伊那警察署員の話からインターネット犯罪に対する心構えを学んだ。
ビデオはネットオークション詐欺やフィッシング詐欺、ワンクリック請求、出会い系サイトでの被害などをドラマ仕立てで盛り込み、インターネット犯罪の多様性や危険性を紹介し、防犯を呼びかけていた。
「もし、こういった犯罪の標的にされたら、一人で対処しようとせず、回りの人や家族に相談すること」と 伊那警察署員。
堀田実校長は「疑うということは日本では悪いことだというイメージがあるが、良い悪いではなく必要なこと。自分の身は自分で守り、何かあったら相談する」と話していた。