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【南大東島再訪記】「平成のコメの道」〈中〉
「私たちが草を取った田んぼで採れたんですね」「おいしい伊那のコメを存分に味わってください。末長く交流を続けましょう」
4日南大東村役場で行われた友好米贈呈式では、伊那市の経済部長・伊藤量平さんのメッセージが代読された。
島民に伊那のコメを食べてもらおうと、「友好田」を発案したのが伊藤さんだった。「島に水田がないのなら、作って送ってやればいいね」。3月に島を訪ねた伊那市民が市役所に報告に訪れた折の一言が引きがねになった。
話を伝え聞いた地主の細田清登さんからすぐに田んぼ貸与の申し出があり、3月の訪問団の一員で自らコメを作る唐沢健さんや畠忠弘さんが耕作の先頭に立った。一人で2度島を訪ねたことがある飯塚眞佐志さんも加わった。6月12日に東春近で行われた田植えにはボランティアで30人もが集まり、南の島に送る稲の苗を植えた……。こうしてできた友好米だった。
「自分たちでコメを作ってそれを島に送ってくれるなんて、今までまったく経験のないことなんですよ。みんな本当に喜んでいます」島の仲田建匠助役は話した。
8月に伊那を訪問し、田の草取りを経験した島唄の「ボロジノ娘」や大東太鼓「碧(あおい)会」の子どもは、口々に「本当にあの田んぼ取れたおコメなの?」「まだ、膝の上くらいまでしか育ってなかったのに、あれからどうやって稲が伸びたんですか?」などと盛んに質問してきた。
集まってくるほかの子どもに「泥がさぁ、ビチャーってつくんだ」「ズブズブって足が沈んでいくんだ」窶狽ネどと、8月に初めて経験した田んぼの感触を彼らが話すと、「俺も行きたい」「田植えをしてみたい」との声が沸きあがった。
4日夜あった歓迎会の場で、「じつは伊那で田植えに集まった人の中には田植え初体験の人が何人もいた」「稲刈り前に田んぼに水がないのを見た非農家の人が、これはマズイと勝手に水を入れて、農家の人に怒られたこともあった」などと裏話を話すと、笑いともに「へぇ縲怐A伊那でも稲づくり未経験の人がいるのか」という驚きの声も上がった。
(毛賀沢明宏) -
スペシャルオリンピックス車座集会-細川佳代子さんを囲んで-
05スペシャルオリンピックス(SO)冬季世界大会=今年2月・長野県など=のペルー選手団ホストタウンだった箕輪町で16日、「SO車座集会-細川佳代子さんを囲んで-」があった。SO日本の細川理事長らがホストタウンのお礼や日常的なスポーツトレーニングプログラムの啓発に役場を訪れ、町や町社会福祉協議会、元SO箕輪町実行委員会の有志、住民ら約100人が参加した。
細川理事長は、日本は知的障害者に対する福祉が先進国の中で一番遅れている-と指摘。「世界大会が終わりではなく、これからが始まり。一人ひとり能力に違いがあって当たり前。意識を変え、共に支え、助け合って地域社会で一緒に生きていくことが本当の福祉」とし、障害者とボランティアが年間を通してスポーツに取り組むSOの活動を紹介して、「主役は市民。皆さんの町でも希望と夢をもって取り組んでほしい」と願った。
来年4月に長野市であるフロアホッケーメモリアル大会への参加も呼びかけた。
意見交換では、「SO活動にどこから手をつけていいかわからない」など不安の声があり、細川理事長は「やる前から心配したら進めない。皆で協力し努力することが楽しい」とし、コーチ研修会の受講も勧めた。有志から、「皆さんの気持ちを少しください」と活動に向けた呼びかけもあった。 -
上戸区ゴルフクラブ社協へ寄贈
伊那市上戸区住民や出身者でつくる「上戸区ゴルフ同好会」(原俊文会長)は15日、過去6年間のチャリティーコンペ10回分の積み立て金7万円を、地域の福祉に役立ててもらおう窶狽ニ市社会福祉協議会に寄付した。
会員は20代から70代までの会員約40人。地域への感謝の意味を込めて99年にチャリティーコンペを始めた。第1回は収益金をそのまま寄付したが、それ以降の収益金はすべて積み立ててきた。昨年、無事に10回目のコンペができたことから、10回までの収益金をまとめて寄付することにした。
社協の御子柴龍一会長は「尊いお金を集め、善意の心を表してくれたことはありがたい。寄付は基金として積み立て、来春合併した後、有効利用できるよう検討していきたい」と感謝の言葉を述べた。 -
美和ダムたい積土でガーデニング
「三峰川ガーデニング講座」の本年度最終回がこのほど、長谷村市野瀬の南アルプス生涯学習センター体育館などであった。伊那市、箕輪町などから8人が参加。日本庭園風の寄せ植えなどを飯田市在住の樹木医・二宮孝嗣さんから学んだ。
国土交通省・三峰川総合開発工事事務所(榎村康史所長)の主催。
美和ダムの再開発事業の一環として、ダムに溜まった農作物の栽培土に有効活用できる堆積土を広く周知する目的で3年目。本年度も1995年に「チェルシーフラワーショウ」(英国)でゴールドメダルを日本人初受賞した二宮さんから、植物や世界の庭の歴史などを学んできた。
参加者は、正月の飾りに合う、松、フキタンポポ、石菖、シモツケ、小菊などの8種類から好きな植物を選択し、長方形と円形の鉢のどちらかに植えた。堆積土は培養土と混ぜ、優しく上からかぶせていた。
作品が出来上がると二宮さんがそれぞれを批評。空間の使い方などについて注意した。「和は深く、正解はないが、指摘されると日本人には分かる感覚」と話していた。
初参加の飯田市から訪れた男性は「家に帰ってから寄せ植えをしてみたい」と話していた。 -
東部消防連絡会
「秋の火災予防運動(9窶・5日)」期間中に合わせてこのほど、高遠町と長谷村の消防団でつくる東部消防連絡会(北原和門会長)は消防車両で町村全域をパレードし、地域住民に防火を呼びかけた。
高遠町の5分団と長谷村の2分団から合計9台のポンプ車、搭載車などが出動。火災予防運動を呼びかける放送広報車を先頭に、5時間ほどかけてパレードを展開した。
本年度はパレード中に、美和ダムへの土砂流入を制御する洪水バイパストンネルを見学。地域の水利系統について団員らで確認した。
北原会長は「数多くの町民、村民に防火意識を持ってもらい、火災予防に取り組んでほしい」と話していた。 -
大地の恵み美しく
伊那市中央区の洋画家・奥村憲さん(64)の絵画展は12月5日まで、同市の中部電力伊那営業所ギャラリーで開いている。「大地のめぐみ」をテーマに、野菜や果物などを水彩とパステルで描いた新作25点を並べている。入場無料。
愛知県岡崎市生まれの奥村さんは、退職後の00年に横浜市から伊那市へ転居。画歴は41年で、伊那谷の四季折々の風景を中心に油絵で描いている。作品は高遠さくらホテルロビー展や市民美術展などに出品。同営業所での個展は6回目となる。
今回は題材の形や色の美しさを表現するため、優しい色彩のパステルなどを使用した。カボチャ、ナス、パプリカなどは、すべて自家栽培した野菜。ブロッコリーの絵はお気に入りで「早朝収穫したみずみずしさ」を表現したという。
奥村さんは「楽しく、気軽に見てもらえれば」と来場を呼びかけている。
休館は土・日曜日、祝祭日。開館は午前8時30分縲恁゚後5時10分。 -
トリュフが採れた
「伊那谷でトリュフが採れるなんて!」中川村大草の中島秀明さん(45)=自営業=は14日、仕事先の中川村と大鹿村境付近の原野でトリュフを発見、直径6センチ縲恊e指大まで9個を採取した。
原野を散策中、半分土に埋もれた黒い丸い物を発見「動物のふんかなと思って近寄ると、ほかにも土が盛り上がった場所があり、掘って見ると、土の中から表面がぼこぼこした黒いキノコのような物が出てきた」。
中島さんは翌日、キノコに詳しい人や、フランス料理のシェフらに鑑定してもらった結果、間違いなくトリュフと判明。スライスし、舌で味と香りも確認したという。
「まさか、こんな場所でトリュフが採れるとは思わなかった。テレビでしか見たことがなかったので、本物と言われても、まだ半信半疑だ」と話していた。
トリュフは地中に育つキノコの1種、キャビアやファアグラと並び、世界の3大珍味の1つ。黒トリュフは黒いダイヤモンドと呼ばれ、香り高い貴重品。フランス料理やイタリア料理のソースの香り付けやアクセントに用いられる。 -
上伊那社会教育関係者懇談会
上伊那市町村教育委員会連絡協議会などは15日、伊那市駅前ビル「いなっせ」で上伊那社会教育関係者懇談会を開いた。市町村の社会教育担当者ら約120人が参加。さまざまな分野で活動する人の事例発表などを通して、地域ぐるみで子育て支援に取り組む重要性を認識した。
社会教育への理解を深めることが目的。「地域における『子ども』『親』『子育て』について語り合おう」と、シンポジウムや分科会をした。
シンポジウムは、公民館、学校、市役所、地域の社会団体で社会教育に携わる4人が子育てのあり方を提言。
伊那市西箕輪の公民館長・城取茂美さんは「今の子どもは、自分でできることも親に頼ってしまうため、昔は家庭で学べたことを学べていない」と報告。今年初めて取り組んだ小学生の通学合宿で、台所に立つ楽しさを実感した子どもの例などを挙げ「何でも親がする」ことを考え直す必要がある窶狽ニした。
駒ケ根市赤穂中学校の学校カウンセラー有賀和枝さんは、人間関係を楽しむ余裕のない子どもの現状や、不安を抱く親から、子どもが受ける影響の大きさを説明。「家庭を地域の中でサポートし、子どものよりどころを家庭以外にもつくってあげることで、立ち直りのチャンスが何度でもあることを伝えていくことが大切」とした。 -
穴山産廃施設操業禁止原告団が喜びの勝利報告会
建築物解体業大成産業(酒井睦夫社長)の産業廃棄物処理施設の操業差し止めを求めた5年余の法廷闘争で、完全勝利が確定した駒ケ根市中沢の穴山産廃施設操業禁止裁判原告団(宮下久団長、174人)は15日夜、中沢公民館で勝利報告会をした。10年以上操業していた産廃施設の差し止めの確定は全国初。
91年操業の産廃処理施設に対し、地元住民が排煙で健康被害を受けているとして00年、飯田地裁に提訴、03年1審の飯田地裁は住民の主張を認め、操業差し止めを認容する判決を出した。2審の東京高裁でも今年4月、1審を支持、業者の控訴を棄却した。最高裁でも受理から、わずか2カ月という異例の早さで業者の上告を棄却し、東京高裁の勝訴判決が確定した。
報告会には百人が出席、宮下団長は「一糸乱れぬ固い結束と反骨精神で、地区全体のバックアップの中、再三の和解提示をも一蹴し、初志の信念を貫き、勝利を手にした。今後、判決内容が着実に実施されるように看視していこう」とあいさつ。
経過報告と今後の課題の中で、竹村寿彦副団長は、焼却炉の撤去時期について「業者の自主撤去であり、県は撤去の時期を約束させるべきだ。撤去後の跡地利用についても看視する必要がある」と話した。
最後に、原告団は名称を変更し、組織を存続させることを確認した。 -
飯島町ゲートボール協会設立20周年記念式典
飯島町ゲートボール協会(満沢温会長)は15日、町内で設立20周年記念祝賀会を開いた。来賓に町や高齢者クラブを招き、会員約50人が出席、功労表彰、募金の贈呈などで節目を祝い、さらなる発展を誓った。
北信越選手権大会に出場するなど優績の七久保、田切の2チームと、10年以上在籍し、80歳以上の会員21人を表彰した後、満沢会長は「20年の節目に当り、足跡を振り返るとともに、30周年の節目が迎えられるように、基礎固めをしなくてはならない」とあいさつ。 また、席上、20周年記念大会などで募った浄財4万円を町に、「福祉向上に役立てて」と寄付した。
同協会は85年11月、県ゲートボール連盟設立に合わせ、登録会員40人で発足。1時、町内の潜在愛好者は150人を数えたが、現在、登録会員60人。規則改正への取り組みのほか、上級審判員取得の推進を行い、05年までに1級6人、2級9人、3級28人、審判資格者43人を数える。日体協公認C級指導員資格取得者2人。 -
臨時議会、若者専用住宅建設工事請負契約など2件を議決
中川村議会は17日、臨時会を開き、若者専用住宅建設工事請負契約の締結、一般職の職員の給与に関する条例の1部改正の2議案を提案、原案通り可決し、閉会した。
若者専用住宅建設工事は契約金額7665万円。相手方は宮下建設(宮下進社長)。
中田島分譲地に1戸建平屋、5棟を建設。1戸の建築面積約110平方メートル、3LDK(10畳のリビング、8畳の洋室2、6畳の洋室、キッチン、バス、トイレ)、物置付き。工期来年3月31日、4月入居予定。
一般職の給与に関する条例の1部改正は、国家公務員の給与改定に準じ、給与の改定。 -
童謡・唱歌うたい楽しく健康増進
高遠町公民館講座「歌の広場」がこのほど、高遠高校であり、練習してきた曲を歌って、全6回の講座を終えた。
歌うことの楽しさや喜びを味わうとともに、健康増進を図ることを目的に、「歌好き」の町民約30人が集い、6月から月に1回、高遠高校音楽科の牛山真理子教諭の指導で、練習を重ねてきた。
総集編とした最終は、これまで受講生のリクエスト曲を交えながら、童謡や唱歌を中心に歌いこんできた50曲以上のなかから、「知床旅情」「春がきた」「浜辺の歌」「冬げしき」など12曲を熱唱。閉講を惜しむように、晩秋の夜空に歌声を響かせた。
矢野やよ江館長は「歌好きの町民が和気あいあいと楽しむことができた。来年度以降の継続し、講座を通して日本を代表する歌を次世代に引継いでいきたい」と話していた。 -
4季連続で5万人突破
長谷村の戸台口から北沢峠までの南アルプス林道を結ぶ長谷村営バスが15日、今季204日間の運行を終えた。村が伊那市・高遠町との合併を来春に控えるため、村営バスとしての運行も終了した。1980(昭和55)年から26年間、89万3359人を運んだ。
営業所によると、今季の利用客数は5万163人、4年連続で5万人を越えた。しかし、運行日数を通常より8日短縮した昨年に比べて1790人減と落ち込み、「例年、夏山や紅葉シーズンには1日千人を越える日が多々あった」が、今季は7月下旬の連休のみだった。
最終日は36人が利用。来季の乗車券の引き換え券や地元の漬け物、小松菜を贈った。午後4時50分、夕暮れのバス営業所に到着した最終便に乗車していた伊那市の男性(65)は「日帰りで仙丈ケ岳まで登ってきた。紅葉もきれいだし、雪も目にすることができてよかった」と満足そうな笑顔をみせた。
終了式で宮下市蔵村長は「26年間、急しゅん道路で、複雑なコースでありながら無事故で順調に運行することができた。来年に向けて準備を整えてほしい」とあいさつした。
来季は例年同様の4月25日に、戸台口窶秤フ宿間で運行を開始する予定。 -
島・ス山林塾企業組合
「山の神」で1年を感謝山仕事を求めてIターンした人を中心に作る島・ス山林塾企業組合(中村豊代表理事)が18日、伊那市横山の鳩吹公園そばの作業小屋で、1年の安全を感謝する「山の神」を開いた。
全員で神棚に向かい、顧問の島・ス洋路元信大教授が1年間の感謝の言葉を述べ、全員で2礼2拍手1礼した。その後、それぞれ持ち寄った食材で鍋などを楽しんだ。
もともとは、山から里に降りていた田の神を山に送る「十日夜(とうかんや)」という神事で、旧暦10月10日に行われていた。間伐や山道整備などの仕事があり、期日を調整した。
同企業組合は、島・スさんを師事して山仕事をはじめた人で作るもので、現在組合員は9人。全員が県外出身者で、Iターン後、県のグリーンマスターなどの資格をとり、植林・下草刈り・間伐・枝打ち・伐採などの山仕事を請け負って遂行している。
島・スさんは「山の神への感謝と自分たちのへのごほうびのためのささやかな催し物です。最初はまったくの素人だったが、今は、立派な山仕事をするようになり、今後が楽しみです」と話した。 -
宮田村中央保育園の七五三
宮田村中央保育園の園児125人は15日、七五三を祝い、近くの姫宮神社を参拝した。千とせ飴もなめて、夢や希望を祈った。
保育士が「健康で長生きできるようにってお祈りするのが七五三なんだよ」と説明。園児は神妙な面持ちで手をあわせた。
「僕はもっと強くなれますようにってお願いしたんだ」と男の子。お待ちかねの千とせ飴に全員大喜びで、伝統の行事に親しんでいた。 -
才能教育研究会バイオリン指導者
青木千枝子さんスズキ・メソードで知られる故鈴木鎮一さん(世界的バイオリン奏者・指導者)の教えをどうしても受けたくて高校卒業後、松本市内に下宿して師事。幼いころからの念願をかなえた。
「鈴木先生は大声を出したり、厳しくしかるようなことは決してなかった。温かく見守りながら上達を待っているような、思っていた通りの優しい人でした」
3年間、研究生として直接鈴木さんの教えを受けた後、各地で指導者として活躍。現在自宅と伊那市で保育園児から高校生まで約20人を指導している。
「先生に教わったのは、ただ音楽を教えるだけでなく、愛情を育てる窶狽ニいうことでした。音楽を通じて慈愛に満ちた深い人間性を養うことが大切なんです」
◇ ◇
駒ケ根市福岡に教会が運営する保育園があった。ここに入園したことがその後の人生を決めることになる。園ではスズキ・メソードの理念に感銘を受けた牧師夫妻がわざわざ講師を呼び寄せ、園児らにバイオリンを教えていた。
「バイオリンは10丁くらいあったかな。園児が交代で練習し、施設などに慰問に行って弾いたりしていました。園では子どもたちの弾くバイオリンの音が聞こえ、昼寝の時間にも静かなクラシック音楽が流れていた窶煤B温かくて夢のような素晴らしい保育園でした」
卒園後も両親に頼んでバイオリンを弾き続けたが、一時バイオリンをやめようと思ったこともある。中学生の時、バスケットボール部に入部し、家に帰って来てもくたくたに疲れ切っていてバイオリンの練習ができない状態が続いたことから「両方は無理だと思い、先生に『やめさせてください』と言ったんです。でも1カ月後に『やっぱり続けたい』窶煤Bバイオリンのない生活はもう考えられなくなっていたんですね」。バスケットもやめることなくずっと続けた。
◇ ◇
「バイオリンは簡単な楽器ではありません。それだけに、毎日練習することで忍耐力や集中力、計画性が養われるんです。生徒が家で練習してきたかどうか、曲を弾かなくても調弦の段階で分かりますよ。毎日弾かないと楽器は鳴ってくれませんからね」
「物心ついたころから大好きだった音楽の道を歩くことができて本当に恵まれていると思います。でもそれ以上に、音楽を通じて子どもたちの教育にかかわっていられることに本当に幸せを感じているんです」
(白鳥文男) -
きたっせでチャリティー歌謡ショー開催予告
伊那市旭町のカラオケ喫茶「ニューつむぎ」は20日、辰野町出身の演歌歌手・大和田健さんや、地元有志らが出演する「チャリティー歌謡ショー」を伊那北地域活性化センター「きたっせ」で開く。観覧は無料で、多くの人への来場を呼びかけている。
今年3月の開店以来、多くの人が来店してくれたことへの感謝を込めて企画。店主・丹羽貴士さんの知り合いの大和田さんに出演を依頼。舞台で歌を披露してくれる地元有志も募集し、約30人が集まった。
また、歌謡ショーはチャリティー企画でもあり、観覧は無料だが、歌を披露する人から参加費を徴収し、収益を市の福祉関係団体などに寄付する。
丹羽さんは、盲目の演歌歌手・藤代ゆきさんとの出会いを通じて「ハンディを持つ人たちにも頑張ってほしい」とさまざまな活動をしている。9月には、市内老人ホームで藤代さんの慰問歌謡ショーを企画した。この取り組みもその一環で、当日も来場者の賛同が得られれば、募金をしたいとしている。
丹羽さんは「一人でも多くの人に楽しんでほしい」と来場を呼びかけていた。
ショーは午後1時から。
問い合せはつむぎ(TEL78・8800)へ。 -
伊那食品工業、児童の安全対策用防犯ブザーを伊那市へ寄贈
伊那食品工業の塚越寛会長は15日、伊那市役所を訪れ、児童の安全対策を目的とした防犯ブザー1500個を伊那市に寄贈した。塚越会長は「子どもへの変な犯罪が増えており、役立ててもらえれば」と語った。
小学生の登下校時の安全対策として市は、小学校1、2年生へ防犯ベル配布しているが、3年生以上の児童への配布は未だ実施していない。そのため今回は、市内の小学3、4年生、約1300人分の防犯ベルを寄贈。
小坂樫男市長と塚越氏は「町の汚さと犯罪発生率は比例する。まずは街をきれいにすることが大切」などと、まちづくりのあり方なども語り合った。
伊那工場事業所防犯協会の会長でもある塚越会長。「企業として利益の一部を還元できれば」と話していた。 -
蘇れ!世界の名スピーカー
駒ヶ根の実業家らが起業世界中から1940縲・0年代に製造された名スピーカーを集め、再生して販売する事業が駒ヶ根市で始まった。マニアには垂涎のドイツの「クラング・フィルム」社製や、アメリカの「ウェスタン・エレクトリック」社製など、主に映画館の音響設備や館内放送用に使用されていたスピーカーが中心。
インターネットなどを通じて、世界中からスピーカー本体を集め、整備・調整した上で、駒ヶ根市のエーワ木工で作る特注のボックスにセットして販売する。1950年代はトーキー映画全盛期で、映画館用のスピーカーは技術者が手間とコストと情熱をかけて作った逸品が多いという。
事業をはじめたのは、駒ヶ根市の建設会社専務久保田満さんとコンピューターシステム会社社長小林正信さん、神奈川県横浜市のネット通販会社社長の佐々木猛さんの3人でつくる「クラング・クンスト」=独語で「音響芸術」の意味=。オーディオマニアの小林さんが「世界中で、素晴らしい音の出る古いスピーカーが捨てられている。再生して利用する道を開くことが重要」と話を持ちかけ、久保田さんと佐々木さんは、実際に古いスピーカーの音を聞いて感動、事業化に踏み切った。
既に、全部組み立てれば500万円するといわれる大型スピーカーをはじめ、さまざまなサイズのものが集まってきている。再生・販売の中心は、直径8インチ程度の小型のスピーカーだが、特製ボックスに「ホーン」と呼ばれる音響装置を取り付けてあるため、臨場感溢れる音を楽しむことができるという。値段は8インチのもの2台1セットで16万8千円前後。
駒ヶ根インター東に展示場がある。詳しくは久保田さん(TEL090窶・148窶・918)まで。 -
箕輪町廃食用油リサイクル事業BDF精製作業場完成
箕輪町が地域新エネルギービジョンに基づき進めている「協働による廃食用油リサイクル推進事業」のバイオディーゼル燃料(BDF)精製作業場が完成した。06年4月の本格稼働に向け、試験回収した廃食用油でBDFを精製し、23日に町内巡回「みのちゃんバス」を試運転するほか作業場見学会を開く。
町内の各家庭から廃食用油を回収し、町共同作業の家で精製したBDFを町が購入して「みのちゃんバス」に使用する地球環境にやさしいリサイクル事業。仕事支援を考慮し、共同作業の家の通所者が精製する。
敷地内に、精製作業場と廃食用油格納庫を設置。作業場は廃食用油再生燃料化装置、流し台、薬品や備品の保管棚、格納庫は廃食用油格納棚、廃食用油ろ過タンク2基、BDF貯蔵用ドラム缶2個がある。施設面積は各12・9平方メートル。
装置は導入例の多い機種で、100リットルを6時間で精製。ろ過した廃食用油と苛性ソーダ、メタノールを入れ、分離、薬品による中和と湯洗浄各2回、加熱の工程を経て完成する。廃食用油からのBDF精製率は約90%。精製過程で出るグリセリンは業者に買い取ってもらい、石けん水と洗浄水は油分を除去して下水に流す。
10月から町内で試験的に初回収した廃食用油は1500リットル。周知不足もあったが回収はスムーズで、町は「予想以上に集まった。来年からの実施に向け手応えがあった」とし、「廃食用油も生ごみの一種。生ごみの削減につなげたい」とする。
23日の見学会は午前9時縲・1時。祝日で通常運休の「みのちゃんバス」を特別運行する。 -
南箕輪村花いっぱい運動チューリップの球根植え
南箕輪村花いっぱい推進協議会は14日、大芝公園の大芝の湯駐車場南側花壇でチューリップの球根植え作業をした。西部保育園と南原保育園の園児も手伝い、来春を楽しみに約3千球を植えた。
協議会が管理する花壇の一つ。2年前からチューリップを植え、大芝公園を訪れる人々の目を楽しませている。
南箕輪郵便局(大沼悟局長)が地域貢献事業の一環で球根1500球、大芝たい肥生産組合(小沢敏雄会長)がたい肥「肥太君」を提供した。
作業には南箕輪村老人クラブ連合会、南箕輪郵便局、協議会事務局など関係者が参加。事前にたい肥を入れて土作りをし、畝を作った花壇に赤、白、黄色各千個ずつの球根を園児と一緒に丁寧に植えた。 -
【記者室】車いす体験
箕輪町の中学生が福祉体験学習で車いす体験をした。マットの段差を上がることができない、ぬかるみを想定したマットの上では思うように進めない-など苦戦。介助も簡単ではなく、高さ約20センチの段差の乗り降りに苦労する生徒が多いように見えた▼講師は「車いすに乗って移動することがどんなことなのか心で、体で感じてほしい」と話した。「車いすの人は大変だと思う」と生徒。介助の体験で相手を気遣うことの大切さも学んだようだ▼車いす利用者にとって道路の段差が問題になる話などを聞くことはこれまでにも何度となくあり、大変ということは知っているつもりでいたが、実際の大変さを、恥ずかしながら今回の取材で初めて知った。勉強させて頂いた。(村上記者)
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【南大東島再訪記】「平成のコメの道」〈上〉
「新米の香り、うれしい」伊那谷産コシヒカリは、水田のない南大東島で大好評だった。
島に到着した4日、同島小中学校に友好米を贈呈した一行(代表井地千代子さんら4人)は、児童・生徒と給食を共にした。事前に送っておいた友好米を使ったメニューだ。交流のきっかけになった青パパイアの料理もテーブルに並んだ。
「甘い」「かめばかむほど味が出る」「おいしい」窶博q供たちは歓声を上げて伊那の米を食べた。小学校教頭の盛正也さんは「いつもは米飯を口にしない1年生の男児がお代りまでした」と驚いた。「調理師が新米を炊いたことがなく、水加減で苦労した。ちょっと固かったかしら」と、栄養職員・松田優子さんは笑った。
5日は、島の陸上競技大会(島民運動会)。島民有志とともに朝から握ったおにぎりは400個。島民は列を作った。「数が足りないだろうから」と遠慮して取りに来ない地区の席におにぎりを運ぶと、沖縄独特の指笛や拍手の大歓迎。鳴り止まぬ拍子が手拍子に代わり、「コメ娘」の一人・北原弘美さんが島民に手を引かれて島の踊りを踊る一幕も。
気温30度近くの屋外で、陽射しを逃れて木陰に座った高齢者のグループは、「これが新米の香りなんですね。食べる機会が少ないので本当にうれしい」と深々と頭を下げた。
伊那の市民が、地主の細田清登さんが無償で貸してくれた田んぼで作った米は、精米で約19俵の収穫があった。田植え時期が遅かったがまずまずの出来栄えだった。このうち6俵を島の小中学校や役場、幼稚園、老人ホームに贈呈した。残り13俵は苗や肥料の代金、郵送費などの経費に相当する原価で、島民の希望者に譲った。
友好米の話を聞いた伊那市富県の埋橋一さんから、栽培した米を市価の半値以下で譲る提案もあり、あわせて希望者を募った。埋橋さんは04年度長野県の原産地呼称管理制度で認定された、県内で8軒のうちの一人だ。
島民は、その場で次々と申込書に記入。1日だけで合計1200キロに及んだ。
「コメ娘」の斧研つね子さんは「送れば良いかと思ったけど、やっぱり持ってきて良かった」と話した。もう一人の「コメ娘」倉科照子さんも「島の人の笑顔を見たら、いろいろな苦労も吹き飛んだ」と笑った。
(毛賀沢明宏) -
県の組織再編案の懇談会
伊那合同庁舎で15日、県の組織再編についての懇談会があった。県側が06年度に予定している組織再編案を説明し、集まった地域住民ら約100人に理解を求めた。
組織再編案の目的は▽1つの窓口で、さまざまなサービスが利用できる▽地域の課題を地域で解決する▽専門的な情報を提供する窶煤B地方事務所、保健所、建設事務所を再編し、地域本部を置いて現地機関を統括する。
県からは沢田祐介副知事、青山篤司出納長らが出席。県の組織再編案の概要、02年に報告された県議会行政改革調査特別委員会の調査内容などを説明し、参加者と意見交換した。
土地改良関係は、地方事務所土地改良課から地域振興事務所環境森林チームへ再編されるが、参加者は「農政から切り離すものではない」と批判。青山出納長は「土地の持ち方を考えたとき、環境保全を考慮して農業を考える。行政としての支援は変わらない」と答えた。
そのほか、地域課題のとらえ方、商工会・商工会議所と地域振興事務所の役割、実施時期などに質疑があった。
冒頭、沢田副知事は「住みやすく便利なまちづくりに理解してほしい」と述べた。
組織再編案は、県議会9月定例会で継続審査となっている。 -
農業委員会が市長に建議書渡す
伊那市農業委員会(平沢信助会長)は15日、市役所を訪れ、小坂市長に市の農業施策と国・県への要請9項目をまとめた建議書を手渡した。
遊休農地対策や集落営農の組織が進んでいないなど問題が山積している状況にあり、建議書で▽遊休農地対策として作物の苗・種代を支援する▽有害鳥獣駆除(カラス)は南箕輪村との体制を組む▽集落営農の組織化を推進するため、小規模農家や兼業農家に参画することの必要性を指導する窶狽ネど農業施策を求めた。国・県への要請事項は、07年産から導入される経営安定対策大綱にかかわり、最低所得保障を設けるなど生産意欲が減退しない対策などを挙げた。
平沢会長は「遊休荒廃地の積極的な展開を図っていかなければならない。産業としての農業が継続できるよう、各施策を取り入れてほしい」と述べた。
小坂市長は、来年3月に合併を控えていることから「高遠町・長谷村を考慮し、検討したい」と答えた。また、集落営農の拡大、地域ブランドの確立などの必要性を挙げ「市の農業が発展するような施策を見つけ出していきたい」とした。 -
絶えまない努力永久に
上伊那和裁連盟(竹入良子会長)の創立40周年記念式典が15日、伊那市狐島のJA上伊那本所「フラワーホール」であった。琴の伴奏に合わせて歌や踊りを付けた会歌でオープニングを飾り、会員約50が節目を祝った。
竹入会長は「戦後60周年のおりに、この40周年を迎えれ、伝統の重み、会員の絶え間ぬ努力の積み重ねを感じる。45、50周年はもちろんのこと、100年周年、永久に続きますことを願って止まない」とあいさつした。
席上では会員の長年の功労をたたえ、和裁功労賞や特別永年功労賞などの17人を表彰。記念講演は、高校元教師で詩人の伊藤敦さん(70)が「きものの美学」と題して話した。
上伊那和裁連盟は、1965(昭和40)年8月に発足。伊那市で和裁塾を開いていた5、6人の講師らで「伊那和裁塾」を1959(昭和34)年にスタートしたのがきっかけで、和裁の技術を上伊那でも広げるため連盟を結成した。 -
復活した遊休農地で栽培 ソバの収穫喜ぶ
高遠町藤沢荒町の遊休農地に牛を放牧して復活を目指している、地元のボランティアグループ「あすなろ会」(秋山靖樹会長、23人)は13日夕、再生した一部を利用して作ったソバの収穫祭を荒町公民館で開いた。
農業従業者の老齢化などに伴う復活策として昨年、畜産農家から借り受けた牛を放牧して農地をよみがえらせる試みを始め、今年は復活した一部(約80アール)にソバを栽培した。
地元の主婦らが収穫したうちの8キロをそば打ちして、地域住民約70人に振る舞った。参加者は辛味大根とネギを入れたそば汁につけ、・スズルズル・スと音を立てて「おいしい」と舌鼓、収穫の喜びをかみ締めた。残りは農協に出荷し、運営費にまわす。
秋山会長は「遊休農地の再生には満足している。ソバは、大ざっぱに種をまいたために、収穫は思うようにできなかったが、次からは工夫していきたい」と話していた。
あすなろ会は来年度以降、ソバ以外に野菜や花などの栽培も検討していくという。 -
宮田村キャラバン隊が日本福祉大学園祭に
地元特産品を販売して村の良さをPRする宮田村キャラバン隊が12、13日、友好宣言を結ぶ日本福祉大学(愛知県美浜町)の学園祭に参加した。模擬店を出してリンゴや大豆製品などを販売。同村内で福祉実習した学生がボランティアで手伝うなど、絆をさらに深めた。
村交流協会の事業で、今年で5回目。学生や地元の人たちで賑わうキャンパス内で、役場職員2人が宮田をアピールした。
今夏同村内で実習した社会福祉学部4年の高橋申尚さん(22)が、村の模擬店に立ち寄り、「何か手伝えたら」と善意で協力。店頭に立ち、職員と一緒に販売したり、PR活動を行なった。
「実習に行く前は全く知らない村だったが、本当にお世話になったので。今後も何かお役に立てれば」と、心地良い汗を流していた。
その他にも村内で実習した学生や村内出身者らが数多く模擬店に訪れ、職員とふれあう姿もみられた。 -
村民ゴルフチャリティ募金を子どもたちのために
10月に開いた宮田村民ゴルフ大会の実行委員会(吉沢務委員長)はこのほど、チャリティで集まった12万1千円を学校教育に使ってほしいと村へ寄付した。
大会では2番ホールをチャリティホールに設定。さらに表彰式でも募金箱を設置し、参加者から多額の善意が集まった。
8年前の第2回大会からチャリティを実施し、村社協へ寄付してきたが、今年は子どもたちのために有効活用してもらおうと実行委で意見がまとまった。
吉沢会長が「学校の教材などに使ってもらえれば」と参加者の善意を手渡すと、小林修助役は「小中学校に行き届くよう、大切に使わせて頂く」と感謝していた。 -
みなかた保育園が八幡神社へ七五三参り
中川村大草のみなかた保育園は15日、2歳以上の園児50人が参加し、下平の八幡神社に健やかな成長を祈願する「七五三参り」に出掛けた。
冷たい風が吹く寒い日だったが、園児らは元気に歩いて神社に到着。宮崎浩子保育士は「昔は予防接種や薬も十分でなく、病気で亡くなってしまうおともだちが多かった。七五三参りは無事な成長を神様に感謝し、元気で大きくなれるようにお願いする行事」といわれを説明。
園児らは「神様ありがとうございました。病気やけがをしないで、大きくなれますように」と、2礼2拍手1礼した。
参拝を済ませた園児らは、長寿の願いを込めた千歳飴(ちとせあめ)をほおばり、記念写真に収まった。