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中川村の成人式
中川村は「成人の日(9日)」に先立ち3日、文化センターで06年成人式を開いた。新成人73人(男40、女33)のうち、62人が女性は華やかな振り袖で、男性はスーツ姿で出席し、村理事者や村議会、恩師らの祝福を受けた。
村公民館と新成人などでつくる実行委員会が企画、進行したこの式典で、松村正明公民館長は「成人式は社会を担う一員として公に認められた節目の式。今年は知事選や村議選があるが、率先して選挙権を行使し、自覚と責任を果たしてほしい。21世紀を担う大事な1人として、心と体の健康に留意し、村や日本、世界の発展に貢献して」と期待した。曽我村長は「社会には筋の通らないことや理不尽なこともあるが、不平不満を言わず、自分が変わることが大事。自分を変え、成長することで、周りを変え、すばらしい未来をつくって」と激励した。
引き続き、新成人の代表に村からは記念写真と紅白ワインセット。安協中川支会女性部からは手作りの交通安全ストラップがそれぞれ贈られた。
また、新成人を代表し、佐々木壮さんは「親元を離れ、1人暮らしをして、初めて家族の苦労が分かった。家族への感謝の気持ちを忘れず、社会の一員として、自覚を持ち、責任ある大人に成長したい」。北島奈美さんは「社会人として自覚を持ち、責任を他の人に
転嫁するような大人にならないように、一歩一歩努力したい」とさわやかに、成人の決意を述べた。
この後、成人者は輪になって1分間スピーチ、最後に記念撮影を行い、思い出深い節目の式を閉じた。 -
福だるま貯金
飯島町のJA上伊那飯島支所、七久保支所は4日、恒例の正月だるま貯金を行った。今年1年の蓄財を願って、開店前から続々と来店し、早々に貯金を済ませ、福だるまを受け取っていた。
この日はお年玉を握りしめて来店した小・中学生、農産物代金を預ける農家、越年資金の残金を再度預入に訪れる主婦などで、終日にぎわい、両支所合わせて680個用意した福だるまや干支(えと)にちなんだ犬の貯金箱はたちまち来店者に引き取られていった。
今日1日の貯金総額は両支店合わせて1億2千万円を見込んでいる。 -
宮田村役場仕事始め
宮田村役場は4日に仕事初めの式を開いた。約100人の職員を前に清水靖夫村長は給与の自己申告を呼びかけるなど、一人ひとりの自発提案に期待。人口増加策をにらみ、若手職員の結婚や出産を積極的に奨励する姿勢も示した。
「全国的に少子高齢化が深刻。若い職員は独身であったら結婚し、子どもを産んで」と開口一番。
職員給与の自己申告も促し「相談しながら人生設計を組み立ててほしい」と話した。
自立3年目の今年を「行動計画を明確にする年」とも位置付け、「これからが皆さんの知恵の出しどころ。創造性を豊かにして、難局を乗り越えたい」とも訴えた。 -
JA宮田支所のダルマ貯金
JA上伊那宮田支所は4日、年始の金融業務を開始。来客者に縁起物のダルマを配る新春恒例の「ダルマ貯金」でにぎわった。
550個のダルマを用意。初貯金を終えた人たちに次々と配られ、午前中には終了した。
お年玉を貯金しようと訪れた子どもの姿も多く、干支のイヌをかたどった貯金箱がプレゼントされた。
「おかげさまで、まずまずの出足」と向山平治支所長。職員は忙しさに追われながらも笑顔で応対していた。
同支所は正月の初貯金を昨年よりも多い6千万円と見込んでいる。 -
正月に新たな門出祝い、責任再確認
高遠町の成人式が2日、高遠さくらホテルであった。今春、伊那市・長谷村との合併を控えるため、「高遠町」としては最後となった成人式は雪に見舞われたが、新成人63人(男28、女35)のうち、53人が顔をそろえた。男性はスーツ、女性は華やかな振りそで姿で式に臨み、関係者から祝福を受け、人生の新たな門出を祝った。
伊東義人町長は「新市のまちづくりは若い力が必要となる。町の将来像を真剣に描いてもらいたい。国民の一人としての大きな責任と自覚をもち、希望に満ちた人生を歩んでほしい」と式辞。新成人を代表して北原教裕さんが「歴史と伝統ある郷土に誇りをもち、飛躍の糧にしていきたい」と謝辞を述べた。
意見発表で、美容師を目指す小岩井望央さんが「決して楽な道ではないが、与えられたことだけでなく、自分で考え行動し、希望の道にまっすぐ進んでいきたい」、看護専門学校に通う矢沢翠さんは「知識と技術を向上させ、いつの日か町に帰って、地域の医療にかかわっていきたい」とそれぞれ現況と決意を述べた。
祝賀会で、ビールやジュースで乾杯。記念撮影をしたり、会話を楽しみ、友との再会を喜んでいた。 -
伊那市仕事始め式
各市町村で4日、仕事始め式があった。それぞれ職員を集めて首長が訓示。行政と住民の協働や職員の意識改革などを求めた。職員は気持ちを引き締め、業務に入った。 ◆小坂市長 本年は権兵衛トンネル開通(2月4日)、高遠町・長谷村との合併(3月31日)と大きな2つの出来事がある。伊那市の50年余の歴史の中で、大きな変革のとき。
年頭に当たり、古きをたずね新しきを知る「温故知新」という言葉を送る。高遠町・長谷村、木曽との交流が始まる。両町村の歴史、旧宿場町とそれぞれ古きものから新しい知識を得て、新たな伊那市を創造する原動力になってもらいたい。
地域の発展は、どれだけ輝くか、人口が増えるかにある。自立するために、産業の発展を基盤としてやっていかなければならない。
三位一体改革で、行政能率を上げることが求められる。職員、市民が痛みを分かち合う時代。官から民にと叫ばれるが、官は官でやっていかなければならないことがある。
合併を控え、現場での調整がある。上伊那の唯一の合併で失敗はできない。 -
新春・経済対談
06年、伊那谷商工業の行方を探る【上】06年新春を迎えた。05年下半期は、全国的な「不況からの脱却の兆し」が、ようやく伊那谷にも影響を与え始めたかに見えた。好調な自動車関連産業が全体を牽引し、デジタルカメラの生産調整で失速していた電子光学関係も、息を吹き返してきたという。
こうして迎えた新年。権兵衛トンネル道路の開通と広域合併による新伊那市の誕生という大きな変化の中で、地元経済はどのような展開を見せるか?
伊那商工会議所向山公人会頭と、駒ヶ根商工会議所渋谷敦士会頭に、06年の展望と課題を語り合っていただいた。 -
新年記者室
今年は戌年。犬はいい、わが家にも2匹いるが、夫よりも子供よりも言葉を掛け、なでたり、なめられている。犬は古代より人間の良き友達。いつも身近にいる動物で、良くも悪くも犬に関することわざは多い。「犬も歩けば棒に当る」私が歩いてもネタに当らず、石につまづいて転ぶ位が関の山。「犬は3日飼えば3年恩を忘れない」。8年飼っているが、恩返しをしてもらった覚えはない。しかも、ほえるし、ふざけて噛む「飼犬に手を噛まれる」とはこの事。今年は「犬1代狸1匹」の幸運に恵まれ、「犬も朋輩、鷹も朋輩」のように仲間と仲良く、「喪家の狗(いぬ)」とか老「犬の遠吠え」などと言われないように、子犬のように、ころころと丈夫に暮らしたい(大口国江)
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中川村村議会議員選挙
8月23日に任期満了を迎える中川村議会議員選挙は7月末か8月上旬に実施されるが、議員定数問題が再燃、現行16から4減の12で執行されるか微妙だ。年末年始の地区の集まりの中で、候補者の人選を含めて、定数問題が論議を呼びそうだ。
同村議会は昨年9月定例会で議員定数を現行の「16」から「12」にする条例改正が賛成9、反対6で可決。
審議に先立ち、議員定数問題特別委員会が7月、実施した住民意向調査では10人以下は65・37%を占めた。しかし、同委員会は地方自治法の議員定数や議員責務などを挙げて「12」が最良と報告、本会議では最多の「10」を主張する議員から修正案も出されたが、否決された。
議決直後、住民からは「10人になると思っていたのに、なぜ」「なんのためのアンケートだったのか」などの不満や不信の声が上がったが、沈静化した。しかし、昨年12月ころ、住民の反発が表面化、1月中にも議員OBや有識者が中心になり、アンケート結果を実現するための組織を立ち上げ、再審議を求める署名活動を展開する計画。アンケート最多の「10」を主張した6議員も同調する考え。
ある議員ОBは「議員は数よりも質が問題。人口5千人規模の村では10人といわず8人でも、チェック機能は果たせる。民意を無視し、このまま定数12で選挙が執行されるようでは、中川村に未来はない」と断じた。
また、ある村民は「村が発展するなら、議員は12人でもいい。しかし、議会は最多の10人でなく、12人に決めたことの理由が釈然としない」と議員の説明不足を指摘する。
議員定数問題はどうなる?。意向調査結果の尊重を求める住民有志らが多くの村民の支持を得、議会の再審議を経て、定数10を実現できるか。定数論議が立候補予定者の個々の選挙にどう影響するか、目が離せない。 -
【新春記者室】事実の陰の喜怒哀楽
新聞には事件や事故のように起きた出来事を淡々と並べただけの記事も多い。事実の報道は新聞の義務ではあるが、無味乾燥な記事ばかりでは読者もつまらないだろう。自分でも書いていて嫌になる。明るい話題をお知らせしたいと常々思ってはいるのだが、思わずほほ笑みが漏れるような心温まる記事というものはなかなか書けないものだ。事実を写真のように鋭く切り取る報道姿勢は新聞に欠かせないものだが反面、輪郭があいまいに見えつつも本質を的確にとらえた印象派絵画のように温かみを感じる記事もまた必要だ。共通しているのは、どんな出来事にも必ず人間がかかわっているという点。事実の陰に隠れた人間の喜怒哀楽をこそ今年は描き出したいものだ。(白鳥記者)
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【年男年女】南箕輪村南部小学校用務員
黒沢一二三さん(71)用務員を務めて3年。村教育委員会や役場、図書館、郵便局、金融機関などを一回りするのが日課。校舎は開校10年と新しいため、主な仕事は外の環境整備。土手が大きいので夏場の草刈りなど大変な作業もあるが、クラブ活動では児童と一緒に野球や卓球をした。「楽しいね。自分がうんと若くなったようで…」。児童とふれあう楽しみがある。
「運動は好きだね」。若いころは野球。社会人になって卓球を始め、現在、村の卓球クラブとラージボールのクラブに所属。「何十年とやってるけど、ちっとも上手にならない」と笑うが、冬期間は練習に通う。
ゴルフもしていたが、昨年、南箕輪わくわくクラブに入り、マレットゴルフを始めた。用務員の仕事を終えて大芝のマレットゴルフ場へ。約1時間プレーする。隔週土曜日のレッスンにも通った。
今年は「一期一会。人との出会いを大事に。去年、胃の手術をしたから、健康第一で過ごしたい」という。 -
【新春記者室】“協働”の行方
06年度南箕輪村予算編成方針の重点事項に「むらづくり委員会の推進」がある。04年11月に委員会を設置し、協働のむらづくりに取り組んでいるが、村や委員会と、住民の間に温度差が生じてきているように感じる。
昨秋の「むらづくり講演会」。講師は“協働”の意味を「政府と市民らが一緒に決めたことを協力して一緒に行う」と説明。義務ではなく権利として一緒に-である。
自立を選択した自治体で声高に叫ばれる“協働”。しかし、合併か自立かの論議が決着し月日が経つと、住民の意識は次第に薄れるもの。新たな年に、委員会の推進と併せ、住民、委員会、村の一層の“協働”の関係づくりが大切に思える。住民の気持ちが遠ざかる前に。(村上裕子) -
新伊那市 市長選
伊那市・高遠町・長谷村の合併による新伊那市発足に伴う伊那市長選挙が新市発足後、50日以内に行われる。伊那市長の小坂樫男氏(70)=無所属、小沢=は出馬の意向を明らかにし、会社役員向山信二氏(54)=無所属、西町=は「まだ決まっていない」としながらも「環境が整えば出馬したい」と意欲を見せている。ほかに、新人擁立の動きもあり、選挙戦の可能性が高い。
小坂氏は昨年12月、市議会定例会の一般質問に答える形で、出馬の意向を明らかにした。1月中にも正式表明する。
小坂氏は、権兵衛トンネル開通、合併と大きなターニングポイントを迎え「やらざるを得ない」と述べた。
市長選に立候補した当初から3期12年を限度に自ら身を引くべきと心に決めているようだが、新市発足は3期目の途中。来年度に上伊那広域連合のごみ処理施設建設地を決めなければならないとしている。
昨年1月の市長選に出馬し、落選した向山氏は「物質的にも、精神的にも豊かさが求められる。あらゆるジャンルで知恵や方策が不足している」とし、支援団体と打ち合わせしながら、正式に決めたいとしている。
そのほか、市民有志が「市民の声を聞き、市政に反映できる」人材を求め、新人擁立に動いているが、難航している。
共産党は、擁立をするかどうかを含めて検討中。
高遠町長の伊東義人氏(73)=無所属、小原=、長谷村長の宮下市蔵氏(73)=同、溝口=は「いい合併を仕上げてからでないと考えられない。まずは任期いっぱいを全うするだけ」といずれも出馬への意向は公の場で明らかにしていない。
選挙日程は、1月に3市町村の選挙管理委員会が集まっておおよその日程を申し合わせる。3月31日に暫定の選挙管理委員会を開き、選挙日程を決定するが、4月30日の投開票が見込まれる。
新「伊那市」のリーダーはだれか。今後、市長選に向けての動きが活発化しそうだ。 -
新伊那市 市議選
伊那市・高遠町・長谷村の合併で新伊那市発足に伴う市議会議員選挙が新市発足後、50日以内に行われる。周囲の動向を見ながら、出馬表明を控えている人もいるが、選挙戦は確実となりそうだ。(文中の名前は五十音順)
議員定数は26。初回に限り、各市町村を単位とした選挙区が設けられる。定数は伊那市18、高遠町5、長谷村3となっている。
◆伊那市
市議会の現職は24人。出馬を表明しているのは、飯島光豊(54)=共産党・東春近、春日晋治(40)=無所属・西春近、北原斉(64)=同・手良、小平恒夫(68)=同、馬場秀則(60)=無所属・狐島=の5氏。出馬の意向だが、表明を控えている現職もいる。そのほか、ほとんどが1月中に後援会などと相談して態度を明らかにする。年齢から後進に道を譲る理由で、3期目の藤島雄二氏(74)=無所属・西春近=が引退する。
地元や党の要請を受け、元市議で会社役員飯島尚幸氏(60)=公明党・西春近=が出馬。新人のNPO法人「クローバーコミュニケーション信州」代表・野溝直樹氏(40)=無所属・東春近=は、合併を機に「地域の声が反映される行政が求められ、地域色が生かされるシステムづくりをしたい」と出馬を決めた。
また、女性有志は、女性新人を擁立する方向で準備を進めている。1月中にも組織を立ち上げる予定。
◆高遠町
町が掲げてきた「合併しても、さびれない地域づくり」の確実な基盤固めを託せる人選が求められる。
町議会の現職(14人)からは、伊東實(70)=無所属・西高遠、春日嗣彦(51)=同、関森照敏(64)=共産党・同、野々田高芳(69)=無所属・下山田=の4氏が出馬を表明。飯島進(51)=無所属・西高遠、原浩氏(68)=同、松井教一氏(50)=同・山室=の各氏も前向きな姿勢をみせている。
唯一、前林賢一氏(69)=無所属・小原=が引退を決意。そのほかの現職は表明を明らかにしていないが、なかには出馬の動きをみせる議員もいて、無投票当選で終わった昨春の町議選と一転し、激戦になりそうだ。
新人や女性議員の擁立の動きは今のところみられない。
◆長谷村
村議会の現職(11人)は、窪田清彦(66)=無所属・黒河内、中山達得(73)=同・非持、吉田由季子(38)=同=の各氏が引退を決めているのみ。ほかの現職は表明を控えていて「後援会との相談もあるが、3枠とあって様子を伺っているのではないか」と分析する現職もいる。
◇ ◇
3市町村合併協議会の議会議員の定数等検討小委員会委員は「特定の地域でなく、全市的な視野に立って議論してほしい」と期待感を込めた。
新市誕生で、さらに議員に対する見方は厳しくなり、資質向上が求められる。
選挙日程は市長選と同じ。 -
【新春記者室】全力でスタートを切る
昨年の11月20日、県縦断駅伝大会で上伊那チームが3年ぶりの総合優勝を手にした。
上伊那の沿道は、他の地域と比べても多くの観客が集まっていた。地域に根付く・ス駅伝熱・スを確認した瞬間だった。大会を終えた選手らに話を聞くと「走っているときの応援が励みになった」との感想が多かった。誰かに支えられ、期待に応えられる喜びの意味が少し分かった気がした。 伊那毎日新聞社も50年間、地域に愛されて走ってきた。特に地域紙というのは記者と住民との距離は身近で、「この前の取材ありがとう」との一言に励まされることは多い。
新年を迎え新たなスタートラインに着く。自分への・ス甘え・スは捨てて、周囲の期待に応えられるよう全力で走り出そう(布袋記者) -
【年男年女】伊那市駅前交番所巡査 森下千史さん(23)
「テレビドラマの踊る大捜査線に出てくる女性警官のようなイメージ。警察官の仕事って男女平等で、女性でもバリバリ働けるところがすてき」と、ハキハキとした口調。
松本市生まれの一人っ子。山梨県の大学で法学を学び、「法律も使えて、体を動かせる仕事」に就こうと、04年10月採用に合格。県警察学校で半年間、心身共に鍛えた後、伊那署に配属された。
交番の仕事は交通事故、万引き、道案内など、「毎日色んな事件が起きて同じ日はない」というくらい大忙し。しかし、地域住民とふれあう機会も多く、相談に訪れた人からの感謝の言葉も身近でうれしいという。
「形式的には1人前の警察官と言われますが、まだまだ未熟で半人前です。ようやく仕事もほんの少し分かってきた状態。今年は私にしかできない、任せてもらえる仕事をしたい」と、少し照れ笑いで意気込みを語る。
趣味はドライブと温泉巡り。伊那署管内の日帰り温泉施設は制覇し、銭湯にもいくというおふろ好き。 -
【新春記者室】日常に埋もれた大切な意味の見直しを
冬は閑散とするが、正月は別。門松や生け花で世間は華やぎ、新年の喜びがあふれる。
しかし、生け花を習わない女性が増加したことに伴い、正月に花を生ける家庭も減少しているという。
確かに現代女性の関心事と比べ、生け花の実用性は低いかもしれない。しかし、生け花やお茶など「もてなし文化」を引き継いできた日本女性は「人を喜ばせる」ための、ささやかな心配りや優しさも大切に引き継いできたのだと思う。そんな伝統が、実用性の陰に隠れてしまうのは切ない。
習慣化・日常化する中で、大切な思いが忘れられがちな出来事はたくさんある。だからこそ「どうしてそれが生まれたのか」に目を向け、大切な思いを伝えていきたい。 -
【年男年女】上伊那圏域障害者総合支援センター療育コーディネーター
駒ヶ根市下平 小宮山紀道さん(47)人間相手の仕事だから思いの行き違いがないようにしなくてはならないのは大変。でも、それぞれの個性があるのは面白い竏秩B
長野市から伊那市へ赴任して3年。知的障害などを持つ子ども、保護者の不安や悩みと向き合い、子育て支援をしている。
本当は自分が思っている以上に高い能力があり、一人暮らしもできるのに、施設で暮らすことを望む人もいる。「あなたの人生もっと開けているよ」ということを伝えたい竏秩B地域での生活支援を進めるのにはそんな思いがある。
障害者の地域移行は進んでいる。しかし実際には、知的、精神障害者が、自分の声を外へ発信していくことは難しく、本当に地域の中で主体的に暮らせているかは疑問。だからこそ自分たちがその声を拾い、外へと伝える手助けをすることも必要竏窒サう感じている。
「障害を持った人でも普通に働いたり生活でき、手の届かないところだけ支援する。そんな社会になってほしい」。 -
【新年記者室】隠れたドラマを発掘する一年に
「元旦イチゴ狩り」は、伊那みはらしいちご園が開園以来続けてきた目玉の一つ。今年も新年から多くの人でにぎわった。
その園を運営する羽広いちご生産組合は昨年、設立10周年を迎え、記念式典を開催。「手探り状態からスタートした。ここまでくるのは大変だったが、もう10年経ったのかとも感じる」と語られる中、涙をぬぐう生産者の姿が印象的だった。
みな農家だったが、イチゴ栽培は初めて。それまでは客商売もしたことがなかったため、接客にも苦労した。時には客から注意されながら試行錯誤を重ねた10年竏秩Bその涙が、この10年にさまざまなドラマがあったことをを物語った。
今年は一つひとつの出来事が秘めた多くのドラマを伝えたい。
(伊藤 愛子) -
新春年女、吉川さん
「コロコロして丈夫、好き嫌いがなく誰とでも仲良くできる。悪く言えば八方美人」と戌(いぬ)年の性格を分析する。
子どものころ、犬に追いかけられ、犬嫌いになったが、婚家で犬を飼っていたため「世話をしているうちに、まあまあ、お付き合いでできるようになった」とか。
飯島町に生まれ、地元の高校卒業後、母に「地元にいてほしい」と懇願され、飯島町役場の事務吏員に、住民課窓口が振り出し。「住民と直接触れ合う職場で、色々な人が来て、時には大きな声を出す人もいた」とか。商工観光課では千人塚のスケート場づくりにも携わった。「水を撒いた夜、凍みが強いと、いいリンクができるとうれしかった」。
企画財政課の花機構事務局も担当。「飯島町には花愛好者や花き生産者が多いことに驚いた。盆花市では、裏方の苦労も体験し、いい勉強になった」と振り返る。
01年から教育委員会に。社会教育係として「少子化が進み、自立のまちづくりの中で、子育て支援はどうあるべきかが問われている。お金を掛けずに子どもにも親のためにもなる支援とはなにか、模索している。公民館は生涯学習のし掛け人、多くの人に公民館の活動を知ってもらい、利用し、それぞれのスキルアップに役立ててほしい」と願う。
夫と子ども2人、義母の5人暮らし -
駒ケ根市役所保健福祉課介護支援係長
中坪美智子さん(47)「介護保険法の改正で制度が変わるため、今年はとても忙しくなりそうです」改正法では要介護1など軽度認定者の自立支援や、地域特性に応じた柔軟なサービスを提供するため、各市町村が「地域包括支援センター」を新たに設置することが定められている。駒ケ根市では2カ所設置の方向で検討されているが、立場上その運営には中心的にかかわることになりそうだ。「まだ制度の詳しいことが決まっていないけれど、行き当たりばったりでなく一歩進んだビジョンを持って、介護事業者との連携なども考えながらできるだけ良い形にしていきたいと思っています」
1981年に保健師として市職員に採用されて以来、一貫して保健福祉行政に携わってきた。介護保険法が施行されてからは介護についても多くの相談を受けたり調査をしたりしてきた。「家族が病気などで倒れて奥さんが介護している様子などを見ると本当に何とかしてあげたいと思います。あまり多くのことはできないけれど、仕事でかかわった人が町で会った時に気軽に声を掛けてくれたり相談してくれたりすると、こんな私でも当てにしてもらっているのかと思えてうれしいですね」
仕事は人に任せるより自分でやってしまうことが多くて困ったもの竏窒ニ辛口の自己評価を下すが、その穏やかで温かい人柄は多くの人に慕われている。
「介護の現場をいろいろと見てきただけに、自分の家族を含めて誰もが健康で元気でいてほしいというのが最大の願いですね。今年は仕事の面では多分大変な状況になると思うけれど、全力投球で頑張ります」 -
【新年特集・年男年女】保育士・秋山栄美さん
地元の高遠高校に通い、諏訪市の県福祉大学を卒業後、中学のころから夢を抱いていた念願の保育士となった。高遠町の第四保育園に1年間勤務し、現在は第一保育園で3歳未満児の担任を務める。
栄美先生竏秩B子どもたちに初めてそう呼ばれ、「くすぐったい感じ」で、うれしさの半面照れ臭かったことをよく覚えている。
「子どもたちの笑顔や日々成長していく姿を見れると、すごく仕事にやりがいを感じるし、幸せな気分になるんですよ」
教育する立場として、悪ふざけをする子どもたちに注意することも大切だが、実はしかることが大の苦手。温厚な性格だけに、注意したつもりでも、子どもたちの心には響かないこともしばしば。
「未満児クラスは複数担任のため、他の先生方との差があってはよくないんです。だから、先生方に注意を受けることもあります」 保育士としての自覚を再認識する。
「保護者に対して、子育てのサポートができるような保育士に成長していきたい」と今後の目標を掲げ、目を輝かせる。 -
上伊那で唯一 新伊那市が誕生
3月31日、伊那市・高遠町・長谷村が合併し、新「伊那市」が誕生する。上伊那では唯一の合併で、中核都市としての新たな一歩を踏み出す。地域の特色をそれぞれ生かした「住民主体」のまちづくりを進めることができるのか、注目される。
伊那市の産業、高遠町の観光・歴史、長谷村の雄大な自然。三峰川を中心とし、中央アルプス・南アルプスに抱かれる新「伊那市」の人口は7万4千人。面積668平方キロメートルで、県内3番目の広さとなる。
新市の将来像は「二つのアルプスに抱かれた自然共生都市竏註lと歴史と文化を育(はぐく)む、活力と交流の美しいまち」。
主要施策に▽行財政改革の推進▽農林商工業の振興▽自然環境の保全▽保健・医療の充実▽地域資源を生かした観光の振興竏窒ネどが盛り込まれる。
まちづくりのキーポイントとなるのは、地域自治区。
伊那市の地方自治法による地域自治区は、地域住民と行政の協働で、住民の意見を行政に反映させ、地域自治の推進を図るもの。市地域自治区条例を制定後、現市の旧町村単位7地区に設ける。
市地域自治区検討委員会の答申で、地域自治区に置く地域協議会の役割に、住民・諸団体などの意見を集約・調整し、住民と行政の協働によるまちづくりを推進することをうたい、計画段階から住民が参画することを挙げた。
説明会は7地区で開く予定だが、日程は未定。条例制定は早くて、新市誕生後の市議会6月定例会。準備を整え、10月ぐらいに立ち上げたいとする。
現在、西春近地区などに地域の課題解決などのために設けた任意の協議会組織があり、市総務課地域自治担当は、地域の実情に合わせた運営ができるよう「合併を機に、地域を見直し、地域でできることは主体的に取り組んでほしい」と話す。
一方、高遠町・長谷村の地域自治区は合併特例法に基づくもので、16年まで10年以内の期間で設置される。それぞれ常勤特別職の地域自治区長(総合支所長)を置き、その下に地域協議会を設ける。委員は公共的団体代表者、識見者ら15人以内で、その地域の重要な事項について、あらかじめ意見を聞くことになっている。
04年10月の合併協の住民意識調査(一般)の結果で、町村住民が心配する点として「区域が広くなり、きめ細かなサービスが受けにくくなる」「中心地域と周辺地域で格差が生じる」などが上位を占めた。
地域協議会では「その不安に対し、住民の声を届け、市政に反映できることが重点となる」(町)、「地域の振興を考え、提案していく」(村)と誇りある地域づくりの形を考える。
委員は新市長が委嘱するため、具体的な委員や運営方法などは煮詰まっていない段階。
町村とも、2月に地域自治区を含めて住民説明会を地区単位で開く予定。
00年に発足し、地域住民を巻き込みながら、帰化植物アレチウリ駆除大作戦をはじめ、三峰川みらいフォーラム、源流探検などの事業を展開する市民団体「三峰川みらい会議」。
織井秀夫代表は、住民と行政との協働のポイントを「地域の愛着心はもちろんだが、住民サイドから行政に投げかけることが地域づくりにつながる」と参加型の重要性を挙げる。住民サイドから提案することで、行政は住民ニーズを把握し、行動することができる。「ただ行政にお願いすればいいという考えでは、うまくいかない。川を一つ取ってみても、環境を享受するのも、危害を受けるのも、そこに住む住民。自分たちでできることは手を出す」と話す。
「合併してよかった」と思えるまちづくりへ。住民が新しいまちを作るという夢を持ち、知恵を出し合いながら新市発展につなげる。
■地域の一体感
通勤、通学、買い物、医療機関の利用など生活のさまざまな場面で結びつきを持っている。
合併協は昨年、新市誕生に向け、3市町村の住民同士の交流を図る「地域の魅力探訪ツアー」を企画。「新緑の中央アルプス周辺とつつじまつりツアー」「花の百名山!自然実感入笠ゃ間高原ハイキング」「南アルプスふるさと祭りと巫女淵紅葉満喫ツアー」など全10回(1回は台風のため中止)を組んだ。589人が参加。
アンケートから「自分の住んでいる近くでも、なかなか行けないところがあり、よかった」「もっと地域のことを勉強したい」「多くの人と知り合うことができた」などの感想が寄せられた。
「合併への気運が高まり、一定の成果はあった」と新市後も継続する予定。
また、新伊那市誕生を記念するイベントのアイデアを一般から募集した。市内外から99件の応募があり、1月中にも合併協幹事会で審査・選考して決定する。
内容は、中央アルプス・南アルプスを横断する駅伝・マラソンをはじめ、3市町村の魅力をみつめ直すかるた作り、映画の製作、物産展などバラエティーに富んだ。
開催期間は4月1日縲・7年3月31日。
選考後は、合併協議会だよりやホームページで発表する。 -
【新春特集・スポーツ】赤穂高校サッカー部
「唐沢監督を全国大会へ連れていきたい」竏秩B選手たちは直接告げることを恥ずかしがっているが、監督への信頼が言葉の端々にから溢れている。・ス上伊那初の全国出場・スを目標に、今日も練習場で選手たちが円陣を組み、気合の入った掛け声を響かせる。
主将の中田敏貴部長がけん引する部は現在、2年14人、1年7人、マネージャー3人の計24人。00年度に赴任して以来、唐沢陽司教諭が監督を務める。
昨年10月下旬、正月の全国高校サッカー選手権大会へつながる県大会で、同校初めての快挙となるベスト8に。上伊那で残った赤穂はベスト4を懸けた試合で強豪・松商学園と対戦した。全国常連校の壁は厚く大敗したが、チームの中心となっていた2年生は大きな経験を体に刻んだ。
3年生が去り、昨年11月上旬から新チームを構成。身体能力は唐沢監督時代の歴代の選手と比べても、よい人材がそろった。体の線は細いが、ゲーム展開は迫力がある。フォワードが中央にポジションを詰めると、サイドに空いたスペースへボールを送り、駆け上がったサイドハーフがチャンスメイク。ハーフからの飛び出しのスピードは他校からも定評がある。
しかし、選手らは実力を発揮できず、ゲームを支配しながらも県高校総体新人戦をベスト16で終える。唐沢監督は試合後、チャンスをつくりながらも、得点に生かせない決定力不足を指摘し、勝ちゲームを自ら負けゲームにしてしまう・ス精神的弱さ・スを課題にあげた。
唐沢監督によると、新人戦の地区、県大会では、相手の力を見ながら楽して勝とう竏窒ニいう戦いが目立ったという。自分たちの実力が劣って負けたのではなく、自分たちの弱さに負けたのだ。
冬の期間の練習が選手たちにとって正念場となる。「ゲームへの入り方、練習への入り方は同じ」(唐沢監督)。気持ちを引き締めて、手を抜かないことを心がけて取り組む。中田部長は「今のままだと(強豪チームとの戦いに)勝ち目はない。この冬で差が出てくる。他のチームより頑張れば勝ち抜ける」と気合が入っている。
唐沢監督が就任してから恒例となる、県外への遠征合宿。チームは・ス家族・スとなり同じ釜の飯を食べる。「学年を越えて仲良くなって、本来の力を発揮できるチームに。遠征はコミュニケーションをつくる場所でもある」との思いが込められている。
長い冬を越えて、新しい芽が出る春。チーム内のコミュニケーションも成熟し、精神的、肉体的にたくましく成長した選手らが、新たな歴史を刻む一歩を踏み出す。 -
井山大さん(23) 中川村
高校卒業後に選んだ仕事は「大工」。「始めたときより、余計おもしろくなってきている。こんないい仕事に出会えてラッキーでした」と話す。
進路を考えたとき、事務職より肉体労働が向いていると土木を職場体験。自分の手で道が出来るおもしろさを知った。教諭の紹介で大工の仕事も見学。アットホームな雰囲気にひかれ、大工の道へ進んだ。
仕事をしながら職業訓練校へ2年間通い、基礎技術を学んだ。自宅の建築、リフォーム、下水道の水回り工事など先輩の補助につく。
これまでかかわった家は10軒以上。完成して窓や床をふき、施主に引き渡す。喜ぶ顔を見ると「やってよかったとうれしくなる」。「仕事があるもんで、ほかのことも回る」と言い切るほど、やりがいを感じている。
仕事柄、さまざまな間取りを見る機会がある。「いつか自分の家を自分で建てたい」と夢を描く。
昨年7月、自身に活を入れるため、空手を始めた。4人暮らし。 -
県内企業の倒産整理状況まとまる
東京商工リサーチ・松本支店は、05年の県内企業倒産整理状況をまとめた。上伊那の大型倒産(負債総額5億円以上)は2件だった。
大型倒産したのは、伊那市の製材・木材販売「信州林産」(負債総額9億1千万円)、駒ケ根市のホームセンター「マルタ」(5億9千万円)。
12月分では、中川村片桐の管工事「たかはし設備工業」が販売不振、業績低迷のため倒産した。負債総額は6千万円。
年間(27日現在)の市郡別倒産データによると、伊那市4件・負債総額15億1500万円(前年比1件増・2億1500万円増)、駒ケ根市2件・6億5千万円(1件減・4億9千万円増)、上伊那郡2件・7500万円(7件減・47億6800万円減)だった。
県内の件数(負債総額1千万円以上)は147件、負債総額658億9200万円。大型倒産が相次いだ前年1001億7400万円に比べ、大幅に減少した。各企業が不況慣れで先行き需要低迷を意識した手堅い経営振りを見せた、一般消費にわずかながら回復の兆しが見え始めたことなどが影響したとみられる。しかし、技術力など優位性のない中小企業は価格競争が激化し、景気回復を実感する声は聞かれない。
地区別でみると、南信はほぼ横ばい。業態別では建設業が57件で、全体の38%を占め、製造業、小売業、サービス業などと続いた。原因は販売不振が6割以上。30年以上の企業の倒産が目立った。 -
祝・伊那 - 木曽権兵衛峠道路2月開通
木曽側7市町村首長に聞く【上】06年2月、伊那と木曽を結ぶ権兵衛峠道路が開通する。地図の上では境界を接しながら、峻厳な中央アルプスに隔てられ、何か遠い地域のように感じてきた木曽。そこに住む人々が、本年からすぐに行き来のできる隣人になる。
いったい、どんな町や村があり、どんな人が住んでいるのか?木曽郡の6町村と、権兵衛トンネルの反対側出口がある塩尻市(旧楢川村)の首長、合計7人に聞いた。 -
観光産業の今後の展望は
「アルプスがふたつ映えるまち」をキャッチフレーズに掲げる駒ケ根市は豊かな自然と歴史を核とした観光文化都市を目指している。しかし、観光目的で市を訪れる利用客の数は1992年の170万人をピークに年々緩やかな減少傾向にあり、近年は約130万縲・40万人前後で推移する頭打ちの状態が続いている。
伸び悩んでいる観光産業の現状を打開するきっかけにしようと市は05年、もてなしのまちづくり計画(観光振興基本計画)を策定した。製造業、農業、商業と並んで市の重要な産業となっている観光の今後の展望についてアンケートやワークショップなどを通じて探ったものだが、具体的な提案はいくつか示されているものの、将来に向けての明確な方向性を導き出すまでには至っていない。
市が擁する観光資源には中央アルプス駒ケ岳、家族旅行村、光前寺、早太郎温泉などのほか、キャンプ場、スキー場やゴルフ場などがある。いずれもそこそこの集客力を持ってはいるが、関東や中京など大都市圏での知名度はさほど高いとはいえず、さらなる集客アップのためには観光客を強力に引きつけるアピール戦略の充実が必須の課題だ。
権兵衛トンネルの開通で木曽谷とのアクセスルートが新たに開けることにより、利用客の増加が望める竏窒ニ期待する向きもあるが一方では、楽観的過ぎるとその効果を疑問視する人も多い。駒ケ根駅前商店街のある店主は「車で来た観光客はインターチェンジから上(西)に行くだけでこっちには来ない。うちには何の恩恵もないよ」とあきらめともいえる不満の声を漏らす。竜東地区に客を呼び込もうと建設されたシルクミュージアム、ふるさとの家などの集客力も今のところ期待を上回っているとは言い難い。
市町村合併が白紙となったことで市の財源見通しはさらに厳しいものになり、新たに大規模な観光資源の開発に乗り出す余力はありそうもない。ならばこそ、行政主導型でなく、地域を巻き込んだ民間参画型の新たな発想の登場が待望されている。地元が潤うためにはただ観光客を呼び集めるだけではなく、いかに財布のひもを緩めさせ、消費させるかが求められる。魅力的な特産品などの開発も含めた市民挙げての活動が今後の駒ケ根観光の行方を左右するだろう。 -
駒ケ根市役所保健福祉課介護支援係長
駒ケ根市下平
中坪美智子さん(47)「介護保険法の改正で制度が変わるため、今年はとても忙しくなりそうです」改正法では要介護1など軽度認定者の自立支援や、地域特性に応じた柔軟なサービスを提供するため、各市町村が「地域包括支援センター」を新たに設置することが定められている。駒ケ根市では2カ所設置の方向で検討されているが、立場上その運営には中心的にかかわることになりそうだ。「まだ制度の詳しいことが決まっていないけれど、行き当たりばったりでなく一歩進んだビジョンを持って、介護事業者との連携なども考えながらできるだけ良い形にしていきたいと思っています」
1981年に保健師として市職員に採用されて以来、一貫して保健福祉行政に携わってきた。介護保険法が施行されてからは介護についても多くの相談を受けたり調査をしたりしてきた。「家族が病気などで倒れて奥さんが介護している様子などを見ると本当に何とかしてあげたいと思います。あまり多くのことはできないけれど、仕事でかかわった人が町で会った時に気軽に声を掛けてくれたり相談してくれたりすると、こんな私でも当てにしてもらっているのかと思えてうれしいですね」
仕事は人に任せるより自分でやってしまうことが多くて困ったもの竏窒ニ辛口の自己評価を下すが、その穏やかで温かい人柄は多くの人に慕われている。
「介護の現場をいろいろと見てきただけに、自分の家族を含めて誰もが健康で元気でいてほしいというのが最大の願いですね。今年は仕事の面では多分大変な状況になると思うけれど、全力投球で頑張ります」 -
担い手法人化急ぐ
政府が昨年10月に決定した経営所得安定対策大綱、中でも07年度産から導入される品目別横断的経営安定対策に対応しようと、飯島町、中川村では地域農業の担い手づくり、法人化など具体的な取り組みが始まり、06年は正念場を迎える。
##中見だし
本郷地区でも2月までに担い手法人が誕生 飯島町は3年前から地区営農組合の法人化を進め、昨年3月相次いで、田切地区営農組合から田切農産が、七久保地区は水緑里七久保が設立され、活動を開始した。今年は2月に、本郷地区から本郷農産サービスが設立される。4地区で最も遅れている飯島地区は組織を固め、今年中を目途に法人化に向けた作業が進められる。
品目別横断的経営対策(米・麦・大豆など対象)は全ての農家を対象とした品目ごとの価格補償政策から、「担い手の経営」を対象にした所得補償政策に大きく転換するもの。担い手の対象要件は▽農地(水田・畑)が4ヘクタール以上の認定農業者▽同20ヘクタールなど一定の要件を満たす集落営農組織となっている。中山間地では特例措置がある。
飯島町は農政の柱に「千ヘクタールの自然共生農場づくり」を据え、4地区の営農組合の機能と活動を継続しながら、新たな時代に対応する体制への変革と体質強化のため「2階建方式」を採用。地区営農組合は現在の企画・調整・推進機能を継続し、新たに2階へ、地域農業の組織生産活動と自らも農業経営を行う「農業生産法人」を設立する。
農家数270戸の田切営農組合を母体とする田切農産(紫芝勉社長、13人)は、水稲・大豆・大麦合わせて25ヘクタール、作業委託は水稲60ヘクタール、大豆乾燥調整作業を行う。
七久保営農組合(407戸)を1階にした、水緑里七久保(上原隆祐社長、15人)は水稲・大豆6・6ヘクタール、作業受託は水稲・麦作業100ヘクタールとなっている。
本郷地区営農組合は農地131ヘクタール、農家数131戸。県下で唯1のソバ種子の生産地、転作田35ヘクタールで、ブロックローテーション方式で良質な種子を生産。昨年、ソバを乾燥・選別する乾燥調整施設を整備した。法人化に向け、昨年中に細部にわたり調整を済ませ、2月に発足させる。
飯島地区営農組合は292ヘクタール、農家数483戸を有し、4地区では最大規模、1法人にするか、複数とするかを含め検討中。
上伊那農協飯島支所の鹿角美昭営農課長は「飯島町は営農組合とJA、行政が一体になり、営農センターが名実ともに機能し、担い手法人の育成が順調に進んでいる」と話している。
##(中見出し)
ほ場整備率低く、課題多い中川村、夏頃までに方向を
農地800ヘクタールのうち、水田は460ヘクタール、樹園地約200ヘクタールの中川村。際立って果樹園が多く、農家数823戸のほとんどが水田と果樹園の複合経営。山間地域とあって、ほ場整備率は約7割と低く、作業効率も悪い-など担い手育成には条件は悪い。
村営農センターは、現在、1月中旬から各集落で実施する懇談会に向け、資料づくりを進めている。資料は国の施策や村の農業の方向などを予定する。