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韓国の農業者グループがJA上伊那で研修視察
日本の農業事情を学ぼう窶狽ニ韓国の中心部にある忠清南道(チュンチョンナムド)の農業者グループ「全国農民会総連盟忠清」のメンバー16人が、伊那市の上伊那農業協同組合本所を訪れた。
四季があり、消費農産物が似ている日本は、韓国よりも農協組織などが発達しているという。こうした日本の農業事情と、グリーンツーリズムなど、農業全般の取り組みを学ぶ目的で来日。6日間で県内外の農業地域数個所を視察する。
この日は、JA上伊那の事業全般を学んだり、富県北福地の稲作農家、北條久志さんのほ場を見学しつつ、意見交換をした。
北條さんは、地区の協業組織に参加し、後継者のない農地などを借りつつ、約32ヘクタールで稲を育てている。韓国でも担い手問題が深刻化しており、参加者たちは、地区で土地や農業機械、農作業を融通する“協業”に関心を示した。
「地代が安すぎるのでは」との質問も出たが、北條さんは「現在は、農地を利用・保全してくれるだけでもありがたいという人が多い。米の価格も低下する中、高いという人は少ない」と説明した。 -
もっと美味しいワインにしたいと視察
宮田村の特産品・山ぶどうワインの生産に携わる「中央アルプス山ぶどうの里づくり推進会議」は28日、国内ワイン発祥の地とされる新潟県上越市の岩の原ぶどう園などを視察。園地や施設などを見学したが、「宮田村の取り組みや意識は、決して先進地にもひけをとっていない」と改めて自信を深めた。
山ぶどうを栽培する村内農家のほか、醸造元の本坊酒造、農協や村の担当者約20人が参加。
岩の原ぶどう園では、丘陵地帯に広がる園地や隣接する醸造施設を見て回った。
なかでも醸造したワインを適度な温度で管理する施設「岩室(いわむろ)」は全員が興味深げ。宮田村にも導入計画が挙がっており、熱心に見ていた。
また、宮田村よりもひと足早く山ぶどうワインの生産を始めた下高井郡木島平村の園地も見学した。
宮田村の山ぶどうワインは生産開始から7年目を迎え、県の原産地呼称管理制度の認定を受けるなど、高い評価を得ている。
一方で「もっと美味しいワインをつくりたい」と、各関係者が連携。先進地視察を毎年実施するなど、技術向上に取り組んでいる。 -
みはらし観光農園リンゴ狩り開始
秋の訪れを感じさせる“リンゴ狩り”が27日、伊那市西箕輪の農業観光農園みはらしファームで始まった。
昼夜の気温差で赤くなるというリンゴは、ここ数日で一気に色づき始めた。一番早く色づくのは「つがる」、以降9月中旬から千秋、10月初旬からジョナゴールド、10月下旬から王林、11月初旬からフジの順番で、適期を迎える。
今年は春先の霜の影響もなく、たくさんのリンゴが実り、好天にも恵まれたため、それぞれが大きく育ったという。
園主の原伊一さんは「今回は台風も避けてくれて良かった。今年は例年になく最高の出来なので、地元の人にもぜひきてほしい」と話していた。
リンゴ狩りは予約制で、11月23日まで楽しめる。開園は午前9時縲恁゚後4時(入園は午後3時まで)、1時間食べ放題。4歳以上500円(3歳以下無料)。団体割引あり。
問い合わせは、みはらしいちご園(TEL74・7430)へ。 -
上伊那森林組合臨時総代会
上伊那森林組合(井澤通治組合長)は24日、伊那市の東春近ふれあい館で臨時総代会を開き、新たな理事を承認した。
村長交代などに伴い、これまで4人の理事が欠員となっていたが、今回新たに、唐木一直南箕輪村長、曽我逸郎中川村長、清水靖夫宮田村長、有賀久人氏(辰野町)を理事に承認。同組合の理事は200人となった。
任期は07年5月まで。 -
台風に気を揉む農家
台風11号の接近により上伊那地方も25日午後から風が強くなり、収獲の最盛期を目前に控えた果樹農家らは眠れぬ夜を過ごした。
「つがる」の出荷を控えた宮田村駒が原地区のリンゴ園では、台風に備え一部を早めに収獲する姿もあった。
「色付きが完全ではないが、風で落とされるよりはまし。けど、収獲したのは一握り」と、緑色が残るつがるを手に女性は話した。
関係者によると、今年のつがるの生育は若干遅く、収獲の最盛期は1週間から10日後を見込んでいる。
ある男性園主は「お手上げ。対策の施しようがない。色が付いていないリンゴを収獲できない」と話し、日常と変わらぬ最後の手入れ作業に励んだ。
「今年は凍霜害もなく、順調だったのに。あと1週間。自然相手だから仕方ないけど」と、徐々に強まる風に不安の色を濃くした。
伊南地域の果樹が集まる飯島町のJA飯島果実選果場には、前日までと比べ2倍ほど多いリンゴやナシが持ち込まれたが、様子を見た農家も多いという。 -
上伊那集落営農数県下1位
関東農政局による県内での集落営農数調査(6月27日発表)の結果、全体に占める上伊那の集落営農数は37・9%と、県内で最も多いことが分かった。
集落単位で農業生産を担う集落営農は、高齢化や後継者不足の対応策として、全国規模で進められている。
今回対象としたのは、合意のもと共同で、農業生産に取り組む集落で、機械所有の共有のみや栽培協定・用排水管理の合意のみのものは含まない。
県全体の数は182で、2000年に比べ9件増加。上伊那は69件だった。以下、松本地域38件、下伊那31件と続く。
集落営農は、各市町村や農協などを中心に、積極的に進められていることが増加の背景にあると考えられる。
上伊那は、水稲栽培が盛んなことも関係して、カントリーエレベーターなど、大規模設備を早い段階から取り入れ、機械設備の共同利用が進んだ結果、他地域に比べ、集落営農が進んだと見ている。 -
特別企画 伊那谷森の座談会
農と食のあり方を考える 【下】
-団塊世代の大量退職時代を前にして-人々の「食と農」に対する関心のあり方が変りつつある中で、これまでの農業政策を振り返り、時代のニーズに見合った農業、特に地域農業のあり方を探ることが重要になっていている。
今回は、伝統的な食文化を現代的に発展させた食品製造業の立場、新たな農産物の流通形態を切り拓いた産直市場の立場、さらに県の視点から農業政策を遂行する立場の皆さんに集まっていただき、「農と食のあり方」をめぐって、自由に議論を交わしていただいた。その連載2回目。 -
著名なソムリエが宮田村の山ぶどうワインの将来性を高く評価
長野市在住で日本ソムリエ協会常務理事の高野豊さんが23日、宮田村民会館で講演し、同村内で生産する「山ぶどうワイン」を高く評価。気候風土や醸造施設など抜群の環境があると話し「世界の宮田村になってほしい。今後の手順を間違わなければ55%はいける」と太鼓判を押した。
特産品の山ぶどうワインを文化として定着させようと、村や栽培農家らでつくる「中央アルプス山ぶどうの里づくり推進会議」が開いた。
一般住民や周辺の飲食店、観光施設関係者など約70人が参加。高野さんは「宮田村の山ぶどうワインは世界に通用するか」をテーマに講演し、世界や国内のワインと比較しながら話した。
フランスは、ブランドを育てあげる巧妙なイメージづくりで世界のワイン市場を支配したと説明。
宮田村の山ぶどうワインも県の原産地呼称管理制度の認定を受けて注目されつつあるが、「今後は品種改良や耕地整備と同じくらいイメージづくりにお金をかけるべき」と指摘した。
フランスの有名ワイン「シャブリ」は小さな田舎町の名前であることも説明。「ワインをつくることは、村をつくり、世間に知らせていくことでもある」と、多くの理解と協力が必要とも話した。 -
特別企画
伊那谷 森の座談会
農と食のあり方を考える【上】
-団塊世代の大量退職時代を前にして-日本農業は大きな転換期を迎えている。農業生産物の国際競争力の低下は農業振興に深刻な影を落し、少子高齢社会の到来は既に深刻化している農業の後継者不足にさらに拍車をかけると予測される。
こうした中、国は近年、従来の減反政策を実質的に継承したまま、水稲一辺倒の姿勢を転換し多様な換金作物の栽培奨励に乗り出す一方、集落営農方式を中心とした農業集団化を進めようとしている。だが、こうした施策で、はたして地域の特色を生かした農業振興が図れるのか?-という疑問の声も多い。
また、敗戦直後に生まれたいわゆる団塊の世代が、まもなく一挙に定年退職を迎える社会状況も重要である。
長い社会経験を経て、食と農、自然と環境に関心が高いと言われるこの世代が、一定程度自由に時間を使えるシルバーライフを迎えることで、農業ならびにそれを取り巻く商業・観光業に少なからぬ影響が出るのではないかと推測する向きもある。「スローライフ・スローフーズ」「グリーンツーリズム」などに注目が集まっているのも、その兆しであるということもできよう。
こうした中で、これまでの農業政策を振り返り、時代のニーズに見合った農業、特に地域農業のあり方を探ることが重要になっていている。
今回は、伝統的な食文化を現代的に発展させた食品製造業の立場、新たな農産物の流通形態を切り拓いた産直市場の立場、さらに県の視点から農業政策を遂行する立場の皆さんに集まっていただき、「農と食のあり方」をめぐって、自由に議論を交わしていただいた。【上・下2回連載】 -
ソムリエ高野さんが23日に宮田で講演
宮田村の特産品として生産開始から7年目を迎えた山ぶどうワイン。ワインを文化として地域に定着させようと、関係者でつくる「中央アルプス山ぶどうの里づくり推進会議」は23日午後2時から、日本ソムリエ協会常務理事高野豊さんの講演会を村民会館で開く。
国内屈指のソムリエである高野さんは、山ぶどうワインを高く評価。宣伝活動にも積極的に協力している。
講演会ではワインにあう料理などを提案してもらう予定。
当日は村料理組合のほか、駒ケ根ホテル旅館組合、同食堂売店組合に参加を呼びかけてあり、地域食材の活用などもからめて、ワインを中心にした新たな地域活性化も模索する。
入場は無料で誰でも参加可能。問い合わせは村産業課85・5864まで。 -
宮田村の山ぶどうワイン04年産樽熟成「紫輝」が完成
宮田村の特産品山ぶどうワイン「紫輝」(しき)の04年産樽熟成タイプの完成発表会が11日、醸造する村内の本坊酒造信州工場で開かれた。駆けつけた日本ソムリエ協会常務理事の高野豊さんは「ブドウの良さが分かる。将来性のあるワイン」と好評価。上伊那各地の酒販店で882本限定で発売するが、村内ではワイン文化をさらに定着させようと新たな動きも出ている。
昨年秋に収獲した山ぶどうを7カ月間、3種類のオーク樽で熟成。例年よりも寝かす期間を1カ月ほど伸ばすなど、改良も施した。
藤野公宏工場長は「従来に比べ酸味と渋みが増し、樽の香りもついて本格的に仕上がった」と説明する。
発表会には村内14戸の栽培農家、村、商工会、農協などの関係者約30人が出席。全員で試飲したが「最高」と、栽培農家も納得の表情を浮かべた。
山ぶどうワインにかねてから関心を寄せている高野さんは「将来を見据えて、村全体にワイン文化を定着させることが大切」とも呼びかけた。
関係者でつくる中央アルプス山ぶどうの里づくり推進会議は23日、高野さんを村民会館に招き、料理を組み合わせたワインの楽しみ方の講演会を開く。
村飲食店組合に参加を呼びかけたほか、一般の参加も自由。同会議事務局の村産業課は「地域食材の活用なども提案してもらい、ワイン文化を定着させたい」と期待を寄せる。
樽熟成の価格は1本2625円(税込み)。講演会は午後2時からで参加無料。問い合わせは村産業課85・5864、本坊酒造85・4633まで。 -
地域の特産品を収穫・活用体験
JA上伊那による親子を対象とした地域の特産品収穫体験ツアー「わくわくカミーちゃん農園」の第1回目が7日、伊那市内であった。23組77人の親子連れが参加。振興品目の超重点品目に指定しているブルーベリーの収穫や、地元米を使った約15メートルの巻きずしづくりを体験して楽しんだ。
特産品と、それを支える農家について理解を深めてもらおう窶狽ニの初めての試み。西箕輪の農業公園「みはらしファーム」などでブルーベリー、スイートコーンを収穫、試食し、スイートコーンの皮を使った人形作りも体験した。
人形は、丸めたティッシュに乾燥させた皮を巻き、かわいらしく製作。会場には親子の笑い声が飛び交った。
家族で参加した西春近赤木の武田美紀さん(30)は、みはらしファームで収穫したブルーベリーが5種類あることにびっくり。「普段勤めているので、子供と接する時間もなく、よい機会になった」と感想を話していた。
本年度は3回を予定。10月はリンゴなどの果実、12月はきのこなどを収穫する。 -
農業委員会が総会
伊那市農業委員会の総会が9日、市役所であった。任期満了に伴う選挙後、初の総会で、委員28人が出席。会長に平沢信助さん=西春近=を選んだ。
小坂市長は、農業情勢の厳しさに触れ「これから高冷地は有利な展開になるといわれる。ブドウや花などの特性を生かした農業をしていけば、道は開かれると思う」と述べ「任務は多方面にわたるが、守りでなく攻めの農業委員であってほしい」と活躍に期待した。
平沢会長は、来春の高遠町・長谷村との合併を控え、役割の重さを感じていた。
任期は、3市町村の合併協議会で、合併後1年間は引き続き、新市の農業委員として在任することが確認されている。
18日には研修会を開き、農業委員制度や業務などの説明を受ける。 -
大芝水耕栽培メロン「アールス雅」出荷始まる
南箕輪村の大芝水耕生産組合(3人、武村淳一組合長)が栽培するメロン「アールス雅」の出荷が8日、始まった。
この日、メロンの糖度調査をし、一番いいもので糖度15度。秀品の基準が14度以上なので、甘みがありいい状態に生育している。武村組合長は、「今年は梅雨が短かったので、表面のネットがきれいに入った。玉のびもいい」と話している。
ゴールデンウィーク後に約8千本の苗を定植。5棟のハウスで栽培してきた。2棟がお盆にかけて収穫適期で、地元の直売所などに贈答用などお盆時期の需要向けに出荷。残り3棟は9月初旬ころまで順に収穫するという。
1玉売りは800円くらいから、贈答用は2玉入り3千円くらいから。地元のほか名古屋方面にも出荷する。 -
大阿原湿原の遊歩道を上農生が整備
貴重な動植物が生息する長谷村大阿原湿原の整備を通して、自然の大切さや仕組みを理解しよう窶狽ニ4日、上伊那農業高校緑地工学科の生徒37人が湿原内の遊歩道などの整備をした=写真。
夏休みを利用して生徒に実際のフィールドを体験してもらうことを目的に、湿原を管理する南信森林管理署の協力を得た実習で2年目。
管理署職員が大阿原湿原や、これまでの保全活動などを説明。久保田廣署長は「地元の素晴らしい名所を後々に残し、トレッキングに来る人が安心して見学できるよう作業に取り組んでほしい」と話した。
生徒らは班に分かれて老朽化した木道の取り換えや、遊歩道脇に張ったロープの張り直し作業に取り組んだ。
高層湿原としては本州最南端にある大阿原湿原は、約12ヘクタールの広さ。食虫植物のモウセンゴケなど、貴重な植物も多く生息する。 -
土づくり事業でたい肥散布機導入
箕輪町営農センターは5日、地域農産物の「箕輪ブランド」づくりの足がかりとして有機たい肥利用の促進と普及を図る土づくり事業で、たい肥散布機を購入し役場駐車場で入魂式をした。
町は、05年度を「土づくり元年」と位置付け有機たい肥を使った土づくりに取り組んでいる。今年2月、「たい肥銀行箕輪町支店」も設立して、有機農業を推進し、町内でのたい肥循環を目指すとともに、有機たい肥を使った安全安心の農産物を生産し高付加価値を付けた「箕輪ブランド」につなげる考え。
営農センターが町の全額補助を受け、自走式のたい肥散布機を購入。最大積載量は600キロ。秋の収穫を終えたころ、農家への貸し出しを始める予定。
たい肥散布はこれまで、果樹園やハウスでは手散布しかできず、施肥していないケースもあるという。営農センターは、今回の散布機導入により、土づくりの推進と散布労力の軽減に期待している。
農家に貸し出すたい肥散布機 -
伊那小冬組JAの直売所で手作り野菜を販売
伊那小学校2年冬組(浦野博教諭)の生徒51人が学校の畑で作ったトマトやナス、キュウリなど、約17種類の野菜が、伊那市荒井区室町のAコープ伊那店の直売コーナーで販売されている。
子どもたちの要望もあり、興味があった野菜づくりをしてきた冬組だが、思いのほか苗の購入に費用がかかったため「せめて苗代だけでも」と、作った野菜を売ってみることになった。
作った野菜に値段を付けるため、町の直売所へ価格調査に出掛けた時、Aコープ伊那店の小澤勝治郎店長が「たくさんできたら売ってあげるよ」と声をかけてくれたため、同店直売コーナーの一角で野菜を売り出すことに決めた。
野菜は当番が交代で収穫し、店に出荷する。中には自分の家から注文を取ってきて、野菜を売る子どももおり、自分たちの野菜をおいしく食べてもらうことへの喜びも実感しているという。
野菜は夏休みいっぱい店頭に並ぶ予定で、新学期が始まってからは、町へ売りに出ることも計画中だという。
野菜を出荷する子どもたち -
上農生の体験実習を先進農家が受入れ
上伊那農業普及センターが主催する、高校生が対象の「先進農家体験実習」の受入れ式が3日、県伊那合同庁舎であり、上農の生徒6人が受入れ先の4軒の農家と対面。あいさつの後、各農家に散って実習に入った。
郊外実習の一環として毎年行われている。先進的な農家の経営や生活を通じて、農業者としての自覚と農業に対する意欲の高揚を図る。
この日生徒を受入れたのは、花き栽培の入江浩平さん(伊那市)、水稲の有機栽培をする中坪宏明さん(駒ヶ根市)、花きや野菜など複合経営の大沼昌弘さん(駒ヶ根市)、果樹などを作る富永和明さん(中川村)。
峯村きぬ子普及センター所長が、(1)あいさつと返事、解らないことは聞くという学ぶ姿勢、(2)健康の自己管理窶狽フ2つを心がけてと激励すると、生徒は「短い時間だが精一杯多くのことを学びたい」などと口々に答えた。
05年度の受入れは上農がほかに7人、富士見高1人、下農1人、南安曇農3人で、合計18人。1縲・週間の体験実習をする。
自己紹介とあいさつをする上農生 -
入笠牧場を体験しよう
普段あまりなじみのない畜産を身近に感じてもらおう窶狽ニ3日、高遠町の入笠牧場で、放牧中の牛を観察したり触れたりする体験イベントが、入笠牧場であった。
県の主催。小学校高学年の児童を対象に諏訪地区、上伊那地区合同で3回目。今年は約20人が参加。子どもたちは牛の衛生検査を見学し、そのようすを写生した。
上伊那農業高校の生徒たちによる青空教室もあった。上農の生徒は、牛の食性や肉用牛と乳用牛の違いなどを分かりやすく説明。「牛は人間が消化できない麦やワラを消化して、ミルクや肉など、人間が食べられるものに変えてくれる。そのため、人間と牛は案外古くからつながりがある」と話し、子どもたちは真剣に聞いた。
初めて牛に触れるという子どももいて「温かい」と、実感していた。 -
JA上伊那酪農部会北部支部家族交流会
JA上伊那酪農部会北部支部(窪田俊男支部長)の家族交流会は2日、箕輪町のながた自然公園であった。毎年恒例の交流会で、マレットゴルフと焼肉で親ぼくを深めた。
18家族45人が参加。マレットゴルフ場では家族単位や仲間とグループになって18ホールを回った。孫との参加もあり、おじいちゃんが上り坂のコースを1打で見事にグリーンに乗せたり、初心者の孫の手をとって教えて上げる微笑ましい姿もあった。林間には「入れ、入れ」「すごーい」と楽しそうな歓声が響いていた。
豪華賞品のほか、栄養をつけてもらおうとJA上伊那の「カミーちゃんたまご」を参加賞に配った。
さわやかな汗をかいた後は、焼肉パーティー。暑い夏を乗り切ろうと、もりもり肉を食べ、会話も弾んでいた。 -
リンゴオーナー契約会
宮田村とJA上伊那は31日、今年で12年目となるリンゴオーナー契約会を村内各地の農園で行った。主に中京方面から訪れた契約者らは「この辺りは日当たりが良さそうだ」「この木は実が大きいぞ」などと家族で話し合いながらリンゴ園内を歩き、ようやく気に入った木を決めると家族の名前を書いた名札を枝にぶら下げ、代わる代わる記念写真を撮ったりしていた=写真。
名古屋市から来たという家族連れは「ここのリンゴは味が良いので気に入ってもう5年も来ている。年によって出来に差があるのは自然相手だから仕方ない。天候にはらはらするのもまた楽しみのうちですよ」と笑顔で話していた。
リンゴ園主らによると、春先の凍霜害で大きな被害を受けた昨年と比べ、今年の生育状況はほぼ順調だという。「あとは収穫前に大きな台風が来ないでくれたらね」と話す。
契約者らはそれぞれ「我が家」の木を選んだ後はスイートコーンやアスパラなどの収穫体験を楽しんでいた。 -
たかずや森林塾で薫製作り
森林再生を目指す伊那市の「高烏谷森林塾」(六波羅和広代表)は30、31日、高烏谷鉱泉近くの「じょんのびの森」で薫製・たき火料理に挑戦した。
森林塾は、山の実態を知った上で、チェーンソーの使い方、間伐・枝打ち、作業の安全管理など「山仕事師」の技を学ぶもの。その一環として、今回は間伐材の利用法をテーマに取り上げた。
薫製にはイカ、カツオ、レバー、チーズ、鶏のささみ、豆腐など8種類の材料を用意。
これまで活動に参加してきた男性4人が参加し、それぞれダンボール箱で薫煙箱を作った。かまどで火を起こし、薫煙箱に設けた金網に材料を乗せ、桜やクルミ、リンゴなどのチップでいぶした。チップによって「甘味とソフトな香り」など特徴があり、1時間弱から4時間ほどかけてじっくりと仕上げた。
昨年の経験を生かし、事前に塩づけ、塩抜き、風乾の下準備をしたこともあってか「臭みがなく、うまみのある深い味」に完成。
酒も進み「いかに多くの人に山仕事を理解してもらうか」など森林談義で盛り上がった。
森林整備に10回以上、訪れているという佐藤博久さん(47)=東京都=は「手入れが行き届かない山が整備によってきれいになっていくのは気持ちがいい」と話していた。 -
消費者と生産者が共に観察、生き物環境調査
身近な農地の生物調査を通じて、農業と自然環境を検証する飯島町の「生き物環境調査」が24日、生活クラブ生協・東京の環境調査ツア一行50人(大人31人、子ども19人)を迎え、アグリネーチャーいいじまや町内の約20カ所の農地、ビオトープなどで行われた。
生産者と消費者が一緒に生物観察し、交流を深めながら、農産物の信頼性の確立を図る同調査は4回目。
環境保全と農産物生産を一体的にとらえた飯島町の「1000ヘクタールの自然共生農場づくり」を推進する営農組合員ら42人が生産者の立場で参加。フィールドミュージアムいいじま研究所や日本獣医畜産大学の指導で進められた。
アグリネーチャーいいじまで町の概要、調査方法の説明を受けた参加者は、9班に分かれ、生産者の案内で、田んぼや水路、果樹園、ビオトープに移動した。
観察場所では、生産者から農業について説明を受けた後、目を閉じて、音を聞き、においをかぎ、水温、気温を測るなど、周囲の環境を調査したり、水路や畦、田んぼの中の生き物を捕獲して調べた。
このうち、アグリネーチャー内のビオトープでは、川のせせらぎ、ミンミンゼミ、ヒグラシなどセミの声に耳を澄まし、草の匂いをかいだ。水路のセリの中からアゲハチョウの幼虫、ヒメマイガイ、ホウネンエビに似たエビ、オケラなどを見つけた。
生活クラブ生協の鈴木礼子理事は「飯島町は先駆的に自然共生農業に取り組んでいる。顔の見える交流、すばらしい自然環境を実感したい」と話していた。 -
リンゴオーナー開園祭
自分が気に入ったリンゴの木のオーナーとして収穫を体験する、上伊那農業協同組合のリンゴオーナー制度の開園祭が24日、伊那市や南箕輪村、箕輪町などの各リンゴ園で行われた。県内外から多くの参加者が訪れ、木を真剣に品定めしつつ、オーナーとなる木に名札をつるした。
収穫体験を通して、信州リンゴや農業への理解を深めてもらおう窶狽ニ、JA上伊那が行っているこの制度。申し込みのほとんどは、インターネットや新聞広告、知人を通して制度を知った県外者だという。
伊那市西箕輪の原農園も、この日開園祭を迎えた。園主の原伊一さんは「安全で安心な農産物の収穫を消費者に体験してほしい」と、今年から木の貸し出しを始めた。オーナーには東海地方や関東地方などから13件の申し込みがあった。オーナーの一人、静岡県の落合清さんは、この制度のの常連。今年は違った園も見てみたい窶狽ニ、原さんの農園に申し込んだ。孫を連れて訪れる収穫が、何よりの楽しみだという。
収穫は11月ころ。 -
長谷村農業委員会
長谷村役場で22日、今年度初めての農業委員会が開かれ、これからの活動を確認したほか、会長に非持の有賀肇氏を選出した。
同委員会は、村集落営農協議会の方向性や農業基盤整備、担い手育成、長谷村の特色を生かした農業経営方式などの確立を目指し、村内農業基盤強化と存続に努めていく。
宮下村長は「長谷村は基盤整備がほぼ終了し、次の農業のあり方を考える時期にきている。次世代へどのように引き継いでいくか課題はあるものの、共同体の中で、大型機械導入が可能となってきており、農業への過剰投資が改善しつつある。一方販売面は、道の駅などが賑わいを見せる反面、長谷の顔が見える販売物の取り扱いが少ないため、村らしい特産品づくりも模索していきたい」と話した。 -
改選後初の宮田村農業委員会
改選した宮田村農業委員会は任期初日の20日、役場で開き、小田切信樹さん=南割区=を会長に再任。営農組合の設立など村内農業は重要な時を迎えているが「営農組織をしっかりと整備し、担い手育成を大きな課題として取り組みたい」とあいさつした。<br> 前回は投票で会長を決めたが、「営農組合の立ち上げ最中で、引き続き続投してもらいたい」と小田切さんの選任で全会一致した。<br> 会長代理も引き続き保科充さん=町2区=を選出。農地部会長は浦野正喜さん=北割区=、振興部会長は田中一男さん=大田切区=を選んだ。<br> 村は営農組合設立を目指しているが、準備段階で難航。村内農業の転換期を迎えている。役員任期は農業委員の任期と同じ3年。<br> 委員会の各部会構成は次の通り。<br> 【農地部会】新谷清人、小松芳美、浦野正喜、芦部周三、小田切武雄、保科充<br> 【振興部会】小田切信樹、田中賢一、原田博安、田中一男、樋屋喜代美、有賀絹代
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濡れた畦にひざまずいて
毎朝、田んぼの水を見てまわる時には、100ミリのマクロレンズをつけたカメラを持っていく。手ぶらで歩いている時よりも、カメラを持つだけで見えてくる生き物の数が格段に増える。それほど意識はしていなくても、普段より積極的に被写体を探しているのだろう。
稲の葉にとまる羽化したばかりのピカピカのアキアカネがまず目に入る。視線を落とすと、これから羽化するヤゴが茎を登っている。ウキクサの上でじっとしている、まだ尻尾の残る幼いアマガエルと目が合う。背中いっぱいに卵を産み付けられたコオイムシのオスが急いで水中に逃げ込む。イネミズゾウムシがスイスイと泳いでいる。
気が付くと、僕は朝露でぐっしょりと濡れた畔にひざまずき、虫たちに謝っているような格好をしている。田んぼの生き物を見る正しい姿勢は、きっとこの謙虚な姿勢に違いない。
そうして田んぼを覗いていると、生き物たちが語りだす。アシナガグモの巣に引っ掛った羽化したばかりのオツネントンボが「助けてー」と叫んでいる。クモは久しぶりの食事にありつけるうれしさでそわそわして、巣の端から端を行ったり来たり。水面から太ったトノサマガエルが顔を出し、退屈そうに大あくび。いつの間にか、生き物を擬人化して見ている自分に気がつく。
大好きな宮沢賢治の「やまなし」の世界が目の前にある。彼はサワガニを擬人化し、さらにカニの川底からの視線で物語を作った。水面に突き刺すカワセミの鋭い嘴の描写は、川岸でぽつんとひとり、カニに謝る姿勢でいる賢治の姿を連想させる。
「やまなし」は「小さな谷川の底を写した2枚の青い幻燈」の物語。たった2枚の写真から、あんなに素適な言葉が生まれる。そんな写真が撮りたくて、田んぼでシャッターを押している。
田んぼからは米だけが生まれてくるのではない。生き物はもちろん、物語も生まれてくる場所なのだ。 -
森守、伊那谷賃挽き隊開催
「伊那谷賃挽き隊」として伊那市内の森林整備を請け負う任意団体「森林創生ボランティア 森守」は18日、昨年の森林整備で生じた間伐材の製材・販売をした。
各イベントなどで間伐材の製材を安く提供する森守だが、賃挽き隊としての販売は今年で2回目。
木材は昨年秋から冬に、同地区で間伐したアカマツやカラマツ、スギなどで、買い求める人の用途に応じて柱や板に製材する。日曜大工などに重宝する地域木材が安値で買えるとあって、地域住民などを中心に、朝からさまざまな人が製材を買い求めた。
森守は昨年、約2ヘクタールの森林整備に着手。いまだ不十分な所もあるというが、整備前に比べると、森林全体が明るくなり、多くの植物に日光が行き届くようになったという。地域住民の理解が得られてきた最近は、ほかの森林所有者から整備依頼を請けることも増えている。
##(写真よこ)
##(了) -
「おーい、山へ行こうよ」
KOA森林塾10周年記念出版KOA(本社・伊那市、向山孝一社長)が主催するKOA森林塾が10周年を迎え、10年をふり返る記念書籍「おーい、山へ行こうよ」を出版。企画・KOA森林塾、編者・宮下武久、発行・伊那毎日新聞社。
KOA森林塾は、他に類例のない電子部品メーカーが主催する山造り教室として諸方面から注目され、開塾10年のうちに多士済済が塾生として修業。卒業生の中には、そのまま伊那谷などでの山仕事に就いたり、各地で山造りの催しを開催するなど活躍する人が多い。
本書は4章仕立て。1章は、同塾事務局が発行する「森林塾通信」に寄せられた塾生のエッセイをまとめたもの。どんな人物が、何をめざしてこの塾の門を叩いたかが興味深い。
2章は、KOA森林塾の看板講師の1人である島崎洋路元信州大学教授と、同塾に関わった山荘ミルクの向山美絵子さん、森林をテーマにした執筆活動を行う浜田久美子さん窶狽フ3人の鼎談。
3章は、卒業生が現在考え・活動していることの報告。KOA森林塾が日本の林業を取り巻く状況に何を投げかけたか、を卒業生が語る。
4章は、同塾のもう1人の看板講師、長谷村在住の林業家・保科孫恵さんが進めてきた長谷村での山造りのレポートである。
「10年をふり返る目的で編みましたが、時系列で10年の出来事を記述したものではないのいで、どこから読んでいただいてもかまいません」と、編者の宮下武久氏は述べている。
A5判 324頁 定価1800円+税。問い合わせは伊那毎日新聞社まで -
天竜川で友釣り50年
南箕輪村 有賀章治さん(57)「俺はしんにょうのつく方のメイジンだよ」
伊那市内の天竜川で笑いながら話す。スポーティなフィッシングスーツに身を固めた姿は、一見10歳ほど若く見える。真っ黒に陽に焼けた顔が印象的だ。<br> 南箕輪村生まれ。小学校低学年の頃から、隣りに住んでいた「本物の名人」に連れられ、アユの友釣りを始めた。以来約50年。南箕輪村から伊那市中央区の大橋付近までをホームグラウンドにして、毎年アユを追いつづけてきた。今では近隣のアユ釣師のリーダー役だ。<br> 7月1日解禁、秋口までのシーズンで、約20縲・0日位は川に来る。「なんだ仕事してないのかと言われちゃうよ」と笑うが、本業は船舶用のターボチャージャーを造るみのわ精工の社長。多忙な毎日の中で時間を工面して土日のアユ釣りの時間を確保しているのだという。<br> 友釣りは、周りに針を配した「おとり」のアユを、岩陰や淵にそっと送り込み、「おとり」に体をぶつけてくるアユを引っ掛ける。水中にテリトリー(縄張り)を持ち、それを侵犯する他のアユを追い出す窶狽ニいうアユの習性を利用した、世界でも他に類例を見ない釣りだ。<br> 「親(おとりのこと)をテリトリーに入れる時の駆け引き。掛かった時の強い引き。この爽快感は1回やれば止められないよ。人を流れに引き込むほどの強い引きをする淡水魚はアユだけだと思うな」<br> 今までの最大の釣果は1日100匹以上。<br> 1970年頃に、諏訪湖からアオコが大量に流れ出し、天竜川の川底がヘドロで埋められた時期があった。「もう天竜のアユはおしまいだ」と感じ、岐阜県にまで釣り場を求めて出かけたこともあったという。<br> 「でも、やっぱりホームグラウンドは天竜川なんだよ。あの頃に比べれば雲泥の差ほど川は綺麗になった。でも、俺が始めた頃の綺麗さから比べればまだまださぁ」<br> 川の汚れは釣り人の減少として如実に現れているという。特に、若い世代でアユ釣りを始める人が極端に少なくなっている。<br> 「川が綺麗だと、釣りをする人が増え、その家族が川に集まる。それで、ますます川を綺麗にしようという気運が広がると思うんだよ」。そういう循環がこれから始まっていけばと願っている。<br> 釣り好きが昂じて、釣りの道具作りにもはまっている。腰につけたタモ(魚をすくう網)は、取っ手の部分を鹿の角で作ったお気に入りの逸品。掛けたアユを入れ、流れに浮かべる「曳舟」という道具も自分で作った。釣り仲間にも色々とプレゼントしている。<br> 「休みといえば、夏場は川に出っ放し。冬場は日がな一日道具作り。女房は、随分前に呆れ返って、もう何も言ってくれないよ」<br> 水面からはね返った光が、キラキラと笑顔を照らした。<br>