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【新春記者室】全力でスタートを切る
昨年の11月20日、県縦断駅伝大会で上伊那チームが3年ぶりの総合優勝を手にした。
上伊那の沿道は、他の地域と比べても多くの観客が集まっていた。地域に根付く・ス駅伝熱・スを確認した瞬間だった。大会を終えた選手らに話を聞くと「走っているときの応援が励みになった」との感想が多かった。誰かに支えられ、期待に応えられる喜びの意味が少し分かった気がした。 伊那毎日新聞社も50年間、地域に愛されて走ってきた。特に地域紙というのは記者と住民との距離は身近で、「この前の取材ありがとう」との一言に励まされることは多い。
新年を迎え新たなスタートラインに着く。自分への・ス甘え・スは捨てて、周囲の期待に応えられるよう全力で走り出そう(布袋記者) -
【年男年女】伊那市駅前交番所巡査 森下千史さん(23)
「テレビドラマの踊る大捜査線に出てくる女性警官のようなイメージ。警察官の仕事って男女平等で、女性でもバリバリ働けるところがすてき」と、ハキハキとした口調。
松本市生まれの一人っ子。山梨県の大学で法学を学び、「法律も使えて、体を動かせる仕事」に就こうと、04年10月採用に合格。県警察学校で半年間、心身共に鍛えた後、伊那署に配属された。
交番の仕事は交通事故、万引き、道案内など、「毎日色んな事件が起きて同じ日はない」というくらい大忙し。しかし、地域住民とふれあう機会も多く、相談に訪れた人からの感謝の言葉も身近でうれしいという。
「形式的には1人前の警察官と言われますが、まだまだ未熟で半人前です。ようやく仕事もほんの少し分かってきた状態。今年は私にしかできない、任せてもらえる仕事をしたい」と、少し照れ笑いで意気込みを語る。
趣味はドライブと温泉巡り。伊那署管内の日帰り温泉施設は制覇し、銭湯にもいくというおふろ好き。 -
【新春記者室】日常に埋もれた大切な意味の見直しを
冬は閑散とするが、正月は別。門松や生け花で世間は華やぎ、新年の喜びがあふれる。
しかし、生け花を習わない女性が増加したことに伴い、正月に花を生ける家庭も減少しているという。
確かに現代女性の関心事と比べ、生け花の実用性は低いかもしれない。しかし、生け花やお茶など「もてなし文化」を引き継いできた日本女性は「人を喜ばせる」ための、ささやかな心配りや優しさも大切に引き継いできたのだと思う。そんな伝統が、実用性の陰に隠れてしまうのは切ない。
習慣化・日常化する中で、大切な思いが忘れられがちな出来事はたくさんある。だからこそ「どうしてそれが生まれたのか」に目を向け、大切な思いを伝えていきたい。 -
【年男年女】上伊那圏域障害者総合支援センター療育コーディネーター
駒ヶ根市下平 小宮山紀道さん(47)人間相手の仕事だから思いの行き違いがないようにしなくてはならないのは大変。でも、それぞれの個性があるのは面白い竏秩B
長野市から伊那市へ赴任して3年。知的障害などを持つ子ども、保護者の不安や悩みと向き合い、子育て支援をしている。
本当は自分が思っている以上に高い能力があり、一人暮らしもできるのに、施設で暮らすことを望む人もいる。「あなたの人生もっと開けているよ」ということを伝えたい竏秩B地域での生活支援を進めるのにはそんな思いがある。
障害者の地域移行は進んでいる。しかし実際には、知的、精神障害者が、自分の声を外へ発信していくことは難しく、本当に地域の中で主体的に暮らせているかは疑問。だからこそ自分たちがその声を拾い、外へと伝える手助けをすることも必要竏窒サう感じている。
「障害を持った人でも普通に働いたり生活でき、手の届かないところだけ支援する。そんな社会になってほしい」。 -
【新年記者室】隠れたドラマを発掘する一年に
「元旦イチゴ狩り」は、伊那みはらしいちご園が開園以来続けてきた目玉の一つ。今年も新年から多くの人でにぎわった。
その園を運営する羽広いちご生産組合は昨年、設立10周年を迎え、記念式典を開催。「手探り状態からスタートした。ここまでくるのは大変だったが、もう10年経ったのかとも感じる」と語られる中、涙をぬぐう生産者の姿が印象的だった。
みな農家だったが、イチゴ栽培は初めて。それまでは客商売もしたことがなかったため、接客にも苦労した。時には客から注意されながら試行錯誤を重ねた10年竏秩Bその涙が、この10年にさまざまなドラマがあったことをを物語った。
今年は一つひとつの出来事が秘めた多くのドラマを伝えたい。
(伊藤 愛子) -
新春年女、吉川さん
「コロコロして丈夫、好き嫌いがなく誰とでも仲良くできる。悪く言えば八方美人」と戌(いぬ)年の性格を分析する。
子どものころ、犬に追いかけられ、犬嫌いになったが、婚家で犬を飼っていたため「世話をしているうちに、まあまあ、お付き合いでできるようになった」とか。
飯島町に生まれ、地元の高校卒業後、母に「地元にいてほしい」と懇願され、飯島町役場の事務吏員に、住民課窓口が振り出し。「住民と直接触れ合う職場で、色々な人が来て、時には大きな声を出す人もいた」とか。商工観光課では千人塚のスケート場づくりにも携わった。「水を撒いた夜、凍みが強いと、いいリンクができるとうれしかった」。
企画財政課の花機構事務局も担当。「飯島町には花愛好者や花き生産者が多いことに驚いた。盆花市では、裏方の苦労も体験し、いい勉強になった」と振り返る。
01年から教育委員会に。社会教育係として「少子化が進み、自立のまちづくりの中で、子育て支援はどうあるべきかが問われている。お金を掛けずに子どもにも親のためにもなる支援とはなにか、模索している。公民館は生涯学習のし掛け人、多くの人に公民館の活動を知ってもらい、利用し、それぞれのスキルアップに役立ててほしい」と願う。
夫と子ども2人、義母の5人暮らし -
駒ケ根市役所保健福祉課介護支援係長
中坪美智子さん(47)「介護保険法の改正で制度が変わるため、今年はとても忙しくなりそうです」改正法では要介護1など軽度認定者の自立支援や、地域特性に応じた柔軟なサービスを提供するため、各市町村が「地域包括支援センター」を新たに設置することが定められている。駒ケ根市では2カ所設置の方向で検討されているが、立場上その運営には中心的にかかわることになりそうだ。「まだ制度の詳しいことが決まっていないけれど、行き当たりばったりでなく一歩進んだビジョンを持って、介護事業者との連携なども考えながらできるだけ良い形にしていきたいと思っています」
1981年に保健師として市職員に採用されて以来、一貫して保健福祉行政に携わってきた。介護保険法が施行されてからは介護についても多くの相談を受けたり調査をしたりしてきた。「家族が病気などで倒れて奥さんが介護している様子などを見ると本当に何とかしてあげたいと思います。あまり多くのことはできないけれど、仕事でかかわった人が町で会った時に気軽に声を掛けてくれたり相談してくれたりすると、こんな私でも当てにしてもらっているのかと思えてうれしいですね」
仕事は人に任せるより自分でやってしまうことが多くて困ったもの竏窒ニ辛口の自己評価を下すが、その穏やかで温かい人柄は多くの人に慕われている。
「介護の現場をいろいろと見てきただけに、自分の家族を含めて誰もが健康で元気でいてほしいというのが最大の願いですね。今年は仕事の面では多分大変な状況になると思うけれど、全力投球で頑張ります」 -
【新年特集・年男年女】保育士・秋山栄美さん
地元の高遠高校に通い、諏訪市の県福祉大学を卒業後、中学のころから夢を抱いていた念願の保育士となった。高遠町の第四保育園に1年間勤務し、現在は第一保育園で3歳未満児の担任を務める。
栄美先生竏秩B子どもたちに初めてそう呼ばれ、「くすぐったい感じ」で、うれしさの半面照れ臭かったことをよく覚えている。
「子どもたちの笑顔や日々成長していく姿を見れると、すごく仕事にやりがいを感じるし、幸せな気分になるんですよ」
教育する立場として、悪ふざけをする子どもたちに注意することも大切だが、実はしかることが大の苦手。温厚な性格だけに、注意したつもりでも、子どもたちの心には響かないこともしばしば。
「未満児クラスは複数担任のため、他の先生方との差があってはよくないんです。だから、先生方に注意を受けることもあります」 保育士としての自覚を再認識する。
「保護者に対して、子育てのサポートができるような保育士に成長していきたい」と今後の目標を掲げ、目を輝かせる。 -
上伊那で唯一 新伊那市が誕生
3月31日、伊那市・高遠町・長谷村が合併し、新「伊那市」が誕生する。上伊那では唯一の合併で、中核都市としての新たな一歩を踏み出す。地域の特色をそれぞれ生かした「住民主体」のまちづくりを進めることができるのか、注目される。
伊那市の産業、高遠町の観光・歴史、長谷村の雄大な自然。三峰川を中心とし、中央アルプス・南アルプスに抱かれる新「伊那市」の人口は7万4千人。面積668平方キロメートルで、県内3番目の広さとなる。
新市の将来像は「二つのアルプスに抱かれた自然共生都市竏註lと歴史と文化を育(はぐく)む、活力と交流の美しいまち」。
主要施策に▽行財政改革の推進▽農林商工業の振興▽自然環境の保全▽保健・医療の充実▽地域資源を生かした観光の振興竏窒ネどが盛り込まれる。
まちづくりのキーポイントとなるのは、地域自治区。
伊那市の地方自治法による地域自治区は、地域住民と行政の協働で、住民の意見を行政に反映させ、地域自治の推進を図るもの。市地域自治区条例を制定後、現市の旧町村単位7地区に設ける。
市地域自治区検討委員会の答申で、地域自治区に置く地域協議会の役割に、住民・諸団体などの意見を集約・調整し、住民と行政の協働によるまちづくりを推進することをうたい、計画段階から住民が参画することを挙げた。
説明会は7地区で開く予定だが、日程は未定。条例制定は早くて、新市誕生後の市議会6月定例会。準備を整え、10月ぐらいに立ち上げたいとする。
現在、西春近地区などに地域の課題解決などのために設けた任意の協議会組織があり、市総務課地域自治担当は、地域の実情に合わせた運営ができるよう「合併を機に、地域を見直し、地域でできることは主体的に取り組んでほしい」と話す。
一方、高遠町・長谷村の地域自治区は合併特例法に基づくもので、16年まで10年以内の期間で設置される。それぞれ常勤特別職の地域自治区長(総合支所長)を置き、その下に地域協議会を設ける。委員は公共的団体代表者、識見者ら15人以内で、その地域の重要な事項について、あらかじめ意見を聞くことになっている。
04年10月の合併協の住民意識調査(一般)の結果で、町村住民が心配する点として「区域が広くなり、きめ細かなサービスが受けにくくなる」「中心地域と周辺地域で格差が生じる」などが上位を占めた。
地域協議会では「その不安に対し、住民の声を届け、市政に反映できることが重点となる」(町)、「地域の振興を考え、提案していく」(村)と誇りある地域づくりの形を考える。
委員は新市長が委嘱するため、具体的な委員や運営方法などは煮詰まっていない段階。
町村とも、2月に地域自治区を含めて住民説明会を地区単位で開く予定。
00年に発足し、地域住民を巻き込みながら、帰化植物アレチウリ駆除大作戦をはじめ、三峰川みらいフォーラム、源流探検などの事業を展開する市民団体「三峰川みらい会議」。
織井秀夫代表は、住民と行政との協働のポイントを「地域の愛着心はもちろんだが、住民サイドから行政に投げかけることが地域づくりにつながる」と参加型の重要性を挙げる。住民サイドから提案することで、行政は住民ニーズを把握し、行動することができる。「ただ行政にお願いすればいいという考えでは、うまくいかない。川を一つ取ってみても、環境を享受するのも、危害を受けるのも、そこに住む住民。自分たちでできることは手を出す」と話す。
「合併してよかった」と思えるまちづくりへ。住民が新しいまちを作るという夢を持ち、知恵を出し合いながら新市発展につなげる。
■地域の一体感
通勤、通学、買い物、医療機関の利用など生活のさまざまな場面で結びつきを持っている。
合併協は昨年、新市誕生に向け、3市町村の住民同士の交流を図る「地域の魅力探訪ツアー」を企画。「新緑の中央アルプス周辺とつつじまつりツアー」「花の百名山!自然実感入笠ゃ間高原ハイキング」「南アルプスふるさと祭りと巫女淵紅葉満喫ツアー」など全10回(1回は台風のため中止)を組んだ。589人が参加。
アンケートから「自分の住んでいる近くでも、なかなか行けないところがあり、よかった」「もっと地域のことを勉強したい」「多くの人と知り合うことができた」などの感想が寄せられた。
「合併への気運が高まり、一定の成果はあった」と新市後も継続する予定。
また、新伊那市誕生を記念するイベントのアイデアを一般から募集した。市内外から99件の応募があり、1月中にも合併協幹事会で審査・選考して決定する。
内容は、中央アルプス・南アルプスを横断する駅伝・マラソンをはじめ、3市町村の魅力をみつめ直すかるた作り、映画の製作、物産展などバラエティーに富んだ。
開催期間は4月1日縲・7年3月31日。
選考後は、合併協議会だよりやホームページで発表する。 -
【新春特集・スポーツ】赤穂高校サッカー部
「唐沢監督を全国大会へ連れていきたい」竏秩B選手たちは直接告げることを恥ずかしがっているが、監督への信頼が言葉の端々にから溢れている。・ス上伊那初の全国出場・スを目標に、今日も練習場で選手たちが円陣を組み、気合の入った掛け声を響かせる。
主将の中田敏貴部長がけん引する部は現在、2年14人、1年7人、マネージャー3人の計24人。00年度に赴任して以来、唐沢陽司教諭が監督を務める。
昨年10月下旬、正月の全国高校サッカー選手権大会へつながる県大会で、同校初めての快挙となるベスト8に。上伊那で残った赤穂はベスト4を懸けた試合で強豪・松商学園と対戦した。全国常連校の壁は厚く大敗したが、チームの中心となっていた2年生は大きな経験を体に刻んだ。
3年生が去り、昨年11月上旬から新チームを構成。身体能力は唐沢監督時代の歴代の選手と比べても、よい人材がそろった。体の線は細いが、ゲーム展開は迫力がある。フォワードが中央にポジションを詰めると、サイドに空いたスペースへボールを送り、駆け上がったサイドハーフがチャンスメイク。ハーフからの飛び出しのスピードは他校からも定評がある。
しかし、選手らは実力を発揮できず、ゲームを支配しながらも県高校総体新人戦をベスト16で終える。唐沢監督は試合後、チャンスをつくりながらも、得点に生かせない決定力不足を指摘し、勝ちゲームを自ら負けゲームにしてしまう・ス精神的弱さ・スを課題にあげた。
唐沢監督によると、新人戦の地区、県大会では、相手の力を見ながら楽して勝とう竏窒ニいう戦いが目立ったという。自分たちの実力が劣って負けたのではなく、自分たちの弱さに負けたのだ。
冬の期間の練習が選手たちにとって正念場となる。「ゲームへの入り方、練習への入り方は同じ」(唐沢監督)。気持ちを引き締めて、手を抜かないことを心がけて取り組む。中田部長は「今のままだと(強豪チームとの戦いに)勝ち目はない。この冬で差が出てくる。他のチームより頑張れば勝ち抜ける」と気合が入っている。
唐沢監督が就任してから恒例となる、県外への遠征合宿。チームは・ス家族・スとなり同じ釜の飯を食べる。「学年を越えて仲良くなって、本来の力を発揮できるチームに。遠征はコミュニケーションをつくる場所でもある」との思いが込められている。
長い冬を越えて、新しい芽が出る春。チーム内のコミュニケーションも成熟し、精神的、肉体的にたくましく成長した選手らが、新たな歴史を刻む一歩を踏み出す。 -
井山大さん(23) 中川村
高校卒業後に選んだ仕事は「大工」。「始めたときより、余計おもしろくなってきている。こんないい仕事に出会えてラッキーでした」と話す。
進路を考えたとき、事務職より肉体労働が向いていると土木を職場体験。自分の手で道が出来るおもしろさを知った。教諭の紹介で大工の仕事も見学。アットホームな雰囲気にひかれ、大工の道へ進んだ。
仕事をしながら職業訓練校へ2年間通い、基礎技術を学んだ。自宅の建築、リフォーム、下水道の水回り工事など先輩の補助につく。
これまでかかわった家は10軒以上。完成して窓や床をふき、施主に引き渡す。喜ぶ顔を見ると「やってよかったとうれしくなる」。「仕事があるもんで、ほかのことも回る」と言い切るほど、やりがいを感じている。
仕事柄、さまざまな間取りを見る機会がある。「いつか自分の家を自分で建てたい」と夢を描く。
昨年7月、自身に活を入れるため、空手を始めた。4人暮らし。 -
県内企業の倒産整理状況まとまる
東京商工リサーチ・松本支店は、05年の県内企業倒産整理状況をまとめた。上伊那の大型倒産(負債総額5億円以上)は2件だった。
大型倒産したのは、伊那市の製材・木材販売「信州林産」(負債総額9億1千万円)、駒ケ根市のホームセンター「マルタ」(5億9千万円)。
12月分では、中川村片桐の管工事「たかはし設備工業」が販売不振、業績低迷のため倒産した。負債総額は6千万円。
年間(27日現在)の市郡別倒産データによると、伊那市4件・負債総額15億1500万円(前年比1件増・2億1500万円増)、駒ケ根市2件・6億5千万円(1件減・4億9千万円増)、上伊那郡2件・7500万円(7件減・47億6800万円減)だった。
県内の件数(負債総額1千万円以上)は147件、負債総額658億9200万円。大型倒産が相次いだ前年1001億7400万円に比べ、大幅に減少した。各企業が不況慣れで先行き需要低迷を意識した手堅い経営振りを見せた、一般消費にわずかながら回復の兆しが見え始めたことなどが影響したとみられる。しかし、技術力など優位性のない中小企業は価格競争が激化し、景気回復を実感する声は聞かれない。
地区別でみると、南信はほぼ横ばい。業態別では建設業が57件で、全体の38%を占め、製造業、小売業、サービス業などと続いた。原因は販売不振が6割以上。30年以上の企業の倒産が目立った。 -
祝・伊那 - 木曽権兵衛峠道路2月開通
木曽側7市町村首長に聞く【上】06年2月、伊那と木曽を結ぶ権兵衛峠道路が開通する。地図の上では境界を接しながら、峻厳な中央アルプスに隔てられ、何か遠い地域のように感じてきた木曽。そこに住む人々が、本年からすぐに行き来のできる隣人になる。
いったい、どんな町や村があり、どんな人が住んでいるのか?木曽郡の6町村と、権兵衛トンネルの反対側出口がある塩尻市(旧楢川村)の首長、合計7人に聞いた。 -
観光産業の今後の展望は
「アルプスがふたつ映えるまち」をキャッチフレーズに掲げる駒ケ根市は豊かな自然と歴史を核とした観光文化都市を目指している。しかし、観光目的で市を訪れる利用客の数は1992年の170万人をピークに年々緩やかな減少傾向にあり、近年は約130万縲・40万人前後で推移する頭打ちの状態が続いている。
伸び悩んでいる観光産業の現状を打開するきっかけにしようと市は05年、もてなしのまちづくり計画(観光振興基本計画)を策定した。製造業、農業、商業と並んで市の重要な産業となっている観光の今後の展望についてアンケートやワークショップなどを通じて探ったものだが、具体的な提案はいくつか示されているものの、将来に向けての明確な方向性を導き出すまでには至っていない。
市が擁する観光資源には中央アルプス駒ケ岳、家族旅行村、光前寺、早太郎温泉などのほか、キャンプ場、スキー場やゴルフ場などがある。いずれもそこそこの集客力を持ってはいるが、関東や中京など大都市圏での知名度はさほど高いとはいえず、さらなる集客アップのためには観光客を強力に引きつけるアピール戦略の充実が必須の課題だ。
権兵衛トンネルの開通で木曽谷とのアクセスルートが新たに開けることにより、利用客の増加が望める竏窒ニ期待する向きもあるが一方では、楽観的過ぎるとその効果を疑問視する人も多い。駒ケ根駅前商店街のある店主は「車で来た観光客はインターチェンジから上(西)に行くだけでこっちには来ない。うちには何の恩恵もないよ」とあきらめともいえる不満の声を漏らす。竜東地区に客を呼び込もうと建設されたシルクミュージアム、ふるさとの家などの集客力も今のところ期待を上回っているとは言い難い。
市町村合併が白紙となったことで市の財源見通しはさらに厳しいものになり、新たに大規模な観光資源の開発に乗り出す余力はありそうもない。ならばこそ、行政主導型でなく、地域を巻き込んだ民間参画型の新たな発想の登場が待望されている。地元が潤うためにはただ観光客を呼び集めるだけではなく、いかに財布のひもを緩めさせ、消費させるかが求められる。魅力的な特産品などの開発も含めた市民挙げての活動が今後の駒ケ根観光の行方を左右するだろう。 -
駒ケ根市役所保健福祉課介護支援係長
駒ケ根市下平
中坪美智子さん(47)「介護保険法の改正で制度が変わるため、今年はとても忙しくなりそうです」改正法では要介護1など軽度認定者の自立支援や、地域特性に応じた柔軟なサービスを提供するため、各市町村が「地域包括支援センター」を新たに設置することが定められている。駒ケ根市では2カ所設置の方向で検討されているが、立場上その運営には中心的にかかわることになりそうだ。「まだ制度の詳しいことが決まっていないけれど、行き当たりばったりでなく一歩進んだビジョンを持って、介護事業者との連携なども考えながらできるだけ良い形にしていきたいと思っています」
1981年に保健師として市職員に採用されて以来、一貫して保健福祉行政に携わってきた。介護保険法が施行されてからは介護についても多くの相談を受けたり調査をしたりしてきた。「家族が病気などで倒れて奥さんが介護している様子などを見ると本当に何とかしてあげたいと思います。あまり多くのことはできないけれど、仕事でかかわった人が町で会った時に気軽に声を掛けてくれたり相談してくれたりすると、こんな私でも当てにしてもらっているのかと思えてうれしいですね」
仕事は人に任せるより自分でやってしまうことが多くて困ったもの竏窒ニ辛口の自己評価を下すが、その穏やかで温かい人柄は多くの人に慕われている。
「介護の現場をいろいろと見てきただけに、自分の家族を含めて誰もが健康で元気でいてほしいというのが最大の願いですね。今年は仕事の面では多分大変な状況になると思うけれど、全力投球で頑張ります」 -
担い手法人化急ぐ
政府が昨年10月に決定した経営所得安定対策大綱、中でも07年度産から導入される品目別横断的経営安定対策に対応しようと、飯島町、中川村では地域農業の担い手づくり、法人化など具体的な取り組みが始まり、06年は正念場を迎える。
##中見だし
本郷地区でも2月までに担い手法人が誕生 飯島町は3年前から地区営農組合の法人化を進め、昨年3月相次いで、田切地区営農組合から田切農産が、七久保地区は水緑里七久保が設立され、活動を開始した。今年は2月に、本郷地区から本郷農産サービスが設立される。4地区で最も遅れている飯島地区は組織を固め、今年中を目途に法人化に向けた作業が進められる。
品目別横断的経営対策(米・麦・大豆など対象)は全ての農家を対象とした品目ごとの価格補償政策から、「担い手の経営」を対象にした所得補償政策に大きく転換するもの。担い手の対象要件は▽農地(水田・畑)が4ヘクタール以上の認定農業者▽同20ヘクタールなど一定の要件を満たす集落営農組織となっている。中山間地では特例措置がある。
飯島町は農政の柱に「千ヘクタールの自然共生農場づくり」を据え、4地区の営農組合の機能と活動を継続しながら、新たな時代に対応する体制への変革と体質強化のため「2階建方式」を採用。地区営農組合は現在の企画・調整・推進機能を継続し、新たに2階へ、地域農業の組織生産活動と自らも農業経営を行う「農業生産法人」を設立する。
農家数270戸の田切営農組合を母体とする田切農産(紫芝勉社長、13人)は、水稲・大豆・大麦合わせて25ヘクタール、作業委託は水稲60ヘクタール、大豆乾燥調整作業を行う。
七久保営農組合(407戸)を1階にした、水緑里七久保(上原隆祐社長、15人)は水稲・大豆6・6ヘクタール、作業受託は水稲・麦作業100ヘクタールとなっている。
本郷地区営農組合は農地131ヘクタール、農家数131戸。県下で唯1のソバ種子の生産地、転作田35ヘクタールで、ブロックローテーション方式で良質な種子を生産。昨年、ソバを乾燥・選別する乾燥調整施設を整備した。法人化に向け、昨年中に細部にわたり調整を済ませ、2月に発足させる。
飯島地区営農組合は292ヘクタール、農家数483戸を有し、4地区では最大規模、1法人にするか、複数とするかを含め検討中。
上伊那農協飯島支所の鹿角美昭営農課長は「飯島町は営農組合とJA、行政が一体になり、営農センターが名実ともに機能し、担い手法人の育成が順調に進んでいる」と話している。
##(中見出し)
ほ場整備率低く、課題多い中川村、夏頃までに方向を
農地800ヘクタールのうち、水田は460ヘクタール、樹園地約200ヘクタールの中川村。際立って果樹園が多く、農家数823戸のほとんどが水田と果樹園の複合経営。山間地域とあって、ほ場整備率は約7割と低く、作業効率も悪い-など担い手育成には条件は悪い。
村営農センターは、現在、1月中旬から各集落で実施する懇談会に向け、資料づくりを進めている。資料は国の施策や村の農業の方向などを予定する。 -
町の観光発展に新たな挑戦 特産品の開発へ
高遠町東高遠の遊休荒廃農地2万5千平方メートルを花畑へと再生し昨春、花園をオープンした「高遠花摘み倶楽部」。花園だけにとどまらず、同町藤沢水上地区の遊休農地を第2定植地と位置付けて、赤やオレンジなど色鮮やかな花穂を付ける中南米産のアマランサス(ヒユ科)の栽培に乗り出した。過疎化が進み、農業の後継者不足によって増えだした遊休農地を利用し、町が掲げる通年観光と地域経済の活性化を目指す。「観光農業」をキーワードに活動を展開し、その先には、「町内全体が観光地化した農村風景」を見つめる。
アマランサスは、開花とともに付ける種が穀物、茎葉は野菜となり、カルシウムや鉄分などが豊富な高ミネラル食品。高たんぱく質で、コレステロールの低下作用もある。
花の景観以外にも、食品としての特徴を生かし、新たな特産物として、種を使った加工品の開発を目指す。他地域との差別化を図って、地域おこしにつなげる考えだ。
倶楽部はアマランサスを研究する信州大学農学部の根本和洋助手と連携して進めている。遊休農地約1・5ヘクタールに種をまき、夏の終りには高いもので2メートルほどにまで成長した。茎葉を天ぷらやおひたしにして試食し、「結構いける味」「おいしい」などと参加者からの評判は上々だった。
花穂から約400キロの種を収穫し、11月下旬には本格的に研究を進めるべく研究会を開き、町内外の菓子店なども巻き込んで、商品化に向けた開発の協力を求めた。
「観桜期までにはいくつかの商品を開発できたら」と意欲をみせる倶楽部の赤羽久人理事長。桜の名所である高遠には全国から30万人以上が足を運ぶ。この機会を狙って、土産物として商品を売り出し、アマランサスを広く周知していく。
桜以外でも人を呼べる町にしたい竏秩Bそのため、昨年より栽培規模を拡大していき、協力してくれる町内の農家らにも種を提供して、町中にアマランサスを咲かせたいとする。
桜、花園、高遠まんじゅう、ソバ…そして、町中に広がるアマランサス。観光資源を増やし、他地域と差別化を図るこの通年観光の構想が実現すれば「町が目標とする年間100万人観光も夢ではなくなるのでは」と赤羽理事長は期待を寄せる。
今春には町と、伊那市、長谷村との合併を控えるが、「合併しても自分たちの住む場所を全国に売り出していくことに変わりはない」(赤羽理事長)。行政、大学、地域住民の連携を基盤とした新たな観光発展への挑戦が始まった。 -
箕輪町協働による廃食用油リサイクル推進事業4月本稼働
BDFで「みのちゃんバス」走る箕輪町は4月、04年度に策定した「箕輪町地域新エネルギービジョン」に基づき進めている「協働による廃食用油リサイクル推進事業」を本稼働する。
町内の各家庭から廃食用油を収集・回収し、町共同作業の家でバイオディーゼル燃料(BDF)に精製。町が購入し、町内巡回「みのちゃんバス」や公用車に使用する“地球・環境にやさしいリサイクル”事業。町が掲げる新エネルギー導入構想の4プロジェクトの一つ「みのちゃんバスBDF事業」を、住民協働の事業に位置付けている。
精製したBDFをバスに利用するのは県内初。町は、バスに使うことで、“ごみ”は“ごみ”でなく、“資源”として生まれ変わることを普及・啓発。住民の環境問題・環境保全への意識を高めたいとする。また、地球にやさしいBDFを使い軽油使用料を削減、地球温暖化防止を図る。
廃食用油は植物性油に限り、各家庭と町内小・中学校の給食室から回収。家庭からは資源(缶・びん・ペットボトル)回収日に各地区の資源収集ステーション38カ所で集める。
回収により期待される効果は、可燃ごみの資源化が年間6111リットル(うち小・中学校4911リットル)、二酸化炭素の削減が年間14トン。バスの消費燃料年間3万リットルのうち2割の6千リットルをBDFでまかなう計画という。
昨年11月、BDF精製作業場が完成。装置は、100リットルを6時間で精製する導入例の多い機種。10、11月に試験的に初回収した廃食用油1500リットルを使い、週1回のペースで精製。11月23日の初の試運転は、BDF使用で力不足の異常や運転後の故障などの問題はない-とする伊那バスの報告を受けている。
住民は、「今まで廃食用油は可燃ごみで出していたので回収は助かる」と好意的な声が多く、事業の一環で廃食用油回収をしてきた町女性団体連絡協議会も、「今後も皆で協力したい」と応援する。
町は1月15、22日、2回目の廃食用油試験回収をする。精製するBDFを検査し、冬期間のBDFと軽油の比率を検証。再度試運転をして導入に備える。4月以降は、定期的に廃食用油を回収し、週1、2回精製。精製の翌日には給油し、在庫を作らない体制にしたい考えで、先進事例も参考に本稼働までに回収システムとBDF推進体制を構築する。 -
運動あそびプログラム導入
06年度、南箕輪村内全保育園に南箕輪村は06年度、運動遊びで前頭葉を活性化させ、子どもたちに集中力や抑止力をつけたい-と、松本短期大学柳沢秋孝教授の柳沢運動プログラムを村内全5園に導入する。
運動あそびプログラムは、(1)跳躍(2)支持(3)懸垂-の運動が基本。30年ほど前は遊びの中で自然に身に付いていたが、体を動かす遊びの減少から今はあまり身に付いていない運動能力を楽しく遊びながら身に付ける。現代の子どもは、意思、やる気、自己抑制力など人間らしさをつかさどる前頭葉の発達に4年の遅れがあるといい、キレる子どもにならないために、プログラムを通して前頭葉を活性化させ、心の発達を促すという。
上伊那では箕輪町が04年度、伊那市が05年度に導入している。
村は導入に向け、05年9月から06年1月まで各園3回ずつ、運動あそびプログラムを試行。柳沢研究室の研究生、金井仁美さん=南殿=が楽しく簡単なあそびを指導している。
中部保育園の年長児は、リズム室でクマのまねをして歩いたり、カンガルーになってジャンプしながらゴムひもを飛び越えたり、お腹の上にご飯をのせたラッコになって床に仰向けに寝た状態でゴムひもの下をくぐったり…。目を輝かせ、次は何をするのかと待ちきれない様子で、初めての運動あそびを楽しんでいた。
「子育てにやさしいむらづくり」をすすめる南箕輪村。唐木一直村長は、「たくましさの中に人を思いやる優しさのある子、いつまでも村を好きでいられる、自分が育ったふるさとを忘れない子になってほしい」と願う。
「子育てで大切なのは、母親が仕事と子育てを安心して両立できる環境づくり。そのために保育の充実が大切」と、05年は保育料の引き下げ、すくすくはうす開所、同施設への子育てアドバイザー配置、保育園のふれあい保育などを実施した。
その中で、「子どもたちが健康で発達することも大切な要素。それには小さいころからの運動が大切」と、運動あそびプログラム導入を決めた。「06年度は年間通してできるよう予算づけし、軌道に乗せたい」という。
運動あそびをした園児たちは、「またやりたい!」と口をそろえた。楽しく遊んだ満足げな笑顔が、リズム室にあふれた。 -
伊那 - 木曽、新時代の幕開け
06年2月4日、伊那竏猪リ曽権兵衛道路が開通する。江戸時代元禄年間に古畑権兵衛が切り開いた峠道は、400余年の時を経て、両地域を30分でつなぐ高規格道路に生まれ変わる。この社会資本整備のエポックは、地域行政・産業経済・生活文化などの面で、伊那竏猪リ曽地域の新時代の幕を開けるだろう。
●開通に向け広がる期待
通勤圏・商圏・生活圏が拡大する。長い不況をしのぎ、自動車産業関連を中心に復調が見られる伊那谷の製造業は、トンネル開通により、木曽の一部も通勤圏に組み込む。安定的な労働力確保の可能性を広げることは、さらなる発展のプラス要因になろう。木曽でも、勤務先の増大が若年層の定住促進につながれば竏窒ニ願っている。
商圏の拡大は伊那側の商業・サービス業に好影響をもたらすと言われる。従来、木曽では、衣類や大型耐久品の購入の際に、北部は塩尻市や松本市へ、南部は中津川市へ、消費者が流れることが多かった。この流れが、時間的に近くなる伊那に向かうことは予想されることだ。
観光的に見ても、日本有数の観光地「木曽」に直結する道路は、中央高速道路を利用する観光客の誘致にメリットとなるだろう。特に従来観光客の6縲・割が中京・関西圏からであった木曽は、首都圏からの客の増加に大きな関心を寄せている。伊那でも、ブランド力のある「木曽」と直結することによる相乗効果に夢を託す。
●広域的地域振興の発想
だが危惧や不安もある。特に木曽では、通勤圏・生活圏の拡大が地元商店街の地盤沈下や人口流出をもたらし、過疎化を促進するのではないかとの不安が広がっている。伊那でも、観光資源の豊富な木曽と短時間で結ばれることで、単なる通過点になり、逆に観光収益が低下するのではと危惧する声もある。
こうした交錯する期待と不安を正しく汲み取り、両地域のバランスある発展を実現するためには、従来の伊那・木曽といったエリアを越える=下伊那も含めた=「信州南部」の広がりを持つ発想が必要になるだろう。政治行政・民間企業・市民が、「山の向こう側」も視野に入れて行動しはじめる時、初めてトンネル開通の真の意義が見えてくることだろう。
●何を発展させ、何を守るか?竏注Lい議論を
既に、開通にともなう具体的問題はいくつも指摘されている。木曽の国道19号線から大型車輌が伊那谷に流れ込む可能性は高いが、伊那谷の交通網整備の進捗状況はどうか?西部広域農道や春日街道の安全確保。伊那市街の道路整備。伊北インター付近から辰野にかけての道路拡幅や混雑緩和……。木曽の人々は長い間、谷を通過する大型車輌対策に頭を悩ませてきた。今後は伊那側も、その問題を共有しなければならない。
幹線道路整備やその沿線への大型店舗進出という「開発」にともなう、自然・生活環境、景観の保護・保全の問題もある。景観保護のための住民協定や、広告物自制のためのガイドライン制定などが、住民や行政の力で進んでいるが、中央アルプスを穿(うが)ち、自然豊かな伊那と木曽をつなぐ道路だからこそ、それにふさわしい環境・生活保全の取り組みが今後も重要である。
2月4日、道は開く。だがそれを、伊那と木曽の新しい時代へと導いていくのは、政治行政・企業・市民の幅広い議論だろう。 -
多目的補助犬を知っていますか?
「多目的補助犬」という言葉を聞いたことがあるだろうか。一般的に「盲導犬」「聴導犬」「介助犬」など、一つの役割を負い、障害者の生活を手助けする犬を「補助犬」と呼ぶ。普及の促進は今後も一層必要だが、存在自体の認識は高まってきた。
多目的補助犬は、これら補助犬の役割を複数できる訓練犬。しかし、まだ正式な呼び名もなく、一般には知られていない存在。国内で数えるほどしか存在しない。
◇ ◇
宮田村の日本聴導犬協会は、聴導犬と介助犬の仕事ができる多目的補助犬「しろ」の訓練に国内で初めて成功した。「しろ」の訓練は02年、聴覚障害と身体障害を持つ女性の要望から始まった。
一言で補助犬と言っても、支持に従う忠誠心が要求される盲導犬に対し、聴導犬は音を聞き分けて伝える行動力が要求されるように、役割に応じて求められる資質も違う。複数の役割を担う多目的補助犬は、時と場合に応じて行動を選択する必要があるが、それを判断するのは、かなり高度な技術。そのため、能力の高いごく少数の犬しか多目的補助犬にはなれないといえる。
しかし、実際にそれだけの能力がある犬であれば、基礎訓練は順調に進むことも多い。「しろ」の場合も、ほかの犬の訓練を見て、介助訓練を覚えてしまった。
◇ ◇
どんな補助犬にとっても、一番の難関となるのがユーザーとの合同訓練。その原因は、ユーザーの意識にあることが多い。
補助犬は、手放しで安心な生活を提供する存在では決してない。生活を共にするユーザーは、自分の社会的責任において補助犬を守らなければならないため、一人だった時以上に大きな責任が伴う。また、どんなに優秀な補助犬であっても、訓練の継続は必須。犬と根気良く向き合い、一つひとつを共に覚えていかなければ、合同訓練は成功しない。
補助犬との生活は、ユーザーにも相当高い意識を要求する。
◇ ◇
高齢化の進展に伴い、重複障害者が増加する可能性は高く、多目的補助犬へのニーズは確実に高まると考えられる。越えるべきハードルは高い。しかし、普段の生活にも命に関わる多くのリスクを抱える障害者にとって補助犬は、正にかけがえのない存在となっていることも事実。そうした安心感を必要とし、求めようとする人も増加していくだろう。 -
10年後もハッチョウトンボの舞える環境を
推定5千匹のハッチョウトンボと、準絶滅危惧(きぐ)種を含む27種類のトンボの生息が確認された伊那市富県上新山。全国的にも最大の生息規模だという湿地帯で伊那市は、今年3月の完成を目指して遊歩道整備を進めている。「公開する場所」と「保護する場所」を分けることで、観測者の踏み荒らしを防ぎ、生育環境を保護することが目的。しかし、これだけ多種類のトンボや昆虫が観測できることも珍しいため、訪れた人に、これらの貴重な生物を知ってもらえるような配慮もしていく。
「世界最小」といわれるハッチョウトンボの全長は約2センチ。低地の湿原を生息地としている。集落の周辺では開墾や農薬散布などの危険に脅かされることもある。上新山で最も多くのハッチョウトンボが確認された湿地帯は私有地約0・7ヘクタールだが、調査の結果、減反中の田んぼなど、このほかにも約8カ所で生息を確認した。ほかにも生息域が存在する可能性もあり、新山全体に豊かな環境が残されていることがうかがえる。湧き水、丈の低い草などの自然条件が「常時水が流れる環境」「良好な日当たり」といった、ハッチョウトンボの生育条件をつくり上げている。
地元でハッチョウトンボの保護に取り組む「新山山野草等保護育成委員会」(北原重利委員長)は昨年7月、湿地の一部公開に踏み切った。当初は観測者の踏み荒らしを懸念し、公開はしないつもりだった。しかし、公開しなくても見に来る人はおり、むやみな侵入があれば、踏み荒らしを招いてしまう。そこで、整備した一部を部分開放することで、湿地全体の保全を充実させた。
子どもたちにも貴重なトンボを見てもらおう竏窒ニ、夏休み前に整備を終え、7月中旬から開放。土日を中心に家族連れなどが訪れた。
会は今回の遊歩道整備にも、協働参加する。第一の目的は湿地の保全。しかし、今後ハッチョウトンボの観測に訪れた人には、普段はなかなか訪れる機会のない“新山”を知ってもらい「こんな場所もあったんだ」と感じてほしい竏窒サんな願いもある。
木道は隣接する池の中を通して湿原にぬける。環境への影響がないよう、防腐剤は塗布せず、間伐材を利用する。訪れた人にハッチョウトンボの特性を伝えるための木製看板を設置し、生息生物が一目でわかるリーフレットづくりにも取り組む。
立派な看板を付けたが、10年後はいなかったということにならないよう竏窒サんな思いが木道には込められている。 -
祝・伊那 - 木曽権兵衛峠道路2月開通
木曽側7市町村首長に聞く【下】06年2月、伊那と木曽を結ぶ権兵衛峠道路が開通する。木曽郡の6町村と、権兵衛トンネルの反対側出口がある塩尻市(旧楢川村)の首長、合計7人に聞いた。その2回目。
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05年上伊那地方事務所のおもなできごと
上伊那地方事務所が発表した05年の主な出来事は次の通り。
▼スペシャルオリンピックの冬季世界大会が長野県で開催したことに合わせて2月、知的障害者への理解を促進するために、市町村や障害者団体などが中心となり、ホストタウンプログラムやトーチランを実施した
▼上伊那地域景観フォーラムを2月に開催し、「上伊那花の谷景観づくり大賞」の最優秀賞に、「赤ソバの里」で有名な箕輪町の中箕輪農事組合法人を授与。景観サポーターグループの中間報告や東京大学教授による講演があった
▼3月、上伊那地域の桜、花の名所を集めた「花マップ」を上伊那広域連合や市町村と共同作成し、管内6万世帯に配布。また10月には、紅葉の名所などを盛り込んだ「秋の名所ガイド」を配布した
▼地域の特色を生かした取り組みなどを支援するためのコモンズ支援金が4月に創設。上伊那からは91件の応募があり61件、9617万6千円の事業が採択された
▼平日に納税できない伊南地域の納税者の利便を図るため5月、駒ヶ根市のベルシャイン駒ヶ根店で、自動車税納税期限直前の日曜日に出張納税窓口を開設。99件、約375万円の自動車税が納付された
▼06年2月の権兵衛トンネル開通にあわせて上伊那地域景観推進会議は6月、国道361号沿道に導入予定の屋外広告物規制の適応除外となる自己用広告物についても、良好な景観を保全できるデザインで統一するため、「中央・南アルプスを望む沿道広告物デザイン事業」を実施。自己用広告物のガイドライン作成の検討をはじめた
▼伊那市、高遠町、長谷村の合併協議が整い、関係機関の手続きを経た8月12日、総務大臣の告示があり、06年3月31日の「新伊那市」の誕生が正式に決定。高遠町、長谷村のほか、伊那市全域に地域自治区を設置することを決めた
▼衆議院の解散に伴う衆議院議員総選挙と最高裁判所裁判官国民審査が9月11日、執行され、小選挙区での上伊那の投票率は77・58%と、前回を3・52ポイント上回った
▼宮田村の近藤鉄工と駒ヶ根市のヨウホクが共同開発してきた「信州型ペレットストーブ」が10月、完成した
▼アスベストの撤去対策が完了していなかった伊那合同庁舎を含む9つの県有施設で11月、緊急のアスベスト除去工事が実施された
▼姉歯建築設計事務所の耐震強度偽装問題の発生を受けて11月、同設計事務所が関与した2つの管内建築物につき、構造計算書の再計算をし、改ざんを確認した
▼地域経済の持続発展や雇用確保促進を図るため、不動産所得税の課税免除や助成金が受けられる「信州ものづくり産業投資応援条例」を使用した新工場建設が進行。飯島町への進出を予定している岐阜県の酢醸造メーカー「内堀醸造」など2企業が、助成金認定を申請した -
【記者室】今年の漢字は「愛」
毎年暮れになると「今年の漢字」が発表される。05年は「愛」だったが「うそ?」と思った読者も多いのでは。この一年の世相を表す言葉としてふさわしいとはどうしても思えない▼全国の8万5千人余りから応募があり約4千票を集めて1位になったというが…。選んだ理由は紀宮様と黒田さんのご成婚、純愛ブーム、愛・地球博の成功、卓球やゴルフのアイちゃんの活躍などだそうだ。愛が足りない年だったから竏窒ニの意見も多かったというがそれを理由にするのはおかしい▼04年は災、03年は虎、02年は帰、01年は戦竏窒ニ続いている。来年こそは明るく、希望のある漢字が当てられる良い年になってほしいと心から願う。今年も1年間ご愛読ありがとうございました。(白鳥記者)
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みそかそば
暮れも押し迫り31日は大晦日、そば屋さんの書き入れ時-。
飯島町七久保の手打ちそば処とみよし(杉山義男店主)ではこの日、午前5時から打ち始め百人分余のそばを打つ。そば粉に2割のつなぎの小麦粉を混ぜて、粉の芯まで水分がしみるように丁寧に水まわしをする。粉がまとまった後、力を入れてこね、1・2ミリの厚さまで伸ばし、慎重にそば切り包丁で1・2ミリの太さに切りそろえる。
同店は大晦日は午前11時から元旦午前1時まで営業。大晦日恒例の七久保の花火見物の後でも食べられそうだ。
年越しそばはそばのように長く幸福にという縁起とも、金箔師が仕事場に散らばった金
銀の粉を集めるのに、そば粉を用いたことから、金銀をかき集める意味とも言われている -
飯島町の05年の10大ニュース
飯島町はこのほど、05年の10大ニュースを発表した。
10大ニュースは次の通り
【1位】飯島町の合併に関する意向調査が2月27日行われ、合併反対が半数を超え、民意か自立のまちづくりを選択した
【2位】久根平工業団地に進出した内堀醸造は5月18日、アルプス工場の起工式を行った
【3位】町内農家でリンゴ栽培の研修していたパキスタン・ムルフン村の研修生3人は7月5日、1年間の研修を終え帰国した
【4位】伊南バイパス飯島工区で初となる用地買収契約が1月27日締結、本郷地区で用地買収はじまる
【5位】飯島町議員一般選挙が3月27日、定数4減で8年振りに行われた
【6位】14年の歳月と巨費を投じた与田切川飯島第6砂防堰堤が11月21日しゅん工した
【7位】死亡事故ゼロが6月2日で千日達成した
【8位】道の駅花の里いいじまが6月19日、利用者50万人を達成した
【9位】営農組合担い手法人水緑里七久保と田切農産が3月設立され、新たな一歩を踏み出した
【10位】スペシャルオリンピックス冬季世界大会ホストタウンプログラムでエクアドル選手団が23日来町、歓迎行事などで町民と触れ合う -
七久保で大晦日花火大会
大晦日の風物詩、飯島町七久保の七久保煙友会の大晦日新春花火大会は、七久保上通り集会所西側をメイン会場に、今年も大晦日の午後11時30分から元旦の0時30分まで盛大に行われる。A2版の豪華なポスターも完成、町内随所に張り、来場を呼びかけている=写真。
19回目の今年は、除夜の鐘108にちなみ尺玉8発のほか、ロング綱火、小型花火、スターマインなど煙友会が「来場しないともったいない、見られない」と惜しまれるようにと、工夫を凝らす。
また、会場では年越しそばや豚汁、お神酒が振舞われる。 -
中川村の05年の主なできごと
##(見出し(1))
31日付け中川村の05年主なできごと
##(見出し(2))
中川村はこのほど、村の05年のでぎごとをを発表した。
主なできごとは次のとおり
▽駒ケ根市・飯島町との合併の賛否を問う住民投票が2月27日あった。中川村は賛成が反対を上回ったが、駒ケ根市と飯島町は反対多数で、単独自立の道が決まった。3市町村の結果を受け、3月31日合併協議会が解散した
▽葛島区にあったかつら保育園が閉園。4月1日、みなかた保育園が開園した
▽中川村地域情報システム(CATV)が4月1日開局した
▽任期満了に伴う中川村長選挙が4月24日執行され、新人の曽我逸郎氏が現職を破り初当選した
▽曽我新村長の就任式が5月13日あり、新村政がスタートした
▽自立の村づくりに向け、地区懇談会が7月から9月まで2カ月開催された
▽第14回中川どんちゃん祭が8月6日、牧ケ原文化公園周辺で盛大に開かれ、みこしと花火の競演で盛り上がった
▽9月26日の定例議会で、議員発議による議員定数を4削減し12とする条例改正案が賛成多数で議決された
▽チャオ周辺を魅力あるものにしようと、10月3日、チャオ周辺活性化検討委員会が発足、分科会で検討が始まった
▽第24回上伊那育樹祭が10月25日、紅葉が始まった陣馬形山頂で行われ、村内小学生も間伐作業に精を出した
▽ふじリンゴの収穫期を迎え11月20日、県内外から多くのオーナーを迎え収穫祭がにぎやかに行われた
▽1戸建庭付きの若者専用住宅の起工式が12月2日行われ、15日から入居者募集を開始した
##(写真)
地域情報システム(CATV)開局(4月)
中川村はこのほど、村の05年のでぎごとをを発表した。
主なできごとは次のとおり
▽駒ケ根市・飯島町との合併の賛否を問う住民投票が2月27日あった。中川村は賛成が反対を上回ったが、駒ケ根市と飯島町は反対多数で、単独自立の道が決まった。3市町村の結果を受け、3月31日合併協議会が解散した
▽葛島区にあったかつら保育園が閉園。4月1日、みなかた保育園が開園した
▽中川村地域情報システム(CATV)が4月1日開局した
▽任期満了に伴う中川村長選挙が4月24日執行され、新人の曽我逸郎氏が現職を破り初当選した
▽曽我新村長の就任式が5月13日あり、新村政がスタートした
▽自立の村づくりに向け、地区懇談会が7月から9月まで2カ月開催された
▽第14回中川どんちゃん祭が8月6日、牧ケ原文化公園周辺で盛大に開かれ、みこしと花火の競演で盛り上がった
▽9月26日の定例議会で、議員発議による議員定数を4削減し12とする条例改正案が賛成多数で議決された
▽チャオ周辺を魅力あるものにしようと、10月3日、チャオ周辺活性化検討委員会が発足、分科会で検討が始まった
▽第24回上伊那育樹祭が10月25日、紅葉が始まった陣馬形山頂で行われ、村内小学生も間伐作業に精を出した
▽ふじリンゴの収穫期を迎え11月20日、県内外から多くのオーナーを迎え収穫祭がにぎやかに行われた
▽1戸建庭付きの若者専用住宅の起工式が12月2日行われ、15日から入居者募集を開始した -
南宮神社祈年祭に奉納
山車飾り準備進む箕輪町木下の山車飾り保存会(蟹沢廣美会長)は、06年1月14、15日の南宮神社祈年祭に奉納する「山車(だし)飾り」の準備を進めている。神社の2年参りには例年通り、神苑池に来年の干支(えと)にちなんだ舞台「犬の踊り子」を飾る。
山車飾りは町民俗無形文化財に指定されている。今年は、社務所前に「安寿と厨子王」、祭典広場東に「孝女白菊」「曽我兄弟の仇(あだ)討ち」、子どもたちのスマイル山車クラブによる「花咲かじいさん」、神苑池に「犬の踊り子」、商工会・コミュニティセンター前は「犬のごあいさつ」を飾る。
会員は11月末から日曜日を除く毎晩、約3時間ずつ人形作りや舞台の組み立てなどに取り組んできた。人形は全て出来上がり、年明けから舞台に人形を据え付けるなど仕上げの飾り付け作業をする。
スマイル山車くらぶの山車飾り「花咲かじいさん」は、干支にちなみ、犬がほえた場所を掘って小判が出てきた場面。5、6年生を中心に11人が11月初旬から毎週土曜日、保存会員の指導を受けて作った。